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【2012アニメ】「ガールズ&パンツァー」アニメレビュー

(78点)全12話

戦車道は乙女のたしなみ!
戦車を使った武道「戦車道」が華道や茶道と
並んで大和撫子のたしなみとされている世界。
県立大洗女子学園に転校生・西住みほがやってきた。
戦車道が嫌いで、戦車道のない大洗女子を選んだみほ。
ところが転校そうそう、生徒会長に呼び出され、
必修選択科目で戦車道を選択し、
戦車道全国大会に出場するよう強要される。
しかも、集まったメンバーは個性派ばかり。
華道家元の娘の五十鈴 華、恋に恋する武部沙織、
戦車マニアの秋山優花里、朝に弱い優等生の冷泉麻子―。
友達とのフツーの女子高生活を夢見るみほの、
ささやかな願いは叶うのか―?
監督は『Another』『侵略!イカ娘』の水島 努、
脚本は全話を『けいおん!』『聖闘士星矢Ω』の吉田玲子が務める。
キャラクター原案は『ストライクウィッチーズ』の島田フミカネ。
強力スタッフのタッグで送る、ハートフル・タンク・ストーリー!TVアニメ「ガールズ&パンツァー」公式サイト

「戦車道」を極める女子高生を描いたファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (78点)
完走難易度 易しい

アクタス制作によるオリジナルアニメ。

監督は水島務さん。

戦車道

©GIRLS und PANZER Projekt

「戦車道」なる乙女のたしなみがある世界が舞台のアニメとなっている。

この作品の世界では「戦車=乙女」というイメージが出来上がっており、「戦車と男は合わない」「戦車道を極めると男にモテる」などの独特の価値観が存在する。

一見全く結びつかない少女と戦車。ゴツい装甲の戦車を女子高生が操縦し、お互いに大砲をぶっ放すという絵は初見だとかなり強烈だ。(笑)

そんな世界で主人公となるのは転校してきた一人の少女。

先祖代々戦車道を極めてきた家系に生まれ、過去に戦車道の経験があるものの、とあるトラウマから戦車道のない高校に転入してくる。

しかし戦車道から逃げてきた主人公だが、転校先の高校でも戦車道に入るように生徒会から強要されてしまう。

過去のトラウマから最初は戦車道を拒絶する主人公だが、自分のために生徒会に出向いてまで必死に掛け合う友達を見て入部を決意する、というのが1話だ。

過去に戦車道にトラウマを抱える主人公。しかし転校先の高校では唯一の経験者であり、主人公が引っ張ることが必須な立場にいる。

そして、新しく出来た友達の存在が背中を押すきっかけとなり、友情によってトラウマを押し殺してまでも入部を決意する。

「女子高生×戦車」

不自然な組み合わせで独特の世界観のアニメながらも、導入がしっかりしており、作品にすんなりと入り込むことが出来る。

主人公のトラウマとは何なのか、一体どれほどの戦車の腕前を持っているのか、どのように戦車道を歩んでいくのか、主人公は本当に戦車道に乗り気なのか。

2話以降の楽しみも残しつつ、綺麗にまとまっている1話だ。

豪快

©GIRLS und PANZER Projekt

戦車道なのでもちろん戦車に乗ってお互いに攻撃し合うわけなのだが、そのバトルシーンが豪快そのものだ。

本場の戦場さながら、遠慮なく実弾をぶつけ合う。

3話では操縦士の女の子が実弾を戦車に打ち込まれ、その衝撃で失神してしまう。

「これ下手しなくても死人が出るぞ…」というレベルで危険な戦いになっており、2話で初めて戦車に乗って間もない模擬試合で既にガチンコなので、おふざけ一切なしのシリアスアニメなのかもしれない、という気持ちになる。

しかしそこは程よくご都合主義がバランスを取っており、銃弾が戦車に直撃することはあっても、人間に直撃することは無い。

なので純粋に戦車の豪快な戦いを楽しむことが出来るし、シリアスになることもない。

ただ死人が出ないとはいえ、女子高生が行う由緒正しい大和撫子のたしなみである戦車道で、「実弾」を撃ち合うというシチュエーションには慣れない。

初心者で、操縦もままならない女の子が頑張って操縦しているのに、いきなり失神するというのは観ている側としては気持ちが良いものではない。

戦車の豪快さが女の子との相性をさらに悪くしているような感じがして、戦いの道具が戦車である必要性をそれほど感じない序盤戦だ。

ちなみにこの作品は、茨城県の大洗町が舞台となっている。

個人的にも海水浴といえば大洗という、浅からぬ縁のある街だが、大洗の街中で普通にドンパチするというのも、なかなか衝撃的な絵面だ。(笑)

街中で戦車を走らせて大砲を撃ち合えば当然建物にも損壊が出るし、修繕費は一体どこが賄うのだろう、というどうでも良いことまで気になってしまうが、気にしたら負けだ。(笑)

あくまで「女の子が戦車で豪快に戦う」というのをスポーツ同然に何も考えずに楽しむ。そんな作品だ。

繊細さ

©GIRLS und PANZER Projekt

もちろん闇雲に大砲を撃ち合うだけの戦いではなく、そこには戦車らしからぬ「繊細さ」も併せ持つ。

主人公は全員の賛同により隊長を任されるのだが、初めて指揮を執った練習試合で、彼女の指示により有名校をギリギリまで追い詰める。

「こそこそ作戦」という作戦で相手から逃げて、死角の多い街中で迎え撃つ。

豪快さの中に「駆け引き」という繊細さがあり、少しご都合展開が強すぎる気もしたが、見ごたえのあるバトルが繰り広げられる。

主人公は的確な指示で自軍を動かし、相手の虚を突き殲滅する。

そこには戦車バトルならではの爽快感があり、全国準優勝の経験もある強豪校を追い詰めるというカタルシスもある。

街中を戦車が走っているという違和感にはどうしても慣れないが、それを除けばスポーツと何ら変わりはない。

世間的認知

©GIRLS und PANZER Projekt

このアニメにおける戦車道とは「由緒正しき乙女のたしなみ」という認知であることが1話で明らかになるのが、その認知が中盤で少し揺らいでしまっている。

戦車道が広く普及しているからこそ、街中で戦車が走っていても、朝っぱらから空砲を街中で撃っても「近所迷惑」と言われることはなく、試合で自分のお店が戦車で壊されたとしても、むしろ店主が喜んでしまうという反応にも理解ができる。

しかしかと思えば、華道の家系に育った女の子が久しぶりに実家に帰って、娘が戦車道をやっていると知った母親の言動は「戦車道なんて野蛮」と正反対のものになっている。

街を封鎖してしまうほど浸透していて、さらに大型ビジョンで戦いの模様が生中継され、沿道には危険を顧みないで応援する人間がいるほど世間的認知がある戦車道が、親に「野蛮」だと反対される。

そこで「認知の乖離」が起きてしまい、どこか腑に落ちない気持ちが生まれ、作品に完全に心を委ねることができない。

確かに現実の世界では「戦車」というのは戦争の道具で、女性のイメージは皆無に等しく、「野蛮」というイメージは間違っていない。

しかしこのアニメの世界では、純粋なスポーツとして親しまれているはずで、野蛮とは程遠い「淑女のたしなみ」であるはず。

母親は娘が戦車道をしていると聞いたときショックで倒れてしまっている。母親にとっての戦車道と、世間にとっての戦車道があまりに乖離しすぎていて不自然さが拭えない。

そこに拒絶するなりの納得できる理由があればいいが、「代々華道の家系だから」という理由以外探すのは難しく、ついには娘が家の敷居をまたぐことを禁止する。

単に「家を継いで欲しい親の気持ち」ゆえに生まれた「野蛮」という言葉なのかもしれないが、個人的にはアニメの世界での「戦車の認知」を下げるような発言に、どうしても引っかかりがある。

ただでさえ女の子と戦車は縁遠い。その2つを何とか近づけないと作品に入れないのに、わざわざ遠ざけるようなシーンは必要だったのか。

母親にとっての戦車道が「命の危険がある」「女の子のするものではない」と思うものなら、そもそも大会が開かれて街が開放されるほど浸透するわけもなく、とっくに廃れているに違いない。

アニメを楽しむのに支障はないが、序盤にして「女の子」と「戦車」を組み合わせる設定に少し無理が生じてしまっている。

全国大会

©GIRLS und PANZER Projekt

模擬試合を挟んで中盤から全国大会が始まる。

いきなり全国大会というのはいささか早すぎる気はする。

恐らくは地区大会から地道にやる尺がないということで、いきなり全国からにしたのだろうが、そこは大人の事情がありそうなので深くは考えない。(笑)

創部して間もないチームながら、主人公たちの学校は順調に勝ち進んでいく。

あっさりと勝ち進むわけでもなく、時間をかけすぎる事もなくテンポ良くストーリーが進んでいく。

顛末は書かないが、じっくりやるところはやって、飛ばすところは飛ばして、戦車バトルの熱を保ったまま進んでいる。

毎話違う種類の戦車や作戦が出てきたり、吹雪が舞う雪原が舞台になったり、主人公の土壇場のアイディアがあったり。毎話ごとに新鮮味もある。

さらに戦車バトルならではの豪快さもありつつ、戦車を動かす人間同士の生の駆け引きを楽しむことができ、非常に良く出来たバトルになっている。

そこに中盤で明らかになる「優勝しなければ学校が廃校」「主人公と姉との因縁」「代々伝わる流派との対立」「主人公のトラウマの正体」など、バトルの緊張感を高め盛り上げる要素が足されて、終盤へ向かってより加速していく。

大会の勝ち上がりについてはここでは触れないが、スポ根アニメとそん色ない胸が熱くなるアニメだった。

総評:スポ根

©GIRLS und PANZER Projekt

アニメを観る前は、「可愛い女の子」と「戦車」というのがどうしてもミスマッチにしか思えなかったが、考えを改めさせてくれた。

戦車に乗って戦っているだけで、中身はスポ根アニメと何ら変わりなく、そこには勝利に向かって力を合わせて戦う美しい少女たちの姿があった。

ただアニメとして評価をするなら、やはり全国大会にいきなり出場して、弱小校がいきなり…は冷静に考えて不自然だ。

しかも「チームの結束力」という点では、1つの目標に向かって…というのはありつつも、人間味のある衝突や葛藤が描かれることはなく、なんだか形だけの結束に見えなくもない。

それに加えて先述の通り、戦車と少女という組み合わせには多少の無理があったのでは、と思わなくもない。

とまあ気になるところはありつつも、ストーリーの流れやバトルを盛り上げる演出は見事としか言えない。

主人公が転校してきた理由や、代々伝わる流派との確執、そして全国大会優勝常連校の存在、姉との因縁、など。

終盤に向けて少しずつ緊張感が高まっていき、満を持しての…という展開は必見。

そして戦車同士のバトルでは大砲を遠慮なくぶっ放し、ときには戦車同士がぶつかり、横転することも。

序盤の失神以降誰も怪我をしなかったのは奇跡というか不自然というか、本当は死人が出てもおかしくはないのだろうが…(笑)

とにかく視点やSEにも凝っていて、実際の戦車同士が戦ったらこんな感じなのかな、という妄想を膨らませてしまうような迫力だった。

正直バトル自体は何をしているのか全く分からない。耳馴染みのない言葉が平気で飛び交うし、本気で理解しようとしたらかなりの勉強が必要だ。

しかし知識がなくとも雰囲気で楽しむことができ、「なんかわかんないけど楽しめた」のは麻雀を知らないときに見た「咲」以来かもしれない。(笑)

こういうぶっ飛んだ設定で一からアニメを作るのは、今も昔も水島監督だけ。アニメでしか出来ないことを大胆にやってくれるから気持ちが良い。

オリジナルの作品でありながら、昨今に至るまで根強い人気を獲得している理由が、アニメを観てようやく分かった。

あんこう踊りや「パンツァー・フォー!」という掛け声など、キャッチーで親しみやすい要素もあり、純粋なアニメ作品として完成度の高い作品になっている。

雑感:ガルパンはいいぞ~

©GIRLS und PANZER Projekt

友情・努力・勝利。変に繕うことのない真っすぐでキラキラした作品だった。

戦車道にトラウマを抱えた主人公が友情を優先して戦車道に再び入り、仲間の戦車道に対する思いに触れて、そして自分なりの戦車道を見つけて、仲間と共に勝利する。

しっかり12話で綺麗にまとまっているし、スポ根アニメのお約束もあって、最初から最後まで楽しめた作品だった。

大洗ともあんこう踊りとも浅からぬ縁がありながら、このアニメを観たことは一度も無かったが、今更ながら楽しませてもらった。

作画はお世辞にも綺麗とは言えないが、女の子の可愛さはしっかり描かれていたし、CGの戦車バトルは迫力満点だった。

未だに先入観があって観られていない、という私みたいな人がいれば、騙されたと思って観てみると意外とハマるかもしれない。

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