2020年

【2020アニメ】「恋する小惑星(アステロイド)」アニメレビュー





(57点)全12話

幼いころ、キャンプ場で出会った男の子と“小惑星を見つける”という約束をした木ノ幡みら。
高校では天文部へ入部しようとしたが、今年から「天文部」と「地質研究会」が合併して「地学部」になっていた……!?

地学系女子(ジオジョ)たちと一緒に、いろんなキラキラを探しに行きませんか?
TVアニメ「恋する小惑星(アステロイド)」公式サイト




地学部の女の子たちを描いた日常アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (57点)
完走難易度 普通

原作はQuro先生。

監督は平牧大輔さん。

制作は動画工房。

地学

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

このアニメは「地学部」に所属する女の子たちの日常を描いたアニメ作品になっている。

主人公が高校で幼馴染と偶然再会し、同じ地学部員として他の部員とも協力しつつ、仲良く部活動をするというアニメだ。

主人公は幼馴染のことを男だと勘違いしていたが、実は女の子だと判明し、最初はぎこちない関係から始まりつつも、お互いに歩み寄っていくというのが1話の内容だ。

特筆すべきは地質と天文を扱っているということ。

本当に最近の日常アニメというのは幅広くて面白い。特に役立つ機会はないが、幅広い知識を浅く広く身に付けることが出来る。(笑)

また主人公と幼馴染の間には、『小惑星を見つけて「青」という名前を付ける』という共通の「夢」があり、1話で明確に目指す場所が決まることでより道筋が明確になっており、ゴールに向かってどういう過程を経ていくのか、という興味が湧く。

「幼馴染と再会し昔の約束を果たす」という展開は正直既視感バリバリだが、序盤から世界観がしっかり出来ているアニメだ。

共感

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

このアニメは少し共感が難しいと感じる面もある。

というのも取り扱っている分野が「地質学」「天文学」と固い。女性、ましてや年頃の女子が楽しそうに石を集めたり、星を眺めたりする絵がどうしても不自然に見える。

楽しそうにしているのは伝わるが、女の子が楽しそうにキャッキャしている「感情」に共感が出来ない。

3話では地質の先輩が作った宝探しの地図で校内を探索するのだが、宝が隠されていた地図を見て「可愛い地図~」ととあるキャラが言うシーンがあり、どういう感情なのかよくわからない。

キャラに対する感情が序盤にして少し遠のいてしまっている。アニメの女の子たちが楽しそうにしているのを「外から」楽しむ。それだけのアニメになっている。

もちろんキャラの可愛さこそ日常アニメの一番のポイントなのだろうが、それだけでは天文と地質を扱う意味がない。

新しいことを学ぶ喜び・新しい発見などを一緒に共有したいところだが、序盤のうちは作品に入れない傍観者状態だ。

転校

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

9話で主人公の友達の父親の転勤に伴い、その友達も一緒に転校してしまうというピンチが訪れる。

主人公と友達は一緒に「小惑星を見つける」という夢があり、最初は自分の運命を受け入れていた友達も、親を必死に説得して何とか1人だけ残ることになり、主人公の家に居候することになる。

「夢」を阻む大人の存在。夢を叶える過程で夢を邪魔する存在がいる事で、夢を追う過程に張り合いが出る。

「親の決定に抗う」というのは難しいことで、ましてや他人の家に居候するなど、友達の親も言っていた通り迷惑だし、心配だし、お金も気になるしで、現実だったら不可能に近い。

いくら夢のためとはいえ娘を1人で残すなんて、普通の親だったら到底できる決断ではないだろう。受け入れた親の度量も大したものだ。

それはいいとして、それまでザ・日常アニメという代わり映えしないシーンが延々と続き、1話で約束した「夢」という部分が少しぼやけているような感じもあった。

そんな中でもう一度「夢」と向き合うというシーンがあり、ようやく「このアニメらしさ」を観ることができた。

ただあまりにあっさりしすぎている感もある。

子供の夢を応援しているとはいえ、少し説得されただけで、他人の家に住まわせる決断をする、というのはいかがなものだろうか。(笑)

季節感

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

ザ日常アニメではあるが、他の一般的な日常アニメとは違い、季節感がそれほどない作品だ。

春夏秋冬それぞれの定番イベントを全て網羅するような流れではなく、行事は少しかいつまんで、地質や天文学にできるだけ寄り添う。JAXAに行くシーンなどはこのアニメならではだ。

春には入学式や卒業式、夏には海や合宿、秋には運動会や文化祭、冬はクリスマスや正月。これらの定番イベントを順番に踏んでいくのが日常アニメの習わしだ。(笑)

しかしこの作品では9話の時点で1年が経過し、新入生だった主人公は2年生に進級し、3年生は卒業してしまう。

日常アニメとは思えないほど時間の進みが早い。

個人的な感覚ではちょうど1クールの終わりに進級、あるいは卒業を迎えて「これからも日常は続く」的な締め方が多い気がするが、このアニメでは9話で1年が進む。

良し悪しの問題ではなく、これほど季節感が感じられない日常アニメは珍しい。

総評:惜しい

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

「小惑星を見つけ命名する」という明確な目標があり、そこに向かって知識を深めながら、高校生らしい青春模様を描いた作品として、全体的に見れば面白い作品だ。

しかし確固たる「面白い」を、このアニメで見つけることができなかった。

夢という本筋がありながらも、このアニメは日常をメインで描いた作品になっており、夢と日常が相乗効果をもたらすというよりも、お互いが足を引っ張る構図になっている。

夢へ至る過程での困難や、自分自身・親友との葛藤、恥をかくほどの失敗…といったような夢に関するストーリーではなく、JAXAに遊びに行ったり、河原でBBQしたり、会報の内容を考えたり、一緒に文化祭の展示を考えたり。

そういったイベントごとが重点的に描かれていたため、「夢」の存在が限りなく薄くなってしまっている。

9話でようやく主人公の友達が転校の危機に陥り、夢がついえる危機に陥るが、意外とあっさり「居候」という少し非現実的な方法をもって解決している。

日常アニメなのでそこまで入り組んだことはできないのは分かるが、あまりにもあっさりしすぎている。シリアスのようでシリアスになり切れていない。

更に新入生が入部してきた10話では、突如として作品の雰囲気が変わる。

新入生は地学部に入部を希望してはいるものの、やりたいのは気象の方で、さらに入部早々、去年の文化祭を持ち出し「問題意識が欠けていた」とダメ出しをくらわす。

地学部に入って来たはずの部員が「私は気象がやりたいんじゃ!」と声高に主張するだけならまだしも、問題意識が欠けていたという上から目線で部にダメ出しをする。

作品の世界にそぐわない発言をするキャラが登場したかと思えば、新入生を歓迎するBBQでも、とんでもない爆弾を落とす。

彼女が気象に深いこだわりを見せる理由を話すシーンのこと。

彼女の祖母の家が洪水で浸水してしまい、ショックを受ける祖母を見て人の役に立ちたいと思い、気象を学ぼうと思ったそうなのだが、正直意味が分からない。

なんとなくシリアスで感動的な雰囲気によって流されてはいるが、「洪水によって困っている人の役に立ちたい➡気象を知りたい」という思考回路が理解できない。

洪水によって困っている人を救いたいなら頑丈な堤防を作ればいいし、自衛隊などに入って救助する側になればよい。

「人の役に立ちたいから気象を学びたい」という気持ちは分かるが、きっかけが洪水である必要はどこにもない。無駄にシリアスを持ち込む必要はない。

10話にしていきなり雰囲気をぶち壊すようなキャラが入ってくる。

それまでどちらかといういとノホホンとした萌えアニメだったのに、楽しいはずのBBQという場で、いきなり洪水だなんだと物騒な話を始める。

シリアスを避けてきてようやく9話で転校騒ぎがあったかと思えば、堰を切ったかのように、10話では空気の読めない後輩キャラがやってきて作品の雰囲気を壊す。

やっていることがよく分からない。ともに夢に向かって頑張れるキャラなら、多少空気が読めなくても生意気でも愛着が湧くというものだが、残念ながらただの自分語り大好きっ子にしかなっていない。

ただストーリーの流れ自体はしっかりしていた。夢を目指す主人公と親友がいて、転校という別離の危機を乗り越えて、最終話で初めて小惑星を探すという経験をし、発見には至らなかったものの夢へと着実に前進する。

無難すぎる成長ではあるものの、流れがしっかりとあり、夢を追う作品としては一定の満足感はある。

2期がもし観られるなら、夢を前面に押し出した作品になるともっと心に響く作品になるかもしれない。

雑感:非現実感

©Quro・芳文社/星咲高校地学部

少し引いた目線で見てしまうアニメだった。

地質学と女子高生。結びつきが薄くそもそも作品に入り込めない。

これは偏見かもしれないが、現実では圧倒的に男性が多い分野だと思っているし、女の子がキャピキャピ言いながら石や惑星について語る、というのはあまりに非現実的だ。

私にはどうしても「日常アニメの延長線上に地学がある」という程度にしか見えなかった。

日常シーンをメインにしつつも、終盤で1話に設定した夢について集中的に描く。そういった構成だったのかもしれない。

だが結果的にどちらも中途半端で、日常アニメでゆるーく可愛い女の子を描きたかったのか、夢にとことん向き合って成長していくストーリーを描きたかったのか。

二兎を追う者は一兎も得られなかった。

しかしそれはジャンルに特化して、なおかつ「夢」を追う日常アニメの宿命でもあり、どちらもやって12話に収めるというのは難しいことだ。

全体的に見れば綺麗にまとまっていたと思うし、日常アニメが好きで可愛い女の子が好きな人はハマる作品だろう。




COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です