2019年

【2019アニメ】「エガオノダイカ」アニメレビュー





(60点)全12話

地球より遥かかなたの星にある、笑顔に溢れた王国。
王女のユウキは十二歳、そろそろ多感なお年頃。毎日泣き、笑い、時には
ときめいたり…?しながら、王宮で楽しく暮らしている。
日々を彩るのは、忠実な家臣たち。教育役のレイラ、政治を補佐する
イザナ、騎士団総長ハロルド、そして……幼馴染の側近、ヨシュア。
「ユウキ!気合と根性さえあれば、何だってできる!」
「……もうっ。またそれ~!?ヨシュア、もっと貴族らしくしてっ!」

ステラは十七歳、有能かつクールな軍人。けれど微笑みはいつも絶やさない……笑顔は生きるためには、欠かせないから。

これは、遠い星に生まれた、二人の少女の物語。TVアニメ「エガオノタイカ」公式サイト




笑顔を絶やさぬ王女が主人公のバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (60点)
完走難易度 普通

原作はタツノコプロ。

監督は鈴木正利さん。

制作はタツノコプロ。

王女

©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会

架空の国を統べる幼い王女が主人公のファンタジーアニメ。

式典で抱負を述べ、幼馴染と冗談を言い合い、周辺諸国との外交を気にかける。

部下の非礼に起こった側近の幼馴染が、そいつに模擬戦を挑み、数的不利を覆して見事に勝利する。

そんな感じで、1話は世界観の紹介に徹している印象だ。王女と幼馴染の関係くらいしか印象がない。

周辺諸国、特に「帝国と戦争をする」などという物騒なことを言う輩もいたが、情報としては帝国とそれほど良い関係ではないかもしれないということくらいで、後は何の変哲もないファンタジーアニメという感じだ。

1話の終盤で幼馴染が帝国に派遣され、王女がそれを見送るというシーンがある。

幼馴染が別れ際にプレゼントを贈っており、「これはもしや1話からフラグがビンビンに立つか…!」と思いきや、王女に突き返されたことで危機一髪死亡フラグは回避した。(笑)

果たして2話以降でどんな展開が待っているのか。どこにピークを持ってくるのか。楽しみだ。

熱湯

©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会

ぬるま湯が一瞬で熱湯に変わるような衝撃的な展開が2話で起こる。

プレゼントを渡して「まさかな…」と油断していたら、幼馴染の男の子が戦死してしまう。

そもそも戦争をしていたとは。視察と言って別れたのは方便で、本当は帝国と戦争の真っただ中。

「王女には笑顔でいて欲しい」という幼馴染の思いから、秘密にされていたことが明らかになる。

激しくなる前線の戦いで幼馴染は負傷。その怪我が原因で死んでしまう。

何とも衝撃的な展開だ。1話で平和な王国を描いたファンタジーアニメと思わせておいて、まさかの秘密裏に交戦中。しかも鉄板のフラグ通りに幼馴染が死んでしまうなんて。

だから別れ際にプレゼントとか、王女と出会った時の回想とか、縁起が悪いからやめておけとあれほど言ったのに。(笑)

お約束通りに幼馴染が死んでしまい悲しみに暮れている。笑顔で別れた幼馴染が死体となって帰ってきたときの王女の絶叫。胸が苦しい。

だが違和感もある。幼馴染は怪我をしたが、腹部にガラスの破片のようなものが刺さった程度で、死に至るほどの傷には見えないし、敵から逃げる途中にも「父を超える」と宣言している。

何か裏がありそうな気もする。死んだと見せかけて実は…という二転三転もありそうな予感がしてしまう。いや、そう願わずにはいられないほどにこの死は悲しい。

彼は両親を亡くしてから王女と出会い、一生王女を守り抜いて尽くすと決めている。そんな情に厚く優しい彼がなぜ…

彼の人柄が王女とのやり取りや回想で分かっているからこそ、死んだときに反動がデカい。

1話でのんきに「2話以降の展開に期待」とか言って斜に構えていたが、ここからどうなるかが一層楽しみだ。

戦争

©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会

戦争の厳しさを嫌と言うほど突き付けてくる作品だ。

笑顔の代価。そうタイトルにもある通り、王女は笑顔が絶えない国づくりを心掛け、誰も命を失わないことを第一に考える優しい心の持ち主。

しかしその温情は戦争では致命的。平和に浸りきった心では余計に犠牲を増やすだけ。王女は笑顔を守ろうとする正しい行いの代価として、自国の兵士の命を差し出すことになる。

笑顔でいたいだけなのに戦争は容赦なく命を奪う。全てを救おうとして全てを失うこともある。そんな戦争の残酷さを残酷に付きつけてくる。

1話からは到底想像できないほど重いテーマを扱った作品だ。王国と帝国の泥沼の戦い。散っていく兵士たち。王女に命を捧げた幼馴染。

笑顔の代価が命なんてあんまりすぎる。幸せを呼ぶ笑顔が、死という最悪の不幸を呼ぶなんて、これ以上の皮肉はない。

さらに帝国は純粋な悪ではないところが憎い。帝国にも守るべき民がいて家族がいる。だから非道な行いに対して怒りをぶつけることもできない。

お互いがお互いの正義のために戦う。終わりのない正義のぶつかり合い。戦争はやはり悲しみしか生まないし、虚しさしか残らない。それを強く実感する。

一体この戦争はどこに向かうのか。どう決着するか予想がつかないほどに泥沼化している。

総評:理想と現実

©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会

理想と現実の差をまざまざと見せてくる作品だ。

戦争はいらない。でも人間がいる限り起こる。戦争で人を死なせたくない。でも死なない戦争はない。

王女は自分が理想とする「笑顔があふれる国」に忠実な行動をとるも、現実がそれを許さない。

しかし残酷な現実を見てもなお、王女は自分の理想を最後まで貫き通している。

誰も死なせない。敵も味方も。そんな絵空事を言うなと味方も、そして敵も王女に言う。花や蝶やと愛でられて育った王女ならではのぬるい考えだ、と。

それでも王女は理想を曲げない。全ては敵味方関係なく全ての人の幸せのため。

仲間や側近の大切な幼馴染を失っても信念を曲げない王女は、若くして芯の通った人格者だった。

そんな王女だからこそ、周りの人間も命を差し出せそうと思えるのだろう。次々と王女と国を守るために命を落としていく兵士たちは、最後まで誇りを胸に死んでいく。

過酷な戦争をありのままに描写し、容赦なく重要なキャラクターを退場させていくあたり、とことんリアルにこだわっている作品だ。

王女らしい生き様が最後まで貫き通されており、見た目に似合わない彼女の凛とした態度はかっこよかった。

しかしやはり全体通して物足りない。王女は常に凛としていて、冷静な指示もあどけない少女とは程遠い。それはそれでキャラクターなのだが、年相応な部分ももっと見たかった。

1話では幼馴染がいたことで、王女のプライベートな顔を見ることができた。しかしその彼は死んでしまってからは、常に戦争のことばかりで、いつも気を張っている状態。

戦争が題材なので仕方がないとはいえ、キャラクターの深みとか愛情を注ぐという点においては、表情の変化が乏しくイマイチという感じだ。

もう少し戦争の間で抜きどころを作れれば、いろんなキャラクターの新たな一面も見られたかもしれない。とはいえ、12話という限られた尺があるので難しいかもしれないが。

2話以降は寝ても覚めても戦争一色。相手がこういう陣形だから自分たちはこうする。自分たちの狙いはこうだから、このルートを通って進軍する。みたいなことをずっとやっている。

基本的には変わり映えしない。視点が王国と帝国で各話ごとに変化する程度で、ロボットに乗ってドンパチして、犠牲者が出て。

そんな感じで少し予定調和なリズムを刻んでしまっている。死亡フラグが立ったキャラが必ず死ぬように、予想を超えるような展開も少なく、見どころはそれほどない作品だった。

2話で戦死したと思われる幼馴染は、直前のシーンで「父を超える」と宣言していた。生きるフラグを自分で立てておいて、それをあっさりと裏切って死んでしまう。

2話で重要なキャラをいきなり退場させるのは印象が良くない。死亡フラグは回収するのに、生きるフラグは全く回収されないのもあまりに残酷だ。

残酷すぎるが故のとっつきにくさ。程よい救いがないと心理的な負担がやっぱりある。いまだに幼馴染の死を引きずっている自分がいる。(笑)

だが最後はハッピーエンドで終わっている。王女は理想を叶え、世界中にある兵器を止めるための装置を作動させ、王国と帝国の戦争は終わる。

そこも少し駆け足になっている。兵器を作動させた直後のシーンで、もうすでに戦争は終結し、一番観たいシーンでもある「どうやって戦争が終わるのか」「戦争が終わった後の世界がどうなるのか」「兵士だったキャラクターはどうなるのか」がお触り程度にしか描かれていない。

12話の途中までじっくりと王国と帝国の戦いを描いて、両者犠牲を出しながら死力を尽くして戦った末の結末にしては、やけにあっさりしすぎている。

もっと余韻に浸るためのスペースがあれば、もっとスッキリとした気持ちで観終えることができたかもしれない。綺麗に笑顔で終わってはいるが、犠牲者のことを思うとやはりモヤモヤした気持ちが残る。

作画は正直酷いレベル。序盤から崩れ気味で、作監の見直しでも到底直しきれないほどずさんな原画が下から上がってきて、納期に追われた結果、中途半端な出来で世に出てしまった悲しい作品だった。

ところどころキャラクターの輪郭が崩れ、顔のパーツもバランスが悪く、キャラクターの動きが不自然な箇所もあった。

ときにセリフが入らないほど酷い瞬間もあるが、見せ場のシーンはしっかりしていたし、全然観られないほどでない。

理想を掴むのは理想を追いかける者だけ。王女の姿勢にいろんなことを学ぶことができたアニメだった。

雑感:オリジナル

©タツノコプロ/エガオノダイカ製作委員会

タツノコプロのオリジナルアニメ。

老舗のアニメ会社で、最近では滅多に名前を聞かない会社だ。

そんな会社の渾身のオリジナルアニメということで、作画の出来はともかく、ストーリーは良かったと思う。

予定調和なところが少し気にはなったが、起承転結があり、王女の真っすぐな強さがあり、仲間を思う兵士たちの姿あり。

それだけにもう少し救いが欲しかったが、リアル路線を突き進んだところには好感を持てる。

ぜひロボットモノが好きで、戦争モノが好きな人は観てみて欲しい。




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