アニメ

【2020アニメ】「虚構推理」アニメレビュー

(36点)全12話

“怪異”たちの知恵の神となり、
日々“怪異”たちから寄せられるトラブルを解決している少女・岩永琴子が
一目惚れした相手・桜川九郎は、“怪異”にさえ恐れられる男だった!?

そんな普通ではない2人が、
“怪異”たちの引き起こすミステリアスな事件に立ち向かう
[恋愛×伝奇×ミステリ]!!

2人に振りかかる奇想天外な事件と、その恋の行方は――!?TVアニメ「虚構推理」公式サイト

怪異たちが引き起こすミステリアスな事件に立ち向かう恋愛×ファンタジー×ミステリーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (36点)
完走難易度 難しい

原作は城平京先生。

監督は後藤圭二さん。

制作はブレインズ・ベース。

ミステリー×恋愛

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

ミステリーと恋愛を掛け合わせたかのような世界観の作品だ。

怪異がもたらす謎をヒロインが解きながら、同時にヒロインと主人公の関係が進展していくという構成になっている。

この作品でいうところの「怪異」とは、幽霊や怪物の類を総称したものであり、そんな怪異から神として崇められる存在がヒロインの琴子という女の子だ。

そしてその琴子が一目惚れしてしまう相手というのが、もう一人の主人公・九郎であり、彼は不死身の能力と未来を決定する能力を持つ。

主人公が不死身…怪異…ミステリー…恋愛…

同じ世界観を持つ作品として、かの有名な「化物語」を想像する人はきっと多いはずだ。

実際には化物語よりもミステリーの要素はマシマシなのだが、作者が意識しているのか類似点は多い。

バディものの要素も含んでおり、事件を解決しながらお互いを信頼するように…なんてストーリーを序盤は期待していた。

しかし中盤に差し掛かる4話あたりで、その期待は消えてしまう。

冗長の極み

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

このアニメの本筋としては、怪異による事件が起き、その脅威を聞きつけた「神」である琴子が九郎と協力して事件を解決するというもの。

良く言えばシンプルで、分かりやすいとも捉えることもできる。

しかしどう受け取ってもただの退屈にしか思えなかった。

というのも、ストーリーに変化も発展性もない。

「知恵の神」と崇められる琴子が頭脳を使って推理・解決に導き、九郎は不死身の能力を活かして怪異と戦って時間を稼ぐ。

このパターンしかない。

そもそも30分12話という尺がありながら、2人が巻き込まれる事件は3つしかない。(苦笑)

2人が出会った直後の事件、2話の池での事件、そして3話から最終話まで続く事件。

明らかに構成のバランスがおかしい。

力を入れるにしても、3話から続く一連の事件は引っ張りすぎな印象しか受けない。

特に入り組んだトリックもなければ、犯人のしっぽさえつかめない暗闇な状況でもなければ、第三者による陰謀もない。

犯人が明らかで、事件の真相も分かっているにも関わらず、クドクドとネット上での書き込みをする絵が永遠と続くまさに地獄。

言葉巧みにセリフの表現を変えてはいるが、やろうとしていることは早い段階で明確になっており、それを視聴者が分かっているにも関わらず、とにかく引っ張る。

対策を講じるまでクドクドと意味のない話し合いや回想を挟み、もはや冗長&退屈という言葉以外浮かばない。

何を言っているかピンと来ないと思うが、ミステリーアニメというネタバレが許されない状況であることを理解してもらいたい。

つまり、何をするのかもわかり切っている状況で、次の展開をこちらが把握しているのに、それっぽくかっこいいセリフを並べて雰囲気を演出していただけの薄っぺらい作品だったということだ。

もちろん犯人は明らかで、トリックも明らかになっている状態で、虚構、つまり嘘を構築していくことこそ、このアニメの面白さであることも理解している。

しかし肌に合うか合わないかは正直分かれる作品だ。

嘘を真実と認識させる過程を楽しめる人は好きだろうし、黒幕に迫る緊張感や綿密なトリックを暴くことを求めている人は、きっと作品に入れないだろう。

バディの良さがない

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

バディものの一番の面白さといえば、お互いの強みを活かして協力して事件を解決したり、お互いを理解して関係を深めていくことにある。

しかしこの作品では、全くバディものらしい面白さを引き出せていない。

推理から解決に導くまでの過程を琴子一人でこなしてしまう。

もはや九郎は中盤以降、ただのお飾りでしかなかった。

まさにCV宮野真守の無駄使いである。(笑)

彼の主な仕事は不死身を活かして怪異と戦うことだが、特に戦闘力が高いわけでもなく、足止め程度の仕事しかできない。

この作品で本当に必要な存在だったのか、不明なまま終わってしまった。

琴子が想いを寄せるほどの男だったのか、琴子が惚れた理由も「一目ぼれ」で済まされてしまっており、2人の関係はどうにも薄っぺらい。

どこかのシーンで分岐点となるシーンがあれば良かったが、如何せん3話から12話までをまるまる一つの事件に使ってしまい、2人の関係性が見えにくいまま終わってしまった。

独壇場

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

このアニメは琴子の優秀さを表現するためのアニメで、他のキャラはただのモブに過ぎない。

そう表現しても過言ではない。

怪異から信頼され、推理で何でも見通して解決に導く。

もはやこの作品に、琴子以外のキャラは必要ないと思えるほどの存在感だった。

冗談抜きで琴子しか喋らない回というのがあったし、あまりの仕事量に、鬼頭さんの喉を心配してしまったほどだ。(苦笑)

そのくらい琴子が一人で状況説明を行い、推理から解決までを一人でこなしてしまっていた。

九郎は不死身の能力を活かしていだ場面はあったものの、果たして彼が戦う意味はあったのかは怪しいところだ。

九郎には未来を決定する能力もあるが、実質琴子の推理だけで解決していたので、完全に個性が死んでしまっていた。

さらには大したトリックがあるわけでもないのが、苦痛を助長させた要因でもある。

ミステリーとして骨のある作品ならば、犯人が誰なのか、トリックは何なのかを考える楽しさがある。

しかしこの作品にはトリックなど存在しないも同然。

なにせ琴子と九郎には最初から犯人が分かっており、犯人探しというより、ありもしない「嘘」を並べ立てて「真実」を超えるというのが本質になっている。

もはやミステリーと呼べるかも怪しい。

3話以降の事件に関しては「推理」というよりも、完全に言葉遊び、どちらが言葉を使って巧みに世論を動かすことができるか、という別のベクトルに変化してしまっていた。

虚構を作り上げるという斬新な世界観ではあったものの、それができるのは琴子だけであり、原作者と制作陣の語彙力自慢をされたかのような作品だった。

総評:ペースが遅すぎる

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

いくら何でもストーリーのテンポが遅すぎた。

3話以降は最終話まで同じ事件を扱っており、10話分も尺を使うほどスケールの大きい事件でもないのに、ダラダラと尺を引き延ばすような言葉遊びに嫌気が差した。

コナンのアニメで「前編・中編・後編」と3話構成になっていても長く感じてしまうのに、10週分毎話のように同じ展開を見せられた側としては、たまったものではなかっただろう。(笑)

幸い私は一気見だからいいものの、TVアニメで追っていた人は地獄だったに違いない。

それほど刺激が少ない作品だった。

バディもので恋愛ものにも関わらず、お互いの関係が一向に進むことはなく、琴子の片想いが続く

一目ぼれの一言で片づけられてしまったことも勿体ないし、最初から惚れている設定よりも、反発しあっていた2人が徐々に惹かれあうという流れの方が感情移入もできたことだろう。

せっかくこれだけの作画のクオリティで、全く崩れることなく安定していたのに、ストーリー構成が破綻していたせいで全てが台無しになってしまった印象だ。

確かに原作でも一つの事件にたっぷり尺を使ってはいるが、10話分使うのは明らかにやりすぎだ。

虚構を作り出して事件を解決するという世界観は斬新ではあったが、結局何がしたい作品だったのかは不透明なままだ。

とはいえ、終盤11話にして初めて2人が協力して敵を倒す描写があり、今後はこういうシーンが増えていくと面白くなっていくはずだ。

もし2期へと繋げることができれば、琴子と九郎の関係性の変化もあるだろうし、黒幕へと近づく緊張感も一層楽しめるかもしれない。

個人的な感想:アニメに向かない

引用元:©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

そもそもアニメ向きな作品だったのか疑問が残る。

原作者も認める通り、漫画・アニメに向かないほど一人のキャラ(主に琴子)がしゃべりっぱなしになる世界観はアニメというより、落語に近いものがある。

言葉を巧みに操り人を楽しませる・人を惑わせる。

言葉遊びの側面で見たら、確かに良く出来ていると思う瞬間はあったが、アニメはキャラ同士の会話で進んでいかないと張り合いがない。

それも分かった上で、あえて新しい切り口の作品を世に送り出したということは理解できる。

しかしキャラの魅力や関係性を疎かにしては、アニメとしての面白さは表現できない。

推理や言葉遊びで自分に酔いたいならアニメでなくともよい。

作画のレベルは相当に高く、アニメを楽しむ上での苦痛は一切ない。

ヒロインの声を今をときめく鬼頭明里さんが演じており、主人公の声には大人気声優の宮野真守さんを起用している。

これだけのキャストと作画がありながら、やはり脚本構成がダメだと全てがダメになる、というのを象徴したアニメだった。

 

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