2016年

【2016アニメ】「装神少女まとい」アニメレビュー





(35点)全12話

西暦2016年――。釜谷市にある「天万神社」で、巫女のアルバイトをしていた中学2年生、皇(すめらぎ)まとい。幼少の頃に母と生き別れになった彼女は、父方の祖父母の家に長年預けられており、三ヶ月前からようやく父である伸吾とふたりで暮らし始めた。そんな境遇からか、まといは平凡で穏やかな日常に憧れていた。まといの親友で、バイト仲間である草薙(くさなぎ)ゆまは、「天万神社」の神主一族に生まれた次期巫女候補であった。彼女は、一族が悪霊を払うための「退魔行」を先祖代々行っていたことを知り、まといを誘って「退魔行」にまつわる儀式「神懸りの儀」にチャレンジしようとする。学校が終わり、いつものように神社へと向かったふたりであったが、そこで荒らされた境内と、傷つき倒れたゆまの両親に遭遇する。さらに、刑事である伸吾が捜査を行っていた怪事件の重要参考人で、どこか正気でない雰囲気を纏った男の姿もあった。暴れる男を抑えようと、ゆまは咄嗟に「神懸りの儀」を執り行ったのだが、異変が生じたのはゆまの方ではなく――。平凡で普通の生活を求めていた少女に与えられたのは、神を纏って悪霊を払う能力!? 皇まとい、誰にも邪魔されない穏やかな日々を取り戻すため、退魔活動(タイカツ)に励みます!TVアニメ「装神少女まとい」公式サイト




悪霊を祓う女の子を描いたバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (35点)
完走難易度 難しい

WHITE FOXによるオリジナルアニメ。

監督は迫井政行さん。

覚醒

©BOWI/まとい製作委員会

女の子が悪霊を退散するバトルファンタジーアニメ。

主人公の女の子はある日、働いている神社が悪霊によって荒らされ、ピンチに陥ったときに「退魔」のための力を得る。

平和な日常が悪霊との出会いで崩れ、退魔の世界に身を投じることになる。

平和な日常が突然壊れると言っても、急にシリアスな命を賭けた戦いが始まるという感じではない。

あくまで「可愛い」を残した中で、程よい緊張感のなさとギャグを挟むことで、しらけない程度に盛り上がるような演出をしている印象だ。

例えるなら、日曜の朝8時くらいに放送していてもおかしくないほどの至って平和な作品で、単純明快な勧善懲悪を描いた作品だ。

退魔の能力に目覚めて戦いの世界に身を投じるという展開もいかにもな感じだ。

何も分からないまま退魔の世界に足を踏み入れた主人公は、少しずつ自分の正体に気づいていくことになる。

同じく退魔行をしている女の子と出会い、自分の現状を知ることになる。

シリアスとギャグ

©BOWI/まとい製作委員会

シリアスとギャグを並行して描いている作品だ。

大抵の作品だったら、どっちかに極端に寄ることの方が多いのだが、このアニメではシリアスシーンの中にもギャグ要素を程よく盛り込んでいる。

それはそれでこの作品らしい特徴ではあるのだが、少し雰囲気が作れていない感もある。

シリアスシーンで緊張感が高まったところで入るギャグシーンは肩の力が抜けると同時に、作品に入れそうで入れなくなるという弊害も生んでいる。

さっきまで敵か味方か分からないキャラクターに詰め寄られるという緊張のシーンの後に、そそくさと逃げる友達の姿があり、「逃げるのはや!」という主人公のセリフがある。

緊張感が出そうな場面でも笑いに走っている印象があるので、そこまで前のめりになることができない。

また純粋なギャグシーンでも、主人公が変身した姿や変身が解けて裸になった姿などがSNSを使って拡散されるシーンなど、若干滑り気味なシーンもある。

SNSで裸の写真をアップされるという視点は笑えるようで全く笑えない。笑いの方向性がシンプルに合わないというか、倫理観が欠けているような感覚すらある。

単に主人公のことを「可哀そう」と思ってしまっており、ギャグとして成立していない。主人公が1人だけ狙い打ちされて、いじめの標的になっているような気持ち悪さも感じる。

上手くバランスを取る意味も含めて、ギャグを各所に挟んでいるとは思うのだが、個人的には緊張感がもう少し欲しい作品だ。

しかし一方では、気軽に観られるという側面もある。

誰も死ぬことがない。深い人間ドラマのようなシリアスさはないので、純粋なドタバタ系魔法少女モノのような気軽さで楽しめる。

その点はすごくこの作品らしくて良い。女の子の可愛さを楽しむという部分では十分レベルが高いと思う。

理由

©BOWI/まとい製作委員会

主人公は序盤で突然退魔行の力に目覚め、悪霊と戦う力を得る。

しかしそれが唐突であったことで、主人公は自分の境遇をすぐに受け入れることができない。

自分がどうなってしまったのか、どうしたいのか、退魔行の力をどう使うべきなのか、そして何のために戦うのかという「理由」を探すことになる。

その過程は確かに重要だ。すんなりと状況を受け入れて、何のためらいもなく悪霊と戦うというのはリアリティがない。

だが中盤あたりまでその「理由」探しが続くのは、さすがに引っ張りすぎな気もしてしまう。

12話という限られた尺がある中で、その半分を理由探しに費やしており、その間主人公はSNSで拡散されたり、いざというときに戦えなかったりで力を振るう機会がない。

なのでイマイチ盛り上がりに欠ける。主人公がおいしいところを持っていくくらいはしてもいいのだが、妙にリアリティに忠実なせいで、アニメとしては少々インパクトに欠けている。

中盤まで主人公は、力を得ても現実逃避ばかりしているなよなよ主人公でしかない。正義感を持ち合わせているわけでもなく、キャラ付けもなんとなく弱い。

重い

©BOWI/まとい製作委員会

序盤の終盤あたりからどんどん設定が追加され、胃もたれするほど濃い世界観が明らかになる。

とにかく重い。序盤まではあくまで「楽しさ」や「可愛さ」を残しつつ、悪霊と戦う雰囲気があったはずなのに、急にファティマだの神だの、死んだ相棒だの敵討ちだの、重い設定がどんどん追加されている。

落差が大きすぎる。ギャグとシリアスを程よく混ぜた作風は一体どこへ行ってしまったのか。わけのわからん横文字や重い過去で、別作品と見まがうほどシリアスになっている。

かと思えばバトル中のギャグは健在で、今度はそのギャグシーンが明確にシリアスの足を引っ張っている。

「シリアスに方向転換したならせめてやり切ってくれ」と言いたくなるような落差で、序盤の明るさがあったからなおのこと、ダイナミックな展開に全く付いていけない。

キャラクターが説明をしてくれる場面でも全く言葉が頭に入ってこない。敵味方の構図はなんとなく分かるのだが、ハンドルを切るのがあまりに急すぎて心が追い付かない状況だ。

「もうわからんからとにかく戦ってくれ」とさえ思ってしまっている。テンポの悪さも顕著になってきている。

6話の冒頭では、まだ退魔の力に目覚めていないキャラが「オープニング詐欺だと思っていませんか?」というメタフレーズで視聴者を煽っている。

オープニングで流れる映像では確かに「3人」で悪霊と戦っている。それなのにまだ1人だけ力に目覚めていないことを自分でメタった発言だ。

全くおっしゃる通りで、詐欺だと思ってしまうほどテンポが悪い。しかし折り返し地点にして、ようやく役者が揃うことになる。

いささかストレスが溜まるような展開もあったが、ここからの巻き返しに期待がかかる。

総評:中途半端

©BOWI/まとい製作委員会

いろんなものが中途半端なアニメだった。

シリアスなのかギャグなのか。冒頭はシリアスなバトルシーンでもギャグを挟みつつ、「ああ、これはドタバタ系のファンタジーアニメなのか」と思わせておいて、新しく退魔の力を持つ少女が登場してからは極端にシリアスになる。

相棒を植物状態にされたその少女の敵討ちを、主人公と友達は一緒にすることになるのだが、イマイチ心が乗らないし、そもそも共闘というか巻き込まれた感が強く、主人公の存在感が薄い。

主人公は力を持っているのに戦おうとしない。理由を見つけて覚悟が必要なのは確かだが、その過程が逆にテンポの悪さを助長してしまっている。

正直そこまで掘り下げるほどでもない。可愛さを前面に押し出してバトル中にもギャグをやるようなアニメで、そのような理由探しというのは蛇足にしかならない。

守るものがあるから戦う。シンプルにそこに焦点を当てれば十分な気もするのだが、ちまちまと悩んで理由がないからと現実逃避をして、グダッている感が否めない。

その敵討ちの相手も急に登場して急に消える。相棒を倒したという憎まれ役というポジション以外何もわからず、主人公の理由探しのお手伝いをしてあっさりと消える。

バトルも全体的に淡泊だ。悪霊が登場して変身して倒す。そこには何のドラマもない。流れ作業のような情緒のなさ。

悪霊がどんな存在かも一向に描かれない。どんな悪さをしてどんな目的があるのか。そういった敵側の背景は一切なく、いつの間にか登場してすぐに退場する。

可愛さを追求するだけのアニメならそれでも良いかもしれないが、敵討ちだのファティマだの使命だのと、戦っている理由まで掘り下げているのだから、とことんシリアスを貫いてもらわないと作品に入れない。

どうも中途半端に可愛さやギャグを残しているせいで、シリアスになり切れない部分があるように感じる。

そのギャグにおいても、主人公の裸がSNSで拡散されていじめのような状態になっていたり、メタ発言で笑いを取ろうという魂胆が丸見えなシーンが寒かったり、全体通して当たり外れの落差が大きかったように思う。

世界観やストーリー自体は、力が覚醒する魔法少女モノのようなお馴染み感があり、懐かしさもあって心をくすぐられるような面白さはある。

可愛く変身して可愛く倒す。デザインやエフェクトもそこをとことん追求したものになっているので、見せたいものはなんとなく伝わる。

最後もまるっと解決してハッピーエンド。伏線を余すとことなく回収し、みんなが笑顔でいつもの日常に戻っている。後味は良い。

だがバトルに至るまでの道筋とか、感じて欲しいテーマとか、一貫した作風とか。明確な一本の幹がこの作品にはないように感じた。総じて物足りない作品だった。

雑感:メリハリ

©BOWI/まとい製作委員会

個人的にはギャグはギャグで、バトルはバトルで。メリハリをつければもっと良くなったと思っている。

ギャグパートではもっと既存のキャラをうまく使えば、面白くなりそうな感じはあった。

冒頭で登場する峰不二子ばりのプロポーションを誇るパツキンのチャンネー。

そして彼女を下心丸出しの目で見る刑事と、神主をしている主人公の友達のお父さん。

その2人をうまくチャンネーと絡ませれば、まるでパンツ一丁で不二子に飛び込むルパンのごとく、期待させておいて肩透かしを食らう鉄板ギャグなど、ギャグシーンとして広げることができたのではないだろうか。

後は中盤のサービス水着回の冒頭で、神主のお父さんがチャンネーにデレデレしているところで、奥さんが現れてお仕置きされるというシーンがあったように、古くから代々伝わる「お色気ギャグ」をもっと挟んでも面白かったのかもしれない。

粗相をしでかした男性が女性に殴られるというのは古今東西通用するギャグだ。せっかく分かりやすくボインなチャンネーがいたのに残念だ。(笑)

魔法少女モノが好きな人は一度観てみて欲しい。




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