(29点)
(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載中)は、
2016年に連載開始25周年を迎え、
累計発行部数7,500万部という驚異的な人気を誇るロングセラー作品。
地下闘技場の最年少チャンピオンである
主人公・範馬刃牙(はんま バキ)と、
地上最強の生物と呼ばれる父・範馬勇次郎、
さまざまな格闘士たちとの闘いを描いた
「刃牙」シリーズは『グラップラー刃牙』(第1部)、
『バキ』(第2部)、『範馬刃牙』(第3部)、
『刃牙道』(第4部)ほか外伝、特別篇が発表されてきた。
そしてついにファン待望の
『バキ』(第2部)のアニメ化が実現!
2018年夏NETFLIXにて先行配信、
地上波放送で闘いの幕が切って落とされるッッ!!TVアニメ「バキ」公式サイト
様々な格闘家の肉弾戦を描いたバトルアニメ
ストーリー | |
作画 | |
面白い | |
総合評価 | (29点) |
完走難易度 | 難しい |
原作は板垣恵介先生。
監督は平野俊貴さん。
制作はトムス・エンタテインメント。
集結
引用元:©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
全世界から最強の脱獄囚5人が日本に集結するところから物語は始まる。
どの死刑囚も敗北を知りたがっており、主人公のバキと戦うために日本へやってくる。
この非常事態、バキ一人に負担を強いることはできないと、かつての戦友が死刑囚と戦うという内容が1期のストーリーだ。
最強を求めてわざわざ牢獄を抜け出して日本までやってくる…どうやって密入国したのかも含めて疑問は絶えないが、気になったら負けだ。(笑)
あくまでこのアニメは肉弾戦に覚えのある格闘家同士が、汗と血をほとばしらせながら戦うバトルシーンが見せ場になっている。
日本にいる最強の高校生と戦うために、世界トップクラスの格闘家が集結するという至ってシンプルな展開は、いかにもバトルアニメという感じで嫌いではない。
しかし原作を知らないファンにはかなり優しくない部分もある。
バキと戦うために集結したはずの死刑囚だが、一向にバキと戦わない。
そして代わりに「かつての戦友」だった格闘家が戦うわけだが、そこの描写が全て割愛されている。
原作漫画では、バキが高校生になる以前に闘技場で戦ったというシーンがあるらしいが、アニメではそれがなく、誰かも分からないキャラが「戦友」として登場する。
「バキと戦う」という名目で来日したにも関わらず、一向にバキとの戦いは始まらない。
しかしその理由として「バキだけに負担を強いることはできない」というかつての戦友の想いがあり、バキの代わりに死刑囚と戦うわけなのだが、戦友となった過程が全く描かれないことで、「かつての敵が味方になったときの心強さ」が演出されていない。
そのため、名前しか分からないようなマッチョたちが、意気揚々と死刑囚に挑んでいるだけの図にしかなっておらず、そこに一切感情を伴うことはなかった。
血みどろの戦い
引用元:©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
このアニメの最大の見どころは何と言っても、血みどろの肉弾戦にある。
腕がへし折れ、首の血管が破裂し、肋骨がひしゃげる。
全員もれなくマッチョの大男たちが、拳を使って純粋な殺し合いをする。
そのヒリつきが一番の面白さだ。
しかし先述したように、死刑囚と戦うのは「バキの戦友」だが、原作を知らずにアニメから入った勢としては、ただの一キャラに過ぎない。
例えば花山薫という作中きっての人気キャラがいるのだが、彼のバックボーンやバキとの関わりに全く触れられることがないので、彼のどこに魅力があるのか全く分からなかった。
バトルの中身も純粋な格闘技ではなく、ピアノ線のような武器を使ったり、拳銃を使ったり、ガソリンとライターを使ったり、ナイフを使ったりと、意外と何でもあり。
格闘技ならではの駆け引きがほぼ皆無に近く、せっかくの肉弾戦の魅力を何段階も落としていた。
魅力を落としていたといえば、バトルシーンは全てCGで描かれている。
カット数が多くなるバトルアニメでCGを使うことは、制作陣の負担を減らす意味で効果的だが、アニメを観ている側からしたら物足りなさを感じてしまう。
CG特有のカクついた動きのせいで、コマ送りになっているような鈍重な動きになってしまっていたし、せっかくのバトルの魅力を引き出すことができていなかった。
バキ…?
引用元:©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
主人公はバキという平凡な高校に通う青年。
世界中から集まる最強の死刑囚は他でもない、主人公のバキと戦い「敗北知るため」にやってくる。
しかし、主人公で地下闘技場のチャンピオンであるはずのバキは、第1期では全く戦わない。
途中、死刑囚の内の一人に戦いを挑まれるも、彼は反撃しない。
それどころか彼の登場シーンは、大好きな彼女とのイチャイチャシーンで占められている。(笑)
2人で愛を確かめあったり、ディープなキスを交わしたり。
彼女とどこで知り合ったのか、何でバキが好きなのか、彼女の人となりさえも分からないのに、最初からラブラブなもんだから、こちらの感情は置いてけぼりだ。(笑)
バキというタイトルで当然バキが戦うもんだと思っていたら、1期通して彼女とイチャイチャしかしていなかった。(苦笑)
とはいえ、クライマックスでバキの彼女が死刑囚の一人に連行されるシーンがあり、第2期では蘭を助けるコナンのごとく、かっこいいバキが見られるはずだ。
総評:説明不足
引用元:©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
全体的にいろいろ説明不足のままストーリーが進んでしまっていた印象だ。
死刑囚が敗北を知るために日本に集結したはいいものの、御目当ての主人公・バキに一切戦う気はなく、主人公が戦いのリングから早々に降りてしまう。
その代わりにバキがかつて戦った戦友が死刑囚と戦うわけなのだが、そうなる過程(バキとの因縁)に全く触れられないままバトルが始まるので、観ている側は全く作品に入り込めない。
ましてや原作も知らない私みたいな初見の視聴者は、「誰かよくわからんヤツ」同士が戦っているようにしか見えなかった。
さも当たり前の様に「流れはだいたい知ってるでしょ?じゃあ次。」という感じでサクサク進むので、結果的に原作ファンや2001年の初期のアニメを観たファンのみが楽しめる構成になってしまっていた。
設定や人物像を飲み込めないままバトルが始まるので、自ずとお互いの気持ちが乗っからず、ただ命をいたずらに削り合っているようにしか映らなかった。
バトル自体も全てCGで描かれているので、手抜きとは言わないが、肉弾戦の血と汗がほとばしる大迫力のぶつかり合いは鳴りを潜めていた。
お金や人員の関係もあるので「手書きで書け」とはおいそれと言えないが、せめて見せ場のシーンだけでも手書きで書いて欲しかった。
トムスならそれができるはずだ。
主人公のバキの存在感が全くなかったのも理解に苦しむ。
バキが戦って死刑囚を蹴散らす展開を期待していたはずが、死刑囚と戦うシーンはほぼなく、ずっと彼女と愛を確かめ合うばかり。
「他の誰でも勝てない敵を最終的に主人公が倒す」という流れに持っていきたかったのか、1期ではバトルでの見せ場はほぼなかった。
ラストでようやくバキの出番があり、2期ではきっとバキの活躍が見られるはずだ。
1期の段階では胸が熱くなるようなバトルはなく、2期以降でどのような興奮を与えてくれるのかを楽しみにしたい。
個人的な感想:筋肉博覧会
引用元:©板垣恵介(秋田書店)/バキッッ製作委員会
このアニメに登場するキャラはもれなく筋肉モリモリだ。(笑)
全員筋骨隆々でたくましい顔つきなもんだから、もはやキャラの見分けが付かないほど。(笑)
それは冗談にしても、登場キャラが多すぎて名前と顔を覚えられないキャラがいたほどだった。
キャラのバックボーンが語られることなくバトルだけが進行していき、完全に置いてけぼりを食らってしまった。
キャラクターのデザインも個性的で、現代のアニメっ子の好みにそぐわないものになっている。
顔のパーツがしっかりと描かれ、より現実の人間に寄せて描かれているが、アニメキャラとしての魅力は感じられない。
紅一点であるバキの彼女も、もはやブサイクと言っても差し支えない容姿で、可愛らしい要素は1つもない。
円盤の売り上げは国内で260枚ほどと、まさに大爆死。
ネットフリックスという後ろ盾があって、トムスという老舗の制作会社が制作を担当したにも関わらず、なぜここまでの駄作になってしまったのか。
バトルアニメが好きな人なら気に入ると思うが、バトルでの見せ場も少ないし無駄にグロいしで、わざわざ観るに値するアニメでもないように思う。
気になった人は是非観て欲しい。