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【2018アニメ】「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」アニメレビュー

(85点)全13話

想いを綴る、愛を知るために。

感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公式サイト

壮大な『愛』の物語

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (85点)
完走難易度 易しい

感情を持たない少女が手紙の代筆をする仕事を通して、『愛』を知っていく物語。

原作は暁 佳奈先生。

監督は石立太一さん。

制作は京都アニメーション。

作画

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

京都アニメーションの代名詞といえば、アニメ好きなら誰もが知っている「作画の美しさ」だ。

アニメ制作会社の中でも、作画においては頭一つ出ている京アニ。

とにかく美しい。その一言で十分。

キャラの繊細な表情や髪の一本一本に至るまで丁寧に描かれている。

背景絵も素晴らしく、揺れる水面の動き、反射する風景、空に舞う花々。

自然の風景をありのままに、現実以上の美しさで描かれている。

作画で感情を大きく揺さぶられるのは京アニならでは。

ヴァイオレット

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

主人公はヴァイオレットという1人の少女。

戦争で両腕を失った彼女は、生き別れた上司がまだ生きていることを信じ、命令をくれることを待っている。

彼女は感情を持たない。

能動的な行動が出来ず、常に指示待ちで、人の本心を読み取ることができない「人形」。

そんな彼女が感情を少しずつ覚えていくという「内面的な成長」を描いたストーリーになっている。

だからこそ京アニ。納得がいく。

もしかしたら京アニが進んで制作を請け負ったのかもしれない。

どちらにしろ、内面的な変化を描かせたら京アニに勝る会社はない。

このアニメの評価は1話の時点で、あらすじを把握した時点で正直決まってしまっていた。

ひいきと思われるかもしれないが、全13話を視聴し終えた今でも評価は変わらない。

公平な視点で評価をしても、素晴らしいという言葉しか浮かんでこない。

ヴァイオレットという感情を持たない少女が、人との関わりの中で、「自動手記人形」という仕事と向き合う中で少しずつ、言葉の裏にある「感情」を知っていく。

感情を知っていく過程で、自分や周りとの葛藤を乗り越え、お客様とトラブルになるような失敗も乗り越え、少しずつ少しずつ感情を知っていく。

決して感情や成長をキャラに語らせることもない。

感情を何気ない所作で私たちに見せたり、以前なら使わなかったようなセリフや表情で成長を見せたり。

そしてその全てが美しい。

これぞ京アニのなせる業といったところ。

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

この作品のテーマにもなっている一文字の言葉。それが「愛」。

数えきれないほど多くのアニメでテーマとして取り上げられている。

このアニメでは、主人公のヴァイオレットが「愛」の意味を探す過程で、人間の感情を知っていくという構成になっている。

ヴァイオレットが愛を知ろうと思ったきっかけは、上官・ギルベルトと戦場で別れる前に「愛している」という言葉をもらったから。

その言葉の意味を探すことがヴァイオレットの「目的」となる。

愛を探す。何とも途方もないテーマだ。

愛の定義などないし、誰も本当の答えを知らない。

感情を持っていないヴァイオレットが、一体どうやって「愛」を知っていくのか。

1話でガッチリハートをつかまれてしまった。

作品の方向性が1話で既に定まっており、最後までハラハラすることなく、迷子になることもなく、どっぷり作品の世界に浸かることができた。

余計な伏線やどんでん返しもない。

ヴァイオレットが不器用ながらも少しずつ愛を知っていく物語を、心行くまで堪能することができた。

自動手記人形(ドール)

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

主人公のヴァイオレットが自ら志願して行う仕事が「自動手記人形」。

手紙の代筆を請け負う仕事だ。

人々には略称として「ドール」とも呼ばれている。

ドールは「人形」という意味だが、仕事を請け負うのは人間だ。

依頼主の話す言葉を聞いて、機会を使って紙に文字をタイピングしていく。

手紙の内容も多岐に渡り、単純な宛名書きから、恋文、小説、写本など。

依頼者の言葉をそのまま紙に乗せるだけでは務まらない仕事で、言葉の裏にある感情を汲み取る必要がある。

ヴァイオレットは感情を知らない。当然言葉のまま受け取ることしかできない。

聞いた言葉をそのまま手紙にしてしまい、最初は依頼人とトラブルになることも。

しかしそういった失敗を経て、人の心に触れるたびに、少しずつヴァイオレットは感情を知っていく。

「人が話している言葉の中から、伝えたい本当の言葉をすくい上げる」

ヴァイオレットは3話の養成学校をきっかけにして、感情のこもった「手紙」のあり方に気づく。

感情

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

感情を知らない少女が、依頼人や仲間との関わりの中で、少しずつ感情を知っていく。

優しい嘘。家族愛・兄妹愛。寂しさ。希望。美しいと思う心。愛する人への想い。

1話ごとのエピソードで、それぞれ違う感情をヴァイオレットは知っていく。

心を知っていくたびにヴァイオレットの表情は豊かになっていき、言葉遣いの中にも温もりが感じられるように。

だがヴァイオレットが感情を知っていくという流れが、逆にストーリーを単調化してしまっていた側面もあった。

毎話違う依頼人の元へ出向き、代筆作業に当たる中で依頼人の思いに触れる。

そして最後は人の心の美しさに涙する。

後半は感動の押し売り状態になっていて、感動の連続で心が疲弊してしまった。

1話完結型でキャラを使い切ることが多く、1話という短い尺で依頼人のバックボーン・葛藤・変化その他諸々を詰め込んでいたので、どうしても淡泊に感じてしまった。

特に中盤以降は、ヴァイオレットが愛を知るための舞台装置でしかない無機質なシーンにしか感じられず、ややマンネリ化してしまった印象。

2話完結で、もう少しじっくり丁寧に描いても良かったというのが率直な感想だ。

とはいえ、短い尺の中にも葛藤を経た人間ドラマがあり、心を大いに揺さぶられたことに間違いはない。

総評:温かい

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

1人の少女が「手紙を書く」ということを通して、感情を知っていく。

融通の利かなさで衝突してしまったり、言葉を額面通り手紙に乗せてしまったり。

失敗を繰り返しながらも着実に感情を知っていく。

そして感情を知る経験を積み重ねた先に、上官が最期に言った「愛している」という言葉に戻ってくる。

構成に全く穴がなく、作画同様に完成度が高い。

成長を言葉にすることなく、何気ない所作や行動で視聴者に伝える演出も見事と言う他ない。

作画は終始綺麗なままで、一瞬たりとも崩れることはない。

相当な制作費はかかっているだろうが、それでもここまで完璧に作品を作り上げるのは、さすが京アニとしか言えない。

小難しい設定や入り組んだ伏線なども一切なく、心を無にして少女の成長を見守ることができた。

アクションがメインのアニメではないが、アクションでも細かい動きが躍動感タップリに描かれていて、思わず見入ってしまった。

それだけに、少し惜しい部分が目についたのが勿体ない。

調べたところ原作からの改変が大幅にされており、ヴァイオレットの性格やストーリーの順番、新キャラの追加や掘り下げ。

オリジナルの要素が追加されたり、原作のストーリーがカットされたり、原作の良さを大幅に損なっている点は看過できない。

監督の自己主張が出てしまっているシーンが多くあり、作品本来の面白さを十全に表現できていない。

「境界の彼方」でもそうだったが、石立監督の悪い癖が悪い方向で出てしまった格好だ。

アニメ単体としては文句のつけどころはないが、原作ありきの作品として評価するなら…やはり勿体なさは否めない。

個人的な感想:言葉は不要

引用元:©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

誰もが感動できて、想いの強さに、愛の大きさに、心が温かくなって自然と涙がこぼれる。

中盤以降はややペースダウンした感があったものの、クライマックスも綺麗に締めくくられていて、満足感とともに喪失感も押し寄せてくるようなアニメだった。

もはや言葉は不要。

むしろ下手なことを言って作品の価値を貶めるのが怖いくらいだ。(笑)

「京アニが作るアニメには黙って心を預けろ」とは私の祖父の言葉だ。(適当)

美しい作画にただただ息をのみ、少女が感情を知って少しずつ成長していく姿に心が震え、愛する人との別れに涙して。

心の感じるままに任せておけば、30分13話があっという間に過ぎ去ってしまうアニメだ。

声優さんの演技のハマり具合も凄まじい。

ヴァイオレットを演じる石川さんの無機質で感情のない声色。

感情を知っていくごとに少しずつ変化していく声色で心の機微を感じることができた。

ギルベルト少佐を演じる浪川さんの優しさが詰まった声色。

ホッジンズを演じる子安さんのダンディで優しく包み込んでくれるような声色。

作品の世界感ともバッチリハマっていたし、声優さんが演じていることを忘れてしまうほど自然な演技だった。

アニメ好きにもそうでない人にも、心からこのアニメを観て欲しい。そう思える作品だった。

Netflix限定配信のアニメだが、興味がある人はぜひ登録をして観て欲しい。

アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観るには?

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は

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