2020年

【2020アニメ】「新サクラ大戦 the Animation」アニメレビュー





(35点)全12話

太正三十年。帝都・東京は、平和な日々を取り戻していた――――。そんな中、欧州へと旅立っていた帝国華撃団・花組隊長の神山が、莫斬科(モスクワ)華撃団の元隊員クラーラを連れて一次帰国する。一方、街では少女ばかりを狙った連続誘拐事件が発生。クラーラも事件に巻き込まれることに…………。何故、クラーラは狙われているのか?クラーラ来日の本当の目的とはいったい?クラーラ来日の本当の目的とはいったい?日露を股にかけた、壮絶な戦いが幕を開ける!!TVアニメ「新サクラ大戦 the Animation」公式サイト




大人気ゲーム・サクラ大戦のリメイク版のアニメーション版

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (35点)
完走難易度 普通

原作はSEGAリリースの「新サクラ大戦」。

監督は小野学さん。

制作はサンジゲン。

華撃団

©SEGA/SAKURA PROJECT

このアニメは、かの有名なゲームタイトル「サクラ大戦」のリメイク版「新サクラ大戦」のアニメーションだ。

リメイク版のソフトも発売されたのはごく最近で、YouTubeなどの媒体でも話題になったのは記憶に新しい。(私も実況動画を少し見た)

ゲームのキャラ原案を「BLEACH」の原作者・久保帯人先生が担当していたのも、大きなトピックとして取り上げられていた。

実際にプレイしたことはオリジナルの方も含めてないが、なんとなく内容は知っているという感じだ。

「帝国華撃団」という宝塚のような劇団がショーをやりながら、裏の顔では正義の味方として、街を守るというのがおおまかなストーリーだ。

バトルあり萌えあり。ゲームと同じく、フルCGのアニメーションになっている。

ゲームにもあるシナリオなのかアニオリなのかは分からないが、1話の冒頭は、ロシアで襲撃されていた少女を隊長が匿い、日本に連れてくるところから始まる。

その少女を日本の帝国華撃団の新団員として迎え入れ、華撃団を留守にする隊長に代わって、「家族」として温かく迎え入れるという内容になっている。

1話の冒頭のシーンはいきなりバトルから始まっている。隊長が匿う少女。羽の生えた少女。そして隊長が匿う少女の命を狙う少女がもう2人。

はっきり言ってわけが分からない。冒頭はアニメの掴みとなる部分。そこでいきなりクライマックスのようなバトルをやられても、何が起きているのかが分からない。

こちとら、どんな作品なのかはほぼ知らない。なのに、1話からところどころで原作ファン以外を無視したような一足飛びな展開も見られる。

ゲームを遊んだファン向けに作るのであればそれでも良いが、恐らくそれはない。だったら、ゲームを知らない私みたいな人種でも理解できるような簡易な説明くらい入れて欲しい。

ただ大枠のストーリー自体は非常に易しいので、とても見やすい。可憐な乙女たちが華麗に敵を倒す。

気になるのは「紳士」で話題になっていた主人公が、ゲームとは違って、華撃団をいきなり留守にしてしまう。

それによって、多少ストーリーに張り合いがなくなるのではないかという心配だ。

ゲームでの隊長の発言や選択肢は明らかにウケを狙ったものが多く、アニメでも取り入れれば、間違いなく笑いを取れそうだが、どうやらアニメではそれほど出番がないらしい。残念だ。

少女

©SEGA/SAKURA PROJECT

記憶を失っている元モスクワ華撃団所属の少女を中心として物語は進んでいく。

彼女はモスクワでの事故の影響で記憶をなくしており、彼女をさらおうとする者たちの魔の手から救うために、隊長が日本に連れ帰ってくる。

だが彼女のポジションが良く分からない。モスクワで事故に遭った。記憶をなくした。隊長が居合わせた。日本に来た。そこでなぜ華撃団なのか。

元華撃団に所属していたことは事実だそうだが、彼女にその記憶はない。なら華撃団が匿う理由も意義もそれほどないように思える。

しかも彼女は、厄災をもたらす疫病神らしい。彼女がいることで「降魔」と呼ばれるモンスターを引き寄せてしまう、みたいなことを自ら言っている。

彼女が帝国にいることで、降魔が襲来して市民も危険にさらされる。「家族」として受け入れることが「隊長命令」だとしても、会ったばかりで仲間とも呼べないような間柄を匿うことにメリットなどあるだろうか。

もちろんメリット・デメリットで勘定するところではないのだが、帝国華撃団の誰も天秤にかけないで「家族だから」「隊長命令だから」と意固地になっているのは不自然ではある。

これは?

©SEGA/SAKURA PROJECT

中盤までの感想にはなるが、果たしてこれは「サクラ大戦」を名乗れる作品なのだろうか。

もちろん原作をプレイしたことがないので本物は分からない。しかし「こんなもの」が本当にサクラ大戦なのだとしたら、アニメ化するほどの価値があるとは思えない。

まず華撃団の面々の活躍の場が限られているということ。1話の導入では流石に活躍するが、それ以降は彼らは「お荷物」でしかない。

帝都に常駐しているモスクワ華撃団が華麗に敵を倒し、格の差を見せつける。また匿う少女も、その不可思議な力で強大なサポート役になれる。また帝国華撃団でも太刀打ちできない黒マントは、白マントと呼ばれるヒーローが都合よく助けに来る。

主人公である彼女たちを差し置いて、他のキャラクターが目立っている。これが本当にサクラ大戦なのか。

中盤のバトルシーンでも機械工のキャラクターが意気揚々と戦場に登場し、ショボいロボットを投入するもあっさりと破壊され、そのまま退場している。

もしギャグでやっているとしたら、寒いことこの上ない。機械工というあくまで裏方の仕事をしているキャラクターが華撃団の戦場にしゃしゃり出てきて、へんてこなロボットを出して何もできずにやられる。

迷走がはっきりと見て取れる。ゲームでは主人公が、男役として目立った活躍をしていた気がした。それとも、ゲームでも杉田智和さんが演じる機械工が戦場に出てくるシナリオがあったのだろうか。

本当に機械工が主人公たちよりも出番を得られるほどの立ち位置なのか。腑に落ちない。

どうしても「杉田さんが声を当てているから、なんか分からんけど面白くしてくれるだろう」という無責任で短絡的な考えが透けて見える。

また匿っている少女のおかげで難を逃れた直後のタイミングで、少女を尾行していた団員の2人が「家族だからこれからも一緒ね」的なニュアンスの言葉を交わす。

しかし、そのタイミングだと「彼女には仲間として利用価値があるから」というニュアンスの方が強くなっている。

戦場にその少女がいることで何倍もの力が発揮できる。だから表面上は「家族」として手元に置いておく方がメリットがある。そう捉えられても仕方がない。

少女を家族として匿う意味。その重さ。そこが中盤になっても定まっていないばかりか、華撃団が全く活躍せずにお祭りだの尾行だの対戦だのと、みみっちいことをしている。

戦闘機に乗ってド派手に戦い、舞台で華麗に踊った彼女たちの姿は何だったのか。まるで1話で精魂尽き果てたかのような有り様だ。

ラスボスへの展開も何の捻りもなく、ラスボスっぽいやつが最終的にラスボスになっており、「新世界の神になる」と八神月っぽいことを言っている。(笑)

サクラ大戦というのは、こんなオリジナリティの欠片もない間抜けな作品だったのか。全くもって拍子抜けだ。

総評:まがい物

©SEGA/SAKURA PROJECT

想像していたサクラ大戦とは似ても似つかない作品だった。

「歌って踊って戦う」というシンプルな構図をキャラクターの葛藤などの内面も含めて、どんどんと深堀りしていくようなストーリーを期待していたが、全くの期待外れだ。

まず大前提として、帝国華撃団の花組が活躍する場所が限定的だ。彼女らは発展途上にあり、戦場では他の華撃団や主人公の師匠に圧倒されて非力さを露呈する。

そこから成長するわけでもなく、他のキャラクターに活躍の場を預けたまま。華撃団が物語の中心にいるようには見えない。

華撃団よりも、むしろクラーラという元モスクワ華撃団所属の少女がストーリーの中心となっている。

彼女はトラブルの種であるとともに、不思議な力で霊力を増大させることができる。また彼女を取り返そうとする新モスクワ華撃団との闘争の中心にいるのも彼女だ。

だが宇宙に例えると、彼女は恒星のように見えて、実は惑星ほどの大きさしかない。

彼女が華撃団の「家族」として受け入れられ、団員が命を張って守ろうとする理由も分からなければ、彼女をわざわざ帝国華撃団の一員にする理由も、彼女が持つ過去への興味も薄い。

周りを巻き込んでいくブラックホールのような引力がない。彼女の引力が弱いから、周りもそれに合わせた熱量で行動ができない。どうしても感情の伴わない家族ごっこにしかなっていない。

それは各話の展開を見ても一目瞭然だ。彼女を取り返そうとする謎の「新モスクワ華撃団」を名乗る組織は、帝都の宙に浮いたまま少女奪還の機会を律儀に窺っている。

いっそのこと、強奪に来てくれる方がストーリー的にも盛り上がるのだが、帝国華撃団の返答をずっと空の上で待っている間、謎にバレエを踊ったり、変装をして尾行までしている。

極めつけは「三本勝負」などと宣ったカジュアルな場所で、帝国華撃団との決着をつけて、正式に取り返そうとしている。悪者の行動としてはあまりに堂々としすぎている。

しかも、二本目の勝負でモスクワ側は「種目が下品だから」と棄権している。お遊びの勝負ですら、真っ向勝負で決着をつけようとはしない。

終始作画もシチュエーションも迫力に欠ける作品だ。超人気タイトルのリメイクアニメにしては明らかに物足りない。

キャストは豪華。あやねるうっちー早見さんなど、ゲームでも登場していたキャラクターが軒並み登場している。

だが肝心のストーリー。華撃団の活躍。アニメとしてどういう描かれ方をしているのか、を本当に楽しみにしていただけに、盛大な肩透かしを食らった気分だ。

雑感:不満

©SEGA/SAKURA PROJECT

面白いか面白くないか。それ以前の問題だ。

ストーリー的に穴があるというより、そもそもの話で華撃団を中心としてストーリーが動いていない。

ミステリアスな過去を持つ少女が形だけの「家族」となり、帝都での何気ない日々を過ごす。その中で少しずつ過去が鮮明になり、団員との距離も近くなる。

だが、この作品はあくまで華撃団が活躍する物語であるはずだ。それなのに彼女の記憶や謎の能力に翻弄される展開にはやはり違和感がある。

かといって、華撃団が歌って戦う一辺倒でも物足りないだろう。そこで「新キャラ&新シナリオを加えよう!」ということで追加されたのがクラーラなのだろう。あくまで想像だが。

しかし、彼女が物語を大きく動かす存在だったかどうかは…最後まで疑問だった。

サクラ大戦というタイトルになじみがある人は、ぜひ一度観てみて欲しい。




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