(58点)全13話
学園の保育ルームの日常を描いたドタバタコメディ
ストーリー | |
作画 | |
面白い | |
総合評価 | (58点) |
完走難易度 | 普通 |
原作は時計野はり先生。
監督は森下柊聖さん。
制作はブレインズ・ベース。NAS。
兄弟
©時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会
このアニメの主人公となるのは両親を亡くした2人の兄弟。
身寄りのない2人を、同じく息子夫婦を同じ事故で亡くした学園の理事長が引き取る代わりに、兄に学園で働く先生の息子・娘の面倒を見る「ベビーシッター部」で働くことを強制する。
そんなベビーシッター部での出会い・日常・兄弟愛などが描かれたハートフルコメディだ。
1話からキャラの紹介や、兄弟のただならぬ状況などが丁寧に描かれており、理事長のツンデレな可愛さや、同じベビーシッター部で働いている同僚やクラスメイトの優しさなど、各キャラの魅力も描かれており非常に入りやすい。
弟が熱を出してしまうシーンで、両親がいないことを思い出した兄が、我慢してきた涙をこぼしてしまうというシーンがあり、兄弟が置かれた状況というのがより克明に伝わる。
両親がいないというのはきっとツライことだ。それでもそんな2人を支えようと健気に世話をする理事長。
そっと布団をかけてあげたり、2人が積んだ花を大事そうに見つめたり、2人への愛情が漏れ出てしまっているなんとも可愛い老婆だ。(笑)
両親がいなくても決して孤独ではない。そんな理事長のセリフがあるように、心が温まるような愛にあふれた作品だ。
家族愛
©時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会
ベビーシッター部で面倒を見てもらっている子供たちはみんな、兄弟や家族がいる。
そんな家族同士の愛情の深さを知ることができるようなシーンが各話にあり、非常に心が温まる。
弟が心配で動物園まで来て迷子になっていたところを助ける2話。有名な俳優を父に持つ双子と、久しぶりに会って改めて家族の絆を確かめ合う3話。
家族の絆というのが1話のだいたい半分くらいの尺で描かれており、変に尺を引き延ばすことなくシンプルにまとまっているので非常に見やすい。
小難しいことをやらずに、シンプルに心に訴えかけるようなエピソードばかりで、ありふれた愛情のありがたみをヒシヒシと感じる。
お涙頂戴
©時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会
基本的にこのアニメの半分はお涙頂戴ストーリーになっている。
子供が何か粗相をしてそれを兄貴や父親が慰めたり、叱ったり。
序盤こそ少しウルッとくる場面もあるが、中盤以降は正直狙いすぎて引いてしまっている。
日常の片隅に潜ませる程度なら不意打ちで泣いてしまうかもしれないが、それが毎話となるとさすがに新鮮味も薄れる。
家族愛というのを強く押し出したいのは分かるが、泣きじゃくる子供を毎話観るというのは子供好きでない限り、あまり気持ちの良い光景ではない。
感動を安売りしすぎてマンネリ化してしまっているし、せっかく子供の純粋さが楽しめる作品なのに、打算的な大人の意図まで見え隠れするようで完全に作品に入り込むことができなくなってくる。
総評:少女漫画的な
©時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会
このアニメは少女漫画が原作となっている作品だ。
それだけあって子供の可愛さとか、男キャラの可愛さとか、女性受けがよさそうな要素がたくさん詰まっている。
しかし、アニメ作品としては少し物足りないように感じてしまう。
学園に勉強をしに来ているはずの学生が、ときに授業を犠牲にして教師の子供の面倒を見る。どうしても本末転倒に見えてしまう。しかも結局、日中は外部の人間が1人で保育を担当している。
よくよく考えると「学園にある意味とは?」と思わずにはいられない。
また日常シーンがメインのアニメなので、当然同じような絵面が最後まで続く。何も知らない子供が自分勝手にわがままに、ときに身の危険を考えずに行動する。
それを見た高校生や大人たちが、それぞれのやり方で子供のためを思った対応をし、少しずつ現実を見極めながら成長していく。
ときに喧嘩まがいのような事態になってしまっても、子供たちが何が正しいのかを知ることで自分の過ちを認め、素直に号泣しながら謝る。だいたいはこんな感じの展開だ。
ドライな表現をするとお涙頂戴なシーンが結構多い。序盤は思うところがあるものの、それが毎話続くのでさすがにくどい。
ほどよくギャグ要素もあれば、尺を持て余している感も少しは和らいだかもしれない。
こども大好きロリコン変態野郎なんかは、もっと関われば絶対面白くなりそうだったが、アニメの世界観を維持するために出番をカットされてしまっている。(笑)
恋に破れた赤髪の同級生も、不憫属性持ちで健気に子供を応援する姿とか、もっとうまく絡んでくれば面白くなりそうだったのにもったいない。(笑)
とはいえ、キャラ一人一人について掘り下げがあるし、主人公に思いを寄せる2人の女の子の純な可愛さもアクセントになっている。
特にCV本渡楓さんのクラスメイトは純情可愛い。それこそ狙いすぎて冷めてしまう人もいるかもしれない(笑)が、結構な頻度でストーリーに絡んできてくれて存分に可愛さを堪能できた。
キャラのデザインもちゃんと整っているし、丸みを帯びた子供のフォルムは何とも愛くるしい。作画も崩れることなく安定している。
最後もしっかり「家族愛」でまとまっていたし、全体的にみれば素晴らしい作品だ。
雑感:保育
©時計野はり・白泉社/「学園ベビーシッターズ」製作委員会
やっぱり子供の面倒って大変だな(小並感)という感想を抱いてしまうような、保育士の大変さを身に染みて感じてしまう作品だった。
動物のように理性がなくて、自由気ままにわがままに空気を読まずに振る舞って、面倒を見る大人への迷惑など一切省みずにやりたい放題。
保育士が常に人手を求めている理由も納得だ。(笑)
そんな今も頑張って働いてくれている保育士に敬意を払いつつも、アニメとしてはもう一歩という印象だ。
ギャグ展開を嫌ってあくまで綺麗に押し通そうとしているが、面白そうなキャラがいるのにもったいなく感じる。
少女漫画原作のアニメなので最後までクリーンにやりたかったのだろうが、そのクリーンさが個人的には退屈に感じた。
軽い顔芸だけじゃなくて、せっかく濃いめのキャラもいるので、もっと出番をあげたらギャグアニメとしても十分楽しめたと思う。
しかし家族の温かさ。兄弟の絆。心がポカポカするような安心感のある作品だったことに違いはないので、心の汚れを浄化したい人にはオススメの作品だ。