2015年

【2015アニメ】「血界戦線」アニメレビュー





(55点)全12話

かつて紐育(ニューヨーク)と呼ばれた街はたった一晩で消失した――一夜にして構築された霧烟(きりけぶ)る都市『ヘルサレムズ・ロット』。空想上の産物として描かれていた「異世界」を現実に繋げている街。その全貌は、未だ人知の及ばぬ向こう側であり霧の深淵を見る事は叶わない。人ではおこしえない軌跡を実現するこの地は今後千年の世界の覇権を握る場所とも例えられ様々な思惑を持つ者達が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する街となる。そんな世界の均衡を保つ為に暗躍する組織があった。その名は「秘密結社・ライブラ」少年・レオは、ふとしたきっかけからライブラの一員となるのだが…TVアニメ「血界戦線」公式サイト




世界の均衡を保つために暗躍する組織を描いたバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (55点)
完走難易度 普通

原作は内藤泰弘先生。

監督は松本理恵さん。

制作はボンズ。

終末感

© 2015 内藤泰弘/集英社・血界戦線製作委員会

元はニューヨークだった場所に異世界人と地球人が混在し、その土地の均衡を保つための組織「ライブラ」に所属することになった主人公の奮闘を描いたアニメ。

主人公はある日、妹が異世界の異形の力によって、視力を失ってしまったことをきっかけに、その謎を解き明かすために「ライブラ」という秘密結社に所属することになる。

そして、1話では早速紹介とばかりに黒幕らしき敵とひと悶着あり、異世界人とライブラの技を駆使したド派手なバトルが繰り広げられている。

いわゆる主人公が何かしら「欠けた」状態から始まるアニメだ。鬼滅の刃で炭次郎が家族を殺されたところから始まるように、このアニメでも「妹の視力」が奪われてしまうところが出発点になっている。

足が不自由な上に、臆病な自分をかばって視力まで奪われてしまった大切な妹。主人公は自責の念に駆られながらも、真実に迫れるだけの強さを手に入れたいとがむしゃらに、命がけで戦うことを選ぶ。

主人公がしっかり主人公をしている。目的があり、自分に向かないことでも必要という一心で立ち向かう勇気。主人公がしっかりストーリーを動かしてくタイプのアニメだ。

1話を観た限りではあるが、終末感漂う世界観になっている。空はどんよりと暗く、昼間から平然と犯罪が横行するなど、ゴロツキが集まる無法地帯。

実際のニューヨークも一度裏路地に入ればそんな感じなのかもしれないが、非常に暗い雰囲気が覆う作品だ。

希望のない街で希望を抱く主人公。その対比が地味に作品を良い方向に動かしている。

声優陣の顔ぶれも豪華で、1話の段階でもなかなかにパンチが効いている作品だ。個人的には異世界人が跋扈する世界観といい、阪口さんや中井さん、小林ゆうさんや石田さん、釘宮さんなどのキャスト陣が某アニメを連想させ、妙な安心感を覚える作品だ。(笑)

スタイリッシュ

© 2015 内藤泰弘/集英社・血界戦線製作委員会

バトルが独特なスタイリッシュさを醸し出す作品だ。

ポップな洋楽を背景に一撃で事を済ます。せめぎ合いというよりも圧倒的な力。汗まみれで必死に戦う姿も良いが、クールにスタイリッシュに敵を倒す爽快感も味がある。

終末観のあるニューヨークの街並みともマッチしている。音楽が始まると、そこで勝ちへの道筋が始まる。予定調和でもあるが、それは逆襲の合図でもあり、この作品ではどっちかというと「待ってました」感が強い。

というのも、1つに技の引き出しが多いこと。鬼滅の刃と同じく、技の引き出しが豊富で、〇の型というお馴染みの括りで、様々な系統の技を繰り出している。

キャラクターごとに属性や技の根本的な特徴も異なり、あらゆる場面において臨機応変に活躍するシーンがあり、キャラクター1人1人が生き生きと躍動している。

バトルの作画もキビキビ動くというほどでもないが、コンパクトに強烈な印象を残すようなカットの入れ方や色具合になっており、独特のスタイリッシュさを演出するのに一役買っている。

全く関係ないが、「ペルソナ5」と同じような匂いのある作品だ。テンポ良くサクサクとバトルが進み、その中身も淡泊な流れ作業ではなく、1つ1つが簡潔でいて、爽快感のある演出になっている。

こじんまり

© 2015 内藤泰弘/集英社・血界戦線製作委員会

バトルの雰囲気はあるのだが、ストーリーでもっと大きなことが出来そうなのにこじんまりしている印象だ。

この作品はだいたい1話完結になっており、起承転結をベースに事件の解決までが描かれている。

だが技のレパートリーの多さといい、神々の義眼という主人公の特殊能力といい、異星人の種類の多さといい、それらのスケールの大きい世界設定の割にストーリーがこじんまりしている。

毎回異なる種族がトラブルを起こし、事件のいきさつを整理し、現場に向かい、解決する。おおよそこのパターンだ。

前述の通り、技を決めるシーンは一瞬だ。だらだらと押し引きをする尺を取らずに、一撃で屠る。それがこの作品の美学とも言える。

だがそこに至るまでの過程が淡泊だ。何か派手な事件があるわけでも、犯人の凝った策略に飲まれるわけでもない。紆余曲折がないせいで、ストーリーに深みが生まれていない。

もっと犯人の動機やトリックについて考察を重ねるようなシーンだったり、犯人との押し引きや、技の掛け合いみたいなところがあってもいいものだが、「この紋所が目に入らぬか!」に至るまでの尺が長いし、その癖、中身の濃い考察や波乱な展開もないので、悪い意味で一辺倒だ。

後はやはり、この手の男臭い作品では毎度のことながら、紅一点が欲しくなる。

炎炎ノ消防隊で言うところのシスター。呪術廻戦でいうところの釘崎。エリアの騎士でいうところのセブンみたいな。

男臭いストーリーの中にも清涼剤となるキャラクターが1人でもいれば、作品は驚くほどフレッシュになる。それっぽいポジションのキャラクターはいるが、清楚タイプではないので微妙だ。(笑)

総評:惜しい

© 2015 内藤泰弘/集英社・血界戦線製作委員会

主人公には妹の目を代償に得た「神々の義眼」という特殊能力がある。まあ結局、何ができる能力なのかははっきりしなかったのだが、とにかくいろんな物が可視化できる能力だ。

その能力を使って異界人が起こす事件を解決したり、自分が誘拐から逃れるために使ったり。かなりライブラの捜査において彼の能力は役に立っている。

だが地味だ。主人公は基本アシスト役に過ぎず、主にリーダーが美味しいところを持っていくための引き立て役に過ぎない。

そこが微妙だ。彼は妹の目を治すための情報を得るために、強くなるためにライブラに加入している。

それなのに、できることと言えば「視ること」と、他のキャラクターのボケにツッコミを入れることくらいだ。(笑) 流石長年鍛えられているだけあって、阪口大助さんのツッコミは切れ味が抜群だ。(笑)

主人公は基本目立たない。話題になって然るべきの「妹」の件についても、結局触れられることのないまま、冒頭の手紙が伏線になっていたことくらいで、特に変化はなく、結局妹の死力を奪ったのがどこのどいつなのかも分からずじまいだ。

本来の目的を果たさずに、異界人が起こす事件に巻き込まれたり巻き込まれなかったり。終始フラフラしている。

笑いのツボも合わない。バトルの最中にボケだったり顔芸だったりが入る頻度がかなり多い。そこがスタイリッシュさを演出する肝なのかもしれないが、阪口さんのツッコミといい、作品の世界観にあまり合っている気がしない。

緊張感が解れるとかどうとか以前に、緊張が高まる前にボケやツッコミが入っているため、真面目にバトルをしたいのか、おふざけがやりたいのかがはっきりしない。作画のレベルは総じて高いだけに残念だ。

1話で登場した黒幕っぽいキャラクターも一体何者だったのだろうか。1話で登場したきり、最終話にまた登場したくらいで、結局説明がないまま終わってしまった。

全体的な説明不足も尾を引いている。途中途中で新出の用語に対しては細かく解説が入ってはいるが、停止しなければ確認できないほど一瞬だし、単語を知ってもなお飛び飛びで理解が難しいことで、丁寧である割に、分かりやすくて面白いという印象はあんまりない。

いろいろ書きたいことはあるが、やはり一番は主人公だろう。神々の義眼を活かしきれているように見えないし、カッコいいセリフを受け売りで披露する割には、それを自身であまり体現出来ていない。

義眼を活かすべく努力や研究を重ねたり、すぐ近くにいる頼れる最強のリーダーに教えを請うたり。目的がはっきりしていて、教材や機会もそこらへんに転がっている。それなのに掴もうとしないのは、主人公としてどうなのだろうか。

もっとグイグイと引っ張っていく力があれば、この作品はもっと良くなったはず、と直感的に感じる。ストーリー自体は、とある兄妹を中心に回想などを挟みながら少しずつ進んでおり、最後も綺麗にまとまっているので不満はない。

「血界戦線」という血生臭いタイトルの割にそこまでグロくはない。血みどろの戦いを少しは期待していたので若干拍子抜けしている。

雑感:アニオリ

© 2015 内藤泰弘/集英社・血界戦線製作委員会

このアニメで登場する主要キャラクターの1人「ホワイト」は調べたところ、アニメオリジナルのキャラクターということだ。

つまりは、兄のブラックも架空のキャラクターになるのだろうか。そこの繋がりは不明だが、スタッフサイドはアニメ化あたり、「原作にいないキャラクター」を登場させるという博打に出たことになる。

個人的には吉とも凶とも判別することは出来ないが、原作がどういうストーリーなのか、また原作の何が足りないと判断してホワイトを追加したのか。そのいきさつは非常に気になるところだ。

原作ありきのアニメ作品でアニオリキャラクターを追加することは稀に良くあるが、それでも原作者の手前、様々な構想や交渉を練る必要があり、遠回りになって手間がかかることは必然だ。

そうするだけの必要性に駆られたから追加した。自分を幽霊だと墓地で名乗る少女。心臓病で入院している少女。兄よりも能力の才能に恵まれなかった少女。

そんなホワイトが果たした役割とは。もちろん原作を読んでいないので無責任はことは言えないが、わざわざ追加する必要があるほど活躍し、他のキャラクターに大きな影響を与えたようには見えなかった。

どうやら2期も既に放送済みらしいが、あんまり気乗りはしない。いずれ時間があるときに観ようと思う。

興味がある人は観て欲しい。




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