アニメ

【2020夏アニメ】「彼女、お借りします」アニメレビュー

(53点)全12話

「週刊少年マガジン」で好評連載中、宮島礼吏による累計400万部突破の人気ラブコメが、ついに待望のアニメ化!

20歳のダメダメ大学生・木ノ下和也。初めての彼女と一度だけキスをしたが、たった1ヶ月でフラれてしまった。

「あぁ…やだ…もうなんか全部ヤダ…」

やけっぱちになった和也は、“ある方法”を使って、女の子とデートをすることに。待ち合わせ場所に行くと、

「君が和也君、だよね?」

さらさらの黒髪を耳にかけながら、和也の顔を伺う美少女、水原千鶴は微笑みかけた──。TVアニメ「彼女、お借りします」公式サイト

ダメダメ大学生と「レンタル彼女」を描いたラブコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (53点)
完走難易度 普通

原作は宮島礼史先生。

監督は古賀一臣さん。

制作はトムス・エンタテインメント。

レンタル彼女

© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

このアニメは「レンタル彼女」を題材にした作品だ。レンタル彼女とはお金を払い彼女を「レンタル」することが出来るサービスで、主人公の和也が彼女にフラれた傷心を癒すために、彼女をレンタルするところからストーリーが展開されていく。ちなみにレンタル彼女は現実にも同じサービスが存在する。(笑)

レンタル彼女を扱うラブコメディというのは自分の知る限り初めてのことで、原作はマガジンポケットで毎週欠かさず読んでいるとはいえ、新鮮味があって引き込まれてしまう。更に作品の掴みも抜群で、1話の冒頭で主人公が彼女にフラれるというラブコメとは思えない異色の展開でスタートする。(笑)

ラブコメとは通常恋を成就させていく過程を描いた物語だが、始まってもいない恋が過程もへったくれもなくいきなり終わるものだから、思わず笑ってしまうこと必至だ。(笑)そしてフラれた傷を癒すために和也がレンタルするのが、正ヒロインの水原千鶴。本来であればその場限りで終わるビジネスの関係のはずが…というのがこの作品の醍醐味になっている。

主人公がクズ

© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

作画のレベルがハンパではなく、流石老舗のトムス(コナンシリーズとか昔だと巨人の星最近だとDr.STONEとか)といったところでヒロインの可愛さが尋常ではない。しかしそれを無に帰すレベルでクズなのが、他でもない主人公の和也だ。界隈でも有名な「クズ」で、自分が見てきたラブコメの主人公の中でも指折りのクズさ加減だ。

まず1話でみっともない自分を卑下するまではよかったものの、行き場のない劣等感を初対面の水原にぶつけ、公衆の面前で恥をかかせたかと思えば、友達や祖母にも勝手に「自分の彼女」として紹介し、それに飽き足らず、水原への好意を元カノを想像しながらの自慰行為で自覚する、という救いようのない変態でクズな下半身野郎なのだ。

未だかつて、堂々と自慰行為をする主人公などいただろうか。リアルな大学生の姿として描かれたのかもしれないが、明らかに行き過ぎだ。未だかつていなかったからこそ少し過剰気味でも、自慰行為をして性欲を解消する描写はあえて入れたのかもしれないが、正直不快にしか思えなかった。性欲という負の部分が、ヒロインの可愛さや純な部分まで侵食していたようにも感じたし、ラブコメには不要な描写だったと思う。

ラブコメにおいて主人公が愛せるキャラクターかどうかはかなり重要だ。ただでさえ嫉妬や反感を買う立場なので、もし性格がクズだったりモテる要素が何一つ見つからなかったりすれば総スカンは避けられない。まさに和也はそのポジションに置かれてしまった印象だ。性欲に簡単に負ける上に、常にネガティブで自分を否定してヒロインに慰めてもらう。そしてまた立ち直ったと思ったら何度も凹んでその度に慰めてもらう。何度も同じパターンを繰り返す。ここまで甲斐性のない主人公も珍しい。

確かに随所では頼もしい場面もなかったわけではない。1期の最大の見せ場となった4話の船のシーンでは、自分の命をかえりみずに勇敢に海に飛び込む和也を見直した人も多いはずだ。10話では友達の傷ついた心を癒すために水原のレンタル代を自腹して、友達と水原のデートを取り付けもした。要所でカッコ良さを出していたが、イマイチカッコがついていなかったのが個人的な印象だ。

全ては1話に帰結する。和也のそうした優しさや頼もしさは全て、1話の和也のわがままや身勝手な行動、あり得ない数々の偶然の上に成り立ったもの。そう考えてしまうと和也の「自作自演」感が否めず、自分を主人公にしたハーレム物語の脚本を自分好みに書いているようにしか思えなかった。つまり作品の導入で失敗していた感は否めない。

更科瑠夏

© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

そんなクズな和也を好きになるヒロインが登場する。それが更科瑠香ちゃんという女の子。彼女は和也の友達が「彼女」として連れて来た女の子で、水原とのダブルデートで和也と初対面する。ラブコメディには欠かせない当て馬…じゃなかった、有り体に言えば水原の恋のライバルとなる存在だ。

しかし彼女も少し特殊な事情を抱えた子で、「先天性の徐脈」を患っており、一分間の脈拍が常人よりも少なく、激しい運動や興奮でめまいを息切を起こしてしまうため、他の人よりもドキドキを経験できない。だからレンカノをして男の人と接することができればドキドキを体験できるかもしれない、ということでレンカノをしているという事情がある。

長らくドキドキを体験できていなかった彼女が初めてドキドキした相手。お察しの通りそれが主人公の和也だ。彼女はそれ以降和也を脅す形で和也の「彼女」となり、本妻を目指して和也に尽くすことになる。ザ・尽してくれるタイプのヒロインで、瑠夏ちゃんが好きなファンはかなり多いはずだ。かくいう私も大好きだ。(笑)

彼女が和也に惚れるきっかけとなった「徐脈」の見せ方も非常に上手い。EDと一緒に無音で瑠夏ちゃんのこれまでの苦労を映像で流すという仕掛けになっていて、特殊EDで印象的に見せるというのは制作陣の作品への愛をヒシヒシと感じることができた。

総評:もったいない

© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

ただひたすらに惜しい作品だ。作画も完璧で申し分ない。制作陣の工夫が随所にあったし、ヒロインは個性的で魅力的。面白いラブコメとしての要素をハイレベルで備えながら、主人公という重要なポジションがクズ男だったせいで「台無し」になってしまったと言っても過言ではない。

新しい主人公像をイメージして、男が本来持つ汚い部分までしっかり描くことを意識していたかもしれないが、ラブコメというのはシンプルに女の子が可愛ければ成立してしまうもの。それは歴史が証明している。ストーリーが多少雑でも作画が多少乱れても、女の子が可愛くてキャストも可愛ければ勝手に人気は出る。

なのに余計なところでリアルを追求したせいで、「完璧なラブコメ」に傷がついてしまった印象だ。「ラブコメに主張が激しい主人公など不要」だときっぱり切り捨てたい。これは私見になるが、ラブコメの主人公の存在感は必要最低限でいい。等身大の優しさと、観ている私たちが共感できる弱みなどを1つ2つ持っていればそれで充分なのだ。あくまで私見だが。

主人公が元カノを想像して自分を慰める姿など誰が見たいと思うだろうか。もちろんその行為自体を否定する気は毛頭ないが、アニメという媒体で、ラブコメディという女の子の可愛さが一番求められる作品で、それを事細かに描写する必要はあったのだろうか…。主人公がマトモな人間だったら間違いなくもっとのめり込めたはずだ。

とはいえ先述した通り、何だかんだで原作は毎週読んでいるので嫌いなわけではない。(笑)女の子が可愛ければラブコメは面白い。それはこの世の真理だ。ただアニメ以降の原作でも未だに和也はうじうじと自分を卑下してはヒロインに慰めてもらう…を延々と繰り返している。さすがにワンパターンすぎて飽き飽きだ。(笑)

とあるYouTubeの動画で「2期になれば和也をもっと見直せる」というコメントを見たが、そんなことは断じてない。和也は今でも和也だし、どこまでいってもクズなままだ。それは1話の印象で決まってしまっていて揺らぐことはない。どこの世界にレンタル彼女に迷惑をかけて恥をかかせた上に、勝手に「彼女」として身内や家族に紹介し、散々迷惑をかけた上で「自分のことが好きなのでは?」と思える脳内お花畑な主人公がいるだろうか。アニメの世界の話だとしても、主人公への感情は最初で冷めてしまった。

主人公への愚痴は一旦置いておいて、良く悪くも本命となる和也と水原の関係はかなりじっくり描かれている。目に見える進歩があるわけではないが、全くないわけでもない。1期の作品として単体で見た場合は壊滅的だが、恐らく1期を製作する前から2期3期と踏んでいける作品だと製作側は思っているはずで、とりあえず1期の内容としては十分ではないだろうか。

分かりやすく東西南北…だといちご100%になってしまうので、4人の女の子を軸にすえてストーリーを展開しており、「みんな和也大好き」というテンプレハーレム展開に落ち着くのではなく、キャラ同士の微妙な距離感や多少歪んだヒロインの個性や主人公のクズさも織り交ざって、独特の雰囲気を醸し出す唯一無二の作品となっているのも確かで、そういった他に倣わない作品は正直大好きだ。

ストーリーは良く言えば丁寧に、悪く言えば引っ張りすぎているとも取れるが、結論はアニメでどこまで描かれるか、で分かれるはずだ。原作を最後までアニメ化できて水原との決着があれば「丁寧」に描いたと言えるし、もし中途半端な終わり方だったら「引っ張った挙句」という評価になる。それはまだ分からないが、「かのかり」のとてつもない人気なら最後まで行ってしまうような気もしてしまう。とにかくこの作品の真の評価は続編までお預けといったところだ。

雑感:もどかしい

© 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

繰り返すがラブコメは、余程ストーリーがぶっ飛んでいなければ勝手に人気は出る。それは間違いなく真理だ。この「彼女、お借りします」という作品も、ストーリーが超絶面白いというわけではないし特に捻りもない。それなのに人気があるのは女の子が可愛いから。ただそれだけだ。

それが何とももどかしい。正直このアニメの2期をやるなら、他にももっと続編をやるべき作品はいっぱいある。「主人公が救いようのないほど下半身に正直で、他人の迷惑も考えない自己中野郎なのに…」という本心と、2期を観たいという気持ちが葛藤をしている状態だ。(笑)

「もう少しマシな展開に出来なかったものか…」と1人で考えている。「何も自分勝手な行動の結果、メインヒロインとの縁が続くようなストーリーにしなくても…」と考えるのはお門違いだろうか。

後はヒロインの中でもダントツに人気がないマミちゃん。1期ではただのサイコパスのまま終わっており、目の色が消えた無の表情しか思い出すことができない。(笑)終盤に彼女の真意を暴くヒントがあったが、2期ではマミちゃんを掘り下げるようなストーリーにも期待したい。

今回のレビューはほぼ主人公への愚痴みたいな内容になってしまったが、ラブコメの主人公がクズである必要は間違いなくないはずだ。この記事を読んでくれたあなたが和也について、そしてこの作品についてどう思っているのか、ぜひとも意見を聞いてみたいものである。

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