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【2020アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」アニメレビュー

(82点)全12話

公爵令嬢、カタリナ・クラエスは、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。ここが前世で夢中になっていた乙女ゲーム『 FORTUNE LOVER 』の世界であり、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢であることを!
ゲームでカタリナに用意されている結末は、良くて国外追放…最悪、殺されてしまう…そんな破滅フラグはなんとしても回避して、幸せな未来を掴み取ってみせる!!
勘違い?人たらしラブコメディの幕が上がる。TVアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」公式サイト

悪役令嬢に転生した主人公を描いたラブコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (82点)
完走難易度 易しい

原作は山口悟先生。

監督は井上圭介さん。

制作はSILVER LINK.。

破滅フラグ

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会 

この作品はジャンルで括ると「異世界転生アニメ」という括りになる。

現世で事故に遭って死んでしまった主人公が、ゲームのキャラに転生してしまう。今となっては見慣れた光景だ。(笑)

しかしこの作品が面白いのは、転生したキャラが「破滅フラグビンビンの悪役キャラ」だったということだ。

大体は主人公だが、この作品は主人公の邪魔をする「悪役令嬢」に転生してしまう。

向かう先には破滅フラグが何本も立っており、最終的には「BAD END」しかないキャラに転生する主人公。

異世界視点で1話が始まり、前世の記憶を取り戻した主人公がゲームの世界にいることを自覚し、破滅フラグを回避するためにゲームのシナリオにはない行動を起こしていく。

世界観やお話の導入が分かりやすく丁寧に作られており、主人公が「どう破滅フラグを乗り越えていくのか」というストーリーにスッと入っていける。

平和

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会 

悪役令嬢やらDEAD ENDやらで物騒なストーリーを想像してしまうが、全くそんなことは無い。

主人公が気づかないうちに破滅フラグの芽を摘んでしまうのが、3話までのストーリーになっている。

主人公が行動を起こす度に、フラグを回避するおまけとして本来の攻略キャラの好感度が上がり、本人があずかり知らないところで段々と「たらし」になっていくというシチュエーションが面白い。(笑)

主人公は破滅フラグを回避することに必死で、主人公の人格自体がゲームとは違って優しいので破滅に至ることはないのだが、主人公はそれに気づいていない。

世間から疎まれて育った女の子と友達になり、常に兄と比較されてきた弟の肩の荷を下ろし、化物と怖がられてきた義理の弟を「1人の家族」として受け入れる。

主人公の周りにどんどん男の子が増えていき、なんなら女性キャラたちも、主人公の素の優しさに触れ、どんどん人の輪が広がっていく。

主人公の根っからの優しさが多くのキャラを苦しみから救い、男女問わず主人公のことが大好きになっていく。そんな心温まるハートフルストーリーになっている。

4話

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会 

4話から本格的に乙女ゲームの世界へと入っていく。

主人公と男の子たちが揃って魔法学校に入学し、ゲームのプレイヤーキャラである女の子も登場する。

主人公は本格的に破滅フラグを回避するための行動を起こしていくのだが、鈍感でポンコツで自分の優しさに気づいていない主人公は勝手に暴走を始める。

主人公が破滅フラグを回避するための行動を起こしていても、それは他のキャラたちにとって「暴走」でしかない。

みんなとっくに主人公のことが大好きで、主人公のことを想っているのに、勝手に妄想を膨らませて明後日の方向に突っ走る。

破滅フラグを回避することにはするのだが、本人が気づかない間に別のフラグが立ち、ストーリーが斜め上に進んでいく。

主人公は悪役なので本来ならば、ゲームプレーヤーの恋路を邪魔したりいじめたりする役どころだ。そしていじめられているゲームプレーヤーを助けに男の子キャラが助けに入り、関係が進展するというのが乙女ゲームの鉄板だ。

しかしその「助ける」ポジションに、ゲームでは悪役なはずの主人公がなってしまっている。結果的に破滅フラグなど起きるわけもなく、男の子とゲームプレーヤーの関係が進展する代わりに、悪役主人公との仲ばかりが深まっていく。

ついにはゲームプレーヤーの女の子が悪役ヒロインに好意を持ってしまう。ゲームではありえないトンデモ展開だ。(笑)

総評:逆ハーレム

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会 

この作品はいわゆる「逆ハーレム」作品で、主人公がゲームの攻略対象キャラに好かれるという構図になっている。

しかもその主人公は本来なら「悪役」ポジションにいて、プレーヤーが操作する主人公キャラをいじめることで、他の男性キャラとの出会いや関係を深めるための道具となり、最終的に死ぬか国外追放される運命にある。

しかしこの作品では、悪役令嬢の人格がそもそも違っているため、血なまぐさい展開とは程遠い「平和なラブコメ日常アニメ」となっているところに面白さがある。

主人公は脳内会議で、破滅フラグを回避するための作戦を練りに練るのだが、そもそも「破滅フラグのフラグ」さえ起きる気配は無い。出てくるキャラはみんな主人公が大好きだ。

それに気づかない主人公は、将来国外追放になっても良いように畑仕事に精を出したり、いざというときに逃げる隙を作るために、婚約相手が苦手な蛇を模したおもちゃを投げる練習をしている。(笑)

本人にとっては死なないための至って真面目な行動も、他のキャラたちからしたら理解不能なヘンテコな行動にしか映らない。

しかしそれが結果的に、「カタリナ」というキャラの「お転婆」「人懐っこさ」を作り出す。

もちろんお転婆な行動が魅力の根本ではなく、しっかりと3話までの「準備ストーリー」が土台となっているから、主人公が好かれる理由に不自然さはない。

学園に入学してからも破滅フラグの「きっかけ」となるイベントは起きるが、破滅の予兆など一切ない。これはただの平和な逆ハーレムラブコメアニメだ。

男女問わずたらしこんで輪を広げていく。心が温まるようなハートフルストーリー。

悪役令嬢がいじめるはずだったゲームの主人公さえも、たらしこんでしまうお人よしぶり。

本当に良く出来た作品だ。3話までで主人公が好かれる土台を作り、4話以降本格的なゲームのシナリオに入った後でも主人公は変わらず能天気でたらしのまま、周りのキャラが自分を取り合っていることにも気づかない。(笑)

悪役令嬢の「本来の人格」との葛藤などがあっても面白かったかもしれないが、あくまで平和でハートフルな世界観を崩さずに貫いている。

12話という限られた尺の中でしっかりと流れが作れていたし、終盤に少しシリアスがありながらも、すっきりとした気持ちで観終えることができた。

作画も最後まで安定していたし、主人公を演じた内田真礼さんの能天気で少しアホっぽい演技も凄くハマっていた。

2期がすぐに決まるのも納得の面白さだった。

雑感:みんな大好き

©山口悟・一迅社/はめふら製作委員会 

このような乙女ゲームが題材となっている作品はどちらかというと、女性向けであることが多いのだが、この作品は男女問わず楽しめる作品となっている。

乙女ゲームと聞いて想像するようなねちっこい恋愛や略奪などは一切なく、一人の主人公を男女問わずみんなで仲良く取り合う、という平和なアニメになっている。

主人公の真っすぐな優しさで多くの悩める心が救われる。その時点で悪役ではないのだが鈍感な主人公は全く気付かない。

「悪役」なのに誰よりも主人公をしている。それが何より面白い。

転生モノのアニメは腐るほどあるご時世だが、このアニメが個人的に素晴らしいと思うのは「前世」の世界が描かれることだ。

ほとんどの転生アニメでは前世を置き去りにすることが多いが、もはやそれでは転生した意味がない。普通のファンタジーアニメと何ら変わりはない。

しかしこの作品では「転生というものがどんなものか」をしっかり描いている。主人公が前世でどのような人格で、どのような交友関係を持っていたのか。

主人公が死んだ後の世界で誰が悲しんだのか。

しっかり前世と転生後の世界で繋がりがあることで、そこにドラマも生まれる。

2期が早くも決定して期待感も高まっている作品なので、今のうちに触れておいて損はない。

逆ハーレムで先入観が生まれてしまう作品だが、「食わず嫌い」せずに観て欲しい作品だ。

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