(46点)全12話
月刊コミックゼノンにて、大好評連載中の「織田シナモン信長」が、待望のTVアニメ化。
戦国時代、覇王と呼ばれた織田信長が、現代の日本に蘇った。
ただし、その姿は、柴犬…!
信長と同じ時代にしのぎを削った名将たちも、なぜか皆、犬に転生。
現代の群雄割拠は、ドッグランにあった…!?
愛嬌満点のルックス、但し、中の人は戦国武将。
大いなるギャップを抱えた多種多様な犬たちを演じるのは、堀内犬友、
犬川登志夫、犬田哲章、杉田直司ら、どこかで聞き覚えのあるような
謎の超大型新人声優陣。
究極のギャップに癒される異色コメディ、開幕!TVアニメ「織田シナモン信長」公式サイト
犬に転生した戦国武将たちの日常を描いたギャグアニメ
ストーリー | |
作画 | |
面白い | |
総合評価 | (46点) |
完走難易度 | 普通 |
原作は目黒川うな先生。
監督は高橋英俊さん。
制作はぴえろ。
戦国武将が犬
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
戦国武将が犬に転生するアニメだ。
女体化したり超イケメンになったりと、何かとアレンジが加わる武将たちが、このアニメでは犬になっている。(笑)
しかも戦国時代に「行く」のではなく、戦国時代から武将たちが「来る」という斬新な転生モノでもある。(笑)
定番の織田信長、武田信玄、上杉謙信、今川義元、伊達政宗、明智光秀…etc
有名な戦国武将たちがペットとなって日常を過ごしながら、戦国時代を共に生きた仲間と昔を懐かしんだり、犬としての生活に苦労したり。
戦国時代のうんちくも詰まっており、歴史の勉強になるという側面もあるギャグアニメだ。
1話に4つのエピソードが入った複数話構成になっており、それぞれのエピソードを単体で楽しむ「サザエさん」方式のアニメになっている。
声優が豪華
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
とにかく声優が豪華だ。
織田信長役に堀内賢雄さん、武田信玄役に玄田哲章さん、伊達政宗役に古川登志夫さん、上杉謙信役に杉田智和さん、今川義元役に櫻井孝宏さん、松永久秀役に中尾隆生さん。
大ベテランから中堅の実力派声優まで。
脇役にも日髙のり子さんや日笠陽子さん、坂本真綾さんや諏訪部順一さんを起用するなど、とにかくキャストにお金をかけている。(笑)
声優界の酸いも甘いもかみ分けた大ベテラン声優さんたちが、犬の演技をするというギャップが楽しめる点もポイントだ。(笑)
このアニメ以外ではなかなかお目にかかれない光景でもある。(笑)
キャラより声優が前に来ることは滅多にないが、この作品においては流石に声優陣の主張が激しすぎる。(笑)
何気ない会話の中でも、他の数々のアニメで演じられた有名なキャラがフラッシュバックしてしまい、会話の内容が全く入ってこない瞬間もあった。(笑)
それくらい声優がこれ以上ないくらい豪華で、作品に対する制作陣の意気込みは伝わってくる。
しかしもちろんどれだけお金をかけても、中身がつまらなければ作品として評価はできない。
作画が酷い
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
作画が終始酷い。
日常系の作品なのでキャラの動きが少ないのは当たり前。
にしても、メインとなる犬たちの動きがあまりにも少ない。
会話をするときは口を開けるだけ。そしてバックに前世の姿が映るだけ。
犬だから感情を表に出すこともないので、誇張なしにただ犬がいるだけ。
完全に声優さんの演技頼みになっている。
人の作画も相当に酷い。
モッサリとした可愛さの欠片もないデザインで、20年前にタイムスリップしたような無個性で味気ない絵になっている。
男子はカッコ良く描かれているのに、なぜか女子は全く可愛くない。
メインは女子キャラのはずなのに、全く可愛くないというのは大問題だ。
日常アニメにそこまでこだわる必要がないというのも分かるが、それにしても作画がひどすぎた。
キャストにお金をかけすぎて、作画の方は低予算で乗り切るしかなかったのだろう。
大物声優におんぶにだっこと言われても「是非もない」出来だった。
オチがない
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
コメディ作品に関わらずオチ・起承転結がない。
フラれた話がそのままスーっと流れていって、そのまま何も起こらずに終わる。
例えば、戦国武将として名を馳せた犬たちが集まってドッグランで会話をするシーン。
そこで必ず「自分たちが戦国武将だったときは…」というフリがある。
そこでナレーションによる「昔はこうだった」といううんちくがありつつ、「昔は良かった」「現代は凄い」という流れになる。
そこからの発展が特にない。
中盤以降、ただの戦国うんちくアニメと化していて、オチがない歴史豆知識を永遠と聞かされるだけのアニメになっていた。
うんちくは確かにためになったが、ギャグアニメとして全く面白くなかったのは本当にもったいない。
個人的には戦国武将も歴史もギャグアニメも大好きだったので、少々こじつけ気味でもオチを付けて欲しかった。
良くも悪くも「超大型声優が犬の演技をすること」で笑いを取る出オチ作品だった。
総評:設定負け
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
名前負けならぬ、設定負けをしていた。
魅力的な設定とつかみで興味を引く力はあるものの、面白いストーリーを作るというところまでは考えが及ばなかったように見える。
複数話構成でテンポ良く進んでいたが、起承転結がないエピソードがほとんどで、イマイチすっきりしなかったのが残念だ。
作画の質もかなり低く、これほど声優でお金をかけすぎて窮屈になっているのがはっきりと分かってしまうアニメも珍しい。
大型声優さんたちの演技は言わずもがなで、犬の演技をするという経験は恐らく長い声優人生の中でも数えるほどしかないだろうが、素晴らしい犬演技だった。(笑)
大型声優が犬を演じるだけで面白くなるのは悔しいが事実だ。(笑)
実際の史実に皮肉を言ったり、本人が現代で浸透している歴史常識に文句を言ったり。
戦国武将が現代に転生した、という設定ならではのネタもしっかりあって正直面白かった。
もっとそこにキャラの魅力だったり、会話のテンポ感だったり、独特の間を演出する工夫があればもっと面白くなったはず。
つくづく、キャストのネームバリューだけのアニメになってしまったことが残念でならない。
個人的な感想:満足している自分もいる
©目黒川うな/NSP,織田シナモン信長製作委員会
アニメとしての出来は悪いが、個人的には12話を意外とすんなりと観終えることができて、素直に面白いと感じる作品だった。
川中島の戦いでしのぎを削った武田信玄と上杉謙信。桶狭間の戦いで戦った織田信長と今川義元。
他にもいろんな因縁がお互いにある中で、時を超えた喧嘩が始まるかと思いきや、端から見れば犬同士のじゃれ合いにしか見えなかったり。(笑)
誤った解釈をされている史実について、犬に転生した「本人」が解説したり。
現代の文化に染まった犬武将同士のやり取りだったり。
歴史好きとしては、憶測で史実を語っているとはいえ、「本人」が自分について語るのはたまらないものがある。
1話では正直面白さは判断できない。
出来れば5話あたりまで観てから、面白いかどうかを判断してほしい作品だ。
全く歴史に興味がない人には苦痛かもしれないが、一風変わった日常コメディが観たい人にはオススメだ。