2015年

【2015アニメ】「城下町のダンデライオン」アニメレビュー





(75点)全12話

ごく普通に街中で生活する櫻田家は、実は国を統べる王族である。しかも全員特殊能力持ち!そんな一家に生まれた三男六女の兄弟姉妹の中から、次期国王が国民投票によって選ばれることになった。判断材料として、町中に設置された複数のカメラによって監視されTV放送される中、一生懸命カメラを避けたり、選挙にやる気だったり、協力しあったりと思い思いの行動を取るきょうだいたち。なんだかんだと仲良しな家族ながら、選挙で選ばれるのは一体誰!?櫻田一家が繰り広げるドタバタファミリーコメディ開幕!TVアニメ「城下町のダンデライオン」公式サイト




王位継承権を持った9人の超能力者兄妹を描いたドタバタコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (75点)
完走難易度 易しい

原作は春日歩先生。

監督は秋田谷典昭さん。

制作はプロダクションアイムズ。

兄妹

©春日 歩・芳文社/城下町のダンデライオン製作委員会

このアニメの主役となるのは9人の兄妹。

兄弟が3人と姉妹が6人。城下町に住む彼女たちの父は王様。つまり全員に王位継承権がある。

そんな彼らが将来国の長になったときに庶民の暮らしを理解できるように、という父の計らいで、城下町に暮らし、普通の学生として生活をしつつ、国が注目する王位継承権を巡るほのぼのとした選挙戦を描いたコメディアニメだ。

1話からお馴染みの声優陣が登場し、9人の主要なキャラクターと彼らが使える超能力について説明が入る。

お馴染みすぎる声優陣。こう毎日のようにアニメを観ていると、「またこの人か」という人が何度も登場する。

いろいろ思うところはあるが、改めてトップオブトップの声優の力を実感している。(笑)

どちらかというとマイナスの感情を抱くことが多いのだが、とりあえずは封印しておこう。(笑)

ビジュアルだけでも個性的な9人の子供たち。彼らは国民の注目の的で、監視カメラが街中に仕掛けられるほどで、気が休まる暇がない。

監視されることに慣れているキャラもいれば、人見知りで他人から注目されることに慣れていないキャラもいる。そこら辺の個性がストーリーの核となっている。

また持っている超能力も多種多様で、実用的なものからデメリットの大きいものまで、超能力をどのように使って、それをどうストーリーとして見せるかという楽しみはある。

だが1話を観た限りでは特に面白くなりそうな気配はない。もともとギャグ・コメディアニメというのは人を選ぶ。

ギャグのテイストによって好き嫌いが分かれるし、各エピソードで当たり外れもあるので、評価が分かれるところでもある。

超能力を使って大々的なレクリエーションを行い、ビリになったら罰ゲームのトイレ掃除。

キャラクターの可愛さを楽しむ分にはこの程度がちょうどよいのかもしれないが、超能力という設定が霞んでいる気がしないでもない。

ノリ

©春日 歩・芳文社/城下町のダンデライオン製作委員会

1話の印象はなんか地味なことをやってんなーくらいだったが、2話以降は素直に面白い。

ノリが自分に合っている。それが全てなのだろうが、くだらないことを本気で議論し合ったり、ボケに対するツッコミがあったり、ちゃんとしたオチで締めくくられたり。

単なるギャグアニメとしての側面だけではなく、長男と幼馴染のラブコメ展開もあったりと、いろんなストーリーでキャラの内面や関係性を楽しめるようになっている。

監視カメラを気にして外出できない女の子の、恥ずかしがる姿を愛でるために暗躍するファンクラブの会長とか、そんな女の子に友情以上の感情を抱いてしまっている友達とか、長男に淡い恋心を抱くクラスメイトとか。脇役にも癖のあるキャラクターがいて面白い。

短編エピソードが1話に3本入っている構成もテンポ感が出て、当たり外れがそれほど大きく影響することなく、キャラへの理解も深めつつサクサクと進むからとても観やすい。

馬鹿なことを真面目にやる。それこそギャグアニメの真髄。

自分が求めるギャグアニメのノリに近いエピソードもあり、もちろんハマらない回もあるのだが、気軽に観られるギャグアニメだ。

選挙

©春日 歩・芳文社/城下町のダンデライオン製作委員会

「1年後に次の王様を決める選挙がある」という時系列から始まる。

9人の日常を描きつつ、選挙という1つの目的地に向かってそれぞれの「王様になることへのモチベーション」を掘り下げ、将来どうなりたいかということを考え、自分なりの行動を起こすという「キャラの成長」の側面も描いている。

自分が将来どうなりたいか、それに向けて選挙をどう位置付けていくのか。

必ずしも全員が選挙に対して前向きな気持ちを持っておらず、自分を卑下することで選挙から逃れようとするキャラもいる。

しかしストーリーが進むにつれて、選挙に勝って王様になることへの意味を見出すようになる。

キャラクターそれぞれに目的がある。なんとなく王様の椅子をかけて戦うのではなく、「王様になって何がしたいのか?」という明確な指針があるから、観ている側もその気持ちに乗りやすい。

みんなそれぞれに真っ当な理由があり、つい応援してしまいたくなるような健気さもあり、兄妹姉妹に対する思いやりもある。

誰も省かれることなく、9人全員もれなく選挙というゴールに向かって走っているという構図は、1クールという限られた尺しか与えられなかったとは思えないほどの密度だ。

誰かを応援するも良し。特定のキャラを応援するも良し。個性がありそれぞれに意志がある。キャラクター1人1人が自立していて、それが点ではなく線で繋がっている。

意外と言っては失礼だが、「王様」という部分を多方面から掘り下げており、王様としてのあるべき振る舞い、王様の身の回りにいる人間の宿命など、「王様になるというのはどういうことか」というところをしっかり描いている。

王様になることの大変さをうやむやにせず、王様を目指すということがどんな犠牲を生み、どんな負担を周囲に強いることになるのか。

王様を目指す上でのリアルな事情を直視することで、9人の王様に対する気持ちにも変化が生まれる。

ギャグアニメで時折挟まれる人情噺のようなアクセントにもなっている。王様について真剣に考え悩む高校生たち。シリアスなシーンかと思いきやギャグで落とすところも絶妙で、緩急がいい味を出している。

いっそ1クールと言わずに2クールでもいいくらいだ。1クールで9人の日常から選挙の顛末までを収めるのは窮屈が過ぎる。1クールであることを惜しいと思ってしまうほど素晴らしい作品だ。

総評:綺麗

©春日 歩・芳文社/城下町のダンデライオン製作委員会

1つの作品として完成されている素晴らしい作品だった。

騒がしい9兄妹の日常と選挙に向けての活動を通して描かれる個々の成長。ただのギャグアニメかと思いきや良い意味で裏切られた。

選挙を分かりやすいゴールに設定することで、それぞれのキャラクターの内面が分かりやすく描かれ、将来について真剣に考える高校生の悩める姿に思わず共感してしまい、同時に自然とキャラクターに感情移入してしまっている。

選挙を通して自分を見つめ直す。自分が将来どうなりたいのか。王様になったら何がしたいのか。兄弟や友達とのやり取りの中で自分らしさを見つけていく。

最初はやらされる形で選挙に参加したり、何かから逃げるために選挙を利用しようとしていたり、自分のことではなく他人のために選挙に臨もうとしたり。

選挙に挑むための一応の目的はある。しかし本当にそれで国を統べる王様になれるのか。自分のためになるのか。

そうした葛藤が選挙活動を通して生まれる。その過程で自分の弱さと向き合い、自分の強さを見つけることで、前向きになって自分を表現する方法を見つけていく。

これは成長の物語。子供から大人への一歩を踏み出すためのストーリー。

序盤で想像していたドタバタコメディという印象はない。選挙活動を描いたシリアスパートの中に程よくギャグシーンが混ざっている。そんな塩梅だ。

個人的にはちょうどよい匙加減で、真剣なシーンで不意打ちのちょっとしたギャグが入ることで、張り詰めた糸が少し緩む気がして、程よい緊張感の中で楽しむことができた。

ただそれは横やりを入れるということではなく、真面目なシーンは腹をくくってとことん真面目にやる。それがこの作品の素晴らしいところだ。

中途半端にギャグを挟むのではなくシリアスはシリアスに。最初からその方向性があったことで、迷路でに彷徨うことなく一貫して「選挙」という本筋に沿ってストーリーが進んでいる。

それぞれが「自分」と向き合い、自分を見つけて壁を乗り越えていく姿は見ていて素直に応援したくなるし、つい自分に照らし合わせて見てしまう人も多いことだろう。

素直に応援したくなるのもキャラクターの魅力があってこそ。随所に挟まれる「他人」への思いやり。自分らしさを貫く芯の強さ。

選挙とは無縁の生活を送ることを決めるキャラもいれば、他の誰かを幸せにするという固い意志を持って選挙に挑むキャラもいる。

それぞれに個性があって、それぞれにそのキャラにしかない「魅力」がある。だから応援したくなる。

最後には当然選挙の顛末が描かれるわけだが、きっちりとうやむやにせずに「誰か1人」が王様に決まり、後腐れなく綺麗に締められている。

選挙はただの通過点に過ぎず、彼らの人生は選挙以降も続いてく。ついそんなことに思いを馳せてしまうほど、この作品は尾を引くものがあった。

作画は時に不安定。だけど崩れるようなことはなく、ヒロインキャラはどの子もかなり力が入っていたと思う。

特に主人公ポジションの茜ちゃんは表情がコロコロ変わって大変だったと思うが、いろんな表情が見られてとても満足だ。(笑)

脇役にも癖のあるキャラがいて、願わくば2クールの尺で、もっとじっくり9人との関係を見たかったと心の底から思う。

特に長男に思いを寄せる佐藤さんとの小学校時代の馴れ初めや、茜ちゃん親衛隊の事細かな活動など、仮に2クールをフルに使ってたっぷりといろんな顔が見られたら…と叶わない望みを抱いてしまう。

ところどころ勢いでごまかしたようなツッコミどころも、あるにはある。

アイドル活動を思いつきで始めた光ちゃんが気づけばいっぱしのアイドルになって、選挙そっちのけになるまでのめり込んでいるし、最終的に付き合うことになる長男と佐藤さんの関係性も、付き合うほど密だったかと言えばそうでもない。

だがそれもこれも、尺があれば何とでもなっていると個人的には思う。2クール分の尺があればいくらでもフォローできる。でもそれが許されなかったのは本当に残念だ。

もっと9人の日常を観ていたい。そう素直に思える素晴らしい作品だった。

雑感:2期は…

©春日 歩・芳文社/城下町のダンデライオン製作委員会

wikiによると、どうやら原作は続いているらしい。

だが休載騒動があったらしく、思っていたより原作のストックは溜まっていない。

しかし去年の8月から新章が始まったということなので、これは十分2期も期待できるだろう。

ただ1期単体で見ても非常に綺麗な終わり方をしているので、あそこからどう繋げるのかという問題はある。ただそれはファンの声次第でどうにでもなる。

ぜひとも2期が製作されることを期待して待ちたい。オススメなので興味がある人はぜひ。




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