(15点)全12話
主人公が修行する尼寺を舞台にしたドタバタラブコメディ
男1人の主人公と女6人のハーレムを描いたラブコメディ。
1期は2005年に放送。
原作はボヘミアンK先生。
漫画は宗我部としのり先生。
監督は元永慶太朗さん。
制作は1期に続いてスタジオディーン。
世界観
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
1期に続いて世界観に変化はない。
エロで覚醒する主人公と、エロに巻き込まれるヒロインを描いたラブコメディ。
制作会社も変わらないため作画に変化もない。
しかし2期は、一味違う期待感を1話から感じさせる。
2期で新しく追加される一希という美少女キャラ。
彼女は登場するやいなや、主人公への好意を惜しげもなく披露し、いきなり一線を超えるかどうかの瀬戸際に。(笑)
ムードもへったくれもない展開だが、1期にない恋愛模様が描かれそうな期待感が膨らんだ。
主人公にガンガン仕掛けるヒロインが登場して、正ヒロインが自分の本当の気持ちに気づく。
ラブコメディには定番の「恋敵」が登場して、主人公とヒロインの関係が進展することを期待した。
しかし…
結局は…
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
結論からいうと、恋愛要素は微々たるものだった。
主人公に臆面なく好意を示すのは新しく出て来た一希だけで、他のヒロインは打てども打てども響かない。
ツーショット回で主人公とヒロインが一緒に困難を乗り越えて絆を深めたかと思いきや、全くフラグが立つ気配がなく、結局いつも通りボコられる。
何のための恋敵なのか。恋愛を盛り上げるためではないのか。
1期の世界観を維持しつつも、より主人公の力の謎だったり、他の宗派との対立に焦点が当たったりで、盛り上がる兆候はあった。
しかし対立軸が最後まではっきりとせず、主人公が表立って敵と戦うこともなければ、そもそも戦いに移行しない。
恋敵になるはずの一希は場をかき乱すだけで、ストーリーに変化を加えられたとは思えない。
大いに失望した2期だった。
シリアス
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
とはいえ何も変わらなかったわけではない。
1期にはなかったシリアス要素があった。
それは主人公が「エロリバウンド」と戦うシーン。
彼は上人の力を解放するとその反動で、エロ丸出しの変態となってしまう。
そのあふれ出る欲望を何とか抑えようと必死にあがく演出は、1期にはなかったものだ。
しかし作品の世界観とも合致しなければ、シリアスにする意味もそれほど感じなかった。
それまでエロ丸出しの思春期だった主人公が、いきなりエロの欲望と戦っている絵を見せられても全く感情移入できない。
むしろギャグにさえ思える。
戦っている相手は自分自身で、身も蓋もない言い方をするならば、それは「性欲」だ。(笑)
そんな対立に感情を揺さぶられるはずもなく、無駄にシリアスを演出して作品の雰囲気を壊してしまっていた。
残念ヒロイン
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
主人公は1期に引き続いて、除霊パートでは大活躍。
「もう誰も除霊できない…」
一刻を争う事態になり、誰かがエロの犠牲になることで主人公は力を解放して、どんな霊でも浄化する。
その姿は回し絵とはいえカッコ良い。まさに最強主人公。
好意に発展してもおかしくない貢献度だが、彼は誰にも感謝されない。
一番除霊をして窮地を救っているのに、だ。
ヒロインたちは常に「主人公の覚醒のために身体を張っているのは私たち。力を制御できない主人公が悪い」というスタンス。
主人公が力を制御できれば、裸体を見せることも触らせることもなく除霊がもっとスムーズにできる、と。
確かに一理ある言い分だが、主人公に少しも感謝をしないのはあまりにおかしい。
恋愛に発展しないばかりか、終始自分たちの考えを主人公に押し付け、労いもせずに被害者ヅラを貫く。
胸糞悪さを感じるほどの態度は最後まで変わらず、主人公が不憫でしかなかった。
文句を言うだけ言って改善を要求する割に、自分たちは手助けをすることもなく、修行を頑張ることもない。
ラストシーンで主人公のことを「家族」と呼んでみんなで助けるシーンがあるが、見せ場であるクライマックスの何と薄っぺらいことか…
何の行動も示さずに主人公を痛めつけるだけ痛めつけたヒロインたちが、都合よく家族などと言っても全く説得力はない。
主人公のみならず、ヒロインの魅力も全く感じられないアニメだった。
総評:盛り上がらずに終了
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
恋愛とギャグの良いところを総取りしてこそラブコメなはず。
しかしどちらも凡庸以下で見どころなし。
1期と比べて恋愛要素は多少増え、シリアスシーンも少しあったが、それでも終始盛り上がりに欠けた。
主人公は何も目指さないただのエロ魔人。
ヒロイン6人は主人公をボコってばかりで、素直に向き合ったり、お互いに高め合うこともしない。
霊力を上げるための修行をしている僧侶見習いではないのか。
ギャグパートでも笑える要素は一切なし。
古いボケに古いツッコミ。
14年前にはウケたかもしれないが、使い古されたやり取りには目新しさも面白さもない。
人情に少し傾いたかと思いきや、登場キャラの目的や過去が曖昧で感情移入できない。
そもそも人情回はたっぷり時間を使うべきパートで、1話の、しかも片方のパートで完結させるには難しい。
結局恋愛も、ギャグも、人情も、何もかも中途半端。
起伏のない退屈なストーリーだった。
個人的な感想:一つの決着
引用元:©2005 ボヘミアンK・宗我部としのり/ワニブックス・AT-X・VAP
面白みのない作品だが、一応は決着がついた締め方だった。
一希がなぜそこまで主人公にこだわるのか。なぜ接点もない主人公に好意を寄せるのか。
序盤からの謎を最終回で一気に種明かしをして、一希の主人公への気持ちが確かなものだと再確認できた。
最後もお約束のエロ覚醒で主人公が正気に戻り、一層好意を深めた一希がキスをして別れる。
一応構成としてはまとまっており、作品としての体は成している。
だが娯楽作品としての価値はない。
流れる時間が苦痛で退屈で、冷静に自分を見つめなおす瞬間が何度もあった。(笑)
良くも悪くもエロが主軸となっている作品で、ガッツリ人を選ぶ作品だ。
作画が崩れる場面が何度もあり、制作陣が何の思い入れもなく適当に作っているのが画面越しに伝わってくる。
2期になってタイトルに「喝」が付いたが、まさに制作陣に喝を入れたい作品だった。(笑)