アニメ

【2017アニメ】「クジラの子らは砂上に歌う」アニメレビュー

(25点)全12話

砂がすべてを覆い尽くす世界。砂の海を漂う巨大な漂泊船“泥くじら”で暮らす少年チャクロは、誰ひとり見たことのない外の世界に憧れを抱きつつ、仲間たちと変わらぬ日々を過ごしていた。そんなある日、突然漂着した廃墟船の中で、チャクロは1人の少女と出会う…。TVアニメ「クジラの子らは砂上に歌う」公式サイト

閉じられた世界で暮らす人々を描いたファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (25点)
完走難易度 難しい

原作は梅田亜比先生。

監督はイシグロキョウヘイさん。

制作はJ.C.STAFF。

泥クジラ

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

砂の海を航行する巨大船「泥クジラ」

そこに暮らす人々の日常を描いたアニメになっている。

主人公が語り部となり、人々の毎日の暮らしを記していく。

隔絶された世界に住む人々。

自分たちがなぜ砂の上で暮らしているのか。泥クジラとは何なのか。

何も知らないまま砂の海で永遠に生き続ける。

1話の冒頭のシーンは砂葬という葬儀のシーンから始まり、人々は感情を出すまいと手を組み、ひたすらに祈りを捧げるという少し異様な光景が繰り広げられる。

大きな特徴として、この船に暮らす人々は感情を表に出すことを良しとしていない。

そういった船内のルールが丁寧に説明されるので、比較的世界感には入りやすくなっていた。

キャラの会話で理解してもらう手法もあるが、主人公の語りで細かく説明してくれた方が飲み込みやすくてありがたい。

つかみの印象は良い。

世界観もある程度理解できたし、さあどんな風にストーリーが転がっていくのか、と腰を落ち着けることができた。

感情

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

感情の有無が作品の展開に大きな影響を与えている。

主人公たちが住む船では葬儀の際に泣いていけないという伝統がある。

序盤で出会うリコスという少女は感情を持たず、リコスの故国の人間も感情を持たない人がほとんど。

この作品の世界では感情を持つことは悪で、感情を持たないことが善とされる。

確かに感情を持つことで争いが生まれてしまうなら、感情を消してしまえばいい。

感情を消せば苦しむこともない。

「悪」と見なされた主人公たちが住む泥クジラは、一方的な処刑を下されることになる。

しかしそれを良しとしない泥クジラの人々が、武器を取って立ち上がるというのが中盤以降の展開だ。

処刑

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

3話から一気にシリアス展開に突入する。

一方的な侵略を受ける泥クジラ。

主人公の知り合いも謎の侵略者たちに殺されてしまう。

優しく温かみのある作画からは想像できないほどの血みどろな光景が繰り広げられる。

敵方が攻めてきた理由は「感情を持つ異端な民族を処刑するため」

一度目は何とか「サイミア」という能力を使いながらも敵方を退ける。

しかし元寇よろしく、二度目の襲来が宣言されることに。

「船を沈めて自決するべき」「敵と戦って撃退するべき」

と民族内を二分する言い争いが起き、結果的に、戦って撃退する方向に進んでいくことになる。

展開自体に不自然さはないが、ダラダラと主人公が語りながらストーリーを追うことで、冗長さが生まれてしまっている。

ストーリーの合間合間に主人公が記す日記の語りが入ることで、スピード感が失われ、緊張感が緩んでしまっていた。

序盤こそ、語りが重要な役割を担っていたが、たいした動きのないシーンも大げさに語る必要は全くない。

3話をピークに徐々に展開が遅くなっていって、中身の薄さも相まって、眠くなってしまうほどの退屈さを生んでしまっていた。

主人公を交代しろ

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

この作品の主人公は狂言回し(語り部)を担っている。

用語の解説、世界観の説明、作品内では記録係として、その日あった出来事を日記として記録している。

最初こそ彼の解説で大いに助かっていたが、徐々にさっき起きたばかりの光景や、今後の見通しなんかもダラダラと話すようになる。

さっき起きたばかりの光景を言葉にする意味は全くないし、視聴者を舐めているような演出ととられても仕方がない。

今後の見通しも、あくまでストーリーを観てもらうことで視聴者に判断してもらう部分で、語りがいちいち説明してしまうと、作品の楽しみを半減させてしまうことになる。

いくら作品内で記録係としての任を負っているとはいえ、中盤以降は邪魔でしかなかった。

しかも主人公は序盤こそストーリーを動かしていたが、中盤以降では完全に語る役に回ってしまっている。

彼の代わりに大活躍するのが、オウニと呼ばれる泥クジラの問題児を束ねるリーダーだ。

非常に高い戦闘能力を持ちバトルでは大活躍。

さらに「デモナス」という伝説上の存在ではないか、と他国に目を付けられるほどの存在だ。

ぶっきらぼうの中にも仲間想いな一面が垣間見えて、非常に魅力的なキャラとなっている。

悲しみを乗り越えるだけで強くなろうとしない主人公より、よほど主人公をしていた。

というか中盤以降は主人公が完全に入れ替わっていた。(苦笑)

主人公が主人公をしていない作品は評価に値しない。

総評:苦行

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

30分12話が苦行に感じられた作品だった。

一個一個のストーリーの間延びが凄く、ダラダラと無駄な語りを入れながら進んでいき、徐々にイライラが募っていく。

語りのセリフ回しでそれっぽいような世界観を構築しようとしているが、肝心のストーリーが薄っぺらいために、全く心に響かない。

決して突飛な展開や仕掛けがあるわけでもなく、予想通りな展開だから、なお質が悪い。

11話で、戦いが一段落して登場キャラが世界に希望を持ち始めたところで唐突に内輪もめが始まるなど、話の腰を折る展開も多く萎えてしまった。

他の人気作品の設定を寄せ集めて作っただけの中身のないストーリー。

最終回のラストシーンでもすっきりしない終わり方になっており、後味も良くはない。

キャラや設定を持て余しており、とりあえず出したキャラ、とりあえず入れた設定があまりにも多い。

ストーリーに繋がりがなく、淡々と事象を羅列しただけの平坦なストーリーには見どころが全くなかった。

敵側の陰謀もなければ戦場での駆け引きもない。

既視感のある世界設定と予想を裏切らないストーリー。

さらにそこに無駄な語りが入ることで生まれる冗長。

何かの修行をしているのかを錯覚するほどの絶望的なつまらなさだった。

せっかくの綺麗な作画がつくづく勿体ない。

個人的な感想:勿体ない

引用元:© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会

これだけの画力で作品を表現できたというのに、肝心の中身が全く伴っていなかった。

原作からの改変は少なく、おおむね原作通りの流れでアニメ化がされている。

制作陣どうこうより原作のパワーがあまりに弱すぎる。

世界観や設定ありきで物語が作られており、脚本のセオリーや視聴者の心に訴えかけるストーリー作りは完全に無視されてしまっている。

魅力あるキャラを登場させて、なんとなく驚きや感動を与えるような展開を見せるだけ。

外面だけの中身のない薄っぺらいストーリーは退屈そのもの。

ただ設定自体にはポテンシャルを感じる部分もあり、ストーリー構成や演出のさじ加減で少しはごまかせたはずだ。

とはいえ、二度と観る気の起きないアニメだった。

円盤売り上げは全巻合わせて216枚と大爆死。

2期は絶対にあり得ないほど散々たる結果に終わってしまった。

アニメファンの間でも酷評が絶えない作品のようだ。

ファンタジー系の作品が好きな人で、暇を謳歌したい人にはオススメしておこう。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です