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【2013アニメ】「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」アニメレビュー

(54点)全10話

世界に飽きていた逆廻十六夜(さかまき いざよい)に届いた一通の招待状。 『全てを捨て、”箱庭”に来られたし』と書かれた手紙を開けた瞬間――完全無欠な異世界にいました!
そこには猫を連れた無口な少女・春日部耀(かすかべ よう)と、高飛車なお嬢さまの久遠飛鳥(くどう あすか)、そして彼らを呼んだ張本人の黒ウサギ。 彼女が箱庭世界のルールを説明しようとしたら「魔王を倒そうぜ!」と十六夜が言いだして!?
そんなこと黒ウサギは頼んでないのですがっ!!
弱小コミュニティ“ノーネーム”再建のため、3人の問題児たちが魔王に挑む!TVアニメ「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」公式サイト

『問題児』無双

異世界に召喚された『問題児』の3人が、「魔王」と呼ばれる存在と戦う異世界バトルファンタジー。

原作は竜ノ湖太郎先生。

監督は山本瑞貴さん。

制作はディオメディア。

突如異世界へ

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

最初のストーリーは主人公の逆廻十六夜視点で始まる。

彼は退屈な日常に飽き飽きしており、面白いことを探していた。

そんなときに届く1通の手紙が入った封筒。

それを読んだ瞬間、突如異世界に召喚され、その異世界で同じく封筒を読んで召喚された2人の少女とも出会う。

彼女らの名前は久遠飛鳥と春日部耀。

その異世界は様々な種族や修羅仏神が同居する世界で、そこで彼らを読んだ張本人、黒ウサギという少女と出会う。

彼女は、すっかり弱小コミュニティーとなってしまった「ノーネーム」再建のために、3人を呼んだと説明をする。

放送は2013年で、今から7年前。

今では主流となった異世界転生も、当時ではまだ珍しい部類。

問題児たちが異世界に召喚されて、その問題児たちは世間一般で言われるような問題児でありながら、その能力も問題児級。

異世界に召喚されたキャラが無双する「主人公最強スカッと爽快系アニメ」に分類してもいいかもしれない。

魔王という人知を超えた力を持つ存在に対して、弱小の立場から挑み、ジャイアントキリングを起こしていくという分かりやすい構図も爽快感があってかなり良かった。

しかし、ツッコミどころは決して少なくない。

イキりまくる主人公

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

主人公のイキリ感がとにかく鼻につく。

常にすかしたような態度をとり、口調もキザで、好きになれない。

確かに能力は最強で、神に何かを授からずとも、努力をせずとも、人間のままで既に異世界の魔王を凌ぐほどの力を持つ。

それでも、ここまで自分に自信があって傲慢で、自分に酔ったような喋り方をするキャラはどうしても気に入らない。

カッコいい時はカッコいい。声も浅沼晋太郎さんでカッコいいのは間違いない。

だがセリフの棒読み感も相まって、最強ではあるが、主人公感があまり感じられないキャラだった。

現実世界でもあの話し方だったかと思うと、クラスでもさぞ浮きまくった存在だったに違いない。(笑)

小難しい用語の数々

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

万人から高い評価を得る条件の一つに「分かりやすさ」がある。

この問題児アニメはその点で言えば、分かりやすさとは対極にあるアニメと言えるかもしれない。

最初にも紹介したが、ストーリーの本筋は非常に分かりやすくて、とっつきやすいのが特徴だ。

最強の能力を持つ3人の若者が、弱小コミュニティー再建に力を貸し、破竹の勢いでのし上がっていく。

しかし、あまりに分かりにくく聞き慣れない単語が多すぎる。

その単語がコミュニティーの名前なのか、はたまた技の名前なのか、人名なのか、他の現象を表す用語なのか、歴史に起こった事象なのか…

説明されることなくストーリーが進んでいくので、キャラの言葉がほとんど頭に入ってこない。

情状酌量の余地があるとすれば、このアニメは10話構成で普通のアニメよりも2話分少ない点。

そのため切り詰めに切り詰めた結果、用語を解説するシーンというのを最小限にとどめ、読者の理解力・想像力に頼る部分が自ずと多くなってしまったのかもしれない。

王道な異世界転生モノのストーリーとはいえ、もう少し分かりやすい中身にしてくれないと、万人受けするアニメにはなれない。

雰囲気で楽しむ系のアニメも存在するが、やはり視聴者を置いてけぼりにしていい理由など存在しないはずだ。

急に常軌を逸した問題児

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

作品のタイトルにも「問題児」とあるように、3人は度々、問題児らしい行動を見せる。

最初の問題行動は、無言で彼らが所属していた「ノーネーム」を抜け出し、サラマンドラというコミュニティーの誘いで北の方角へ行ったこと。

もう一つ印象的な問題行動が直後にあり、サラマンドラの領地で十六夜と黒ウサギが街中で鬼ごっこを開始し、十六夜が教会の塔を素手で破壊して、下にいた市民を危険にさらすシーンだ。

問題児と呼べる行動はそれくらいで、3人は至って普通の人間の思考で、普通に活躍する。

タイトル詐欺と言ってもいいレベルで、全く問題児ではないのがまず疑問。

そしていきなり問題児になったと思ったら、急に他のコミュニティーの領地にあった教会を鬼ごっこ程度の遊びで破壊し、しかも下にいる人々まで危険にさらすという、もはや「問題児」と定義できるかも怪しいレベルの暴れっぷり。

教会を壊した十六夜は、それはそれは笑顔で高笑いをしながら教会をぶっ壊し、もちろん悪びれる素振りもなく。

暴れまわって市民の命を危険にさらしたにも関わらず、領地を治めるエリアマスター・サンドラは、何故か十六夜を不問に。

もし人が死んでいたら…と、異世界ならではの価値観に驚愕しつつ、マスターの厚意に対して十六夜は「へぇ~太っ腹なもんだな~」と呑気な態度。

「お前がぶっ壊したんだろ!」と視聴者に総ツッコミを食らうような言動で、もはや呆れて言葉も出ない。

ギャグアニメならともかく、関係のない人まで巻き込む十六夜の蛮行は看過できなかった。

そんな感じで、全然問題児らしい行動をしないなと思っていたら、急に思い出したかのように問題行動をして、しかもそれが関係ない人の命まで巻き込みかねない、倫理観から外れた行動だったので、ますます十六夜の好感度が下がったシーンとなった。(笑)

十六夜に関しては途中からとってつけたようなスケベキャラが追加されていて、三枚目キャラを狙ったのか分からないが、彼は最後まで謎キャラのままだった。

「3人」の関係性

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

同じ異世界に、同時に召喚された3人の能力者。

同じ時間、同じ場所に召喚されたからには、何か共通の性格・能力・生い立ちがストーリーを追うごとに明らかになるに違いない。

そして共通点を見つけた3人は絆をより強固にして、ラスボスへと挑んでいく……

しかしそういった転換点も特になく、同じ時間、同じ場所に偶然召喚された少年少女という関係に変化はなかった。

召喚された理由は黒ウサギが1話で3人に説明する「自分たちが所属する弱小コミュニティー”ノーネーム”を強化するため」

同じコミュニティーに入って、ノーネームのために活動をしていくわけだが、どこか腑に落ちない。

友達でもなく、戦友でもなく、恋人でもなく、前世での因縁もない。

「3人の関係性」というところはもっと深める余地があり、そこを掘り下げることでより、キャラの魅力・ストーリーに変化をもたらすこともできたように思う。

ギフトゲームとは?

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

ギフトゲーム「らしさ」が何なのか最後まで見えなかった。

このアニメでの「ギフトゲーム」とは、みんなの味方Wikipediaによると…

「歴史の考察・外界の事象を形骸化して争う試練、及び代理戦争がその原型で、代理戦争の結果次第では外界の歴史が変化することもある。恩恵が時代の収束点、“歴史の転換期”に合わせて顕現し、恩恵と共に英雄英傑修羅神仏が召喚されてしまうように、様々な世界や歴史、系統樹のパターンを試しそのたびに回収した結果、箱庭そのものが文化体系を持つに至りギフトゲームの興業化に繋がった」

とある。

アニメを観ていない人には、何のことかさっぱりだろう。

安心してほしい。アニメを観た私でもちんぷんかんぷんだ。(笑)

他にも細かいルールや勝利条件もあるが、つまり簡単に言うと、ギフトを駆使したコミュニティー同士の戦いである。

そのギフトゲームも途中から、ただのバトルと化していて、全くギフトゲームらしさはなく。

十六夜と魔王のギフトゲームの決着も、最後は拳。

特に凝った駆け引きもなく、ウィキの説明にもある通り、現実世界の事象が絡んでくるくらいだ。

その歴史事象も、無理矢理入れ込んだ感が凄まじく、聞き慣れない歴史のために、全く十六夜の推理も耳に入ってこない。

みなさんは「ハーメルンの笛吹き」は知っているだろうか?

13世紀にドイツの街ハーメルンで実際に起きたとされる歴史的事象なのだが、私はもちろん、このアニメでその存在を知った。

「ハーメルンの笛吹き」「ネズミ」「ペスト(黒死病)」「ステンドグラス」

最後のギフトゲームにおいて、相手方の情報を得るためのヒントになる4つのワード。

聞いたときも意味不明だったが、十六夜が謎を解いて推理をした後も意味不明のままだった。

現実世界の歴史の事象が絡んでくるため、歴史好きの人はかなり見入ってしまうかもしれない。

ただコアな歴史ファンしか知らないような単語を出されても困るし、無理矢理バトルに組み込んだ感が出てしまっているように見えた。

歴史が絡んでいるという点以外は普通のバトルで、十六夜が圧倒的なパワーでねじ伏せるという展開はお馴染み。

なら「ギフト」ゲームと名を冠する必要性は果たしてあったのか…

1話で黒ウサギが説明していた「凶悪かつ難解かつ命がけのものから、福引き的なものまで多種多様に揃っていて、修羅神仏から商店街のご主人まで参加できる」というギフトゲームの、「命がけ」の部分しか楽しむことができなかった。

1話の時点では、もっと駆け引き的なものがあって、バトルだけではなく、それこそ1話で黒ウサギが提案したトランプゲームのような遊びが繰り広げられるんだ、と誰もが心躍らせたはず。

しかし蓋を開けてみれば、ただの歴史要素を混ぜた異世界転生&主人公最強バトルアニメに過ぎず。

コアな歴史ファンしか楽しめないような設定とかを盛り込んで、ストーリーを難解にするくらいだったら、普通のバトルでも良かったのではないかと思ってしまった。

月へ?

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

最後に戦う相手「ペスト」との決着はなんと「月面」

突飛な展開に全くついていけず、黒ウサギがギフトカードを出したと思ったら、次の瞬間にはもう月へ。

「え?なんで?どうやって?」という視聴者の疑問を置いてけぼりにして、最後は十六夜が投げた槍に貫かれペストは消滅。

敵方の目的も分からなければ、なぜわざわざ月へ移動したかも不明なまま。

「ペストの菌が届かない月まで来てしまえばこっちのフィールド」みたいなことを十六夜が言っていたが、わざわざ場所を月にする必要があったのか…

展開が突飛すぎて、用語も頭に入ってこないし、ていうか敵が病原菌の擬人化だしで、これもうわっかんねえな状態。

もう少し視聴者に寄り添った構成・用語にして欲しかったし、変に小難しくする必要はなかった印象。

衝撃のラスト

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

ギフトゲームに勝利をし、ペストの脅威から街を救ったノーネーム。

しかしその後、十六夜と話すサンドラの兄・マンドラから衝撃の言葉が放たれる。

それは自らのコミュニティーの旗の名を上げるために、ペストら敵の軍勢を自ら引き入れたというのだ。

その事実は、幼いサンドラ以外、市民全員が知っていたという。

ちなみにサンドラとは、年端もいかない年齢ながら、北側のサラマンドラの領地を治める長だ。

サンドラ以外の市民が敵側の脅威をあえて引き入れ、そしてノーネームを封書で誘い込み、その脅威を取り除いてもらうことで、サラマンドラの名を上げるのが目的だったとマンドラは言う。

しかし明らかにおかしい。おかしすぎる。

まずはサンドラ以外が知っていたという事実。

領地に幾何のサラマンドラが住んでいたかは分からないが、それでも万を超える相当な数が暮らしていたのは間違いない。

その中で国王以外全員が「敵側が襲来してくる」という事実を知っていて、なおかつサンドラに作戦が露見しないように隠したという事実…不可能ではないか?

しかも、敵が攻めてくることを国王以外が知っているなど、正気の沙汰ではない。

もっと恐ろしいのが、兄のマンドラが旗の名を上げるために、国民の命を引き換えにしたことだ。

恐らくだが、ペストら敵を引き入れたのはマンドラで、国民にその報を知らせ、国王のために犠牲になれとでも言ったのだろう。

国の利益を考えた行動とはいえ、国民の命を犠牲にしてまで有名になりたいのか…

そこには現実の倫理観では測れない領域が存在していた。

国民も国民で、なぜ敵が攻めてくると知りながら、国を捨てて逃げなかったのか…

国民の何人かは、敵側の「ペスト病原菌攻撃」で死んでしまった。

そこにも、普通では測れないサラマンドラ特有の価値観が垣間見える。

もしくは、逃げられないようにマンドラに何か弱みでも握られていたのか…

何にしろ、この事実から分かるように、キャラの行動原理が読めないシーンが随所にあった。

その行動に至る性格・いきさつ・過去の出来事が一切語られないために、常識から外れた行動にしか映らない。

極めつけは、サラマンドラが国民の命と引き換えにして名を上げ、しかもノーネームを利用した事実が発覚したにも関わらず、マンドラの「自分の命一つでこの場を収めてくれ」という言葉に対し十六夜は、「今後ノーネームがピンチになったときに真っ先に助けろ」という条件を出すのみでお咎めなしという、これまた理解不能な行動。

サラマンドラの名を上げるために利用され、さらに国民の命を危険にさらした蛮行をあっさり見逃した十六夜の態度。

人間としての大切な何かまで失ってしまったのでは心配になるほどで、もはや「問題児」という一言では表現できない領域まで達していた。

総括:めちゃくちゃ

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

圧倒的な力を持つキャラが、あえて弱者の側に立つというのは、古今東西どの作品でも見られる展開だ。

弱者に勇気を与え、普通だったら考えられないような力を引き出し、強敵にも勝利を収める。

鉄板の流れではあるが、分かりやすいうえに感情移入もできて、作品を面白くするとっておきのスパイスといえる。

この問題児アニメでも、そういうレールに乗せたかったのかもしれないが、目立ったのは十六夜の賢さと強さだけ。

ノーネームが這い上がっていく喜びも興奮も、残念ながら何一つ感じられず、主人公が無双する系のアニメとの違いが全く分からなかった。

十六夜が目立つのに反比例して、飛鳥と耀の存在感はなくなっていき、十六夜との関係も希薄な彼女たちは、ストーリーを追うごとに徐々に立ち位置があいまいになっていった。

最後のペストとの戦いでは耀は空気に、飛鳥は謎のロボットに乗って戦うという始末で、バトル展開を押す割に、主要キャラがバトルで活躍できないという矛盾も感じられた。

前述の通り、キャラの行動もストーリーも読めなければ、ストーリーも理解できないポイントが多く。

一言で言うならば「めちゃくちゃなアニメ」だった。

3人の最強の能力者が、人間のまま無双することにも違和感を覚えたし、駆け引きも何もない大味なバトルに、「ギフトゲーム」の存在意義にも疑問符がついた。

掘り下げる要素は多くあったにも関わらず、駆け足でストーリーを進めることを優先したためか、視聴者に委ねるアニメになってしまったのは残念だ。

10話構成でいろいろカットする必要があったとはいえ、必要な情報、ラストの展開の作り込みという点に関しては、もっとできることがあったように思う。

総評するなら、「雰囲気で楽しむ異世界転生バトルアニメ」と言ったところか。

個人的な感想:24話構成だったら、もしくは…

引用元:©竜ノ湖太郎/角川書店・プロジェクト「ノーネーム」

10話の尺では明らかに足りないような密度の話だった。

もっと深く掘り下げるべき設定だったりキャラだったりがたくさんいたのに、それを無理矢理10話に凝縮した結果、大切なところも抜け落ちてしまっていた。

12話構成でも恐らくは足りない、視聴者が設定を理解してすんなり入り込むことを考慮しても、24話、最低でも20話くらいは必要なのではないかと思う。

何もかもが希薄であいまいな全10話だった。

3人の主要キャラの関係性、黒ウサギの正体、十六夜の力、ノーネームの成り上がり、キャラの行動原理…etc

問題児と言いながら、主に問題行動をしていたのは十六夜だけ。

そんな十六夜も含めて他の2人も、ノーネームを助けたり、サラマンドラの市民を守るために戦う姿を見せていて、問題児とは対極にいる人間にさえ思えた。

これほど粗が目立つアニメというのも、そうそうない。

ファンには申し訳ないが、最近観た異世界転生アニメの中でも最低クラスと評することができるレベルだ。

54点という点数は、ほぼバトルやキャラの作画分と思ってもらっていい。

特にバトルシーンの迫力は目を見張るものがあり、個人的には満足。

しかし、10話構成でサクッと観られるというメリットを考慮しても、「観た方がいい」と他人に勧めることはできない。

異世界転生アニメが好きで、主人公の最強っぷりと、何を言っているか分からないけど、雰囲気でなんとなくでも楽しめるという人にはオススメのアニメだ。

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