2016年

【2016アニメ】「甲鉄城のカバネリ」アニメレビュー 





(91点)全12話

舞台は極東の島国・日ノ本。
世界は噛んだ人間をウイルス感染させ同族に変える怪物、カバネに覆い尽くされていた。
感染を防ぐため、生き残った人間たちは駅と呼ばれる砦に暮らし、駿城と呼ばれる装甲蒸気機関車で駅間を行き来して暮らしている。

主人公は顕金駅に暮らす少年、生駒。
かつてカバネに妹を奪われた少年はカバネに対抗する技術を日々研究していた。

そんなある日顕金駅を訪れた少女無名。町をカバネによって失った生駒は、彼女の目的地、金剛郭に共に向かうことを決意する。TVアニメ「甲鉄城のカバネリ」公式サイト




カバネという怪物と戦うバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (91点)
完走難易度 超易しい

WIT STUDIOによるオリジナルアニメ。

監督は荒木哲郎さん。

カバネ

©カバネリ製作委員会

このアニメは「カバネ」と呼ばれる怪物と戦うバトルファンタジーアニメだ。

カバネは平たく言えばゾンビのようなもので、噛んだ人間を同族にする設定もお馴染みだ。

そんなカバネに追い込まれて後退する人類を描いた物語。

「駅」という砦を築いてカバネから隔離した生活を送り、「甲鉄城」と呼ばれる装甲機関車で人や物が移動する。

あらすじで既視感を覚える人もいるかもしれないが、設定諸々が「進撃の巨人」というアニメとそっくりだ。

巨人から逃れるために壁を築いた人類。カバネから逃れるために駅を築いた人類。

制作会社が同じで、確実に進撃の巨人からインスピレーションを得ている。

世界観、主人公がカバネと戦うきっかけなど共通点が多く、進撃の巨人好きならすんなり入れる作品だろう。

1話

©カバネリ製作委員会

主人公が住んでいる駅にカバネが侵入し、逃げ惑う人々の中で主人公は武器を持って戦う意志を見せる。

武器に明るい主人公は自作の武器でカバネを倒し、カバネに噛まれて感染してしまうも、血の流れを無理矢理止めてウイルスを身体から排除する。

逃げ惑う人々の中で1人勇敢に戦う主人公。そして無名という謎の少女との出会い。

2話以降に繋がる伏線も残しつつも、1話で虜になってしまうようなストーリーやバトルの迫力が凄まじい。

分かりやすいキャラの境遇や気持ちがストーリーに反映され、カバネの怖さも存分に詰まっている。

1話から分かりやすい世界観でテンポ良くストーリーが進んでおり、既視感も相まってすんなりとストーリーに入ることができる。

しかしあまりに例の作品との類似点が多く、同じ制作会社とはいえ、果たしてどうなのかという気持ちはある。

「こうすれば面白いだろう」という型にはめたようなアニメなので、面白いのは面白いのだが、寄せ集めのような設定の数々で新鮮味は薄い。

しかし、王道が何のその。「パクリ?王道を突き詰めれば面白くなるんや!四の五の言わせん!」そんな気合すら感じ取れるほど、何から何までWITが制作した他作品との類似点が多い作品だ。(笑)

恐怖心

©カバネリ製作委員会

このアニメは人間の脆弱性を如実に描き出している。

人間は未知の物、害があるものを徹底的に排除する。島国の日本はなおさらその傾向が強い。

カバネは恐ろしい。疑わしきは是非もなく殺される。例え負った傷がカバネのものではないとしても、問答の権利さえなく殺されていく。

それは人間の「恐怖心」という本能がもたらす弱さ。

主人公はカバネに噛まれてしまうもカバネにはならず、「カバネリ」という人間とカバネの中間の存在に生まれ変わる。

しかし他の人間にとってはカバネもカバネリも大差はない。害を及ぼす存在、及ぼしうる存在に変わりはない。

主人公は一度は殺されて甲鉄城から降ろされてしまうも、自分を犠牲にしてまで裏切られた人間のために行動し、同族のカバネリである無名に助けられる。

そうなったらもちろん、同乗した人間はカバネが乗って来たと恐怖におびえる。命がかかっているから当然の反応だ。

3話では密かに徒党を組んでカバネリの2人を殺しに来る輩が現れるが、駅を治める家系に生まれた長女、つまり姫様の演技によりその場を収める。

人間の恐怖心に抗う難しさ。自分たちの命を脅かしうる存在がいれば、排除しようと思うのは当然の心理だ。

「本当の敵はカバネではなく恐怖心を持った人間だ」

作品を通してそれを暗に伝えている。

最終話でも恐怖心を煽って民衆を混乱させるシーンがあり、人間は恐怖心を煽るだけであっさりと冷静さを失くす。偶然にも現実で実際に起きている昨今の世界情勢にも似てしまっている。

4話

©カバネリ製作委員会

4話で主人公たちが乗った甲鉄城がカバネに襲われ、絶体絶命の危機に陥る。

そこに普通の人間では太刀打ちできないようなカバネも現れ、主人公たちカバネリの力が必要となる。

しかしカバネリが生きるためにはカバネと同じように血が必要で、その特性が周りの理解をさらに難しくする。

だが主人公に頼らなければ全滅というジレンマで、姫様は主人公を信じて血を提供し、見事にカバネに勝利する。

4話にして人間とカバネリが恐怖心という垣根を越えて、お互いに手を取り合っていく。

最初は敵対していた人間とカバネリ。命を脅かす相容れない関係だった両者が、カバネとの命がけの戦いを通して分かり合う。

命が掛かっているのだから簡単に分かりあうことはできない。だから、しっかりと段階を経て鎖を解いていく。

主人公の命を張った行動に始まり、姫様の演技などを挟んで、最後には分かり合う。

一筋縄ではいかない人間とカバネリが分かり合う過程が非常に丁寧に描かれている。

それまでカバネリを目の敵にしていた男に背中を預けるという展開は、制作陣の思惑通りに鳥肌モノだ。(笑)

気付いたらすっかり感情移入をしてしまっている。既視感バリバリの世界観ながら、ストーリーはオリジナリティ溢れる胸熱展開だ。

王道

©カバネリ製作委員会

敵がカバネだけと思ったら足元をすくわれる。

ついにはカバネの集合体なる強敵を乗組員全員の協力で倒し、次なる敵はなんと人間。

この辺りも、もしかしたら進撃の巨人から影響を受けているかもしれない。

進撃でも途中から敵は巨人ではなく人間へと変わる瞬間がある。

このアニメでも同じように「狩方衆」と呼ばれる精鋭部隊が甲鉄城の敵となる。

彼らは「解放」を求めている。全世界が平等に危険に晒されるべきという危険思想を持っており、狩方衆の首領は素性を隠して甲鉄城に接近し、彼を兄者と慕う無名を利用する。

無名を使って駅を勝手に開城してカバネを流し込んだり、カバネを暴走させて街を壊したり。

無名は兄者と慕う首領にいいように利用され、結果的にたくさんの人民が命を落とす。

完全に悪役がカバネから人間にすり替わっていく。

正義の味方が実は一番の極悪人。ヒロインを攫われ、操られ、それをヒーローが助けに行く。王道だがそれが一番心に響く。

主人公は自分の非力さに一度は心を折られながらも、無名と同じように力を暴走させることで並外れたパワーを得て、自分の命と引き換えに無名を助けに行く。

暴走したビジュアルもギルクラのアポカリプスにそっくりだ。ちなみに監督と脚本は一緒だ。

いろんなところから面白い要素を持ってきて、面白い型にはめたような王道ど真ん中のストーリーだが、結局はそれが一番面白い。

姫様を助ける王子様。弱い自分を変えたいと立ち上がり強敵に立ち向かっていく。そして姫様を奪還してハッピーエンド。特別なことは何もやっていない。

しかしそれが驚くほど心に刺さる。画面にくぎ付けになる。時間が経つのを忘れてのめり込む。どんな結末になるのかを見届けたくなる。

王道らしい真っすぐな面白さと熱さを兼ね備えた素晴らしい作品だ。

総評:王道は強い

©カバネリ製作委員会

どこかで見たような既視感のある世界観。どこかで見たような筋書き通りのストーリー。

でもそれがどうした。奇をてらわずに王道ど真ん中で勝負して見事にやり切っている作品だ。

そしてその王道の中にしっかりとテーマもある。

人間の弱さ。自分の命が大切だから怖がる。自分と違うもの・異質なものを攻撃して自分の居場所を守る。例えカバネではなくても殺す。

そうした人間の「弱さ」というのを終始如実に表現している。

主人公とヒロインはカバネリというカバネと人間の中間で、人間でもカバネでもあり、人間でもカバネでもない。そして人間を襲うことはない。

しかし、人間からしたら自らの命を脅かしうる存在でしかない。だから殺すしかないという思考で染まり、対話という選択肢を持てない。なぜなら脳死で殺してしまった方が早いから。

自分が安全地にいるためなら手段を選ばない。

敵がカバネから人間にすり替わる理由も、そんな人間の恐怖心によって説明できる。

周りにいるのは人間だから。カバネがいるはずがないという慢心が油断を呼び、敵意を持った人間の存在に気付かない。

そんな敵意を持った狩方衆という正義の味方の皮を被った人間たちに、足元をすくわれ、蹂躙される。

そしてラスボスとなる首領も人間の脆弱な部分を突き、あっけなく駅を内部から崩壊させる。

だがそんな首領も実は、恐怖心と戦っていることが中盤のとあるシーンで明らかになる。

「人間は恐怖心から逃れられない」ということだろうか。悪に手を染めているような男にも人間らしい一面がある。

そんな人間らしい一面が、「死に際に主人公に血清を打って助ける」という行動に繋がったのでは、と勝手に考察をしている。(笑)

考察など普段はやらないのだが、このアニメに限っては心の底からのめり込み、できる限り隠された行動心理を読み解きたいという欲望に駆られてしまった。(笑)

それほどこの作品は面白い。あれこれ考えるのが楽しくなってしまうような「遊び」まで残してくれている。

もちろんストーリーは真っすぐで、何も考えなくても、ありのまま感情に訴えかけてくるアニメになっている。

キャラデザはかなり癖があり、世界観に合わせて少し濃いめにくっきりと描かれている。人によっては先入観が邪魔をしてしまうかもしれないが、見た目で決めるのはもったいない。

何でもTVアニメ初の「メイクアップアニメーター」なる役職を駆使して、化粧などにもこだわったそうで、確かに艶やかな肌が印象的だ。

ヒロインの無名ちゃんはちょこんとした頭身も、守りたくなるようなあどけない声質も、バトルでのカッコ良さも、主人公の生駒を一途に慕うところも、全てが男心を絶妙に刺激するヒロインだ。

声を担当したのは千本木彩花さん。声を聞く機会はそれほどないが、バトルでの躍動感やヒロインらしい戸惑いや恥じらいがとてもキュートで、久しぶりに心の臓を撃ち抜かれてしまった。(笑)

主人公の声を担当した畠中祐さんも最初は素人のような棒読み感が気になる瞬間もあったが、いつの間にか不器用で一生懸命なヒーローにピッタリフィットしていて、もう畠中さん以外考えられない。

ストーりーの流れもしっかりあり、飛ばしたり端折ったり、尺を引き延ばすような回もなく、全ての回が次の回へと繋がるような引きを残しつつ、確実に前に進んでいると思わせるような迫力あるバトルシーンがある。

序盤でざっくりと世界観を見せ、主人公がどんな過去を持って、どんな気持ちを持ってカバネに立ち向かうのかを見せ、主人公の気持ちに入り込ませる。

中盤ではマンネリしないように次々と強敵が現れ、今度も強いカバネが出てくるのかと思いきや、味方側だったはずの「人間」が敵になる。

最後にはラスボスがしっかりと用意され、悪の限りを尽くしたラスボスが、姫を助けに来た主人公によって殺される。

新鮮味を持たせながら飽きることなくラストを迎え、勧善懲悪が果たされたことでスッキリとした気持ちで観終えることができた。

そしてもちろん見せ場のバトルも躍動感たっぷりに描かれている。

動きにキレがあり、華麗なアクションがあり、後ろで流れるスタイリッシュな音楽があり、全てが相乗効果を生んでいる。

理性的にアニメを観れば多少は矛盾や違和感を見つけることができるが、理性的になろうとしてもなれない。無理矢理アニメの世界に引きずり込まれてしまう。そんな作品だ。

これぞバトルファンタジー。これぞ面白いアニメ。という典型のようなアニメだったが、「王道こそ正義」は意外と真理かもしれない。

雑感:映画すぐ観る

©カバネリ製作委員会

どうやら続編の劇場版もあるみたいなので、この記事をアップしたら即観ようと思う。(笑)

続編は少し期間を空けて新鮮な気持ちで観たい派だが、そんなつまらん信念は捨て置く。続きが気になってしょうがないから。(笑)

矛盾やツッコミどころはないが、気になる「伏線」はまだ残っている。それが劇場版で描かれていれば、もはや何も言うことは無い。

最後にこれは小ネタだが、どうやら主人公の声を担当した畠中さんと、ヒロインの声を担当した千本木さんはご結婚されたそうだ。

なんともめでたくご利益のありそうなカップリングだろうか。(笑)

アニメのカップリングのまんま夫婦になられたそうで、これはお2人の幸せを願うしかない。(笑)

こんな浮かれたことを書いてしまうほど、興奮冷めやらぬ状態なので今回はこの辺にしておく。

アニメ好きでまだ観ていないという人、そしてスプラッター映画が好きな人にはぜひ観て欲しい。人生のうちの貴重な4時間を投資するだけの価値がある作品だ。




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