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【2012アニメ】「Another」アニメレビュー

(70点)全12話

1998年、春。父の不在や自身の病気療養のため、母の実家に身を寄せ夜見山北中学校に転入してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。彼は、クラスメイトで不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれる。だがクラスメイトの反応から、彼女は恒一には見えて、他のクラスメイトには見えていないのでは無いかと感じる。そんなある日、あるクラスメイトが凄惨な死を遂げ、三年三組が直面している現実を知らされるのであった。TVアニメ「Another」公式サイト

呪われた3年3組

呪われたクラスで次々と起こる悲劇を描いたホラー×サスペンス×ミステリー作品。

原作は綾辻行人先生。

監督は水島務さん。

制作はP.A.WORKS。

見崎鳴

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

この物語のカギを握る人物がヒロインの見崎鳴だ。

眼帯をしていて言葉少なな彼女は、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

しかし、主人公にしかその姿は見えていない。

確かにそこに存在して、主人公の目には映っているのに、誰も反応しないし話かけようともしない。

そこにはただならぬ恐怖を感じさせる。

彼女は幽霊なのか、それとも意図的に無視をされているのか。

疑問が積み重なっていくうちに、気づいたら物語に深く入り込んでしまっている…そんな作品だ。

呪われた3年3組

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

主人公が転校してくる中学校の3年3組は、転校初日から異様な雰囲気に包まれている。

自己紹介で拍手が起きるわけでもなく、ただ静かにホームルームが終了する。

しかし休み時間になると、転校生の宿命でもある質問攻めにあう主人公。

そこで彼は、見崎鳴という教室から浮いた女の子の存在に気付いてしまうのだ。

序盤から訳アリの匂いがプンプン漂っている。

平和な学園青春アニメとは一線を画す緊張感。

犠牲者

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

見崎は自分を気にかけて話しかけてくる主人公に対して、「自分には近づくな。話しかけるな。」そう言う。

しかし主人公は何度言われようと、彼女を見つけては駆け寄り、話しかける。

そんなあるとき、見崎は「もう始まっているかもしれない」と呟く。

一体何が始まるというのか…心拍数が否応でも速くなる。

そしてそれは唐突に起こる。

廊下で主人公と見崎が話していると、教室のドアが開き、そこから飛び出してきたのはクラスの「対策係」の一人で、メガネをかけた桜木ゆかりという少女。

彼女は廊下で話す2人を見つけると、慌てて方向転換し、逆方向へ。

しかし階段で足を滑らせてしまい、持っていた傘が宙を舞い、不幸にも転倒した先で桜木の喉を刺さんと待ち受ける。

そのまま傘の先が桜木の喉を貫通し、そのまま死亡。

なんともアクロバティックな死に方だが、そこは深く追究しなくてもいいだろう。(笑)

唐突に訪れるクラスメイトの死。

どうして桜木なのか。なぜ2人を見て方向転換をしたのか。見崎から遠ざかろうとしたのか。いったい何が「始まっている」と言うのか…

謎が謎を呼び、この4話の死亡シーンで気づいたら、物語の虜になってしまっている自分がいる。

止まらない死の連鎖

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

次々と起こる死亡事故。

その人物は何故か主人公にゆかりのある人物ばかり。

クラスメイトの桜木に始まり、次はクラスメイトの姉で、看護師をしている水野早苗がエレベーターの落下で死亡。

もちろんご丁寧に映像付きだ。

エレベーターを支えるワイヤーが切れてそのまま勢いよく落下し、地面に叩きつけられて死亡してしまう。

何とも衝撃的な映像だ。

彼女は序盤から主人公と仲睦まじげに話していただけに、残念だった。

次に死んだのはクラスメイトの高林郁夫。

彼は、クラスの煮え切らない態度を不満に思っていた主人公に、一連の事故の関連性を話そうとしたときに、心臓発作を起こしてしまい死亡してしまう。

そして次はなんと教師が、教壇に立ち、生徒の前で自分の喉を刺して自殺してしまう。

連鎖的に起こる死。

共通点は主人公と何らかの接点があるということ。

そして、見崎鳴が何かしらの形で絡んでいるということ。

果たして彼女は一体何者なのか。なぜいないように扱われいるのか。

ますます謎は深まっていく。

「死者」

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

死を扱った作品でしか作れない雰囲気が確実に存在する。

身近な人が死んでいく悲しさ。誰が犠牲になるのかという緊張感。

そんな人間の根本にある「死への恐怖」をとことん思い出させてくれる作品だ。

ある日から主人公も、見崎鳴と同じようにクラスからいないものと扱われ、言葉をかけても誰も反応しないようになってしまう。

そしてそれがきっかけで、主人公は見崎との距離が近くなっていき、彼女の口から3年3組の呪いの真実を聞くことになる。

その呪いは26年前から存在し、3年3組の生徒が毎月一人、ないし2人以上死んでしまう呪いがあるというのだ。

呪いではなく「現象」と表現した方が正しいのかもしれない。

止めることができない災厄。司書をしている千曳先生によると「地震や台風」と同じようなものだという。

その千曳先生は26年前の「現象」が始まった年から同学校で教師をしており、担任を何回か務めた経験もあり、持っている知識を主人公に全て話すことで、一気にストーリーが進展していく。

死の連鎖は止められない現象。そして死ぬのはクラスの関係者と、生徒から2親等以内の人物のみだということ。

そしてキーとなるワードが「死者」

過去に死んだ人物が必ず一人クラスに紛れ込んでいて、記憶が改ざんされているため、全く気付くことはないと言う。

クラスの名簿も書き換えられ、卒業後に誰が死者だったかが、名簿に名前が浮き上がってくることで判明するのだそうだ。

何ともご都合的な設定だとツッコみながらも、辻褄を合わせるためには多少の強引さも必要なので深くは考えない。

呪いの原因に一番近い存在だと思われていた見崎は普通の人間で、主人公にしか見えない幽霊でもなんでもないことが同時系列で判明する。

いかにもな風貌をしているが、彼女の眼帯は義眼を隠すためのもので、彼女が普通の人間であり、複雑な家庭環境も徐々に明らかになっていくことで、人間として、ヒロインとしての魅力が一気に上がっていく。

それまで死の連鎖を起こしている張本人だと思うような行動しかしていなかったが、途中からは健気で守りたくなるような可愛ささえも感じる、魅力的なキャラに大変身していた。

ここら辺のキャラ付けもかなり上手かったと思うし、見崎が呪いの根源ではないと分かってからというもの、作品の路線もホラーからミステリーへと色を変えていくことになる。

伏線

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

ミステリ-の醍醐味が詰まった作品だ。

序盤で数々の伏線を見せ、終盤で一気に回収する。

呪いの正体。1年半という期間。母の死。インコの言葉。仏壇の前で呟く祖父。

数々の伏線が特に最終話の12話で一気に明かされることになるのだが、パズルのピースが一気にハマっていくあの感覚は、ミステリー好きなら分かるはずだ。(笑)

身の毛がよだつ感覚。全身の鳥肌が立って思わず声が漏れる。

あの感覚はミステリー作品でしか味わえないものだ。

特にこのアナザーという作品は難解すぎるわけでもなく、初心者でも比較的理解しやすい類のミステリーだったので、きっとほとんどの人が同じ感覚を共有できることだろう。

ツッコミどころや矛盾が全く気にならないわけではなかったが、緊張感あふれる作品の世界観も相まって、そういったマイナスポイントは上手く中和されていた。

合宿

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

15年前に、同じように3年3組の呪いに苦しんだOBが在学中に残したテープを見つける主人公たち。

そこにはクラスで合宿をしたこと、呪いを止めるために、全員で山の頂上にある古びた神社でお祈りをしたこと。

しかし呪いを止める効果はなく、直後に2人が死んでしまったこと。

そして最も重要な情報がそこにはあり、テープを録音した本人が誤って殺してしまったクラスメイトの死体が消えて、全員の記憶からも消えてしまったというのだ。

テープの最後は「死者を殺せば呪いは止まる。死者を探して殺せ」という言葉で締めくくられていた。

明らかになる呪いを止める方法。

しかし死者を見つける方法なんてあるわけはなく、死者と分かったところで簡単に殺すことなんてできるはずもない。

悩む主人公たちだが、見崎の義眼には「見えないものを見る」という能力が備わっていて、彼女には死者特有の色が見えるという。

彼女の力を使えば簡単に死者を見つけることができるはずだが、そんな簡単に事が運ぶことはなく…

疑心暗鬼

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

合宿で始まったのは疑心暗鬼になったクラスメイトたちによる殺し合い。

死者が誰なのか、もしかしたら自分が死者で殺されてしまうかもしれない、殺される前に殺さなければ…彼らは疑わしきは殺すという方向へ舵を切ってしまう。

冷静な思考は失われ、自分が生き残るためにとにかく怪しい人間を殺すという血みどろな展開。

あっけなく人が死んでいき、魔の手はついに主人公と見崎にも。

狂気に染まるクラス委員。

OBが残したテープを構内放送で流し、「死者は見崎だ」と言ったことで、全員が見崎を殺すために集まってくる。

なんとも人間の脆さが出ている一幕だ。

自分が死なないために損をしないために、自分の利益を最優先に行動をし、正義も他人の事情も何も考えずに、他人の言ったことを鵜呑みにしてしまう。

まさに最近のトイレットペーパーの買い占めが、その分かりやすい事例だろう。(笑)

人間は追い込まれると正常な判断が出来なくなり、人が変わったかのような行動を起こしてしまう。

当然殺し合いなど、見ていて気持ちの良いものではない。

クラスメイト同士、手を携えて困難を乗り超えるべき状況のはずなのに、疑心暗鬼になって殺し合いを初めてしまい、見慣れた顔が死んでいくという凄惨な光景。

なんとも形容しがたい。

思いやりは一切なく、ただ自分の利益のためにクラスメイトを手にかける終盤の一連のシーンは、とにかく胸糞で、後味の悪さが残るシーンとなった。

いとも簡単にこと切れていくクラスメイト。

もはやそこにホラー的な恐怖はなく、思わず笑いがこぼれてしまうほどの死の連続だけがあった。

果たして終盤で一気にクラスメイトを殺す意味はあったのか。

食堂のおばちゃんがちゃっかり殺し合いに参加している様子も不自然でしかないし、やっつけ感が否めない。

同じような流れを辿ったアニメもあるが、ホラーは喉元を過ぎると、怖さよりも笑いが勝ってしまうときがある。

怒涛の死亡ラッシュで若干緊張感が薄れてしまった感があり、もう少し丁寧に、ミステリー要素を重点的に攻めても良かったと思う。

総評:美しい

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

一つのホラーミステリー作品として、非常に美しい作りになっていた。

凄惨な描写を扱ったいわゆるグロ系のホラーアニメで、終盤に少し薄れてしまったが、死と隣り合わせの緊張感が常にあった。

ミステリーの質もかなり高く、序盤の伏線や何気ない行動の意味が、終盤で一気に明かされていく展開は思わず感嘆の声が漏れてしまうほど。

キャラに焦点を当ててみても、見崎という不気味で気持ち悪ささえ感じられた女の子が、序盤とは打って変わって、徐々に謎が明らかになっていくにつれ、年相応の少女だということが判明し、健気で可愛らしい魅力が垣間見えるようになっていった。

疑心暗鬼になって簡単に人を殺す殺人鬼が次々と生まれ、主人公と接点があったキャラも死んでしまった終盤の展開には少し疑問を感じたが、12話で綺麗に収まった美しい作品であるという評価に揺らぎはない。

お馴染みのP.A.WORKSと水島監督のタッグ作品ということもあり、作画のレベルも安定していて、要所の演出や作画でしっかり作品の世界観を表現していたように思う。

グロ描写も遠慮がなく、人を選ぶ作品であることは間違いないが、グロいから見たくないという気持ちには不思議とならない。

グロに苦手意識がないというのもあるが、ミステリー要素が上手くグロを覆い隠しているため、そこまで身体が拒否反応を示すことはなかった。

ツッコミどころはあったが、総じて脚本の完成度は高かった。

グロが好きな人もミステリーが好きな人も、サスペンスドラマ的な展開が好きな人も楽しめる作品だ。

個人的な感想:二度も観るものではない

引用元:©綾辻行人・KADOKAWA/「Another」製作委員会

このアニメを観るのは実は2回目だ。

数年前に初めて視聴してから、時々このアニメのことを思い出す機会があったので、この際だからレビューを書く目的も兼ねて、二週目を楽しませてもらった。

しかし二週目を観て確信した。二回も観るアニメではないと。(笑)

グロ要素はかなりグロい。手ぬるいグロ描写とは一味違う。

思いっきり血が出るし、グシャッという効果音もリアルで、これでもかと恐怖心を煽ってくる。

グロ要素は苦手ではないが得意でもない。思わず息がつまって動悸が早くなってしまう。

しかしそれもこのアナザーという作品の代名詞になっていて、「アナザーなら死んでた」という言葉はネットスラングとして非常に有名な言葉だ。

人々の記憶に残るという意味で、数々のホラーミステリーアニメの中でも随一の面白さではないだろうか。

二回目の視聴で、作品の質の高さを改めて感じた。

水島監督が個人的に好きな監督の一人というのもあって、フラットな目でちゃんと見られているか心配もしているが、おそらくは大丈夫だろう。

人が死ぬシーンがもろに出てくるので、そういう意味では間違いなく人を選ぶ作品ではあるが、間違いなく観て損はしない作品のはずだ。

もちろん気分を害しても、そこは自己責任でお願いしたい。(笑)

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