2014年 

【2014アニメ】「ブレイドアンドソウル」アニメレビュー





(14点)全13話

その復讐は終わるのか―圧倒的な打撃感とスピード感が生み出す「舞闘」。武術と魂が織り成す千年世界で紡がれる「物語」。「リネージュ」で知られる、エヌシージャパンが贈る超大型オンラインRPG「ブレイドアンドソウル」、日本サービス開始と同時期にアニメ化!TVアニメ「ブレイドアンドソウル」公式サイト




オンラインRPGが原作のバトルアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (14点)
完走難易度 超難しい

原作はエヌシージャパン。

監督は竹内浩志さん。

制作はGONZO。

超展開

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

オンラインゲームが原作のバトルアニメ。このアニメはゲームのサービス開始と時を同じくして放送を開始した珍しい作品だ。

1話の冒頭は、謎の銀髪ロングの女性が人を殺し、その女性がいつの間にかいなくなり、その後、変な怪物に謎の男が襲われるという展開から始まる。

そこからなんやかんやあって、その銀髪の女性は指名手配になり、偶然出会った二人組の男に雇われ、とある村の村長の護衛を務める流れになり、最終的にその村が「帝国」に焼き払われるシーンで1話は締めくくられている。

展開が飛びすぎてわけが分からない。作品の導入であり視聴者を引き付けるために最も重要な1話で、情報量が無く、面白いと思わせる要素があまりに乏しい。

名前も分からない銀髪少女の殺生から始まり、その女性が村に行くところから、村が襲撃されて蹂躙されるまで、あまりに展開が突飛すぎて置いてけぼりを食らっている。

一番大切な感情を抜きにしてストーリーが進んでいる感もある。気持ちよりも現象が先行し、「こういうことが起こりました」で終わっている。そこから「~風に思いました。だからこうしました」というのがすっかり抜けている。

まるで流れ作業のような味気無さ。原作のオンラインRPGが一体どのようなゲーム性なのかは全く知らないが、シナリオゲーではないにしても、もっとやりようはあるだろう。

どうやら復讐を大きな柱にしたいようだが、帝国の手によって村が灰になった光景を見つめる村長には憎悪の炎も、やり場のない悲しみも何もない。「復讐しないのか?」という問いに「どうせ無理だ」と諦めている。

それでは何も始まらない。帝国という大きな存在に立ち向かうことさえしないで、一体このストーリーはどこに転がっていくのか。そもそも支点をどこに置くのかも1話の時点で定かではない。

主人公が誰なのか。そこがはっきりしないと全く作品に入り込めない。ゲームのサービス開始と一緒に放送ということで、スケジュールの問題もあったのかもしれないが、1話ですでに興味の惹かれない作品だ。

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

1話では全く分からなかったが、どうやら各話でテーマが変わる作品であることが、おぼろげながら分かってくる。

各地を転々としながら自分を用心棒として雇う、あるいは偶然出会った縁で戦いに巻き込まれる主人公。その過程で敵討ちだったり、剣の在り方だったり、昔習った師匠の言葉や自分の過去と向き合うことになる主人公。

だがどれも単発にしかなっていない。オチがあるものとそうでないもの。ストーリーも特に味がないので、白飯をおかず抜きで食べている感覚だ。

3話の仇を例にとるなら、主人公の仇となる相手とのファーストコンタクトや、師匠との出会いなど、必須の情報がごっそり抜け落ちている。そもそも1話単体で描けるボリュームでもない。

1話では村に身を寄せ、2話では賞金首を狙うガンナーと戦い、3話では盗賊団に身を寄せ、その盗賊団が仇に全滅させられる。

話が一貫していない。全部ぶつ切りだ。主人公が誰に対して、なぜ復讐心を燃やすのか。村の人々は結局どうなったのか。1話で仲が深まった村長はどうなったのか。繋がりがほぼない。

3話の物語においても、そもそも主人公は仇を取ろうとしていない。というか全くセリフがない。(笑)

何を考えて行動しているか分からないから、当然観ている側には情報は何も伝わってこない。

ただ目の前で派手に殺し合いが展開されているだけだ。因縁も何も絡んでいないのでただ殺し合いをしている凄惨な光景でしかない。

しかも主人公の目的がはっきりと語られるのは、終盤目前の8話になってからだ。明らかに遅い。

最初に出すべき情報ではないだろうか。マラソンの途中で「ゴールはここです」なんてことはあり得ない。復讐劇がどこからスタートするのかを描かなければ、復讐劇など始まらない。

ストーリーをあえて時間軸通りにしないことは多々あるが、大前提の設定は前後してはいけない。一番重要な部分を隠す理由も旨味もない。

いろいろと問題だらけの作品だ。そもそも主人公が主人公をしていないし、目標も目的もないから中身がない。

たとえ原作のオンラインゲームで操作するプレーヤーが主人公だとしても、本当に無口にする必要はあるのだろうか。(笑)

燃え上がる感情のない、人間味のない、ただ人が殺し合うだけの胸糞アニメだ。

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

中盤5話のエピソードは「花」が中心となっている。

毒花によって栄えた村が舞台となっており、要はアヘンで儲けた昔のイギリスみたいな状態だ。

毒花で儲けてはいるものの、それは人を殺す。だから悪だ。悪は滅びなければいけない。妄執にとらわれている一人の男の用心棒として主人公は仕える。

だが最終的にその男が暴走して、その男の中の「正義」は果たされぬまま、その男は村の女性を殺し、自分も殺される。

正義を題材にしたストーリーになっており、全エピソードの中で一番まともに見える。

だが件の男が情緒不安定だ。最初は自分の正義を通すかっこいい男だったのに、急に暴走を始め、目を血走らせ、用心棒の主人公に「こいつら(村長とか)を早くし始末しろ!」と目的にそぐわないことも言い出している。

メンヘラの気配など微塵もなかったのに急に暴走を始める。CV松岡禎丞の癖も相まって、最後は面白キャラのまま死んでいる。(笑)

彼は数々の正統派主人公とともに、数々の変人を演じていることでも有名だが、自分の中の「つぐつぐコレクション」がまた増え、それに関しては謎の優越感を感じている。(笑)

だがせっかく「正義」というテーマを扱ったのに、最後は雑な締め方になっているのが非常にもったいない。

人を殺す花で飢饉から脱して幸せになった村。

同時にそれは「他人の不幸で生きている村」とも言い換えることもできる。だが花のおかげで村の人々は生活が出来ている。

その村を破壊しようとする男に果たして「正義」はあるのか。正義の在りかについて考えさせられる内容だっただけに、残念キャラのせいで台無しになっていたのが残念だ。

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

中盤あたりで主人公は1話で世話になった村長と再会する。

ようやくストーリーに繋がりが出るようになっている。1話で村を燃やされて主人公に「復讐しないのか?」と言われた村長のその後。

だが村長は別人のように穏やかになっており、村も様変わりしている。そこで主人公は村長を変えた宗教の罠にはまってしまう。わけが分からない。

昔世話になった村に行ったら、謎の宗教が蔓延し、突然爆音のノイズを聞かされて気絶させられる。超展開すぎてついていけない。

最終的には爆音によってハイになった村長が主人公を殺そうとする。自分の村に招いた優しい村長が一転、ただの復讐に駆られる人殺しに変貌する。この作品のキャラクターは情緒不安定になる掟でもあるのだろうか。(笑)

ようやく繋がりが出てきたと思ったら、感傷もへったくれもない再会。再会の喜びを全く感じない価値のない再会。再会とは本来もっと感情豊かなものだ。

終盤には主人公が殺した子供の両親と出会う。主人公はまさに仇なわけだが、母親の方からは我が子のように可愛がられ、父親からは「剣を捨てれば許す」と言われる。

だが場面が切り替わると、なぜか猛吹雪の崖っぷちにいて、夫が「やっぱ許さない」と言わんばかりに主人公に銃口を向け、最終的に誤射して自分の妻を殺してしまう。そして自分も自害する。何とも救いのない展開。

しかも直前で和解する雰囲気を見せておいて、「結局殺すんかい!」といった手のひら返しが平然と行われている。わけが分からない。

いろいろと残念すぎる。ゲームと同時のアニメ化は清々しいほど失敗だったと言わざるを得ない。

総評:残念

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

面白くなる要素はあったはずなのに、構成や作画などの問題でイマイチ盛り上がらないまま終わっている。

終盤直前で明らかになるように、このアニメは復讐劇だ。主人公が殺された師匠の仇を討つために様々な人の用心棒をしながら、黒幕へと近づいていく。

しかし復讐は復讐を呼ぶ。自分もすでに復讐の対象になっていることに気付く。

だが復讐の始まりを最初に持ってくればいいのに、なぜか8話に持ってきている。主人公が誰に・なぜ恨みを持っているのか。リベンジが始まる切っ掛けがないと、形だけの復讐劇にしかならない。

伏線にしたかったのかもしれないが、別段隠す理由もないストーリーの核となる部分を無駄に引っ張っている。そのせいで途中までこのアニメが何のアニメなのかを全く理解できない。

とはいえ、終盤にようやく面白くなる兆候は見えている。主人公がところどころで世話になっている「女将」も、実は主人公に恨みを持っていたという事実だ。

復讐が復讐を呼ぶ。この手のリベンジアニメでは定番だが、隠された事実が明らかになったときのカタルシスはしっかりある。

女将の昔の恋人を暗殺したのが他でもない主人公だ。その恋人が罪人だから暗殺者を仕向けられたのだが、その復讐の輪廻は、周り回って今度は主人公へとやってくる。

今までの「仕事だから」と自分を「殺しながら」殺してきた人たちの顔がフラッシュバックする。

心を取り戻し前向きになっていたさなかに、「人を殺してきた」という過去と否が応でも向き合うことになる主人公。

人を殺すことの宿命。復讐の輪廻。因果応報。ストーリーの流れはしっかりしており、ここばかりは主人公が殺した相手の顔がちゃんと「伏線」になっている。

だが前述のように、肝心なところを後回しにしたり、話が突然ぶっ飛んだり、そのような理路整然としていないところに気持ち悪さがある作品だ。

キャラクターの血色の悪さやどんよりとした雰囲気、そして復讐劇というテーマといい、全てにおいて暗い・希望のない作品だ。

そもそも主人公が無機質なところにも問題はある。セリフ量が圧倒的に少なく、何を考えているのかが分からない。復讐をしたいのかしたくないのかさえ分からない。

復讐の炎に身を焦がすなら、とことんやり切ってもらわないと気持ちよくなれない。それこそ、最近放送された回復術士くらいのことはやってもらわないと困る。あそこが1つの基準点だ。(笑)

もちろんそれは冗談として、リベンジを中心に置くなら、物語の導入で行き先をしっかり示して欲しい。わけの分からないキャラクターが殺し合う図よりも、確固たる羅針盤をどの作品でも真っ先に求める。

監督は数々のヒット作で絵コンテや演出を担当されているだけに、意外なほどつまらない作品だ。確かに演出や絵コンテなどの仕事がほとんどで、監督の仕事はこの作品くらいだが、それにしてもだ。

どこかのユーチューバーが「演出上がりの監督作品はこけやすい」と言っていたが、まさにその典型のような作品ではないだろうか。

このアニメから察するに、ゲームの方も大盛況とはいかなかったのだろう。現にタイトルを今日まで一度も耳にしたことがない。

雑感:タカオユキ

(c) NCSOFT・Blade&Soulアニメ製作委員会

余談だが、主人公の声を演じたタカオユキさんは今は声優ではなく、女優に転身している。

彼女が最初に主演を勝ち取ったのは「君のいる町」。そのアニメでは、主人公の幼馴染の神咲七海という正統派ヒロインの役を演じていたが、その役とはどう頑張っても結びつかない役どころだった。(笑)

そもそもセリフ量が少なかったことも残念だ。神咲もそれほどセリフが多いキャラクターではなかったので、貴重な主演役で、またしても「声優としての本領を発揮する機会に恵まれなかった」という捉え方も出来てしまうような気がしている。

それが声優を諦めたきっかけになったのか、単に女優になりたかったのかは分からないが、タカオさんが活躍する機会が限定的にならざるを得なかったのは残念だ。

興味がある人は是非とも観て欲しい。リベンジ劇が好きならハマるかもしれない。




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