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【2015アニメ】「花とアリス殺人事件」アニメレビュー

(70点)

史上最強の転校生、アリス。史上最強のひきこもり、花。二人が出逢ったとき、世界で一番小さな殺人事件が起こった。
石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(通称アリス/声:蒼井優)は、一年前に3年1組で起こった、「ユダが、四人のユダに殺された」というウワサを聞かされる。さらに、アリスの隣の家が<花屋敷>と呼ばれ、近隣の中学生に怖れられていることを知る。その花屋敷に住む「ハナ」ならユダに…TVアニメ「花とアリス殺人事件」公式サイト

小さな殺人事件を描いたミステリーアニメ映画

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (70点)
完走難易度 易しい

原作は岩井俊二先生。

監督は岩井俊二さん。(脚本も音楽も)

制作はロックウェルアイズ/スティーブンスティーブン。

転入

(C) 花とアリス殺人事件製作委員会

とある学園に転入する女の子が主人公のアニメだ。

序盤で引っ越しやら転入の手続きやらのシーンがあり、彼女が義理の母親と2人暮らしで姓も変わっていることが自己紹介で明らかになる。

転校生といえばクラス中が色めき立つものだが、誰も主人公に話しかけようとせず、あまつさえ彼女が触ったものを触らないようにするなど、いじめに近い扱いを受けてしまう。

掃除の時間になっても彼女が座った席と、その後ろの席は動かされないまま。主人公が動かそうとするとクラスメイトはそれを拒む。

どこか「Another」っぽさを感じるアニメだ。Anotherでも主人公は新しい学園で歓迎ムードを受けずに不穏な雰囲気から始まる。

なぜ机を動かさないのか。なぜ主人公が触ったものを触らないのか。おそらく呪いの類だと思うのだが、序盤から気になる伏線がいくつかある。

それにしても主人公の旧姓が確実に狙っているとしか思えない。(笑)

彼女の名前は徹子。旧姓は黒柳。つまり繋げると…かの有名なトットちゃんと同姓同名で、しかも漢字まで一緒ということになる。(笑)

ところどころに他の作品や現実のオマージュ的な要素も感じながら、キャラが全て3Dでカクカク動き、キャストもみんな俳優畑の人、という独特な世界観のアニメになっている。

ユダ

(C) 花とアリス殺人事件製作委員会

「ユダの呪い」がこのアニメの本筋になっている。

ユダとは有名な裏切り者の名前だが、主人公が座る椅子がまさしく去年、そのクラスで「裏切り者」として殺されてしまったユダの席だったということが明らかになる。

そしてそのユダは4人の妻に毒を盛られて殺されたという。高校生なのに妻。そして4人。さらにアナフィラキシーという聞き覚えのある「毒」。謎が謎を呼ぶ。

その謎が徐々に、そして何ともあっさりと解けていく。

ユダの呪いというのは実際には存在せず、ユダが1年前に殺されたクラスに進級することになった生徒が、勝手にユダの呪いと恐れてその席に座るものを遠ざけていた。

殺されたとされる男の子の苗字も「ゆだ」。ところどころに言葉遊び的な面白さもある。

少しずつ序盤の不可解な謎が解けていく。本格とはいかないまでも、気軽に楽しめるライトなミステリーという感じだ。

運動会での母親の下りといい、ユダの父親がいる会社に乗り込んだ主人公のおバカなミスだといい、主人公のミスに対して途中から加わる花屋敷に住む女の子がツッコミ役のような立ち位置になっており、安心感のあるやり取りが繰り広げられる。

ミステリーな要素に黒柳徹子や「ユダ」などの言葉遊び、ボケとツッコミ、そして定番の「前の車を追いかけて」もあったりで、「そんな馬鹿な」と笑いながら観られる作品だ。

殺人事件という仰々しいタイトルにはなっているが、中身は至って普通の学園青春クライシスという感じで、Anotherのようなホラー要素は1つもない。

ゆったりとしたテンポから始まり、ユダの呪いの正体に少しずつ近づいていき、伏線を回収するごとにストーリーのテンポは上がっていく。

主人公の愛すべきおバカな一面が良い感じにアクセントになっており、ダレてしまいがちな中盤の展開に笑いの要素を注入している。

お世辞にも作画やキャストの演技は上手とは言えないが、100分という限られた尺の中で、どういう作品かを十分知ることができる。

総評:ミステリー?

(C) 花とアリス殺人事件製作委員会

ミステリーかと思いきやただの青春アニメ。見事に騙された作品だ。

序盤はユダだのアナフィラキシーだので主人公がいじめに近い扱いをされ、話題の中心になりそうな転校生に誰1人話しかけようともしない異様な光景で、物々しい雰囲気が漂う。

「本当に殺人事件があったのでは?」と緊張感が生まれるような序盤から一転、中盤以降は「あれ?」という感じであらぬ方向にストーリーは転がっていく。

殺人事件など起こってはいない。本当は恋する乙女が嫉妬心から少しいじわるをしてしまっただけの、なんともあっけない幕切れ。(笑)

中盤から花屋敷に住んでいる不登校の女の子が加わることで、彼女が主人公のアホ行動をツッコむ側に回り、より軽快なテンポで心地良いリズムで、ギャグを挟みながら真実が明らかになっていく。

序盤で緊張させといてあっけないオチで良い意味で肩透かしを食らわせる。まんまとしてやられた気分だ。

謎を紐解いていくミステリーな一面が確かにありつつも、全体通してところどころにクスっと笑ってしまうようなギャグあり、初見の堅苦しいイメージとはかけ離れたスッキリとした作りのアニメだ。

とある健気な1人の乙女が引き起こしたちょっとした事件。真実を追いかける2人の少女。ミステリーアニメかと思いきや、ただの青春アニメだった。(笑)

キャストさんの演技もお世辞には上手いとは言えないながらも、主人公を演じた蒼井優さんはじめ、キャリアのあるお方が多いのでそれほど不自然な感じはなく、「これはこれで」という感じだ。

全体通して良い意味で期待を裏切られた作品だった。

雑感:新海誠

(C) 花とアリス殺人事件製作委員会

「スペシャルサンクス」で新海誠監督の名前があったのを見逃さなかった。

スペシャルサンクスが一体どんな立場なのかは全く不明だが、新海誠監督の名前がクレジットにあるだけで、なんだか嬉しい気持ちになった。(笑)

それはいいとして、なんとこのアニメは17年前に放映された実写版と監督が一緒だ。(笑)

しかも脚本も音楽も担当しているというのだから驚きしかない。実写とアニメの両方でメガホンを取る監督なんて、後にも先にもこの岩井監督だけなのではないだろうか。

もちろん原作も岩井監督。自分の作品を誰にも触らせない。意地でも自分でフィルム化するという愛する作品への異常なほどの執着すら感じてしまう。(笑)

それはいいとして、偏見を持つなと言う方が難しいような堅苦しい、そして重々しい雰囲気が漂う作品が、実はこれほどユーモアにあふれた作品だとは思わなかった。

過ぎ去った恋心。消し去りたい青春の1ページ。真実を追いかける中で芽生える友情。

言葉で表現すると月並みにはなるが、それをはっきりとではなくストーリーの中でほんのりと匂わせるように表現している。

緊張と緩和も上手く使い分けながら観る者を巧みに引き込む。正直観る前はここまで引き込まれるとは思わなかった。

ぜひとも初見のキービジュなどで判断せずに、とりあえず観て欲しい作品だ。

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