評価(20点)全12話
アフリカのブラック企業
アフリカで働く動物たちを描いた日常コメディ。
原作はガム先生。
監督は畳谷哲也さん。
制作はHOTZIPANG。
動物が会社勤め
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
このアニメは、人間と同じように会社勤めをしている動物たちを描いたアニメです。
人間と同じように電車に乗って通勤をし、会社に着いたらパソコンと向かい合い、仕事が終わったら飲みに出かける…
そんな、社会人の日常的な風景を切り取っています。
主要キャラは3人いて、中間管理職で先輩のライオンと、ライオンの直属の部下に当たるトカゲとオオハシ。
この3人が中心で、途中から他の部署の動物も混ざったりして、徐々に騒がしくなっていきます。
ハマらないギャグ
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
この手の日常系アニメは、ギャグがハマらないと観続けるのは困難。
残念ながらこのアニメはギャグの質が高くなく、途中で何度も挫折しかけました。(笑)
もはやただの会社に勤める動物を描くだけのアニメと化していて、可愛い女の子がいるわけでもなく、癒し要素があるわけでもなく、本当に観るのが苦痛に感じるほどでした。
途中何度か「おっ」と思うようなくだりはあったものの、それでも素人でも考えられそうなレベルのギャグのみ。
オオハシがかなり調子のよいキャラで、調子に乗った結果痛い目を見たり、ライオン先輩の怖さに周りが震えたり、トカゲ君の尻尾が取れたり。
同じような展開で同じように笑わせようとしてくるし、笑いに何のひねりもないので、全然面白くないです。
ありきたりなギャグすぎて、声優さんも分かった上で、何とか頑張って面白くしようとしているように聞こえて、なんだか切なくなりました。(笑)
そのくらいギャグの質は相当低く、「動物が働く」という斬新さはありましたが、それ以上でもそれ以下でもない作品に感じました。
ブラック感がない
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
「汗と涙の社畜コメディ」という触れ込みの割に、全くブラック感がありません。
ブラック企業で当たり前のように見られる光景が全くない。
残業しないし、満員電車じゃないし、会社で普通に話しているし、たばこ休憩してるし、普通に飲みに出かけたりしてるし、みんなで旅行とかしてるし、ハラスメントもないし。
全く仕事に追われている感がありません。
たまに社長がやってきて無理難題をふっかけてきたり、勝手に減給を言い渡したり、そういう描写があるくらいで、他は普通のサラリーマン。むしろホワイト。
その部分を突き詰めれば、もっと面白くなる余地はあったと個人的には思いましたが、ただの会社で働く動物の、ありふれた日常を描いたアニメになってしまっていました。
詐欺と言ってもいいレベルです。これは。
公式サイトのトップ画像でも、ラジオのイントロでも、「社畜」という言葉を強調しておきながら、何で全くブラック感がないのか…
1話の最初からなかったですから、「社畜」と付ける必要性は全くなかったと思います。
無駄なグロ描写
- 引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
不必要なものがもう一つ。
途中で何度か挟んできたグロ描写。
トカゲ君の尻尾が取れるというお馴染みのくだりがあるのですが、かなり盛大に血が噴き出します。
1話の中盤のシーンでは、トカゲ君とオオハシがライオン先輩にビビるシーンがあります。
オオハシは嘔吐し、トカゲ君は地面に頭を叩きつけて血を飛び散らせます。
どこからどう見てもやりすぎで、本当に面白くする気があるのか謎です。
観ていて気分を害しましたし、ギャグアニメには全く不必要な描写でした。
しかも1話でそれだけビビっておいて、2話以降は普通にライオン先輩と会話をして、むしろライオン先輩を蚊帳の外に置くような言動もあったりして、つくづく「1話のあれは何だったんだ…」と思ってしまいました。
最初に強烈なパンチをお見舞いしたかったのかもしれませんが、面白くする方向性を完全に誤ってしまった感じで、ただただ不快でした。
後は、「殺傷ハムスター」という包丁を持ち歩く物騒な見た目の割に無害、という謎キャラもいて、本当にカオスな空間でした。
ごり押し
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
1話で察した通り、このアニメのギャグは基本ごり押し。
オオハシが騒いで何かトラブルを起こして、周りがそれに巻き込まれて、最後はオオハシが痛い目を見て終わり。
後は、途中で登場する上のラーテルというおバカでうるさいキャラが、大声で奇声を発して、暴走して自滅する。
笑いがワンパターンで、しかもその笑いが絶望的につまらないという救いようの無さでした。
顔芸があるわけでもなく、意外性があるわけでもなく、パロディがあるわけでもなく、どこで笑えばいいのか本当に分からないアニメでした。
動物が好きで、動物が会社で働く日常を観たい方だけ観ればいいアニメだと思います。
声優は豪華
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
今のところ取柄はほとんどないアニメですが、唯一、「声優が豪華」という点でいえば、特筆すべきものがあります。
ライオン先輩は大塚明夫さん、トカゲ君は津田健次郎さん、オオハシは下野紘さん。
カメ社長は石田彰さん、カラカルは神谷浩史さん、ラーテルは鈴木達央さんと、かなり豪華なラインナップ。
有名な声優さんが声を当てているだけで、声優ファンには嬉しいかもしれません。
ですが残念ながら、萌え豚を自称する身としては、男性声優が豪華というのは何の価値もありません。
もしこれが女性声優だったら…少し違う印象を持ったのかもしれません。
まあ中身が絶望的なので、声優云々の話ではないですが。
総評:とにかく寒い
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
動物が会社で働くアニメ。
これ以上なんとも言えないアニメです。
ギャグも滑っているし、社畜コメディとか言っておいて全く社畜感はないし、無駄にグロいし。
最近の日常コメディアニメの中でも、最低ランクの評価を与えなければなりません。
ギャグもシナリオもぺらっぺらなので、25分12話である必要はなく、なんならショートアニメでも全然良かったくらいのボリュームでした。
酷評に酷評を重ねてきましたが、「おっ」と思うシーンがいくつかあったのもまた事実。
新入社員のツルが普段は大人しいのに、実は有名な炎上系YouTuberで、ライオン先輩やトカゲ君やオオハシの悪口で再生数を稼いでいるところなんかは、思わずクスッとしてしまいましたw
でもそれも散発的で、引きはそれほど強くなく、のめり込むまでには至らず。
ギャグ以外にそういう強みがあればよかったですが、本当に「動物が働く日常を描いたアニメ」という評価しか思い浮かばないほど、薄っぺらなアニメでした。
個人的な感想:OPは良かった
引用元:©ガム・HOTZIPANG/ AFRICAN OFFICE WORKER
アニメの中身は退屈そのものでしたが、OPは毎回飛ばさずに見ていました。
というか曲を聴いていました。
オオハシ演じる下野さんが歌っている曲で、アップテンポなメロディーと、下野さんの明るい声に元気をもらえる曲で、素晴らしい曲でした。
「社畜の過酷さ」とはかけ離れた歌ではあるんですが、頑張る社会人の背中を押す曲になっていて、毎回元気をもらいました。
それなのに、なんでアニメの中身はあんな悲惨なことになってしまったのか…
そもそも社畜コメディじゃないし、世の中の社畜の共感を得ることも、OP曲のように社畜の背中を押すこともなく、間違ったギャグ路線を突っ走り、挙句には脱線をしてしまった感じ。
原作が悪いのか、脚本が悪いのか、監督が悪いのか…
真相は闇ですが、「動物が社畜になって働く」という世界設定は面白いのに、それを上手く料理できなかったことが残念。
動物が好きで、なんとなーくアニメが観たい方は、ぜひ一度観てみてください。