2020年

【2020アニメ】「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ」アニメレビュー





(88点)全12話

迷宮都市オラリオの中心に座するダンジョン――数多の怪物(モンスター)が産み落とされるこの大穴は、未だ人類が想像し得ない『未知』を無数に孕んでいる――女神ヘスティアと冒険者ベル・クラネルが【ヘスティア・ファミリア】を結成し、はや数ヶ月。幾人かの友を加え、彼らのファミリアは急速に成長の途を辿り、都市の注目を集めていた。突如彼らのもとに舞い込んできた『未知』――それは、異端児(ゼノス)と呼ばれる言葉を解する怪物(モンスター)だった――『未知』は混乱を誘(いざな)い、常識をも破壊し苦悩と葛藤を喚び起こす――その先にある『可能性』を覆い隠してしまうほどに……これは『未知』という暴風に抗い続ける――少年が歩み、女神が記す【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】――TVアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ」公式サイト




大人気冒険ファンタジーアニメの第3期

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (88点)
完走難易度 超易しい

原作は大森藤ノ先生。

監督は橘秀樹さん。

制作はJ.C.STAFF。

3期

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

2020年秋に放送された「ダンまち」の3期。

2015年に1期、2019年に2期ときてまた期間が空くかと思いきや、続けざまに年をまたいで3期ということで、ファンからすればたまらないだろう。

劇場版を忘れるな?劇場版なんてあっただろうか。記憶にない。(笑)

アニメについて精通している人なら誰もが知っているであろう超人気タイトルで、神様が降臨した街でダンジョンに挑む冒険者と、ヒーローを目指す主人公を描いたバトルファンタジーアニメだ。

この作品のどこに面白さがあるか。1つ挙げるなら、何と言っても主人公ベル君の「成長」にこそある。

最初は弱っちいベル君が自分の努力で道を切り開き、ついには「リトル・ルーキー」と呼ばれるまで強く、そして冒険者の間でも名の知れた存在となっていく。

王道の物語ではあるが王道こそ正義。ベル君の謙虚な人柄や、自分を犠牲にしてまで誰かを助けようとするまさに「ヒーロー」そのもののカッコよさに、ついつい惹かれてしまう。

ベル君の成長スピードもより「現実」に近い感覚で成長していく。

というのも、他のこういった主人公が強くなる系のアニメでは少しの修行だったり、才能で解決したりと、強くなる過程が尺の都合上かなり圧縮される傾向がある。

しかしダンまちでは、そこが一番重要視されている。あっという間に強くなる快感も確かに捨てがたいが、現実はそこまで簡単ではない。

努力を重ね、自分と向き合い、葛藤があり、挫折があり、そして最終的に強い決意とともに強大な敵に立ち向かっていく。

それを繰り返して少しずつ階段を登っていく。それがダンまちという作品だ。

そう。これは皆で一緒にベル君の成長を温かく見守るアニメだ。(笑)

ウィーネ

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

まず序盤の話の中心となるのは「ウィーネ」という人間の言葉を話すモンスターだ。

モンスターは人間たちにとって忌むべき存在で、人間はモンスターを殺し、モンスターもまた人間を殺す。そんな関係だ。

しかし、ウィーネに何か事情があると踏んだベルは命を奪わずに、自分のファミリアで仲間として暮らすことを決意する。

だがモンスターをダンジョンから連れて帰るなど前代未聞のことで、ベル君は相容れない人間とモンスターの関係に翻弄され…というストーリー。

まずウィーネのキャストが日高さんであることに、「またか」という気持ちはある。ロリ=日高さんの図式は一体いつになったら終わるのだろうか。(笑)

他の数ある声優さんの中で、こうも高確率で役をゲットするとなると、やはり制作陣の中でも相当な信頼を置かれているということなのだろうか。

まあそれは置いておいて、1話から早速ベル君の母性が全開で、非常に心が温まるお話になっている。

「モンスターだから」殺すのではなく、自分の目で判断する。自分が痛い目に遭ってもそれを表情に出さずに優しく受け止める。ベル君はやはり聖人君子だ。(笑)

モンスターを引き入れたと分かれば、それこそ全ファミリアを敵に回すようなもので、一体ベル君はどう立ち回っていくのか。1話から期待感をしっかり持たせてくれている。

スケール

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

モンスターと冒険者の共存。2期までよりもさらに大きなスケールで物語は進んでいる。

ウィーネの正体は、理知を備えたモンスターである「ゼノス」という個体であることが序盤で判明する。

そしてそのゼノスを支援している神様が「モンスターと冒険者の共存」という大きな野望を抱いていることも同時に明らかになる。

2期までの展開はバトル志向が強く、ダンジョンに潜ったり神の陰謀と戦うことで、ベル君が成長するという方向性で描かれてきた。

しかし、3期ではまた違った角度からストーリーが展開されている。

殺し合って当たり前のモンスターと冒険者の共存。気の遠くなるような話だが、だからこそ先が気になる期待感が大きい。

ゼノスに人間への敵意は全くない。見た目以外は普通の人間と何も変わらない。だがヘスティア・ファミリア以外にとってみれば、「モンスター=殺すべき対象」であることに違いはない。

そこをスタート地点にして、いったいどのような過程をたどって分かり合う結末に至るのか。

それとも分かり合うことはできずにヘスティア・ファミリアまでもが「異端」な存在になってしまうのか。

そこには「差別の根絶」という大きなテーマが潜んでいる。中身を見ずに外見で判断して排除しようとする。現実でも解決されることがない永遠のテーマに、この作品は挑もうとしている。故に面白い。

話はいずれ「ダンジョンとは何か」という作品の根幹を成す部分へと入っていく。

ダンジョンにいるモンスターをお金や素材のために殺す。強くなるために殺す。モンスターもまた、人間を殺す。

しかし本当にそれでいいのか。人間は私利私欲のためにモンスターを殺しているに過ぎない。本当にそれは正しいことなのかと。

今まで当たり前のようにモンスターを殺してきたベル君がぶつかる新たな見えない「壁」。

3期のそれは強大な敵ではなく、根強く残るモンスターと人間の敵対関係。あまりに大きすぎるスケールだ。

派閥

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

ゼノスの中にも派閥がある。みんながみんな人間との共存を望んでいない。

共存派と敵対派。人間とは一生かかっても分かり合うことはできないという派閥も存在し、より共存が遠い道のりのように感じる。

敵対派の言い分としては、今まで何度も人間には裏切られ、同胞を殺されてきたという。だから同胞のために人間を皆殺しにしようとする敵対派。

共存派と敵対派。どちらにも正義がある。同胞を人間に殺されたのに黙って仲良くなれだなんて虫のいい話だ。

それほど問題は根深い。しかしだからこそよりリアルな問題で、到底かなうとは思えない難題がより物語を盛り上げている。

そこには様々な思惑が交差している。仲間のために敵討ちをしようとする敵対派。仲間の叶わなかった意志を受け継いで、それでも温厚な解決を望む共存派。

そしてその共存派も敵対派の意見を聞いて、人間に仲間が殺されるのを見て、意志が揺らいでいる。

一方でモンスターに対して、どのような振る舞いをすればいいのか迷うベル君。ゼノスを殺すことなどできないが、同時に冒険者を敵に回したくはない。

ベル君はとことん板挟みにあう。これまで以上に一筋縄ではいかない問題に次々と直面し、ベル君の「英雄力」が試される展開は面白い。

総評:これぞダンまち

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

モンスターと人間の共存。それが大きな3期のテーマになっている。

お互いに「戦って当たり前」の関係性に初めてスポットが当たり、1人の少女との出会いから派生して様々な事件が連鎖的に起こる。

そしてその全てで中心として動き、最終的に美味しいところを持っていくのはやはり主人公のベル君。そこはこの3期でも全くブレていない。

いろんな事件や思惑が交差しようと、最終的にかっこいいのはいつでもベル君。ブレないラインがあることで、この3期も非常に見ごたえのある作品になっている。

ウィーネという少女との出会いから、様々な事件に至るまで非常に流れが綺麗だ。

最初は1本の線だが徐々にそれが2本、3本、4本と増えていき、最終的にまた1つの「ベル君の活躍や成長」という1本の線にまとまっていく。

12話の尺をフルに使って綺麗に広げて綺麗にまとめる。

ダンまちという作品がいかにして人気を得てきたか。この3期を観るだけでも伝わってくる。

ゼノスという「モンスターと人間の狭間」にいる存在との出会い。彼らを受け入れ、守ると決めたベルは、全冒険者に後ろ指を指されようともその意志を曲げない。

ベル君は「モンスターは殺して当たり前」という価値観に1人で立ち向かう。

当然最強のファミリアをも敵に回すことになっても、自分に対する悪評が出回ることになっても、かつての師と剣を交えることになっても。

ウィーネがモンスター化して街へ飛び出したシーンは印象的で、ベル君は町民や仲間、そして最強のファミリアが見守るという最悪の状況の中、葛藤の末にウィーネをかばうという選択肢を取る。

心が震えたシーンだ。ベル君は決して最強ではない。全員を従わせるそれこそアイズのような戦闘力はなく、そこでモンスターをかばったとして、冒険者から一斉攻撃などされたらひとたまりもない。

そんな未熟なベル君だからこそ葛藤が生まれ、ゼノスを守るという行動に巨大な意味が生まれる。

その行動はベル君1人の問題ではなく、ファミリアの仲間を巻き込むことにもなり、もちろん自分も「ただでは帰れない」という恐怖もある。

そのときのベル君の表情が、そして松岡さんの演技が全てを物語る。途切れ途切れの呼吸。汗だくの顔。焦点の定まらない目。

緊張感が凄まじいワンシーンだ。ベル君は最強のファミリアの面々とは顔見知りで、当然ウィーネのことを純粋に「モンスター」と認識しており、殺しても何らそしりは受けない。

ベル君は最強のロキ・ファミリアの中でも、最強の剣士・アイズは師匠であり憧れの存在であり、その人の前で「モンスター」をかばうという行動の意味は当然重い。

いろんな思惑や関係性が渦巻くシーンとなっており、このシチュエーションに至るまでの丁寧な過程づくりには脱帽するしかない。

面白くないわけがない。神の意思や常識に翻弄されながらも自分が決めた道を突き進む。

自分が傷つこうとも大切な何かを守ると決めたら、その意志を貫き通す。相手が格上だろうと、何度腰を折られようと何度でも立ち上がり剣を取る。

まさに「英雄」という言葉がベル君には相応しい。英雄になって欲しいと心から思えるベル君がいるからこそダンまちは面白い。

ここまで真っすぐに「英雄になる」という夢を持って、それに向かって進み続ける主人公は他にはいない。恥ずかしいほど真っすぐ前だけを見ているから応援したくなる。

願わくば、バトルの描写にもう少し力を入れて欲しいところだ。舞台を演出するまでは完璧でも、見せ場のバトルシーンの枚数が若干少なめで迫力に欠けているのが玉に瑕だ。

お金の問題なのかノウハウの問題かは分からないが、最高潮の盛り上がりをそのままもっと突き上げていくような、ド派手な作画を見せて欲しかった。

舞台を演出するまでは完璧だ。ベル君が登場するまでのシチュエーション作りに矛盾や欠点はなく、ベル君への綺麗なお膳立てが出来ており、思わず握りこぶしを作ってしまうほど鳥肌ものだ。

みんなが見たかったベル君がちゃんといた。それだけでこの作品は満点だ。

休憩できるポイントはいつもより少なめという感じで、息つく暇もなく一気に突っ走ったという3期だったが、「ダンまち」という作品の本気を見た気がした。

一筋縄ではいかない大きな見えない壁に立ち向かうベル君。肉体的苦痛よりも精神的苦痛。ただ大切なものを守りたいだけなのに非難を浴びるベル君。

観ているこちらもかなりSAN値を削られる。しかしだからこそ、それを跳ね返すベル君の意思の強さが一層光り輝き、そこに至るまでの流れを細かく繋いでいく脚本も見事という一言に尽きる。

気になるポイントはなくはないが、その全てを勢いで飲み込んでいった感じだ。凄まじい熱量を帯びた3期だった。

雑感:満足

©大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち3製作委員会

12話を観終えてどっと疲れが押し寄せている。(笑)

最初から最後まで休むことなく突っ走っており、緊張感を維持したまま最後まで到達しただけで満足感が凄い。

今はレビューなどせずに余韻に浸っていたい気分だ。(笑)

どうやら公式サイトの情報によると4期の製作が既に決まっているらしい。放送は2022年。

続編までのスパンが短くなっているということは、それだけファンの声が大きいということだろう。もちろん円盤の売り上げも。

一体続編ではどんなベル君が見られるのか。楽しみに待ちたいと思う。

興味がある人は1期から観ることをオススメする。きっとベル君を好きになってしまうはずだ。




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