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【2020アニメ】「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」アニメレビュー

(44点)全12話

科学技術が高度に発達した機械仕掛けの理想郷「帝国」。
超常の力を駆使し、“魔女の国”と恐れられる「ネビュリス皇庁」。
百年にわたる戦争を続けてきた両国には、二人の英雄がいた。
最年少にして帝国の最高戦力となったイスカ。
ネビュリス皇庁の王女にして“氷禍の魔女”の異名を持つアリスリーゼ。
戦場でめぐり逢った二人は、命を賭して戦う宿敵となった。
国を、家族を、仲間を守るため、決して譲れない矜持と矜持をぶつけ合う。
しかし、激闘の中で互いの素顔に触れた二人は、
その生き方に、その理想に惹かれてしまう。
ともに歩むことはできず、残酷な運命に翻弄されるとわかっていても。
……そんな二人を嘲笑うかのように、世界の緊張はなおも高まり、
大国の謀略が交錯しようとしていた。
分断された世界、それでも少年と少女は想いを募らせていく――。TVアニメ「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」公式サイト

分断された世界で惹かれ合う男女を描いた恋愛×ファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (44点)
完走難易度 難しい

原作は細音 啓先生。

監督は湊 未來さん・大沼 心さん。

制作はSILVER LINK.。

聖戦

©2020 細音啓・猫鍋蒼/KADOKAWA/キミ戦製作委員会

架空の「帝国」と「皇庁」の戦いを描いたバトルファンタジーアニメだ。

平和を求めるために最前線で戦う両国の騎士と姫が主人公とヒロイン。その2人が戦場で出会い、ふとしたところから関係を深めていくというストーリーだ。

良くあるようでそれほどない世界観と設定。古くはロミオとジュリエットを起源とする「禁断の恋」。最近でもロミジュリをモチーフにしたラブコメアニメが放送されている。

正直そのキャッチコピーだけでリードしているハイコンセプトな作品だ。いわゆる「みんなが知っていてみんなが好きになれる」作品だ。

1話に2人は戦場で出会い、お互いの力を認め、1話の最後の中立地のオペラ劇場で偶然出くわす。

劇に感動してハンカチを濡らすヒロインに、さりげなくハンカチを渡す主人公。明転すると、つい先日剣を交えた見知った顔がいる。顔を見合って固まる2人。(笑)

戦場で出会った時も、ヒロインは主人公にカッコ悪いところを見せている。戦場での戦うシリアスがあって、力の抜けるような笑いもあって程よい緊張感がある作品だ。

ファーストコンタクトでヒロインは主人公の「戦争に対する思い」を知り、主人公側もまたヒロインの強さ、そしてドジっ子で涙もろい一面を目の当たりにする。

1話で早速主役となるロミオとジュリエットが出会い、最後にはオペラで再会する。少し端折り気味な感はあるもののテンポ良く進んでいる。

まだあらすじにあるような関係とは程遠いが、お互いのことを徐々に知っていった先に一体どうなって、戦争はどんな方向へ向かっていくのか。先が気になる1話となっている。

定まらない

©2020 細音啓・猫鍋蒼/KADOKAWA/キミ戦製作委員会

1話の導入は分かりやすいコンセプトとテーマがあって引き込まれる内容になっているが、2話以降はフワフワしてなかなか行き先が定まらない印象だ。

「国境を越えて敵同士の間柄の2人が禁断の恋に落ちる」というあらすじの割に2人の関係を描くようなシーンはほとんどなく、やれボルテックスだ、キッシングだとグダグダやっている。

はっきり言って説明不足だ。ボルテックスが何でキッシングとは何者で、皇庁で眠る王女の存在が何で、襲ってきたのは何故で。何も掘り下げがないので分からない。

原作ではちゃんと説明されているような用語の意味が飛ばされ、一体何をかけた戦いが戦場で行われているのか分かりにくし、当然感情移入もできない。

バレたら大事になる「秘密の恋」というコンセプトがありながら、何も賭けない、何も失わない、何も分からないような戦いを延々続けている。

作画も序盤の段階ですでに崩れ気味になっている。顔のパーツのバランスが明らかにおかしいし、バトルアニメなのにバトルシーンが極限までカットされているような雰囲気すら感じる。

ミスミス隊長やミスミス隊長やミスミス隊長など、素直に可愛いと思えるキャラクターもいるだけに、うまくキャラの魅力がストーリーに乗っかっていない感じだ。

立場

©2020 細音啓・猫鍋蒼/KADOKAWA/キミ戦製作委員会

序盤は突拍子もない展開で萎えてしまう瞬間もあるが、中盤からまた盛り返している。

主人公とヒロイン。それまであやふやだった2人の関係が定まり、新しいストーリーが始まる。

主人公は帝国の騎士として。ヒロインは皇庁の王女として。思想や立場が違う2人がお互いを「戦場のライバル」と認め、2人の関係は一歩進展する。

ヒロインにとっても、ヒロインの側付きにとっても「敵」だった主人公。しかしホテルに連行されたシーンで主人公の「聖紋」に対する考えを知り、敵ではなくライバルとみなすようになる。

生まれた国が違うだけで争う理由にはならない。聖紋があるかないかで人を判断しない。そんな主人公の信条を聞いたヒロインと側付きは主人公に対する評価を改める。

だがやはりいまひとつ満たされない。どんな感情を抱かせてくれるのか。何を満たしてくれるのか。中盤になってもイマイチ分からない。

サリンジャーという上裸の男が突然登場したり、新キャラの登場の仕方もまさに厨二ファンタジーアニメのそれなのだが、この手のアニメで説明を省かれると正直きつい。

なんとなくどういうポジションなのかは伝わるし、この手のアニメで説明役がいることは無粋なことだと分かってはいるが、それぞれのキャラの背景が見えないので感情の行き場がない。

内容や設定が理解できなくてもなんとなく楽しめる作品はあるが、雰囲気で楽しむアニメにしてはやっぱり振り切り方が弱く、細かいことが気になってイマイチ作品にのめり込めない。

いっそバカらしいほど何かを貫き通してくれた方が、「これは設定とかを気にしなくてもいいアニメなんだ」と安心できるが、妙に細々とした伏線や目的が分からないキャラがいて集中できない。

総評:もったいない

©2020 細音啓・猫鍋蒼/KADOKAWA/キミ戦製作委員会

敵国同士の主人公とヒロインが戦場で出会い恋に落ちる。そのコンセプトだけでも間違いなく面白いことがわかる作品だ。

だがそのコンセプトが良い感じにストーリーに反映されておらず、何の感情を抱くこともない作品になってしまっている。

「敵国同士なのに惹かれ合う2人」というニュアンスがあらすじにはあるが、その実、敵国であるはずなのに敵国感が12話通して全くない。

100年戦争のごとく、長きにわたる因縁めいたものは感じるものの、12話の尺の中で一度たりとも大戦に発展することはなく、終始地味な駆け引きをしている。

しかもちょっかいを出すのはいつも帝国側で、皇庁側は帝国に攻めようともせず、むしろ内輪もめみたいなことばかりしている。

方向性がよく分からない。はっきりとした敵対関係もなく、ポジションが良く分からないような新キャラだけが続々投入され、画面上で何が起きているのか付いていけない。

恋に落ちそうな気配はあったし、最終話には恋のライバルが現れて初めて自分の恋心を自覚するような振る舞いをヒロインが見せるが、正直遅い。

中盤で主人公がヒロインのことを「戦場のライバル」と形容するが、そもそも2人が戦ったのは1話の初対面のときだけ。

それなのに主人公がライバルと呼ぶ意味も分からないし、それを納得するヒロインも分からない。

おそらくライバルから恋の相手へと進んでいくのだろうが、それは1期の尺では足りなかったようだ。

最終話からようやく面白くなりそうな雰囲気があり、妹のライバル宣言をもっと前倒しで持ってきていれば、嫉妬に燃えるヒロインの違った一面も見られたはず。

一応最後は綺麗に黒幕の思惑を潰してハッピーエンドになってはいるが、伏線があまりに多く残っているためスッキリとはしない。

敵国同士の争いが激しければ激しいほど2人の恋は燃え上がる。敵対関係が濃ければ濃いほど2人の恋が成就した時の感動も一入になる。

だが戦争らしいことはしないままこのアニメは終わる。ヒロインはずっとツンツンしているし、主人公は奥手で鈍感だ。恋に進展する気配などない。

やれ精霊だボルテックスだキッシングだネームレスだサリンジャーだ…と 中身のない言葉ばかりが増えていき、観終わっても結局手元に何も残らない。

バトルでの動きの切れ味も今一つで、バトルの迫力という面でも今一つだった。バトルが少ない分、余計にそう感じる。

雑感:無味

©2020 細音啓・猫鍋蒼/KADOKAWA/キミ戦製作委員会

驚くほど何の味もしない作品だった。

見たことあるような設定や世界観。意味不明な用語。立場が分からないキャラ。ロミジュリのようでそうではない肩透かし感。バトルもそれほどない。

噛めば噛むほど味がしない作品で、1話で「これ!」という指針を見せてくれたのに、それ以降は段々とブレていった。

キミ戦ラジオを全編聞いていただけに、あらすじだけはなんとなく知って期待していたが、残念な作品だった。

とはいえキャストは有名な顔ぶれが揃っているので、興味がある人はぜひ観てみて欲しい。

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