アニメ

【2020アニメ】「プリンセスコネクト!Re:Dive」アニメレビュー

(20点)全13話

穏やかな風が吹き抜ける美しき大地・アストライア大陸。
その一角で記憶を失った少年・ユウキは目を覚ます。

彼を世話する小さなガイド役・コッコロ。
いつも腹ペコな美少女剣士・ペコリーヌ。
ちょっとクールなネコ耳魔法少女のキャル。

運命に導かれるまま、彼らが立ち上げたギルドの名は「美食殿」。
今、ユウキと彼女たちの冒険の幕が開けるーー
TVアニメ「プリンセスコネクト! Re:Dive」公式サイト

ゲームが原作のファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (20点)
完走難易度 超難しい

原作はCygames。

監督は金崎 貴臣さん。

制作はCygamesPictures。

赤ちゃん主人公

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

1話の序盤で謎の少女によって下界に飛ばされる主人公。

そして主人公の従者となる謎の少女が現れ、主人公を「主様」と呼び、一緒に旅をすることになる。

1話から何が何だか全く分からない意味深なセリフや、国名や技名などの横文字がさも当たり前のように出てきて、作品に入り込めない。

原作のアプリゲームをプレイした経験がある人ならば、きっといろいろと合点がいって面白いのかもしれないが、ゲームを一切触ったことがない身としては、展開にも専門用語にも全く付いていけない。

さらに主人公は「記憶を失くしている」という設定になっている。

しかも記憶喪失の度合いが通常のレベルではなく、赤ちゃんレベルにまで知能が後退してしまっている。

片言の単語しか話せず、お金の存在も忘れているため、コインをかじってしまう有り様だ。

記憶喪失から始めるというのはよくある設定だし、主人公が記憶を失っているという設定にすることで「主人公が記憶を取り戻すまでのストーリー」、そして「主人公が記憶を失ったいきさつ」をストーリーとして描くことが出来る。

しかし、果たしてそこまでの記憶喪失にする必要があったのかは疑問だ。弱者から強者へと変貌する物語はあっても、赤ちゃんから強者へと進化する物語など観たことがない。(笑)

あってもいいとは思うが、1クールという限られた尺でまとめる必要があることを考えると、赤ちゃんレベルの知能指数がスタートラインではあまりにも遠すぎるし、観ているこちら側も、主人公が初っ端から赤ちゃん全開なのは違和感しかない。

主人公が言葉を話せないのでそもそも会話が成り立たないし、ついには従者の女の子が主人公にお小遣いを渡して、自分は働きに出てお金を稼ごうとする。

なんて救いようの無いダメ主人公なのだろう。構図が完全にダメ夫だ。(笑)

もちろん主人公の知能指数は赤ちゃんレベルなのでそんな自覚はなく、結局は一緒にクエストに出てお金を稼ぐ流れになるのだが、なんとも肩入れしづらい主人公だ。

冒頭で主人公に何やら意味深なことを言った少女といい、主人公の記憶喪失の理由といい、ぺコリーヌとかいう謎の少女といい、2話以降の伏線を残しつつも、伏線が多い割にそれほど興味が湧かないという1話になっている。

破綻

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

序盤で既にストーリーが破綻してしまっている。

記憶を失って片言しか話せない主人公は、少しずつ語彙力を取り戻してはいるが、特に何の活躍もせずに食っちゃ寝状態だ。

仲間に養ってもらうだけの主人公。なんて頼りなく情けない主人公なのだろう。この作品では主人公はとことん存在感を消さなければいけない運命なのかもしれない。

というのも、原作ゲームは恐らくキャラゲー寄りの要素が強く、主人公にスポットが当たるというより、サブキャラの可愛さを楽しむゲームなのだろう。

となるとアニメ化に際して、女の子の可愛さを重点的に描写せざるを得ないという事情が、もしかしたらあったのかもしれない。

だとしたら主人公の存在感を消して、なるべくヒロインの可愛さを楽しんでもらう、という考えにも納得がいく。

しかし赤ちゃん言葉の主人公ではどうやっても感情移入できない。主人公の仲間にしてもそうだ。

2話で登場する猫耳少女は仲間で群れることを良しとせず、何やら「あの方」なる人物に命令され、主人公の仲間をやっつけることを使命としている様子だが、群れない理由も、そこまで主人公の仲間に敵意を持つ理由もさっぱり分からない。

実際に主人公の仲間を危険な目に遭わせるのだが、敵意を持っている理由が分からないので、奇怪な行動にしか映らない。

さらに続く3話では、敵意を持っているはずの主人公の仲間がいるギルドに加入する。

加入に至るまでの流れも適当そのもの。敵意を持っているキャラがバイトをしているお店にいちゃもんを付けに来た客を、料理でうならせて、それを見た猫耳少女が仲間になる。意味が分からない。

きっとゲームでも猫耳少女は仲間となる重要なキャラで、仲間になる流れが最初から出来上がっていたのだろう。それでも不自然さしかない。

猫耳少女にとって、仲間を必要とする大きなきっかけがあったり、「ある方」の命令に背いてまで仲間になる大きな理由があれば納得がいくが、そこら辺がどうもフワッとしている。

直前で「あの方」から監視することを命令されて、恐らくは監視をすることが目的のスパイ行為ではないかと思うのだが、はっきりとした描写はない。

何もかもがフワッとしているし、キャラの掘り下げもおろそかなまま、新キャラが続々と投入され、もはや「闇鍋」状態だ。

アプリゲームが原作のアニメはどう転んでも地雷…まさにそれを象徴するような作品になってしまっている。

方向性

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

中盤になっても作品の方向性がイマイチつかめない。

作品の方向性としては一応、「美味しい食べ物をみんなで食べること」らしいのだが、あまりに「映え」がない。

美味しいものを皆で食べるアニメなら、食材集めや料理の描写でそれなりのこだわりを見せて欲しいが、特に工夫は感じられない。

アプリゲームのシステムはバトルゲームなので、アニメでも踏襲するかと思いきや、全く関係ない日常回を延々と繰り返す。

一貫した日常アニメとは違い、この作品は序盤でバトル展開を匂わせていたり、主人公が謎の力に目覚めたりと、明らかにバトル方向に舵を切る流れが出来ていた。

しかし中盤になって流れは完全に途切れ、主人公が病気になったり、訳の分からない喋る羊と出くわしたり、対して面白くも興味もない食材集めから料理までを見せられる。

キャラ同士の会話も大して面白くない。主人公たちのボケに猫耳少女が見たまんまの状況からツッコミを入れる。ゲームに触れていない身としては、キャラに感情移入もできないのでただただ退屈な時間が流れていく。

主人公が何やら旧知の仲間的な女の子と夢の中で会ったりと、徐々に「主人公の正体」という伏線が回収されつつあるものの、赤ちゃん主人公について特に知りたいとも思えない。

せっかく粘着質で面白そうなヤンデレが登場したかと思えば、主人公との会話が成立しないので、面白くなりそうなのにならない。せいぜい「魅力的なキャラがいる」という印象止まりだ。

もっと見たいキャラをこすらずに、どうでも良いキャラがどんどん増えていく。アプリゲーム原作のアニメならではの呪縛が見え隠れする作品だ。

総評:起伏ゼロ

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

心が揺れ動く瞬間が全くない、起伏の無いアニメだった。

どのキャラにも感情移入できず、ストーリー自体もゲーム原作アニメの悪いところが全部出てしまっていて、「アニメ」としては絶望的なつまらなさだった。

きっとアプリゲームをプレイした経験がある人ならば、「あのキャラがぬるぬる動いてる」とか、「このお話はゲームにもあったな」とか、いろんな楽しみを見つけることができるかもしれないが、未プレイ層からしたら何が何だが分からない。

何の説明もなしに世界観が出来上がっていき、キャラの紹介や掘り下げもないまま、どんどん新キャラが追加されていくので、キャラが多い割に個々の印象がとても薄い。

物語の核となるはずの主人公は赤ちゃん状態から始まり、「1クール通してどれくらい成長するか」に注目していたが、結局少し語彙力がついた程度で相変わらず置物だ。

終盤12話に、旧知の仲間的なキャラに仲間との絆だなんだと夢で諭され、ようやく剣をとる。あと1話しかないのに剣の素振りを始める主人公。もはやギャグだ。

最終話ではようやく記憶の片鱗を取り戻して美味しいところを持っていくのだが、ついさっきまで素振りをしていた人間とは思えないし、目覚めるのが明らかに遅い。

原作のゲームでも赤ちゃん状態から始まって、ずっと何もしないままの主人公なのだろうか。別の意味で興味がある。

百歩譲って、「女の子の可愛さを前面に出すために主人公に黙ってもらう」というなら、ある面では理に適っている。

しかしあまりに存在感が薄すぎる。エ〇ゲーの主人公くらいの扱いだ。(笑)

ストーリーを純粋に楽しみたい私みたいな視聴者からすれば、主人公の変化や成長は欠かせないが、これは原作ゲームのシナリオやキャラありきのアニメ作品なので、「刺さる人に刺されば良い」というスタンスなのかもしれない。

それでも面白くする余地は十分あったと思うし、主人公のセリフがあってもキャラを引き立てることは十分できると思うのだが…

それぞれのキャラの印象が薄いまま何でもない日常回が繰り広げられ、誰一人としてキャラに愛着を持てないので、ストーリー展開にも興味を持てない。

最終話では主人公の仲間が実は王族で、過去の記憶を思い出して泣き崩れるというシーンがあり、仲間だなんだと持ち出すが、そんな仲間の絆を描いたシーンなど一切ないので驚くほど心に響かない。

だが一応、ストーリーの流れというのは意識して作られている。

主人公が記憶を取り戻していく過程だったり、猫耳少女が言う「あの方」の正体だったり、はらぺこ少女の過去だったり。

ただどれも興味を持てない。知りたいと思えない。

キャラに寄り添えるような・応援したくなるような魅力がないので、誰がどうなろうと知ったことではない、と冷めた目で見てしまう。

一応バトルゲームらしくバトルシーンは各話であったが、パッと出てきてあっという間に倒すので全く盛り上がらず、無風状態のまま終わる。

その後トリコよろしく、倒したモンスターなどの食材を使ってみんなで料理を作り、みんなで一緒に食べるのだが、特に感動はない。

トリコであれば苦労した分だけ料理シーンでの感動も格別になり、バトルとグルメというのが最大限の相乗効果を生み出しているが、このアニメでは苦戦などなく、ただの「狩り」で、ただの「料理」でしかない。

一応「みんなで美味しい料理を食べる」という作品の方向性通りに、ストーリーが進んでいるにはいるが、どこを切り取っても感情が揺れ動くシーンがない。

作画が劇的に良ければ、まだ飯テロアニメとして救いようもあるのだが、キャラの作画は崩れるし、料理はネット素材をそのまま引っ付けたような適当さで、目も当てられない。

中盤で登場したヤンデレっ子は良い感じに頭のネジが飛んでいて、もっと上手く絡めれば絶対に面白くなると思ったのだが、使い切りのような扱いを受けていて残念だ。

そもそも面白いアニメを作ることが目的ではなく、より多くのキャラを登場させて、ゲームの宣伝に繋げたり既存のファンに楽しんでもらったりすることが、真の目的だったのかもしれない。

雑感:クス子

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

「クスクスクス」と笑うクス子は、絶対にもっと上手い使いようがあったはずだ。(笑)

主人公に大胆に迫る積極性といい、いきなり不気味な婚約指輪をはめようとするサイコパスなところといい、特徴的な笑い方といい、魅惑的なプロポーションといい、このアニメの中でずば抜けて印象が強いキャラだった。

主人公の過去の記憶や黒幕などどうでも良いから、クス子のヤンデレっぷりをもっと見たかった、と思うのはきっと私だけではないだろう。(笑)

どうやら驚くべきことに、この作品は既に2期の制作が決定しているようで、果たして1期のどこにそんな面白さがあったのか、理解が追い付いていない。

制作会社がcygamesの子会社なので、それほど円盤の売れ行きなどの後押しがなくても、ゲームの人気と親会社の裁量で2期まで持っていけた、ということなのだろうか。事情は分からない。

ストーリーは壊滅的だし作画も崩れ気味だが、唯一キャストだけは豪華なので、声優ファンは楽しむ余地があるかもしれない作品だ。

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