2016年

【2016アニメ】「ラクエンロジック」アニメレビュー





(18点)全12話

L.C.922年、人々は空前の危機に直面していた。神話の世界テトラヘヴンの百年戦争終結後、敗戦を喫した魔神たちが新たな安住の地を求め、人間界セプトピアへと襲来。異世界の使者(フォーリナー)から街を守る宿命を背負う警察特殊機関ALCA(アルカ)所属の若きロジカリストたちは、望むと望まざるとにかかわらず政府によって街と人々を守る使命を強制され、特殊能力によって異世界の女神たちと合体(トランス)し、戦場に身を投じていく。ある『ロジック』が欠落しながらも家族と幸せな生活を送っていた民間人・剣(つるぎ)美親(よしちか)はある日、魔神に襲われた人々を懸命に避難させる中で、美しき女神アテナと出会う。彼女が手にしていたのは、美親が失くしたはずの『ロジック』だった。そして美親はアテナと共に思いがけない運命へと導かれていく。TVアニメ「ラクエンロジック」公式サイト




ロジカリストの戦いを描いたバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (18点)
完走難易度 超難しい

原作はSeptpia。

監督は千明孝一。

制作は動画工房。

ロジカリスト

©Project Luck & Logic

「ロジカル」という力を持ったロジカリストと呼ばれる戦士たちが、異形のモンスターと戦うバトルファンタジーアニメ。

主人公は過去にロジカルの力を持っていたが、何かしらの出来事がきっかけで力が使えなくなり、ただの一般人になっている。

その主人公が、とあるモンスター出現がきっかけでロジックの力を取り戻し、ロジカリストたちが苦戦する戦場へ駆けつけ、能力を見せつけ、新しくモンスターと戦うための組織に入るというのが1話の展開。

なるほど一般的な良くあるバトルファンタジーという感じだ。

主人公が過去に能力を持っていたが、とある理由で一般人に。だがピンチの時に力を取り戻し、颯爽と助けに入る。

壁に囲まれた街。モンスターが出現したときの緊急警報。ロジカルという力で戦う少女たち。何から何まで既視感しかない世界観。

主人公は圧倒的な力を持っているのかと思いきや、助けに入るシーンで、盾で相手の攻撃を防ぐというじみーな仕事しかしていない。

主人公ならいっそスカッと大活躍して、女の子に惚れられて…くらいしてほしいものだが、なんとも中途半端な活躍ぶりだ。

とはいえまだ1話なので、今後どんな展開で胸を熱くさせてくれるのかを楽しみにしたい。

理想と現実

©Project Luck & Logic

主人公がリーダーになる際に、もともとリーダーだったメガネっ子をはじき出すことになり、お互いの価値観の違いも重なって衝突を起こす。

魔神に襲われている市民を最優先に保護すべきというメガネっ子と、魔神を止めることで市民を守ろうとする主人公。

魔神を倒さずに市民の安全を確保する「理想」を追求するメガネっ子と、あくまで最初に魔神にフォーカスをする主人公。

2人の対立が序盤の3話のテーマになっている。しかし、そもそも対立しているとは思えない。

両者ともに「市民を守る」という方向性で合致しており、なるべく魔神を倒したくないという考えも一緒だ。それなのにメガネっ子は、主人公がリーダーになることに納得をしていない。

そもそも対立軸が生まれていない。どこの馬の骨かも分からないやつにリーダーの座を追われたとはいえ、そこまでリーダーの地位に執着しているわけではない。

なのに、無理やり対立の構造を作っているようにしか見えない。2人はむしろ理想を共有する「同志」と言っていい。

むしろ対立軸となっているのは主人公&メガネっ子の2人と、局長と呼ばれる組織のトップにおわすキャラクターだ。

彼女は魔神を確実に仕留めることを優先する。魔神をなるべく殺すことなく市民を守るという「理想」を掲げる彼女に、局長は「魔神を殺せ」と容赦なく命令する。

そこでメガネっ子は理想に反する行為に躊躇してしまう。そして彼女は戦線から外され、理想と現実のギャップに苦しむことになる。

だがここでも疑問がある。そもそも魔神とは異形のモンスターのような存在で、街を壊して暴れまわる情状酌量の余地のない存在だ。

それなのになぜ殺すことにためらう必要があるのか。もし敵が単純な「敵」ではなく、憎めない一面を持っているとしたら、理想と現実の狭間で揺れる気持ちもわかる。

だが敵は、ただ悪さをしているだけのモンスターだ。そこで殺すか殺さないかに迷う必要はあるだろうか。

主人公とメガネっ子の対立といい、モンスターを倒すか倒さないかで迷う女の子といい、無理やりこじつけているようにしか見えない。

ワンマン

©Project Luck & Logic

組織に1人はいるワンマンプレーヤー。元気印の陸上っ子のロジカリストは指示を待たずに我先に戦場へ繰り出す脳筋タイプ。

そして、またまた4話でも対立構造が生まれる。陸上っ子に対するは、またもやメガネっ子。彼女はまずチームワークを優先するように陸上っ子に訴えかける。

ただこの対立軸もイマイチピンとこない。というのも陸上っ子はいわゆる典型的なワンマンタイプではない。自分勝手に行動して周りに迷惑をかけるというタイプではない。

ワンマンというより、ただ効率性を重視しているように見える。「近くに敵がいるから単騎でも仕掛けるべき」と判断したように、好機を逃さないという思考を持っており、確かに一理はある。

それを否定する立場でメガネっ子は、まずチームの指示を聞いてからまとまって行動すべきだと主張する。こちらも正しい。

どちらも正しいが故に、正しいか正しくないかの尺度では測れない。状況によって使い分けるのが最適だと思うのだが、白黒つけたがるのがどうも釈然としない。

対立としても、またもや成立していないように見える。3話での対立でもそうだ。

お互い譲れないものがあってぶつかり合うというより、答えのない不毛な議論をしているかのような無意味さを感じてしまう。

キャラクターの関係を構築しようという意図は見える。葛藤は絆を生むし、それが終盤の盛り上がりを生む。

だがどれもこじつけのように思えて、「雨降って地固まる」ようでまだぬかるんだままのようなモヤモヤした気持ちが残る。

最終的に2人は和解するのだが、その着地点も雰囲気で流されている感がある。

どちらかが正しいと結論づけるのか、はたまたどちらも正しいとお互いの意見を認め合うのか。

お互いの絆を象徴するような回想が流れてイイ感じに敵を倒して、和解のグータッチ。完全に2人の議論の行く末は置き去りになってしまっている。

退屈

©Project Luck & Logic

有り体に言えば退屈だ。そう思ってしまうのも様々な要因がある。

まずキャラクターへの愛着。4話時点でキャラクターに特に興味を持てない。

それぞれがどんな境遇でどんな思いで戦っているのか。敵の素性も知れないことから、戦いが薄っぺらいことこの上ない。

そしてバトル。命を張って戦っているようには見えない。

死を匂わせるようなセリフがありながらそのようなシーンがなく、緊張感に欠ける。有名なロジカリストだったはずの主人公は、守りに徹するばかりで地味な役回り。相棒と融合する意味とは。敵の歯ごたえのなさ。

5話では仲間の1人が負傷した後、のんきに魔神はおねんねしてくれている。ご都合にも程がある。敵が敵としての役割を全うしていない。

緊張感が自然と生まれるようなシチュエーションが全くない。キャラクターについて何も知らない。だから仲間内での衝突も軽く感じる。そういう連鎖が起きているような印象だ。

もちろん議論を投げっぱなしなのも要因の1つだ。対立させるだけさせて結論を描かない。それでは生まれる絆も生まれない。一向にキャラクターへの感情が湧いてこない。

人と神

©Project Luck & Logic

この作品において主な対立軸となるのが人間側、そして「魔神」「フォーリナー」、または「神」と呼ばれる存在だ。

1話から人間は、領土に踏み入ってくる神と交戦している。そして容赦なく攻撃し、攻撃されを繰り返している。

にも関わらず、中盤あたりから降って湧いたように「共存」という話が出てくるようになる。

主人公とメガネっ子は、魔神だろうと何だろうと無闇に殺すことを良しとしない。その考えが局長と対立するきっかけとなった。2人は神とて攻撃することを良しとしない「共存派」に近い考えだった。

しかしまた新たに、他のキャラクター達によってはっきりと「共存すべき」という意見が再浮上するようになる。一度局長とのシーンで「倒すべき」と結論が出たはずの問題を掘り返している。

しかもその「共存」を提言するキャラクターというのは、序盤で戦況を黙って見過ごしていた。

神が攻撃される様子を黙って見ていたはずの人間が、急に魔神に寄り添うような発言や行動をするのは不自然極まりない。

挙句の果てには「共存派」だった主人公までも、神と黙って接触していた相棒に対してヒステリックを起こし、後に「共存派」のキャラによって説教を受けている。

「共存派」だったはずの主人公が神の存在を否定し、共存派の人間に説教を受けて、また「共存派」になる。どのキャラクターも信念と行動が一致しなさすぎて、もはやカオス状態だ。

仮に主人公が局長との一件で「否定派」に変わっていたとしても、危険な神と接触していた相棒に対してヒステリックになった行動を、共存派のキャラクターに説教されるいわれはなくなる。

なぜなら相棒が危険な神と接触するのはそれだけで危険だし、「神は敵だから殺せ」というのが局長一派の「否定派」の考えだからだ。相棒が危険なやつと接触していれば、心配になって取り乱すのは当然だ。

それなのに、いつの間にかそれまで正しいとされていた「否定派」の考えが、まるっきり「悪」だと否定され、「人間と神は共存できる」という風向きになっている。

明らかにおかしい。神を殺せと命令するはずのいわば「否定派」のトップにいる局長が、共存派に対して何も口出ししないのもおかしい。

序盤みたいに「命令だから殺せ」というくらい悪役になってくれないと、組織内での対立も生まれずイマイチ盛り上がらないのに。

神を殺すことを使命と考える「否定派」と、組織の内側から頭角を現した「共存派」。新しい対立構造が生まれているが、気づいた時には「共存派」がマジョリティになっている違和感。

そこを深めれば自ずと人間ドラマも生まれようものだが、特に触れずにストーリーが進んでいる。

総評:おかしなロジック

©Project Luck & Logic

雰囲気で流すようなシーンが多く、全く「ロジカル」ではないアニメだった。

街を壊し人を襲う神に対して倒すべきかどうか迷ったり、かと思えば倒すべき側にいた人物がいつの間にか「神だから敵」とひとまとめにするのではなく、共存していくべきだとコロコロ意見を変えたり。

いろいろ不透明なままどんどんシーンだけが移り変わっていき、腑に落ちないというモヤモヤした気持ちで、作品への心はどんどん遠のいていく。

信念がブレまくっているキャラクターに感情移入もへったくれもない。

神にも何かしらの事情があるなら、人間と神の共存の道を探すべきだと当然のように思う。

だが共存派に肩入れしようにも、序盤で一緒に神を倒す側に回っていたはずなのに、いつの間にか「共存するべき」と手のひらを返すような連中を応援する気になどなれない。

きっかけがあれば納得もいく。どこかで神が憎めない存在だと分かれば、神にも守るべき存在があると分かれば、分かりやすく共存派に肩入れすることができる。

しかし、この作品ではそのきっかけがないばかりか、コロコロと自分の意見を変えてつかみどころのないキャラばかり。はっきりと二分するような描写もない。

最後まで対立軸がはっきりしない。ラスボスは「共存派」であることを宣言するが、味方側も「共存派」だったはず。それなのにバトっている。最初から最後まで、何をかけた戦いか全くわからない。

これでは雰囲気だけのアニメと言われても仕方がない有り様だ。対立させるだけさせて結論を描かないうちに和解する。信念がブレまくっているから矛盾だらけ。

誰にも肩入れできないからストーリーは評価のしようがない。せっかく可愛いキャラクターもいて、鉄板のハーレムバトルアニメという感じだったのに非常にもったいない。

作画は3Dが多かった印象だ。特にバトルはほとんど3Dで、だからというわけではないが少し迫力に欠けていた。そもそもそれほど見ごたえのあるバトルもなかった。

主人公の素性も最後まではっきりしなかった。母親はなぜ死んだのか。台湾支部でなぜ最終奥義を使ったのか。どうして日本に来たのか。

伏線が残ったまま終わっており、モヤモヤが残る作品だった。

雑感:これでいいの?

©Project Luck & Logic

本当に練りに練った上での脚本なのだろうか。推敲に推敲を重ねたストーリーとは全く思えなかった。

対立は生まれるがしっくりこない。しっくりこないまま結論を出さずに和解。

神を殺していたのに急に共存すべきという風向きになる違和感。「否定派」なのか「共存派」なのかはっきりしない主人公。

誰に感情移入することもできず宙に浮いたまま。神が出現して、戦って、倒しての繰り返し。バトルは苦戦することなくあっけなく終了し、敵は都合よくおねんね。

自分をエリートだと思い込むCV松岡神のキャラクター性とか、鉄板のお兄ちゃんが大好きなCVかやのんの妹とか、見たまんまハーレムとか。

特に松岡さんの渾身の演技は胸に響いた。ライバル同士が戦うという展開も胸熱で、お互いのロジックをかけた最終奥義を使ってのバトルは迫力があった。

親友の暴走を止めるシチュエーションは単純に面白い。伏線としてあった最終奥義をここぞという場面で使うのも憎い演出だ。

面白くなりそうな要素や展開はそこかしこにあっただけに、いろいろと不足感のある作品だった。興味があればぜひ。




COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です