2021年

【2021アニメ】「弱キャラ友崎くん」アニメレビュー





(82点)全12話

友崎文也は、日本屈指のゲーマーながら現実ではぼっちな高校生。“人生はクソゲー”だと言い切る彼が出会ったのは、学園のパーフェクトヒロイン・日南葵だった。「この『人生』というゲームに、真剣に向き合いなさい!」人生ははたしてクソゲーか、神ゲーか?日南の指導のもと、弱キャラ高校生の人生攻略が幕を開ける!TVアニメ「弱キャラ友崎くん」公式サイト




弱キャラ高校生の人生攻略を描いたラブコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (82点)
完走難易度 超易しい

原作は屋久ユウキ先生。

監督は柳 伸亮さん。

制作はproject No.9。

弱キャラ

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

ゲームでは強キャラ、人生では弱キャラの主人公が、人生でも強キャラになるために奮闘するストーリー。

某大乱闘系のゲームでは日本一を誇る主人公が、ある日、日本2位のライバルとオフ会で会い、なんと、クラスメイトのマドンナだったことが発覚するところから物語が始まる。

弱キャラで目立たない主人公がリア充を目指す。きっと多くの人の心に、いろんな意味で刺さる作品ではないだろうか。もちろん私にもだ。(笑)

いわゆる陰キャの主人公はゲーム三昧で、学校に行っても友達はおらず、机に突っ伏している。

しかし、家に帰ってコントローラーを握ればゲームでは無双状態。現実とゲームでの自己のギャップを出発点に、そこからの変化や成長を描く。

同じくヒロインも、学校では才色兼備の完璧ヒロイン。しかし、裏ではゲーマーの顔も持ち、神ゲーはとことんやり込む生粋のゲーマーだ。

お互いに共通点を持つ2人が出会い、共鳴し、主人公のリア充になるという目的のために手を取り合う。

ゲームと現実世界の両輪がしっかりしている作品だ。ゲームでは最強、現実では最弱。かたやヒロインは、ゲームでは次点に甘んじるも現実では圧倒的に最強。

ゲームと現実。どちらが劣ってどちらが優れているとかの話ではない。ゲームをやり込んでいるから負け組で、人生を謳歌しているから勝ち組というシンプルな二分でもない。

ゲームと現実世界は本質的には「一緒」。やりもしないでクソゲーと決めつけるのはゲーマーの風上に置けない。ゲーマーの端くれなら、一度本気でプレイしてから判断するべきだ。

そこが斬新で面白い。某ネトゲ嫁アニメでも、現実とゲームの世界は分けて考えられている。

ヒロインはゲーム内での主人公が好きであって、現実の主人公が好きなわけではない。現実とゲームの境界線のあいまいさが描かれている。

しかし、この作品では「ゲームで最強なんだから現実でも行けるっしょ」的なノリで描かれている。ゲームも1つの世界で1つの自己として捉えている。

現実の自分だけが本当の自分ではない。ゲームも本質的に現実と同じ。ならば操作するキャラクターも、もう1つの自己として捉えることができる。ヒロインはそう考え、現実という神ゲーにとことん向き合っている。

人生にどういった結論をもたらすのか。主人公は果たしてリア充になれるのか。純粋に先が気になる1話だ。

ヒロイン

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

このアニメのヒロインは一風変わっている。

決して手の届かない高嶺の花。幼馴染。偽の婚約者。そんな枠組みに囚われない新しいラブコメヒロインだ。

主人公を見下ろすことも、不自然に主人公と同じ目線に立つこともしない。「みんな俺を仲間外れにするけど、あの子だけは不自然に自分に優しい…もしかして…」という雰囲気ではない。

本当の陰キャは陽キャの女の子に見向きもされない。身も蓋もない言い方にはなるが、ラブコメアニメでよくある「陰キャの俺にも可愛い幼馴染が…」とか「クラスのマドンナが急に…」とかはない。

完全な孤独。それが真実だ。そんな陰キャと美少女がお近づきになるなんて、それこそアニメの世界でしかありえない。

しかし、この作品はアニメの常識を打ち破るように、ゲーマーという等身大の姿で、最初から違和感なく、主人公と同じ目線で、主人公の気持ちを理解できるポジションとして登場する。

主人公と同じく、好きなゲームには熱中して、強くなるために研究して努力する。ゲームに対する価値観において、主人公とは通ずるものがある。

従来のラブコメだったら多分、初めてオフ会で会った時のヒロインの反応はこうだろう。

「え?もしかして〇〇くん!?嘘…いや、これは違くて…」と狼狽するか、「え?もしかして〇〇くん!?憧れのプレーヤーがまさか〇〇くんなんて…」とハートを撃ち抜かれるか。

勝手な妄想をすればこんな感じだろう。どんなルートにおいても、ヒロインは絶対に「ヒロインっぽい」反応をする。

だがヒロインは初対面の主人公に対して「こんなうだつの上がらない奴が憧れのnanashi(主人公のゲームでの名前)かよ…」と露骨にガッカリしている。

それに留まらない。ゲームを現実の1つとして捉え、主人公に「人生というゲームを本気でプレイしろ!」と発破をかけている。

だからいわゆる一般的な、いかにもラブコメ風な正ヒロインではない。主人公と同じ目線で主人公を応援する。むしろ「親友」のような立場と表現した方がしっくりくるくらいだ。

典型的なラブコメ&ハーレム作品ではない。気になる伏線もあり、どんどんこのアニメにのめり込んでいる自分がいる。

真の陰キャ

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

このアニメの主人公は真の陰キャだ。陰キャに真も何もないのだが、アニメで描かれる一般的な陰キャを想像してもらえば、現実と比較して、どれだけ饒舌か分かることだろう。

特に某ボッチ系アニメのひねくれ主人公は、ボッチ陰キャを自称する割に、普通にクラスメイトと会話をし、気の利いたこともサラッと言うことができる。

しかし、このアニメの主人公は会話もままならない。女の子に話しかけられても当たり前のことしか返せない。会話が転がらない真の陰キャだ。

共感性がかなり高い主人公だ。何気ない会話が一人歩きして、話す予定のない人とまで話すことになったりとか、話す気がないのに話しかけられて口ごもったりとか、会話の途中で何か言わなきゃと焦って的外れなことを言っちゃたりとか、知らない人と話すのにド緊張したりとか。

陰キャの頑張ってる感を的確に表現している。リアルな陰キャに近い主人公だから他人事とは思えない。

そして、陰キャ特有のスキル「しゃべってみると案外普通」もしっかり発動している。(笑)

陰キャは大抵話すと普通に会話ができる。面白くはないかもしれないが、陰キャは普段読書やゲームやアニメなどで1人の世界を堪能しているので、他人の価値観に染まっておらず、ボキャブラリーや知識は無駄に豊富なことが多いので、自分の考えや話題を提供することに意外と事欠かない。

主人公は自分の考えを、周りに流されずにはっきりと言うことができる。周りに流されない。陰キャはそれを美徳としている節もある。(笑)

主人公は自分の考えをさらけ出すことで、実際にコミュニケーションをとることで、会話がどういうものなのか、会話を盛り上げるためにはどうしたらいいのかを、肌感覚で徐々に知っていくことになる。

日進月歩。いきなり話せるようになることなどあり得ない。会話も練習。説得力のある会話のノウハウが次々と登場するから、こちらもついつい耳を傾けてしまう。

リア充

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

主人公は徐々にリア充の仲間入りを果たしていく。

その過程が実に独特で面白い。ヒロインが師匠役となり、長期・中期・短期の目標をそれぞれ立てて、少しずつコミュニケーションのコツなどを身に付けていく。

声のトーン、服装、姿勢、表情、グループでの回しの概念など、思わずメモってしまうようなコミュ術をヒロインが伝授し、それを実践した主人公が、少しずつクラスメイトと話せるようになり、友達と呼べるような存在も出来ていく。

まるで自分のことのように喜んでしまっている。顔も認知されていないような地味な男の子が、自分を変えようと努力して少しずつ手ごたえを得る。感情移入しない方が難しい。

女の子との思わぬ共通点から一気に距離が縮まったり、生徒会選挙のサポートをすることで同じ気持ちを共有したり。イベントを通してすっかりグループの一員として認めらている。

この作品はラノベが原作なので、もちろんヒロインも可愛い。主人公に少なからず好意を抱くようなキャラもおり、青春ラブコメならではの胸キュンもある。

ラノベ原作のアニメ作品の中でも、良く出来ている部類に入る作品ではないだろうか。

総評:面白い

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

大枠の世界観といい、中身の濃いストーリーといい、非常に食べ応え満点の作品だ。

ゲームの自分と現実の自分。

ゲームでは最強でも現実では最弱。そんな主人公が完璧超人の美少女と出会い、変わっていく。

ヒロインには癖があり、ただの完璧超人ではない。完璧超人でありながら主人公と同じ「ゲームが好き」と言う共通点があり、その共通点が2人を引き合わせ、現実というゲームの「攻略」へと繋がっていく。

出だしの流れが綺麗だ。クラスのマドンナがまさか自分なんかに…と見上げるところから始まらないし、ヒロインの方も主人公を見下して馬鹿にすることはしない。(出会ってすぐのシーンではボロクソ言っているがw)

あくまで「同じゲームを極めるライバル」という対等に近い関係から始まるから、高嶺の花であり、実際には高嶺の花ではない絶妙な関係性になっている。

そこから人生をゲームに見立てて攻略に励む主人公。それをサポートするヒロインという構図でストーリーが進んでいく。

そうして徐々にコミュニケーションに慣れていった主人公は、最後に壁にぶつかる。本番のコミュニケーションにおいて、準備したものはほとんど役に立たない現実だ。

例え会話の話題をいくら暗記しようが、自分から話を振ることを意識しようが、会話にはその場の空気感というものがある。会話する相手との相性もある。

主人公は「自分がとにかく会話を回すんだ」という意識の強さから、会話の相手を退屈させてしまう瞬間があることに気付く。自分のことしか話さないような人と話すのはつまらない。 皆さんにも経験がおありだろう。(笑)

その壁にぶつかったとき、主人公はヒロインから教わった「ノウハウ」の是非について疑問を持ち、「本当にやりたいことこそ一番大切なのだ」という持論を持つようになり、ヒロインと真っ向から対立するようになる。

ヒロインは「ノウハウこそ正義」だと信じて疑わない。成績優秀・眉目秀麗・運動神経抜群の完璧美少女は「努力」によって作られた。天性の才能などではない。

だからヒロインは努力なくして、会話のノウハウなくして、全てを得ることは不可能だと言い切る。

本当にやりたいことなど幻想に過ぎず、そんなものにすがろうとするのは弱者の言い分だと。

どちらにも一理ある。会話は生ものなので、聞き役に徹することが最善の場合もあるし、話題を振ることが大切なこともある。

逆にノウハウ通りに会話を進めれば失敗することはない。友達も問題なく出来るだろうし、完璧を演じることも努力次第で可能かもしれない。

だがヒロインの完璧には、コミュニケーションで大切な「心」がない。その時々の心をありのままに表現することがない。ようは猫を被っているから本性が見えづらく、つかみどころがなく、親友や恋人と呼べるような間柄になることは出来ない。

だから、主人公は最終的にハイブリッドを目指すと宣言する。自分の本当にやりたいこともやる。会話のノウハウも引き続き勉強して実践する。

原作に準拠しているかは分からないが、落としどころとしては十分ではないだろうか。

リア充になるための会話術も必要。でも同時にやりたいことを貫き通すことも必要。だからハイブリッドという自分の「やりたい」方針を貫く決意表明をする。

シンプルなものを、あえて難しくしたようなややこしさのある作品だが、そこに味わい深さを感じる作品だ。某俺ガイル系のアニメとも共通点は多い。

陰キャが頑張るのを応援したい。その気持ちさえあれば楽しめる作品だ。

雑感:頑張れ友崎

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

素直に主人公を応援できる作品だ。会話もままならない真の陰キャに過去の自分をダブらせる。

現実をゲームに例えて経験値を貯めていく。少しずつ少しずつ強キャラになっていく。その過程を親心で見守る。

最初はじれったい。話を振られても口ごもるし、大した返しができないし、ぼそぼそと消え入るような声で聴きとりづらい。

でも徐々に友達もできるようになって、一緒にお出かけする相手まで出来るようになる。羨ましいという気持ちよりも、頑張ったねという優しい気持ちが100倍勝る。

主人公がしっかり頑張るアニメは間違いなく面白い。ヒロインの可愛さといい、この作品がラノベ界隈を騒がせていただけのことはある。

興味がある人は是非とも観て欲しい作品だ。このアニメを観て勉強をすれば、本当に現実でも強キャラになれる…かもしれない。




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