(79点)全12話
学年も性格も違うけれど、野菜を作ったり、虫捕りをしたり、楽器を練習してみたり・・・春夏秋冬の変わりゆく田舎生活はワクワクが止まりません。
のどかでいつも通りだけど、くすっときて、ちょっぴり沁みて、心がほっこりする。
まったりゆるゆるなメンバーが送る日常が、またまたはじまります。TVアニメ「のんのんびより」公式サイト
田舎に住む4人の女の子たちの日常を描いたアニメ
ストーリー | |
作画 | |
面白い | |
総合評価 | (79点) |
完走難易度 | 易しい |
原作はあっと先生。
監督は川面真也さん。
制作はSILVER LINK.。
ド田舎
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
舞台は「ド」が付くほどの田舎の集落。
見渡す限り田んぼが広がり、周りは山に囲まれ、農家の人が牛を引いて歩いているようなド田舎だ。
1話の冒頭から「田舎ののどかさ」というところを、かなり大切に描いている作品だというのが伝わってくる。
川のせせらぎや小鳥のさえずりなどの自然音が一枚絵とともに流れ、何でもない田舎の風景に癒され、作品の世界観に引きずり込まれる。
田舎に住んだ経験がある人は分かるかもしれないが、川が流れる音というのはそれだけで「癒し」をもたらしてくれる。
そして、そんな田舎の学校に通うのが4人(正確には5人、だけど1人は空気)の女の子たち。
学校の全校生徒の人数は何とたったの5人という、限界集落と言っても差支えがないほどの過疎っぷりだ。
しかも4人の女の子たちは年代もバラバラで、中3・中2・中1・小5・小1と学年が異なる生徒が同じクラスで勉学に励んでいる。
ド田舎が舞台になっているアニメも珍しいが、1クラスしかなくて、さらに年齢もバラバラの4人が集まる日常アニメというのは珍しい。
年代がバラバラだともちろん感受性も好きな物も違うし、ストーリーを進めていく上で障害になるかと思いきや、そうではない。
4人は「田舎に住む」という世界観を共有しており、田舎の暮らしに張り合いの無さを感じながら、年齢の垣根を超えてお互いを友達と思っており、そこには他の日常アニメと変わらない「癒し」がある。
年が結構離れているので、バラバラの方向を見てしまいアニメとして成立しない心配もあったが、田舎だからこその面白さや癒しがあって、凸凹4人だからこそのやり取りを楽しむことができた。
転校
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
1話で東京から転校してくるのが小学5年生の大人びた女の子だ。
その子によると「親の仕事の都合」らしいのだが、東京からど田舎に転勤するなんて、どう考えても左遷…
などと余計な詮索をしたくなったが、深く考えたら負けだ。(笑)
転校生というのも日常コメディ系のアニメでは定番だが、このアニメでは驚くほどに馴染むまでのスピードが早い。
もちろん日常アニメなのでシリアスになるシーンというのは基本的に皆無なのだが、それでも「噂の転校生」などと話題になったり、なかなかクラスに馴染めなかったりするものだ。
しかしこのアニメの転校生は、転校して自己紹介をして1分後には、既にクラスに溶け込んでしまう。
そういったド田舎の学校ならではの仲間意識というか、部外者を温かく迎える田舎ならではの温かさを感じることが出来た。
日常アニメなのでいきなり仲間外れにすることがないのは、当たり前の話なのだが。(笑)
ほんわか
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
30分12話がとにかくのほほん・ほんわか・まったり・のんびりという言葉しか浮かんでこないほど、スローペースで進んでいく。
何も起こらない。でもそれが良い。
日常アニメの原点を思い出せるような作品になっている。
変にシリアスになったりギクシャクすることもなく、田舎の風景を止め絵とまったりBGMで演出しながら、ほんわか調に仕上げている。
家族愛や友達への思いやりなど、田舎ならではのハートフルストーリーも見どころとなっており、田舎の風景と相まって癒しを感じることができた。
ほんわか路線から少し外れる設定があるとすれば、少しばかり「百合要素」があることだろうか。
しかし人を選ぶ要素ではあるものの、そこまで過剰ではなく、目をハートにしちゃったり好きすぎて人形を作ったりしちゃうレベルのマイルドなものだ。(笑)
苦手な人もいるかもしれないが、シリアスになるような重い愛ではないので、きっと気にはならないはずだ。
笑い
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
日常アニメらしからぬ感情の起伏を感じることが出来るストーリーになっている。
合間合間にギャグシーンを入れたり、ボケに対してさりげなくツッコミを入れたりと、思わずクスッと笑ってしまうような仕掛けが随所にある。
ただ平和で何も起こらない日常アニメも多い中で、距離感が近い関係だからこそ成り立つイジリやちょっかいがあって、素直に面白いと思える作品だ。
さらに間の取り方も絶妙で面白い。
止め絵でかつ無音というアニメとしては「愚」とも思えるようなシーンも、その「しらけ」がしっかりと笑いになっており、滑り芸を披露した芸人のような空気感は癖になるとたまらない。(笑)
演出を担当した方がかなりのやり手だと思うし、日常アニメの中でもそういったアクセントが散りばめられていることで、30分12話を飽きることなく楽しむことが出来た。
日常アニメで最後まで飽きずに見られる作品は決して多くない。
総評:日常アニメで3期
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
2013年に第1期が放送され、2期と劇場版を挟み、2021年には第3期の放送が控える。
日常アニメで3期まで放送するという事実こそが、この作品の人気を物語っている。
3期日常アニメでパッと思いつくだけでも「みなみけ」「ひだまりスケッチ」があるが、それらのマンモス作品に匹敵するような、「殿堂入りの日常アニメ」と評しても良いほどの面白さが「のんのんびより」にはある。
自然の風景や音を大切にしながら作られており、BGMも控えめにしつつ、むしろ自然音をBGMにするシーンなんかもあり、作品の世界観はとことん「のんびり」。
基本的にはお馴染みの4人が仲良く話しているだけなのだが、会話の中にも程よくボケとツッコミがあり、意外とフリからオチまでの流れもしっかりしている。
1つのエピソードごとにしっかりと区切りがついているし、観終わった後のスッキリ感も味わえる。
個人的に大好きなのが夏海が母親を怒らせるくだりで、のび太のお母さんのように激怒して終わったシーンには笑ってしまった。(笑)
夏海自体も勉強が苦手で、普段の生活でもだらしない一面があり、のび太とかなり被るキャラでもある。(笑)
他の女の子にも1人1人夏海のように個性があり、日常アニメで個性というのはあまり出にくいところを、しっかりと起承転結のあるストーリーにはめ込むことで、それぞれのキャラの可愛さだったり優しさだったりをしっかり感じることができた。
作画も何度か怪しい場面はあったものの、最後まで崩れることなく走り切っており、キャラ絵はともかく、背景の作画のレベルは高い。
田んぼの水面に映る風景、木の枝1本1本、雑草の葉の1枚1枚が非常に丁寧に繊細に描かれていて、制作陣の作品への愛をヒシヒシと感じることができる。
3期の放送が決定したように、日常アニメの中でも群を抜いて面白い作品だと思うので、日常アニメがあまり好きではない人にも堂々と薦めることができる作品だ。
個人的な感想:れんちょん可愛い
引用元:(C)2013 あっと・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/旭丘分校管理組合
れんちょんが可愛い。これに尽きる。(笑)
あいさつは「にゃんぱすー」という謎の文字列で、語尾に必ず「~なん」「~のん」と付ける作中随一の癒しキャラであり、私の一押しのキャラでもある。(笑)
独特な感性の持ち主で、小1ながら大人びていたり、妙に達観したところもあったり。(笑)
可愛い声で芯をとらえた発言をすることもあり、セリフや行動1つで癒しも笑いも届けてくれる可愛さ満点のキャラだ。
れんちょんの可愛さを見るだけでも、十分このアニメを観る価値はあると言ってもいい。
CVを務める小岩井ことりさんとの相性も抜群で、妹属性・ロリ属性を持つ人だったらみんな好きになるはず。
ここまで一人のキャラに肩入れすることはないのだが、小1とは思えない発言の数々が的確にツボを突いてくるもんだから仕方がない。(笑)
アニメとしても完成度が高く、12話通して全く顔ぶれも風景も変わらないのに、最後まで飽きることなく楽しめる。
キャラの魅力が詰まった脚本、田舎の風景を大切に描く美術、止め絵を使っての間の取り方に工夫をこらす演出。
こだわって作られているのが分かる作品で、日常アニメといえど、制作会社とスタッフが違えばここまでクオリティの高い物が仕上がるのか、という驚きさえある。
日常アニメに触れてこなかった人でも間違いなく楽しめる作品となっているので、ぜひ観て欲しい。