2011年

【2011アニメ】「アイドルマスター」アニメレビュー





(88点)全25話

アイドルマスター アニメ化決定!きらめく舞台(ステージ)はさらなる高みへ!アイドルプロデュースゲーム「アイドルマスター」が待望のTVアニメ化!

2005年7月、ゲームセンターのアーケード版から、その第一歩を踏み出した『アイドルマスター』。
プロデューサー(=ゲームのプレイヤー)の皆さんからの熱い応援に支えられた『アイマス』は、それから毎日夢に向かって進み続けた。
漠然とじゃない、意図的なその歩みは瞬く間にアーケードからXbox 360、そしてPSPやニンテンドーDSへと広がっていき、ゲーム業界を席巻していった!

そしてその夢の舞台はジャンルという垣根を越えて、ついにテレビアニメ界へと進出!

今日これから始まる『アイマス』の伝説!!
ノンストップで進行中のアニメ『アイドルマスター』。

原作ゲームの世界を再現し、765プロダクション所属のアイドル達の活躍と成長の物語をお届けいたします!!

全国のプロデューサー達の熱意を一身に背負う彼女たちは、TVアニメという新たな舞台でもいっぱいいっぱい輝きます!!TVアニメ「アイドルマスター」公式サイト




アイドル達の活躍と成長を描いた青春アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (88点)
完走難易度 易しい

原作はバンダイナムコゲームズ。

監督は錦織敦史さん。

制作はA-1 Pictures。

アイドル

©BNEI/PROJECT iM@S

このアニメはアイドルを目指す少女たちを描いた青春アニメだ。

数々のアイドルアニメがある中で、この「アイマス」はアイドルアニメの原点ともいえる存在で、「デレステ」というアプリゲームが爆発的な人気を博しているのは周知の通りだろう。

何シリーズかあるアイマスの中でも、この無印は2011年に放送された作品で、駆け出しのアイドルがプロデューサーの助けも借りながら成長していく物語だ。

「プロデューサーが登場する」というところが意外と肝になっており、他のアイドルアニメでは矢面に出ることが少ないプロデューサーが、アイドルと二人三脚で一緒に歩んでいくという構図なのも面白い。

みんな新人。誰一人プロはおらず、みんな未熟で見習い人。

だからこそ横一線で手を取り合い、妥協をせずに努力を重ねるという熱い青春物語が必然的に生まれる。足の引っ張り合いなどは一切ない、曇りなき熱い青春アニメだ。

分かりやすく個性がある点も特筆すべきで、1話まるまるキャラの紹介のために使われるから、キャラの中身が飲み込みやすい。

1話はカメラマンの視点からインタビュー形式。

765に所属するアイドルたちの名前、性格やアイドルについての認識など、幅広いことを知ることが出来る。

それぞれ抱える事情は違い、アイドルに対する考えも違い、お世辞にも同じ方向を向いているとは言えない。

だがそれがこのアイマスの良さでもある。アイドルとは仲良しこよしではなく、本来は自分の個性を売る仕事だ。

分かりやすい個性があることで今後生まれる人間ドラマに期待が膨らみ、あっという間に世界観に引きずり込まれる。

導入が丁寧すぎるほど丁寧に作られており、アイドル12人の中に放り込まれた「逆紅一点」プロデューサーが年頃の少女たちを相手にどう振る舞っていくのか、1話から興味は尽きない。

個性

©BNEI/PROJECT iM@S

アイドルをやる上では自分の個性を見極めることは必須だ。

2話は宣材写真を撮る回になっており、無理に背伸びをしてセクシーな衣装を着ようとする女の子が自分らしさに気づく。

背伸びをして他の人がしていることを真似しようとして失敗する。それは見ようによっては幼く見えるが、大人でもよくあることだ。

他の人の真似をして上手くいくこともあるが、激戦のアイドル界隈において、他の人の真似をして売れても大して価値はないだろう。

自分らしい振る舞いや衣装を見つけることで、自分だけの輝きを見つけることが出来るし、個性を発揮して初めて、アイドルとしての居場所を作り出すことが出来る。

それに気づいた女の子たちはアイドルとして一歩成長したと言える。

決して人生経験が豊富な大人が諭すわけでもなく、誰かの力を安易に借りるわけでもなく、新人でまだ経験も浅いプロデューサーが同じ目線で相談に乗って一緒に考える。

みんなで考えて悩んで答えを見つけて進んでいく。他人を蹴落とすようなこともしない。真っすぐに自分らしさを見つけていく。これぞ青春アニメだ。

苦手

©BNEI/PROJECT iM@S

アイドルをやる上で避けては通れない苦手の克服。

ステージで歌ったり踊ったり。スポットライトを浴びるような仕事だけがアイドルではない。いろんな仕事を幅広くマルチにこなす時代だ。

とある女性恐怖症を抱える女の子は、近くに男性がいるだけで逃げてしまうほど重症で、ステージに上がるのもままならない状況に陥ってしまう。

しかし、プロデューサーと仲間の言葉で何とか自分を奮い立たせた女の子は、新しい自分を即席で作り出し、精一杯の姿でステージに上り、パフォーマンスを成功させる。

苦手なものと向き合うというのはツライことだ。できないことに向き合うストレスはよーく知っている。そんな苦手を仲間、そしてプロデューサーの力も借りながら乗り越えていく。

4話では同じく歌で道を切り開いてきたアイドルが、苦手な料理、そして「自分が本来やりたいこと」と「アイドルとしてやらなければいけないこと」のジレンマで葛藤をする。

アイドルとして生きていく以上、「何でもやる」が現代のアイドルのあるべき姿と捉えられている節がある。料理、バラエティー、リポート。多岐に渡る仕事をマルチにこなさなければならない。

歌でしか自分を表現できない女の子は、料理番組の出演に乗り気になれない。

苦手な料理で、しかも自分が培ってきた武器を捨ててまで周りに溶け込んで、違う自分を表現しなければならない。

しかし女の子は自分の得意な歌を封印して、苦手な料理と必死に向き合うことで番組を成功させる。

仲間も、そしてプロデューサーも決して「やりたくないことでも、のし上がるために我慢してやれ」などと、心に全く響かないようなありきたりなことは言わない。

プロデューサーは苦手な料理が得意な歌に繋がると無垢に信じて、あくまで責任を自分が被る姿勢を崩さない。

仲間のアイドルは料理を美味しくするために大切な「心」を歌に例えて女の子を鼓舞し、一緒に頑張ろうと励ます。

何かを諭して苦手を「克服させる」のではなく、等身大の言葉で心に訴えかける。セリフ選びの巧みさが、このアニメの素晴らしさを一層際立たせる。

苦手を克服しようと一生懸命頑張る女の子を応援したくなるのはもちろん、それと同じくらい仲間のアイドルの女の子や、プロデューサーのことも自然と好きになっている。

足並み

©BNEI/PROJECT iM@S

序盤ではどちらかというと「チーム」としての成長が描かれている。

一緒に苦労を経て、一緒に頑張って、一緒に乗り越える。楽しいことも辛いことも皆で経験する。

しかし6話あたりから風向きが変わり、チームとしてではなく、より「個」に近くなったユニット単位での活動が増えていく。

これもまたアイドルの宿命。みんなが揃って大活躍とはなかなかいかない。

あくまで「765」は事務所であり、グループではない。徐々に事務所内のアイドル間で仕事の量に差が付き始める。

もちろんそこで足の引っ張り合いが始まるわけではない。シリアスになりそうなところでも比較的明るい雰囲気が維持されている。

人気に差が付き始めたことで今度は「プロデューサー」の焦りという別の問題が噴出する。

アイドルアニメでダメダメなプロデューサーが失敗する。本当はアイドルを導く立場の人間までも未熟な姿を晒す。

確かに頼りなさはあるが、一生懸命頑張って空回りする姿は等身大で愛おしい。

アイドルだけではなくプロデューサーまで丸ごと愛せるのは、アイマスならではないだろうか。

仕事量でも差が付き、技能の面や方向性でも足並みが揃わない。12人いるので誰もが違う個性を持っていて、方向性が異なるという現象も当然と言えば当然だが、そこら辺にもしっかりスポットが当たる。

ダンスが苦手な子がいてなかなか練習が進まなかったり、竜宮小町という3人ユニットに入るために一生懸命頑張っていた女の子が、どんなに頑張っても竜宮小町に入れないと分かり、方向性を見失ってしまったり。

それぞれが抱える気持ちや目指す場所、なりたい自分、得意不得意。全てが違う女の子が集まった中で徐々に噛み合わなくなっていく。

激増

©BNEI/PROJECT iM@S

仕事が全くなかった序盤から翻って、中盤以降は仕事が激増していく。

765ライブの成功がきっかけで世間での認知も広まり、事務所のアイドル全員が自分たちらしい仕事と向き合えるようになる。

序盤の苦労があってこその成功といえる。なんとなく成功したわけでも、努力をせずに成功するなんてことはもちろんなく、それぞれが苦手なことにも一生懸命向き合い、努力を惜しまなかった成果だ。

苦手なことにも向き合うこと、仲間と手を取り合うこと、誰かを頼ること、仲間を信じること、勇気をもって踏み出すこと。

それぞれが大切なことに気づき、アイドルとして一皮剥け、夢に向かって邁進していく。

個別のエピソードでそれぞれのキャラの内面を掘り下げ、仕事に精一杯向きあう真摯な姿が描かれる。

序盤の苦労があってこそ、夢を着実に叶えていく彼女たちの姿は一層まぶしい。

総評:丁寧

©BNEI/PROJECT iM@S

非常に丁寧な流れで作られている作品だ。

尺が24話あるということは余裕がある反面、尺を持て余してしまうこともあるが、このアイマスに関しては1話1話が意味のあるエピソードになっており、回を追うごとに確かに前進している。

最初は仕事が全く来ない無名事務所の無名アイドルたちが、小さな仕事、本意ではない仕事を通して、自分と向きあい、仲間と向き合うことで共に乗り越える。

決して誰かを説教したり高圧的に振る舞うことは無い。同じ事務所の仲間として同じ目線に立ち、共に学ぶ立場として共に成長していく。

アイドルだけではなく、成長するのはプロデューサーも一緒。そこが何ともアイマスらしい。

25話かけてじっくりと個別のエピソードで掘り下げる。それぞれにどんな動機があってどんな性格で、何を得意として何を苦手としているのか。

それぞれが仲間のために行動できる優しさを持っていて、困っている仲間に手を差し伸べて自分を弱く見せる「強さ」を持っている。その中でもしっかりとした十人十色の個性があり、愛さずにはいられない。

みんなで頑張って夢を追う。何とも真っすぐでまぶしい青春アニメだろうか。大人になった今だからこそ響く作品だ。

中盤のシリアスシーンでは「ジュピター」なる他の事務所の男子グループが、765にちょっかいを出してきて、雑誌の表紙が変わるというハプニングが起きる。

初めて足を引っ張る存在が現れる。夢を追う過程では必ず現れるお邪魔虫だ。

しかしそんなお邪魔虫すらも乗り越えていく。最初はひ弱だったメンバーが力強く前を向く姿には感動すら覚える。

気付いたらメンバーのみんなが好きで、どんな風に活躍していくのかを見届けずにはいられなくなっている。すっかり作品の虜になっている。

アイドルらしい可愛さもあり、色とりどりの個性がもたらすストーリーは秀逸で、プロデューサーと二人三脚で歩んでいく世界観は唯一無二だ。

伏線を使った構成も素晴らしく、中盤あたりで少しダレた感もある中で、そこを少し抜けると序盤の伏線を回収するようなちょっぴりシリアスなエピソードが始まる。

歌が得意な女の子の過去だったり、プロデューサーのアイドルへの心残りだったり、まだ掘り下げられていないメンバーの過去だったり。

序盤に出した伏線を、一旦アイドルとしての躍進を描くことで寝かせ、「ああそんな描写あったよな」と思い出せる範囲のタイミングで核心を突く。

歌が得意な女の子は高校生なのに一人暮らし。両親は離婚。弟と思わしき子と映っているツーショット写真。

意味ありげなシーンが序盤でくりぬかれ、なかなか明かされてこなかった部分に、終盤でようやく触れる。

彼女は過去の弟との出来事を打ち明け、これ以上歌は歌えないと心を閉ざしてしまう。

しかし主人公の支えもあり、仲間の助けもあり、声が出ないという精神的ストレスから解放される。

声を失った彼女が声をステージ上で声を取り戻す瞬間も感動の名シーンで、弟が見たい笑顔のために、傍にいてくれる仲間のために。いろいろな思いが籠った歌に思わず涙腺が緩んでしまう。

更に並行して765の邪魔をする黒井事務所との不和が描かれ、終盤に向けていろんなことがピークを迎えていく。

黒井事務所の横やりが結構エグく、勝手に雑誌の表紙をすり替えたり、撮影中の他事務所の女の子を山奥に捨ててきたり、765の出番のときだけ音響が壊れたフリをさせたり。

悪徳社長が裏で手を回して、あの手この手で765を貶めようとしてくる。

しかしそんな大人の圧力にも屈せず、自分ができることを精一杯やることで自分たちの力で居場所を守る。

最終的に痛い目を見るという勧善懲悪は果たされず、あれだけゲスいことをやっておいてスッキリしない部分はありつつも、しっかりと悪は滅びる。

1人ずつスポットが当たっていって、最後に出番が回ってくるのが主人公。

主人公はそれまで仲間が苦しんでいる時に真っ先に手を差し伸べ、持ち前の明るさと不器用さで、仲間に道しるべを示した765のリーダー的存在。

そんな彼女は何よりも仲間の絆、仲間との時間を大切にする。仕事が激増してスケジュールが合わなくなってしまったことで、主人公は一番に求める「仲間との時間」を得られなくなってしまう。

そして主人公は自分が何のためにアイドルをしているのかを見失ってしまう。

一度立ち止まったときに彼女は、自分が子供の頃描いたアイドルの夢を思い出し、再び集まった仲間とともにステージで最高の時間を過ごす。

最初から最後まで線で繋がっており、12人もキャラがいるのに誰一人あぶれることなく、全員に等しく出番があり、全員に等しく個性や等身大の悩みがあって、全員が仲間想いの優しい女の子。

プロデューサーにもスポットが当たり、新米プロデューサーが未熟なりに必死に頑張り、常に自事務所のアイドルのために行動する。

元アイドルのプロデューサーも、アイドルとして再び舞台に立つことで未練を払拭する。

元アイドルのプロデューサーは元アイドルという肩書きが序盤で紹介され、竜宮小町をプロデュースしたときも、全員で竜宮小町のライブ映像を観ている時にふと悲しい表情を見せる。

セリフを発さなくても何を考えているのかが伝わるような演出。終盤に繋がる伏線。

作画は少し崩れ気味な感じはあったものの、最後まで安定して可愛かったし、声優さんの演技も素晴らしかった。

アイドルアニメらしい可愛らしさと、年頃の女の子らしい真っすぐさ。そして仲間との絆。これぞ青春アニメというまぶしさがたくさん詰まった素晴らしい作品だ。

雑感:アイドルアニメ

©BNEI/PROJECT iM@S

アイドルアニメの礎を築いたのは、恐らくこの「アイマス」ではないだろうか。

今でこそいろんなアイドルアニメがあるが、当時2011年は斬新な世界観のアイドルアニメという触れ込みで発表されていた記憶がある。

現実のアイドルではなく2次元のアイドル。

現実のアイドルのように完成されたものではなく、表舞台に立つ前の未完成のアイドルをアニメとして表現する。

駆け出しのころから積み重ねていき、個人としてもグループとしても成長していき、序盤からは想像できないような大きなステージでパフォーマンスを披露する。

そんなシンデレラストーリーが25話に詰まっている。年頃の女の子らしい葛藤があり、夢に向かって一緒に頑張る姿があり、夢を阻む大人の存在もある。

青春を凝縮したアイドルアニメ。原点にして頂点。そう言っても差し支えはない。

9年前のアニメなので少し古いが、ぜひ至高のアイドルアニメを堪能してみて欲しい。




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