アニメ

【2016アニメ】「はんだくん」アニメレビュー

(33点)全12話

書道の大家の息子にして、自らもその道で活躍する高校生書道家・半田 清。学校ではその近づきがたい佇まいから孤高のカリスマとして一目置かれているのだが、本人はそれを「嫌われている」と思い込んでいた・・・。TVアニメ「はんだくん」公式サイト

隠れカリスマのはんだくんが主人公のギャグアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (33点)
完走難易度 難しい

原作はヨシノサツキ先生。

監督は湖山禎崇さん。

制作はディオメディア。

メッタメタ

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

作品の導入となる1話から意味が分からない展開に目を丸くしてしまう。(笑)

主人公と思しき「はんだくん」という人物について、主人公の友達と思しきキャラたちがああだこうだ言い合う。

最終的にアニメ会社(ディオメディア)に喧嘩を売り、自作のアニメを作ったと思ったら、今度はディオメディアから白箱という完成テープを貰う。

そのテープをみんなで一緒に観て、そこからアニメ本編の「はんだくん」が始まるというメッタメタな1話冒頭になっている。

アニメ制作の裏側に踏み込んだ危うい発言を、誰かも分からないキャラたちがいきなりするという前代未聞すぎる始まり方で、笑いよりも戸惑いの方が大きい。

恐らくは他のギャグ作品と差別化を図りつつ、メタ的な発言でひと笑いを取り、その独自性で興味を引こうという工夫だろうが、狙いすぎて個人的には引いてしまう。

紹介も済んでいない名前すらも分からないキャラたちが、とりあえず「凄い」ということしか伝わらない「はんだくん」というキャラについて語るだけではなく、必要とは思えないアニメの裏側にまで突っ込んだセリフを吐く。

どんなアニメか全くつかめない気持ち悪さも相まって、正直しらけた気持ちにしかならない。

原作もこういった始まりなのかアニオリなのかは分からないが、どんなアニメかも分からない段階でメタ発言をしても一切笑えない。

1話後半

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

そんな感じでAパートはグダッった感はありつつも、Bパートでは「はんだくん」本来のストーリーになっており、そちらは普通に面白い。

はんだくんは有名な書道家の息子で、スペックが高く周りからも一目置かれているのに、その自覚がなく周りからの注目や接触を「いじめ」だと断定してしまっている。

本当は全てプラスの意味がこもっているのに、自分自身でマイナス面に変換して壁を作り、自分だけの世界を作り出す。

自分が思う自分と周りが思う自分。その乖離によって生まれる突飛な展開が予想不可能で面白く、どこに転ぶか分からない面白さがある。

だからなおさらAパートの必要性が分からない。Cパートでは再び白箱を鑑賞したキャラたちが「様子見の1話」「引きが良すぎる」とか感想を言い合うシーンがあり、結局アニメ制作はディオメディアに任せるというオチになる。

結局ディオメディアに任せるというオチなら、Aパートの制作会社に文句を言ったり自主制作したりするくだりは果たして何だったのか。やっぱりグダッた印象しかない。

せっかく「はんだくん」本来の面白さがしっかりあるにも関わらず、無理にメタ方向にもっていく必要はあったのか。作品について知らない段階だったこともあり、蛇足感は否めない。

ワンパターン

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

序盤こそ「意図していない方向に転ぶ面白さ」が楽しめるギャグアニメという感じだが、笑いの引き出しが少なく途中からややマンネリ化している。

毎話ごとにはんだくんを密かに思っている人物が登場する。

隣の席の女の子だったり、生徒会長だったり、本物を語る偽物だったり、陸上部のエースだったり、図書委員だったり、

彼らがはんだくんを想い、何とか視界に入ろうと明後日の方向に盛り上がる。

しかし、何とかはんだくんに気に入られようと行動するも、はんだくんはその行動を「自分のため」と捉えず、「やはり自分はいじめられている」と殻に閉じこもっていくのがお約束だ。

展開がワンパターンすぎて、中盤で早くも飽きが来てしまっている。

序盤の告白シーンであったすれ違いコントのような面白さはなく、特に思い入れの無いキャラが勝手に妄想して勝手に暴走していく。

序盤のどこに転ぶか分からないようなワクワク感もなく、オチが大体予想できてしまうので面白みがない。ギャグアニメとしては致命的だ。

差し置いて

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

さらにこのアニメは主人公のはんだくんを差し置いて進むことが多い。

基本的にはんだくん視点でストーリーが進むことはなく、はんだくんを想うサブキャラの視点で展開していく。

率直にサブキャラの視点など必要ない。いきなり登場したキャラがベラベラ喋る図には違和感しかなく、サブキャラの視点ではんだくんを持ち上げようとしているのかもしれないが、逆にはんだくんを差し置く格好になってしまっている。

あくまで主人公ははんだくんなのに、周りが持ち上げることで立場が上がっていく。「はんだくんの行動によって周りが動かされる」という構図ではない。

序盤の告白の下りでは、私たち視聴者含めたギャラリー全員が、はんだくんの一挙手一投足に注目し、はんだくんがどう危機を乗り越えるのかという面白さがあった。

告白されて返事をするために校舎裏に向かうはずが、自分がいじめられっ子だと勘違いしているはんだくんは、集団リンチされると勝手に妄想し、とりあえず告白してきた女の子の名前を仲の良い友達に聞こうと手紙を渡す。

しかしその手紙の内容を勘違いした友達が、「はんだくんが実は自分のことを好きなのでは?」と勘違いして、校舎裏での友達の告白を邪魔する。

その邪魔を仲間割れだと勘違いしたはんだくん。最後はなぜかはんだくんに友達の大切さを諭され、青春アニメっぽく友情を確かめ合って終わるという、意味の分からない展開が面白かった。もちろん褒め言葉だ。

しかしなぜか「半田君を好きな人視点」で物語が進むようになってからは、はんだくんの凄みは間違いなく半減してしまっているし、「半田軍」という謎の親衛隊もただのストーカーでひたすらに寒い。

勝手にはんだくんを神格化し、距離が遠のいている感じもある。

こっちははんだくんのカッコ良さが見たい。実はポンコツだけど周りが「凄い」と勘違いしていく過程が見たい。はんだくんを周りが勝手に神格化していく展開も良いが、もっと積極的に関わって会話してトンデモ展開を見せて欲しい。

9話に至っては、はんだくんの担任の先生視点で始まり、前触れもなくカエルの解剖の授業がしたいと校長に直訴し、解剖で興奮を覚えるという特殊性癖を暴露する。もはや何のアニメか分からない。

総評:迷走

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

「はんだくん」というタイトルなのにはんだくんの影が薄い。

序盤こそはんだくんの一挙手一投足に注目してしまうようなワクワク感があったが、中盤以降ははんだくんそっちのけのストーカーたちのどうでもいい行動ばかりで、もはやタイトル詐欺だ。

どうでもいいキャラ視点で物語が進み、結果的にはんだくんの立場が勝手に上がっていく。

はんだくんが何を考えて何を話して誰と関わってどんなオチになるのか。はんだくん視点でないなら「はんだくん」というタイトルである必要はない。

はんだくんを差し置くだけの魅力があるキャラがいて、はんだくんへの過剰な愛を向けるそれなりの理由があるなら、主人公を差し置いてそのキャラ視点で進んでも、それほど違和感はないかもしれない。

しかし、どのキャラもはんだくんとの関わりは驚くほど薄い。

なのに勝手に神格化して崇拝して暴走しているのは、端から見ればそれはギャグではなく「迷走」としか映らない。

とはいえ、温度差を生むような方向性は素直に面白いと感じる。

周りがはんだくんのことを思ってやった行動が結果的にはんだくんの誤解を生み、はんだくんの心はどんどん遠のいていく。

押し花の回やストーカーの回など、しっかりとオチがついた回もあり、ギャグアニメとして楽しめる瞬間もあった。

またツッコミ役がいることでボケの異常性がしっかりと際立ち、半田軍の異常な思考や行動が笑いに変換されるシーンも少なからずあった。

だがギャグアニメの体はギリギリ保っているとはいえ、やはり「はんだくん」というアニメではんだくんのセリフが少ないのは違和感しかない。

同じ系統の作品で「坂本ですが?」という作品があるが、そっちでは主人公の坂本くんがスタイリッシュな行動でどんな危機も乗り切るという面白さがあった。

坂本くんの個性がしっかりと際立つことで、サブキャラ視点で進むシーンがあっても、「坂本くんがどう絡んでくるんだろう」という期待感もあった。

もちろん他作品と比べることはご法度だが、「はんだくん」というタイトルにも関わらず、はんだくんの良さが消えてしまっているのは残念だ。

はんだくんの周りが勝手に暴走しているだけで、はんだくんが周りを巻き込んでいく構図になっておらず、はんだくんの個性が伝わりにくい。

はんだくんを祭り上げるサブキャラたちも使い切りの感が強く、何度か登場するキャラもいる反面、一度出た切り登場しないキャラもいる。線引きも良く分からない。

むしろ1話で出て来た2人の顔面偏差値凸凹コンビこそ、何度もこするべき個性を持ったキャラだと思ったのだが、最後にお情けで出番をもらっただけ。

どうでもよいサブキャラを追加するくらいなら、狭いコミュニティでも、はんだくんと取り巻きのやり取りや事件をもっと描いて欲しかった。

雑感:もったいない

©ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・はんだくん製作委員会

はんだくんがもっと活躍することを期待して観始めたが、肩透かしを食らってしまった。

1話冒頭のメタ回であれほどはんだくんの凄さを語っていたのに、実際にはサブキャラたちのどうでもよいモノローグや会話ばかり。

1話のメタ展開も一体何だったのか。私には「メタをやっておけば面白くなるだろ」くらいの適当な思惑しか見えなかった。

はんだくんが「とりあえず凄い」というのは分かったが、結局はんだくんを芯から好きになることはできず、一体何を目指したアニメなのか分からないまま終わってしまった。

ボケとツッコミがあって、はんだくんという強烈な個がいるのにそれを活かせない。本当にもったいない作品だった。

最終話の終わり方からして、2期でははんだくんの違う一面が見られそうだが、1期から4年経っていることを考えるとほぼ絶望的だろう。

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