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【2019秋アニメ】「旗揚!けものみち」レビュー【ネタバレあり】

 

評価(85点)全12話

最強覆面レスラー・ケモナーマスク。
アリーナの大歓声に包まれて、宿敵MAOとの決着をつける
世界タイトルマッチのゴングが
今、鳴り響いた! はずだったのだが…

試合の最中突如リングの上から異世界に召喚された
ケモナーマスクこと柴田源蔵は、
アルテナ姫から魔王と邪悪なる魔獣の退治を言い渡される。
しかしケモノを愛する源蔵はその依頼を断固拒否!
「魔獣だって愛情を持って接してやれば、無闇に人を襲ったりしない!」

彼の真の夢は、
ケモノに囲まれてペットショップを経営することだったのだ。
源蔵はこの異世界で、輝かしい第二の人生を
スタートすることができるのか!?TVアニメ「旗揚!けものみち」公式サイト

ギャグとプロレスの融合

異世界にプロレスラーが召喚されるという異色のファンタジーアニメ。

原作は「この素晴らしい世界に祝福を!」でも有名な暁なつめ先生。

監督は三浦和也さん。

制作はENGI。新しい会社で、初の元請どころか初の制作。

取り立てて考察要素があるアニメでもなかったのですが、今後こういうレビュー記事を上げていくというお披露目と、最近異常に増えている「異世界転生系アニメ」の中でも、個人的にかなりハマった作品だったので、レビュー記事にしようと思った次第。

試合中に異世界へ

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

この作品はプロレスを題材にした珍しいアニメです。

様々なスポーツを題材にしたアニメがある中で、プロレスにスポットが当たるというのは稀なこと。

ストーリーは、異世界に「勇者」として召喚されたプロレスラー「ケモナーマスク」が、勇者として魔王を倒すことを期待されながらも、異世界でペットショップを経営するために、「獣」を愛する道を突き進むというもの。

第1話の最初のシーンで、プロレスの試合中に、「ケモナーマスク」こと柴田源蔵は突然、異世界に召喚されてしまいます。

召喚の主は、エドガルド王国の王女・アルテナ姫。

アルテナは源蔵に、勇者として「魔王」と「魔獣」の討伐を依頼しますが、「獣」を愛する源蔵を怒らせてしまい、ジャーマンスープレックスを食らってしまうという。(笑)

一国の王女をいきなりジャーマンで沈めて、パンツ丸出しにするという衝撃的な入りで、掴みはバツグンでした。(笑)

異世界にプロレスラー、しかも「勇者として魔王を倒す冒険が始まる」という王道展開に乗らずに、「ペットショップを開く」という野望に向けて邁進する主人公。(笑)

序盤でかなり引き込んできて、かなり期待できる作品だと確信しましたね。

尻姫

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

異世界に「勇者」として、「ケモナーマスク」こと柴田源蔵を召喚した張本人が、エドガルド王国の王女・アルテナ姫。

召喚して早々源蔵に、魔王と魔「獣」の討伐を依頼しますが、「獣」を愛する源蔵の逆鱗に触れ、公衆の面前でジャーマンスープレックスを食らってしまいます。(笑)

それ以降城では、部下たちから影で「尻姫」と呼ばれるようになるという、なんとも面白い…いや、不憫なキャラでもあります。(笑)

1話の冒頭でいきなり一国の王女のパンツとお尻が露わになるという前代未聞の始まり方で、かなり衝撃でしたね。(笑)

しかもそれ以降も何度か、城内で「尻姫」と呼ばれて笑われるシーンがあり、この作品においてかなり「美味しい」ポジションになったなーというキャラ。

「尻姫」と呼ばれて憤慨する性格でもなく、怒りの矛先を源蔵に向けて、羞恥にただ耐えるというその姿も、ただただ愛おしくて可愛かったですね。(笑)

「獣」への愛

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

源蔵は大の「獣」好き。

性別・種族問わずケモノを愛し、ケモノの素晴らしさを多くの人に広めたいという思いがあります。

それが原動力となって、「ペットショップを開く」という夢に繋がっていきます。

とにかくケモノが大好きで、源蔵にとって常に優先されるべきは「ケモノ」

ケモノを見つけたら一目散に駆け出し、ケモノを殺そうとする輩は徹底的に懲らしめます。

戦闘力もかなり高く、異世界で強いとされるモンスター相手にも全くひるまず、むしろ怯ませてしまうほど。

「獣を殺す」などという言葉を発する者にはプロレス技をかけるなど、多少強引なところはありましたが、徐々に「獣は敵ではなく、優しく歩みよれば応えてくれる」という源蔵の言葉を理解する人物が増えていきました。

最終回の打ち上げのシーンでは、異種族同士が肩を組んで酒を飲み交わすシーンがあり、確実に源蔵の考えが広まっていて、心が温かくなりました。

異世界ではもちろん「獣」とは打倒すべき相手で、そんな異世界で「獣」への愛を貫き、はびこる敵対心でさえも変えてしまうという道筋は良かったと思います。

「獣を愛する異常性」というシリアスになりうる要素がありながら、最後まで「ギャグ」という作品の本筋から脱線しなかったというのは十分評価できまます。

作品の世界観にそぐわない描写とはいえ、獣に殺された人間もいるでしょうし、そういった意味でも、獣を愛して、しかも家で飼っているとまでなったら、そいつはただの「命知らずで周りに危険を及ぼしうる危険因子」になりかねませんからね。

冷静に考えればツッコミどころがある世界観ですが、ギャグの応酬とキャラの個性が上手くマッチして、「獣に対する恐怖や敵対心」というのを相殺していた印象。

シグレ

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

キャラの個性という意味では、尻姫に負けず劣らず際立っていたのがこのシグレ。

ケモミミで見た目も可愛くて、声も新人の声優さんを起用していてその声もマッチしていました。

シグレは借金を返せずに身売りされるところを源蔵に助けられ、借金を立て替えてもらってから、以降は源蔵の家に住むことに。

身売りされそうになったことからも分かる通り、かなり貧乏な暮らしを強いられて生きて来たキャラ。

ですがそれを感じさせない明るさがあり、お金にがめつい感じが良かったです。

源蔵のペットショップ開店のための資金集めをしたり、源蔵の家の家計は全てシグレ持ち。

興行試合とあればすぐさま飛びつき、とにかくお金には目がないシグレは、ストーリーを盛り上げる意味でも一役買っていました。

「ケモノを愛する」という源蔵のポリシーを「理解する」という立場でも、かなり重要なポジションだったと思いますし、「プロレス&獣」という暑苦しさの塊のような作品において、「清涼剤」のような役割を担っていました。

花子の登場と過去の因縁

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

物語の中盤で新キャラとしてドラゴンハーフの少女・花子と、その従者のヴァンパイア・カーミラが登場します。

勇者である源蔵とは本来、敵対する関係のはずですが、源蔵に戦う意志がないため、交戦することはありません。

花子は何でもかんでも胃の中に入れようとする食いしん坊で、カーミラは酒に目がないダメダメ従者として描かれています。

花子がオーク肉に飽きて人間界へやってきて、それを追ってカーミラも源蔵の元へ行きつくわけなんですが、ただのギャグ要員で「なんで出て来た?」って感じで、途中までは謎でした。

しかし中盤で、2人が過去にイオアナという、花子と同じ魔王直属の公爵家の娘と対立する場面が描かれています。

花子とカーミラには戦う意志はないのですが、イオアナは自分の息のかかったヴァンパイアを花子の元に送り込むことを目論み、カーミラと自分の従者・ローゼの決闘の場を設けます。

カーミラは自分の価値を証明するために、イオアナの従者であるローゼという格上のヴァンパイアと戦うことになるのですが、そこでコテンパンにやられます。

もうそれも惨めなほどに、挙句の果てには、ローゼのズボンを下ろしてパンツを丸出しにするというパワープレーに出るほど。(笑)

そこで悔しさのあまり涙を流し、花子の隣にいたいとイオアナに懇願し、何とかその場を収めるというシーンがあります。

その後、花子がカーミラの敵討ちをするために、ドラゴン化してイオアナとローゼをボコボコにするわけなんですが、そこでようやく2人のキャラが形作られた気がしました。

それまではただの食っちゃ寝の怠惰なキャラくらいの印象でしたが、「主のために必死に戦うカーミラ」、そして「従者を大切に想う花子」というそれぞれに新しい一面が見えて、かなり2人に愛情が湧くようになりました。

さらにその「因縁」が、終盤のプロレスの試合のシーンに繋がっていくことを考えても、中盤にこのバトルシーンを入れたのは大正解だったと思います。

お馴染みのくだり

ギャグアニメの定番「お馴染みのくだり」がしっかりとありました。

その一つがハンターギルド最強パーティーのリーダー「陽炎」が、源蔵のことを「魔獣殺し」と言うたびに、源蔵に叩きのめされ、高価な剣をシグレに奪われ、売られるというもの。

「あー、こんなところに剣が落ちてる~」

と言って何食わぬ顔で剣を拾い、売りさばいてしまうシグレの可愛さもあって、個人的には好きなくだりでした。(笑)

ライバルの再来

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

ライバルが遅れて異世界にやってきます。

1話の序盤、源蔵がプロレスの試合をしていた相手がこの「MAO」というレスラー。

MAOは突如消えた源蔵にライバル心を燃やすレスラーで、チャンピオン級の実力を持ちながら、源蔵にだけは勝てなかった男。

源蔵に勝つために鍛錬を重ねていたある日、家で編み物をしていたときに、イオアナによって、源蔵と同じ異世界に召喚されます。

そして「勇者討伐」を目論むイオアナの旅に、何も知らずに同行をし、結果的に源蔵と再び相まみえることになります。

1話のMAOはそこまで主要な立ち位置ではありませんでしたが、中盤でMAOが源蔵に勝つために鍛錬を積む描写を入れ、カーミラと同様、そこでも「因縁関係」を作ったことで、終盤のリベンジ戦がかなり盛り上がりましたね。

この「けものみち」にはギャグ以外にも「プロレス」という軸があり、それはやっぱり、源蔵が異世界の人間にプロレス技をかけるだけではパンチが弱い。

ところどころ源蔵が戦うシーンがありましたが、それでも「プロレスアニメ」を名乗るにはまだ足りない。

やはりプロレスの醍醐味というのはリングの上での技の掛け合いです。

そこで源蔵をライバル視していたMAOが異世界に来たことで、一気に再戦への熱が高まり、終盤の「第二回闘技大会」へと繋がっていくという流れは完璧でした。

MAOまでが源蔵と同じ異世界に来るという「ご都合主義」的な展開ではありましたが、現世ではライバル、異世界においては「勇者」と「魔王」の戦いという新しい構図もあって、かなり盛り上がりましたね。

一つ不満があるなら、その「勇者」と「魔王」の敵対関係がそれほど顕著ではなかったこと

「異世界では勇者は魔王を倒すもの。魔王は勇者を倒すもの。」

という常識があることは理解できましたが、ギャグ路線へ行ったがために、本当に戦うべき関係なのかどうかが伝わってこなかったのが痛かったと思います。

そこで「勇者」と「魔王」にふかーい因縁が過去にあったり、「魔王」がとんでもない悪者だったりすれば、より源蔵とMAOの再戦も盛り上がったのでは?、と思っちゃいましたね。

ただ、「プロレス」という競技があり、リベンジに燃えるライバルの存在があり、それだけで最高にアツい展開でしたし、このアニメでプロレスに興味を持った方も大勢いるのではないでしょうか。

決着

終盤には「過去の因縁」に決着をつける舞台がしっかりと用意されていました。

「第二回闘技大会」でカーミラとローゼ、源蔵とMAOは決着をつけることになります。

カーミラはローゼにコテンパンにやられた借りを何とか返そうと、プライドを投げ捨てて、源蔵にプロレスの教えを請います。

一方MAOも、現実世界で必死にトレーニングを積み、源蔵のことだけを考えて日々を過ごしてきました。

そうしたリベンジに燃える闘争心が、徐々に終盤に向けて高まっていき、そして満を持してリングの上で戦うことに。

カーミラはローゼのスキを突いて技を繰り出して、相手を寝かせるも、逆に油断したスキを突かれて敗北。

そんな負けっぷりもカーミラらしく。

そして、最後に用意されたMAOのリベンジマッチも実に「けものみちらしい」一戦でした。

途中でイオアナの妨害工作が入り、試合が滅茶苦茶になって観客も巻き込んでの大乱闘になるのですが、そのハチャメチャ感にも僕は、「ギャグとプロレスの融合」という「けものみち」の真髄を見た気がしました。

一旦はカオスな空間になるんですが、プロレスの決着も有耶無耶にせずに、リング上で再び向き合い、初めて本格的な「プロレス」が始まります。

MAOに技をかけられる源蔵、そして、源蔵に技をかけられるMAO。

作画にもかなり魂がこもっていて、思わず何度も見返してしまうほどの完成度の高さでした。

最後は源蔵が得意技でMAOを沈めるわけなんですが、その後の観客の盛り上がりといい、ノーサイドの精神といい、プロレスの興奮とか楽しさが詰まった最終回になっていました。

「過去の因縁」がさらにそれぞれのライバル関係を浮き彫りにし、最後のリベンジマッチへと繋げていく流れの作り方は、素晴らしい仕事だったと言わざるを得ません。

12話構成でしっかりとストーリーが組まれていて、ギャグとプロレスを両立したという点でも、かなり好印象。

それまではギャグが中心という感じで、どこか盛り上がりに欠けていて、「プロレスどこいった?」と思う瞬間もありましたが、最後に最高に盛り上がる見せ場のシーンを持ってきたことは、かなり良かったと思います。

そして、源蔵が望む「人間と獣人の共存」

序盤から源蔵が掲げていたものが、ゴールとなって表れた最後の打ち上げのシーンがあり、そこで一つの決着を見たことも、非常に綺麗なまとまり方でした。

総評:ギャグがもう一押し

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

総合的に見ても、僕の中では、十分評価が高いアニメ。

最近乱立する「異世界転生系アニメ」の中でも、面白い部類に余裕で入るくらいハマった作品となりました。

しかし、ギャグがもう一押し足りなかった印象がどうしても拭えません。

先ほども挙げましたシグレが剣を売るくだりや、一国の王女がパンツ丸出しになって、城内どころか街の住人にまで馬鹿にされるくだりは最高に面白かったですw

ですが、他に印象的な笑えるシーンというのはほぼなく、ケモノ愛に溢れたハートフルな作品ではあったんですが、それ以上でもそれ以下でもない感じ。

中盤で「過去の因縁」を絡めてきて、プロレスとしてはかなり盛り上がりましたが、ギャグはやっぱり笑えてナンボ。

その点でいえば、「お馴染みのくだり」以外、特段笑えるポイントはなかったですし、ギャグアニメとしてはあんまりオススメできないレベルだと評価せざるを得ません。

しかしそれで、「ギャグとプロレスの融合」に失敗したとは思いません。

しっかりとバランスが取れていたと思いますし、オリジナルのキャラを織り交ぜながら、綺麗にまとめた点を考慮しても、及第点以上は確実にあげられます。

最近の異世界転生アニメの乱立に辟易している方にはぜひ、この「旗揚!けものみち」をオススメしたいですね。

個人的な感想:プロレス is 熱い

引用元:©暁なつめ・ENGI/けものみち製作委員会

アニメを観る前は、プロレスの有名な技を何個か知っている程度でしたが、改めて「プロレスの熱さ」というものを再確認できました。

「技をかける者がいて 技を受ける者がいて そして プロレスが始まる」

劇中でも出て来た言葉の通り、技の掛け合いに、特に最後の源蔵とMAOの試合に、プロレスの楽しさや熱さが詰まっていました。

さらに僕が評価したいのは、プロレスというスポーツの素晴らしさを、異世界というファンタジー世界でも損なわずに、一つの「戦い」としてやり通したこと。

ファンタジー世界だと、「魔法」や「武器」などの飛び道具で戦うことが多いですが、そんな昨今の風潮に逆らい、「異世界×プロレス」という構図を見事に完遂したこのアニメの功績は大きいと思います。

少し逸れますが、なんでもこの「けものみち」はアニメ化が決まる前、打ち切り寸前の漫画だったというから驚きです。(笑)

漫画を担当するまったくモー助先生と夢唄先生が、次回作に向けての話し合いの場で、打ち切り予定だった「けものみち」のアニメ化の知らせを聞いたそうです。(笑)

そんな崖っぷちの状態からアニメ化まで漕ぎつけ、MAOやイオアナなどのアニメオリジナルのキャラも入れつつ、「ギャグ×ケモノ×プロレス」というストーリーを完成させたことは、本当に凄いと思います。

アニメファンの間でも人気は上々みたいですし、円盤の売上次第にはなりますが、ぜひ続編が観たいアニメですね。

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