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【2020アニメ】「魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」アニメレビュー

(77点)全13話

二千年の時を経て蘇った暴虐の魔王――だが、魔王候補を育てる学院の適性――《不適合》!?
人を、精霊を、神々すらも滅ぼしながら、延々と続く闘争に飽き、平和な世の中を夢見て転生した暴虐の魔王「アノス・ヴォルディゴード」。しかし二千年後、転生した彼を待っていたのは平和に慣れて弱くなりすぎた子孫たちと、衰退を極めた魔法の数々だった。
魔王の生まれ変わりと目される者を集め教育する“魔王学院”に入学したアノスだが、学院は彼の力を見抜けず不適合者の烙印を押す始末。さらには、伝説の魔王は自分とはまったくの別人という事になっていた。
誰からも格下と侮られる中、ただひとり親身になってくれる少女ミーシャを配下に加え、不適合者(魔王)が、魔族のヒエラルキーを駆け上がる!!
「摂理だろうと運命だろうと、奇跡だろうと、俺の眼前ではただひれ伏し消えるのみだ。」TVアニメ「魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」公式サイト

魔王が転生するファンタジー×バトルアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (77点)
完走難易度 普通

原作は秋先生。

監督は田村正文さん。

制作はSILVER LINK.。

俺TUEEEEE

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

何やら壮大な音楽と中田譲治さんの渋いナレーションで始まるこのアニメ。

2000年前やら、魔王やら何やら情報量が多い割に全く頭に入ってこないイントロから入り、一人の少女と主人公と思しき青年が橋の上で出会う。

そこで開始早々に輩に絡まれた主人公とヒロイン。当然主人公は調子に乗った輩に圧倒的な力を誇示して天誅を下す。そして噛ませ犬キャラが主人公の強さを分からせる「道具」としてあっさりやられる。さらに適性検査で圧倒的な成績を残す。ここまでがワンセットだ。(笑)

言ってしまえば、いや言うまでもなくこのアニメは俗にいう「主人公TUEEEEE」アニメだ。

あえて力を見せずに~とか、力の一部を~とか、まどろっこしい俺TUEEEもある中で、このアニメはとにかく「最強」というところに強いこだわりが見える。

文字通り最強で敵なし。どんな相手も赤子の手を捻るように倒し、遥かなる高みから見下ろして決めゼリフを吐く。その圧倒的なパワーで敵をひれ伏せる。気持ちいほどの振り切りっぷりだ。(笑)

むしろ変化球で攻めるような昨今の俺TUEEEよりも、原点回帰とも言えるような一昔前の俺TUEEEの方が圧倒的に分かりやすいし気持ちが良い。

反面世界観に加えて、主人公の一人称や語尾がかなりコテコテで、そのあまりの「中二臭さ」に人を選んでしまうような作品だな、というのが序盤の印象だ。

ん?

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

ただ1話にして、早くもAパートとBパートの整合性が取れない。

Aパートでは主人公が噛ませ犬キャラを圧倒的な力でねじ伏せ、「死」まで経験させるという暴虐っぷりで倒し、主人公の残虐性がとことん目立った。

しかしBパートに入ると途端に主人公の家族が登場して、それまでとは全く違う一面を見せる主人公。

ギャップを見せたいということだろうが、あまりに急展開すぎて頭では理解しても心が追い付かない状態だ。さっきまで人を殺していたような人間が、次の瞬間にはマザコンになっている。

さらに主人公の家まで同伴したヒロインが、Aパートの主人公を見ているのにも関わらず主人公を「優しい」と言ったり、主人公が「生まれて一か月しか経っていない」という事実を聞いた後に無反応だったり、関わりも浅いのに主人公と友達になったり。いろいろと違和感しかない。

Aパートの爽快感から一転、Bパートでは視聴者を置き去りにして飛び飛びにストーリーが進んでおり、何となく気持ち悪さが拭えない。

かと思えばまた戦闘シーンに入り、今度はAパートで出て来たかませ犬キャラが兄によって殺され、その死体を主人公がゾンビ化させて兄と戦わせ、絆について熱く説くというトンデモスケールになっている。

1話から密度がかなり濃くなっており、結果的に主人公が万能だということは分かったが、あまりに突拍子もない始まり方で癖の強さがハンパじゃなく、考えるより感覚で楽しむことが正解に近いアニメだという印象だ。

超展開

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

2話以降も凄まじい超展開が繰り広げられることになる。

主人公が模擬戦で城をぶん回して投げたり、当たり前のように死人を生き返らせたり、ついには時間を操る能力まで披露する。もはや万能だ。

しかし主人公が最強であるということは、展開が単調になることとニアリーイコールだ。

勝つか負けるか、生きるか死ぬかのヒリつきがこのアニメには存在せず、誰もが予想した通りに主人公が圧倒的な力で勝つ。

それはそれで爽快なのは確かなのだが、流石に中盤にもなると同じ展開で飽きてくる。

ライバルキャラのようなキャラが登場したり、途中から何とか中だるみしないような工夫は見えたものの、主人公TUEEEアニメの宿命とも言うべき「飽き」という問題に直面している。

超展開すぎるぶっ飛んだストーリーや主人公の話し方も相まって、中盤以降胃もたれが凄いことになってくる。ラーメンとかつ丼とお好み焼きを一緒に食べているような気分を味わうことができる。(笑)

横文字は何を言っているかさっぱり理解できないし、剣の名前はいちいちカッコいいし、意味が分からない単語がたくさん出てくるし、全くお話に付いていけない。(笑)

しかし付いていけないなりに、ストーリー自体は王道に乗っかっているので「楽しめる」作品ではある。

初対面で舐めてきた敵を一掃する。苦戦するとしても必ず勝つ。回りくどいことは一切なく、ストーリーの骨格自体はきっぱりしている。

ただ好き嫌いが確実に分かれる作品であることは確実だ。主人公の喋り口調は上から目線でいちいちキザだし、わけわからない讃美歌まで生まれて元気玉みたいなことするし、突拍子もないことも平気で起こる。

理詰めでアニメを楽しみたいという人は、まず1話も持たないアニメだろう。(笑)

終盤

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

クライマックスに至るまでの展開はやや飛び飛びではあるものの、比較的しっかり作り込まれている印象だ。

2000年前の勇者との因縁。勇者学院の謎。魔族と人間の戦争の火種。そして現在に受け継がれた魂と根源。

あらゆる謎や伏線が終盤に至るまで散りばめられ、それらの謎が回を追うごとに明らかになっており、作品の世界観に反して存外すっきりとした後味になっている。

諸悪の根源を絶つというラストに相応しい終わり方になっており、勇者の子孫が明らかになったときに驚き、そして魔王と勇者との共闘は胸を熱くするものがあった。

ただ主人公が終始俺TUEEEするだけではなく、しっかりと筋の通ったストーリーがあり、序盤の紹介から中盤の伏線、そして終盤のラスボスとのバトルに至るまで非常に綺麗な作りになっている。

ただ少々キャラを持て余していた感はあったし、ヒロインがいきなり融合したりと、説明もない突拍子もない展開もあり、思わず笑ってしまったが、この手の作品は理屈から逸脱しているくらいがちょうど良いのかもしれない。(笑)

設定自体は壮大で、訳が分からない単語ばかりで100%のみ込むことは不可能だが、それでも感覚に委ねればこの作品は案外刺さるものがある。

冷静になってはいけない。あの文字列の意味はなんだとか、あの技の理屈はなんだとか、いきなりこの展開はおかしいだろとか、冷静に突っ込むことはご法度だ。(笑)

感覚に委ねて少し「適当」に見るくらいが、恐らくストレスなくこのアニメを楽しめるだろう。

総評:0か100か

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

このアニメは典型的な万人受けしないアニメだ。ハマる人ははまるし、嫌いな人はとことん嫌う。

設定は難しいどころの話ではなく、そもそも理解させようという気がないほどストーリーはサクサク進むし、主人公の喋り口調を生理的に受け付けない人も大勢いるだろうし、女性受けは確実に悪そうな作品だ。(笑)

しかし100でハマる人も同時に大勢いるだろう。

小難しい設定がありつつそれを「ファンタジー」として一括りにするのではなく、しっかり体系化されているため、矛盾点や違和感は意外とない。

例えば貝のネックレス1つとっても、2000年前の伝承が魔王の口からはっきりと語られることで説得力が出るし、その伝承が現在の状況ともしっかりリンクしているから、そこにストーリーが生まれる。

さらに主人公の鼻に付くキザなセリフも「キャラとして作っている感」がなく、不自然さがない。

感情に訴えかけるようなことを言ったり、思わず「上手い」と唸ってしまうようなエッジが利いた表現で例えたり。

俺TUEEE系主人公にありがちな「偉ぶった」感がそれほどなく、目線を比較的合わせやすいキャラになっている。

ごり押しで「俺TUEEE」をやるのではなく、ごり押しの中にも理屈があって、人の心や絆に訴えるようなセリフもあり、全体的に良く出来ていた作品だと個人的には思う。

作画も最後まで安定していたし、躍動感はイマイチだがバトルシーンは多く、魔王の理不尽な強さはしっかりと表現されていた。

主人公を演じた鈴木達央さんの演技も流石で、あそこまで設定詰め詰めのキザ主人公を演じられるのは、声優の中でも数少ないのではないだろうか。

中盤に転入生が入ってきたあたりから主人公の最強にも徐々に飽きが来て、「どうせ主人公が勝つんだろ」という達観めいたものが出てきてしまったのも確かだが、最後まで観ればその飽きも意味があるものだったと分かる。

この手のアニメは最初のインパクトが長続きせずに「出オチ」してしまうパターンもあるが、このアニメでは序盤から中盤にかけて残された違和感が最後にしっかりと回収されている。

感情に訴えかける面白さがありながら、脚本の理屈はしっかりしている。一言でまとめるとこんな作品だ。

正直この手のアニメは腐るほど観てきたし、コッテコテの主人公に最初は嫌悪感さえ抱いたが、案外慣れると可愛く思えてくる。(笑)

やみつきになるか、本能が受け付けないか。このアニメはそんな2択を迫る作品だ。

雑感:満足感

©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

設定過多でストーリーも飛び飛び。だけど面白い。

この手のアニメに関しては「矛盾」とか「ツッコみどころ」は持ち込むべきではないのかもしれない。矛盾もツッコミどころも満載だったが、それがアニメを楽しむ「邪魔」になったかといえばそんなことは無い。

しっかりと俺TUEEEの基本となる「爽快感」が随所にありつつ、違和感や伏線が終盤に明らかになるような構成になっており、1つの作品として満足感を得ることが出来る。

テンプレを地で行くテンプレアニメでありながら、そこに胡坐をかかずに、丁寧に作られたのが分かる作品だった。

それにしてもここまで分かりやすく中二に染まった作品を観たのは、もしかしたら初めてかもしれない。少なくともここ数年はなかったはずだ。

このアニメを嫌う人は大勢いるだろうし、そもそも肌に合わない人も大勢いるはずだが、そんな人たちに媚びを売るのではなく、思い切り喧嘩を売るように理想をぶちまける。

このアニメはそんな挑戦的な作品だと思うし、「人を選ぶとしても、やりたいことをやる」という姿勢を貫いたのは素晴らしい。

最近の俺TUEEEは忖度をするあまり雑味が混じっていたし、差別化を意識するあまり収集がつかない作品が多かったが、この作品は気持ちいいほど俺TUEEEを貫いてくれた。

2期の可能性が少しでもあるなら、信じて待ちたい。

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