2020年

【2020アニメ】「ひぐらしのなく頃に業」アニメレビュー





(66点)全24話

都心から遠く離れ、色濃く残る自然に囲まれた集落──雛見沢村。かつて、ダムの底に沈むはずだった村は、今もなお昔と変わらない姿で、転校生・前原圭一を迎え入れる。都会で暮らしていた圭一にとって、雛見沢の仲間と過ごす賑やかでのどかな生活は、いつまでも続く幸せな時間のはずだった。一年に一度行われる村の祭り、綿流し。その日が来るまでは…。昭和五十八年、六月。ひぐらしのなく頃に。日常は突如終わりを告げ、止まらない惨劇の連鎖が始まる──。TVアニメ「ひぐらしのなく頃に業」公式サイト




大人気アニメのリメイク版

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (66点)
完走難易度 難しい

原作は竜騎士07/07th Expansion。

監督は川口敬一郎さん。

制作はパッショーネ。

リメイク

©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

大人気アニメ「ひぐらしのなく頃に」のリメイク版だ。

もはやアニメ好きで知らない人はいないであろう超人気タイトル。

原作は記憶が正しければコミケで発売されたPCゲームが起源だった気がするが、とにかく、原作は「竜騎士07」というこちらも超が付くほど有名なクリエイターが手掛けた作品だ。

最初の無印のアニメ化は2007年。2期が翌年に放送され、合わせると4クール分にもなる大ボリュームアニメとなっている。さらにOVAも何シリーズかあり、全てを網羅しようとすると、とてつもない根気と体力といろいろなものが必要になる。(笑)

時を越えて13年後の2020年。もはやコンテンツは終了したと思われていたが、驚愕のリメイクアニメの製作発表。そして放送。ファンとしては至上の喜びだ。

だが知っての通り、生易しいアニメではない。一言で言えば凄惨。救いのない死の連鎖。ごりっごりのサスペンスアニメだ。

キャラデザに似つかわしくないグロの連続。平和な日常から一転…というテイストになっている。

特にパッショーネによる丸っこいデザインとは対極に位置する世界観となっている。端的に言えば血がビュービュー出る。

「それの何が面白いの?」と思われるかもしれない。実際に僕もアニメを観る前はそう思っていた。だが一度観始めたら間違いなく止まらない作品だ。

というのも、ミステリーとサスペンス要素がかなり強い作品で、グロはその副産物でしかない。

真実に迫る。それが作品の大きなコンセプトになっている。事件の陰には黒幕が存在しているということだ。

その黒幕に少しずつ近づいていく。その緊張感がたまらない。グロなんか気にしないほどのスペクタクルに自然と飲み込まれていく作品だ。

リメイク版となる今作でも世界観は引き継がれ、リメイク版とは銘打ってはいるが、ところどころ差異が見られるストーリーとなっている。

大枠はダム工事。反対運動。綿流し。雛見沢症候群。あんまり変わらない。

しかし、羽入が1話から登場したり、部活が行われなかったり、未来に起こるはずの悲劇がフラッシュバックしたり。1期とは違う展開を見せている。

だが正直あまり気乗りしていない。(笑)

ひぐらしを観るためには、心をすり減らす準備をしなければいけない。メンタルが消耗しているタイミングでこのアニメを観たら、1週間は心を閉ざしてしまうだろう。

うまく完結したものを、13年越しに今更どこをどうアニメ化するのか。楽しみではあるものの、少し疑念はある。

鬼騙し

©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

ひぐらしは大体4話完結タイプのアニメになっている。

1期の最初の4話は「鬼隠し編」だったが、今作では「鬼騙し編」となっている。

少しずつ展開も変わっている。大石さんと遠出したり、魅音が圭一を疑わなかったり。1期ではレナが家に来た時に門前払いをした圭一が、今作では家に招き入れてしまったことで悲劇に繋がっている。

鬼騙しで衝撃的というか、笑ってしまったのは圭一とレナのバトルシーンだ。(笑)

圭一がレナに包丁でめった刺しにされるというシーンなのだが、伊藤誠もびっくりなほど馬乗りでめった刺しにされ、出血しているにも関わらず、普通に目を開けて正気を保っている。(笑)

圭一は結局、病院で目を覚まし一命を取り留めるのだが、包丁でめった刺しにされながら生き残るしぶとさは一体どこから来たのだろうか。(笑)

少し面白アニメになっているように思えなくもない。キャラデザと一緒に「恐怖」も緩和され、より観やすくなっているという印象だ。

張り詰める緊迫感が少し薄れてしまっている。あのキャラデザとあの作画とあの展開だからこそ生まれていた緊迫感が、リメイク版にはあまり感じられない。

とはいえ、まだ最初の4話が終わっただけなので、ここからどう盛り上がっていくのかをしっかり見ていきたい。

祟騙し

©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

第2部は祟り騙し編。こちらも少しずつストーリーが変わっている。

まず1期では大きな分岐点となる圭一がレナに人形を渡すシーンで、圭一は初めから魅音に人形を渡している。

魅音を女の子扱いしなかったことが詩音暴走の1つのきっかけになる。記憶が正しければそんな感じだ。

確かに、1期とは違う展開で起こる惨劇もだいぶ変わっている。だがつくづく2回観る作品ではないというのが正直なところだ。

キリキリと胃が痛むこの感覚。そこに重なる既視感。心の底から楽しめていない自分がいる。

しかも特にひぐらしとなると、書くことが途端になくなる。なぜならネタバレ厳禁の筆頭のような作品だからだ。

大局で見れば1期と変わらない。しかし話の流れや着地点が大きく異なっており、1期とどこが違うのかを探せる楽しさはある。そんな感じだ。

総評:うーん

©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

1期とは違う展開を見せていて、新鮮味があって面白い。

そう思う気持ちは反対に、蛇足感が最後まで抜けなかった。

ひぐらしは1期と2期で綺麗に完結している。OVAもいくつか作られて、温かい日常も凄惨な事件も正直お腹いっぱいになっているし、今後お腹が空くことは多分ない。

13年越しで、少しはまっさらな気持ちで作品と向き合えるかと思いきや、既に自分の中でのひぐらしは終わっていたようだ。

初見の衝撃があまりに大きすぎたこともあるかもしれない。僕が最初にひぐらしを観たのは、アニメを観るようになってすぐのこと。

アニメ初心者の段階で、アニメが何たるかも知らない段階で触れたもんだから、ひぐらしの熱はそこで一気に使い果たしたし、満足した。だから今更別の世界線だろうと、視点が変わろうと、心にイマイチ響かないのかもしれない。

圭一たちが疑心暗鬼になって憎しみあって殺し合う光景など見たくない。単純にそう思っている。

とはいえ、終盤の展開は無印とは全く異なる展開を見せており、新しい「ひぐらしのなく頃に」という作品の顔を見ることができた。

まあこれも詳しく書けないのがもどかしいが、キーワードは「記憶の集積」だろうか。

別の視点で別の角度で別の目的でストーリーが進んでいる。「なるほど。そう来たか。確かにそこなら広げようがあるな」という新鮮な驚きと、さらなる続編「卒」へ期待できる内容になっている。

期待外れな部分もあり、期待通りのオリジナルなシナリオも楽しむことができたので、おおむね満足だ。

作画の違和感もすぐに取れた。丸っこいデザインも悪くはない。「令和版」ひぐらしのなく頃にだ。

13年経ってもキャストの声は全く変わっていない。中原さんも、保志さんも、ゆきのさんも、田村さんも、かないさんもみんな若々しい声を保っておられる。それが一番の驚きかもしれない。(笑)

シャウトしたり絶望したり泣いたり喜んだり。感情が忙しいアニメなので、他の作品よりも圧倒的に大変な現場だったに違いないが、見事に感情の起伏を声で表現されており、演技の方でも夢中にさせてくれた。

雑感:乗り越えた

©2020竜騎士07/ひぐらしのなく頃に製作委員会

よくぞこの凄惨な地獄を乗り切ったと自分を褒めたい気分だ。(笑)

24話。毎度のように訪れる悲劇。ショッキングな描写。大好きなキャラクターたちがぼろ雑巾のように当たり前のように死んでいく光景は、やはりメンタルに来るものがある。

視聴前から全く乗り気ではなかったが、ファンの意地で最後まで観た。そして、間違いなく観た甲斐のある作品だった。

後半のどんでん返しと、とあるキャラクターの妄執に憑りつかれた暴走。さらに無印のひぐらしから繋がる伏線。

黒幕を追うひぐらしとは違い、「業」の終盤からは、とあるキャラクターが大望を果たすための新たな輪廻となっている。

続編となる「ひぐらしのなく頃に卒」はどうやら2021年夏から放送されるらしい。1クールなのか、はたまた2クールなのか。

どちらにしても間違いなく「卒」とある通り、続編をもって、ひぐらしは正真正銘の最後となるのだろう。

さらに広げようはあるかもしれないが、これ以上広げすぎても、無印の価値を貶めることにもなりかねない。良い思い出は良い思い出のまましまっておく方が良い。

ひぐらしの無印をいきなり観ろとは言わないが、気になる人は無印から視聴することをオススメする。

もしめんどくさくても、「業」単体でも十分楽しめる構成にはなっているので、興味がある人は観て欲しい。




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