アニメ

【2020冬アニメ】「プランダラ」アニメレビュー

(65点)全24話

「廃棄戦争」と呼ばれた未曾有の大戦後の世界、アルシア。
そこは、強者が弱者から自らの存在を示す「数字」を奪い取る、弱肉強食の世界。

そんな世界で、2人は出逢う。
仮面で素性を隠しながらも、エッチなことが大好きで、弱き者たちのために太刀を振るう青年・リヒトー。
母の遺言を頼りに「伝説の撃墜王」を探して旅をする、健気でひたむきな少女・陽菜。

2人の出逢いをきっかけに、「数字」がすべてを支配する世界の謎が、少しずつ明らかになっていく―――TVアニメ「プランダラ」公式サイト

数字が全てを支配する世界を描いたファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (65点)
完走難易度 普通

原作は水無月すう先生。

監督は神戸洋行さん。

制作はGEEKTOYS。

原作者水無月すう

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

いきなり個人的な話にはなってしまうが、水無月先生の過去作で、これまたアニメ化された作品に「そらのおとしもの」という作品がある。主人公の桜井智樹がとてつもない変態野郎で、エンジェロイドと呼ばれる戦闘兵器のヒロインたちとドタバタなラブコメディを繰り広げるという作品だ。

自分にとって「そらおと」は青春ど真ん中の作品で、高校時代に友達から漫画を借りたり、アニメを繰り返し見て大笑いしたりしたのは良い思い出だ。(笑)ラブコメにハマるきっかけになった作品だったと自分の中では記憶しているくらい、水無月先生の描くラブコメディは大好きだ。

この「プランダラ」に関しては完全に初見の状態で拝見したが、ところどころに水無月先生っぽいギャグが散りばめられており、下ネタに近い笑いが好きな人にはピッタリなアニメだと思う。しかし水無月先生の作品と言えども、この作品にはお粗末なところが結構目に付いてしまったのは残念だ。

数字(カウント)

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

まずこの作品の根幹として「数字(カウント)」を奪い合うという設定がある。カウントはそのままその人のランクを表し、カウントが多いほど強く、カウントが0に近いほど社会的立場は弱くなる。至ってシンプルなものだ。更にカウントが「0」になると「アビス送り」という罰があり、アビスと呼ばれる奈落の世界に引きずり込まれてしまう。

カウントが支配する世界。ものすごくシンプルで作品の導入としては非常に分かりやすい。「星奪戦」と呼ばれる一対一の勝負で勝った者が負けた者からカウントを奪い、強くなる。「数字」という目に見える物が強さの指標になっており、強弱がはっきり区別されることで強者、つまり主人公のリヒトーの強さも一段と際立つわけだ。

しかしこの設定、後半に進むにつれて存在感が段々と薄くなっていく。序盤こそカウントの大小が取り上げられ、相手を騙し騙されの駆け引きも見ることができたが、後半はめっきりなくなっていく。「カウント」という概念こそ残り続けたが、果たしてそれはカウントである必要があるのか、わざわざ「カウントに支配された世界」という触れ込みで始まったアニメにしては扱いが適当すぎないか、と思わざるを得なかった。

「カウントに支配された世界」なのにカウントが関係ない世界。軸がぶれていくにつれてこのアニメは結局何がしたいアニメなのか分からなくなってしまっていた。誤解を恐れずに言えば、プロットも何も考えずに思いついたままに書き殴っていったストーリーのようにも感じた。

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

謎が謎のまま終わってしまっている箇所もあった。地面から出て来た戦闘ヘリ。ペレの正体。シュメルマンの陰謀。飛行機少女の行方。これら以外にもある。アニメを観ていない人にはさっぱりだと思うが、思いつくだけでもこれだけある。しかもこのアニメは24話という2クール分の尺があったはずなので、なおさら目につく。

原作は絶賛刊行中で謎のままでも仕方ない部分はあるとはいえ、あまりに謎が多く、すっきりしない気持ちが残ってしまった。

タイムスリップ

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

中盤の十何話あたりで、主人公と1人のヒロイン以外の主要キャラは過去にタイムスリップすることになる。これまた唐突な展開だ。そのヒロインが「撃墜王」だったということが判明し、彼女の力で過去を変えるために一方的にタイムスリップをさせられる。まず撃墜王らしき振る舞いなど一切見せてこなかったヒロインが、いきなりカミングアウトするもんだから、誰もが置いてけぼりを食らってしまったし、見せ場となるタイムリープもなんともお粗末だった。

時間をさかのぼるというのはリスクがもちろん付きまとうわけで、どの作品でもタイムリープをすることで背負う「代償」の説明があり、覚悟を持った上で、それでも大切な人の為にタイムリープをするからそこに人間ドラマが生まれる。しかしこの作品では一方的に前触れもなく、何をすればいいかの説明もなく「とりあえず行ってこーい」と300年前という途方もない彼方に送り出される。もちろんタイムリープに代償などあるかどうかも分からないまま、だ。

そこに感情を振るわせるドラマは何もない。ただ現実の主人公の不幸を嘆いたヒロインが主人公のためにタイムリープの力を使い、なぜか自分は現実に残って他人任せに現実を変えようとしただけに過ぎない。一言でいえば薄っぺらい。何かとんでもない伏線があってタイムリープに至るならまだ分かるが、何もない。ただ「タイムリープを使った」だけにしか見えなかったのが残念だ。

王道で面白い

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

ところどころ粗が目立つ作品ではあったものの、個人的には最後まで楽しめたアニメだった。作品のコンセプト自体は昔懐かしの「王道ラブコメファンタジー」という感じで、恋ありバトルありの展開で引き込まれる場面も多かった。特にメインヒロインの陽菜の可愛さは陽菜を演じた本泉さんの声質も相まって非常に可愛らしく、リヒトーを一途に想うリィンの健気さと小澤亜李さんの正統派ヒロインボイスもマッチしていて最高に可愛かった。

そして主人公のリヒトーも「撃墜王」と呼ばれる伝説の存在でもちろん最強。そらおとの桜井の系譜を継ぐ三枚目主人公で、普段はスケベだけどバトルになると鬼強。テンプレではあるが、やはり普段とのギャップがある主人公はどう繕ってもかっこ良い。

気になる点は多いながらも、飽きることなく24話を一気見してしまった。あまり24話を一気見することは時間があってもないのだが、自分にとってはそれだけハマる作品だった。

総評:いろいろ惜しい

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

色々と惜しい作品となってしまった。カウントという作品の柱となる設定がブレブレだったり、前触れもない展開で置いてけぼりを食らったり、謎が回収されないままだったり、雰囲気をぶった切るような下ネタがあったり。イマイチ感情移入が出来なかったせいで、記憶に残らないような薄っぺらいアニメになってしまった。

世界観自体は「カウントが支配する世界」というシンプルなもので、三枚目の主人公が活躍してヒロインともイイ感じにイチャイチャする、といういかにも昔懐かしのラブコメという趣で自分好みだったものの、ストーリーの不自然さが作品本来の面白さを損ねてしまっていた印象だ。ヒロインの可愛さはずば抜けていただけに勿体ない。

だが逆に言えば気になったのはストーリーくらいで、キャストさんの演技でキャラの個性は際立っていたし、お世辞にも綺麗とは言えない作画も、最後まで頑張って24話を走り抜けており好感を持てた。バトルシーンのカット数もそれなりにあったと思うし、キャラの躍動感も感じられた。

リヒトーの抱えている闇が判明する前と後では、リヒトーに対する気持ちにも明らかに変化があったし、タイムリープでリヒトーの過去を暴き、現実のリヒトーを苦しみから救うという流れは悪くなかったように思う。全体的な流れとしては面白かったが、やはりそれぞれの章がてんでばらばらだったせいで、ハラハラドキドキで見逃せない展開というのがほぼなかった。原作がそうなのか、それともアニメ化に際して改変があったのかは分からないが、非常にもったいない作品だったと思う。

雑感:2期に期待

©2020 水無月すう/KADOKAWA/プランダラ製作委員会

水無月先生の作品ということで贔屓する気満々でいたが、どっちかという期待外れに終わってしまったというのが率直な感想だ。2期があるかは円盤の売上次第にはなるが、とにかく期待するしかないだろう。今のところは絶望的だが…

それだけに1期の内容だけでももう少し丁寧に、伏線も織り交ぜつつ「アビス送り」という設定を利用した緊張感のあるストーリーにして欲しかった。本当に残念だ。

とはいえ普通に楽しめる作品ではあるので、気になる人は是非観て欲しい。

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