2021年

【2021アニメ】「怪病医ラムネ」アニメレビュー





(52点)全12話

人に心がある限り、悩みを抱える者がいる。 そこに“怪”が入り込み、身体に奇妙な症状を引き起こす。“怪病”と呼ばれるその病は、人知れず、だが確かに存在している 現代医学では治す手立ての見込めないその病に 弟子と共に立ち向かう医者がいた。その名はラムネ。風貌は決して医者には見えず、どんな時も自由にふるまい、さらに口まで悪い。 けれど ひとたび怪病に向き合えば 患者たちが心の底に隠していた悩みの原因を、瞬時に暴いて治療する。そしてその先には―― 。TVアニメ「怪病医ラムネ」公式サイト




怪病に立ち向かう医者を描いたホラー×ファンタジー

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (52点)
完走難易度 難しい

原作は阿呆トロ先生。

監督は大庭秀昭さん。

制作はプラチナビジョン。

怪病医

©阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

「怪病」を診るお医者さんが主人公のホラーファンタジーアニメ。

1話の患者さんは有名な子役で、目から涙の代わりに調味料が出るというヘンテコな病気を抱えて、先生の元を尋ねる。

怪病の原因は等しく「心の病」。この少女の場合は、毒親に子役を押し付けられ、自分の感情を隠し、偽って過ごしていたことが原因で怪に憑りつかれてしまい、マヨネーズや醤油などの調味料が出るようになってしまう。

最終的には先生が出した薬や、先生の荒療治のおかげで親子の絆を取り戻し、仕事よりも大切なものを見つけてハッピーエンドとなっている。

まず1話の流れは非常に綺麗だ。1話完結でフリからオチまで綺麗にまとまっているし、親子の絆に訴えかけられたら、そりゃあ感動しないわけがない。

金に目がくらんだ母親のせいで、いつしか消え失せた親子の団らん。私利私欲のために子供を働かせるクズに成り果てる母親。

だが先生の治療と言葉のおかげで、子供の苦しみを知って、何が一番大切なのかを思い出し、最後は先生も交えた団らんで終わっている。

そのシーンで子役の少女が「あれ?まだ治っていないのかな?」と嬉し泣きしたのを見て、主人公が「馬鹿。涙っていうのはそういう味なんだよ。」と返すやり取りは、どことなく銀魂っぽさを感じる。

銀魂の人情パートも大体銀さんの締めと、キザなセリフで綺麗に締め括られる。それに近いテイストだ。

一見クズなセリフなんだけど、そのキャラクターらしい意図があるところも銀魂っぽさを感じる。もちろんファンとしてのバイアスがかかっているのは否めないが。

先生は少女を苦しみから解放するために、その代償として、母親が集めていた宝石や服を砂に変えている。

嘆く母親に対して、主人公は娘の腕や足を差し出すことで、また服や宝石を元通りにすることができると、母親にゲスい顔で持ち掛ける。

主人公とは思えないゲス発言。だが少女に渡したコンタクトといい、クズ発言といい、根本にあるのは、親子の絆を間接的に取り戻させるという思いやりだ。

まさか娘の四肢をもいでまで宝石に執着する愚か者はいない。それを見越してのクズ発言。

銀さんが新八の兄貴分を手にかけようとした時も同じように、一見やっていることはクズだが、その行動には優しさがあった。

どうでもいいことを付け加えると、「琴」という名前の少女と医者を掛け合わせると、どうしても昔放送された某ドラマを思い出してしまう。(笑)

紙一重

©阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

人情とは書いたが、捉えようによってはクズなヤブ医者に見えなくもない。

2話でも主人公は、呪いを解くための「代償」を要求しており、陰茎のちくわに宿った「怪」を治すのではなく、それを薬指に移すことで「結婚指輪がはめられなくなる」という代償を支払わせている。

1話でもそうだが、やっていることが医者とは縁遠い。病巣を断つのではなく、その病気にかかる原因となった過ちそのものを「清算」することで怪病を治そうとしている。

あんまり医者っぽくはない。霊媒師という感じでもない。カウンセラーとも違う。やっぱりヤブ医者って言葉が一番しっくり来る。

患者に代償を支払わせて諸悪の根源を断つ。あるいは2話の例のように、7股を止めるように改心させる。

やっていることは確かに治療なのかもしれないが、一歩間違えば「脅し」だ。もし母親が娘を一番にしなかったら腕をもいでいただろうし、もし浮気男が清算よりも逃げることを選んだら、指が腐って落ちていた。

助手が「荒療治」と言っている通り、主人公のやり方は主人公っぽくない。ダークヒーロー的な善と悪が紙一重となっている。

最近モンスター専門の町医者が主人公のアニメが放送されたが、その主人公は病気になるモンスターをしっかり診て病名を判断し、治療を施している。

彼なりのやり方に文句はないし、結果的にみんな幸せになってはいるが、「これ本当に医者がやること?」というのがあまりに多い。

不自然

©阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

怪病を奇々怪々なアイテムで治すというストーリーの流れはシンプルで、単話完結型であるのも、アニメとして非常に観やすい利点がある。

だが流れが若干不自然である感も否めない。

例えば、中盤での耳が餃子になってしまった母親と、母親を治そうとする息子の回で、主人公は息子に「愛し合う男女しか声を聞くことができない」という携帯電話のような貝を渡す。

前述の通り、医者なら病気を治すのが先決なはずなのに、当人でもない息子に貝を渡すことで「さあ、どうなるか見てみよう」というスタンスを取っている。それが謎だ。

病魔に侵されている人が目の前にいるのに、直接何か処置をするわけでもなく、息子に貝を渡して経過を観察する医者。

さらに、病状が悪化した母親の元に主人公と息子が駆けつけようとするシーンがあるのだが、途中で「茂みに何かいる、お兄ちゃんだ!」と母親でもないのにいきなり頓珍漢なことを言い出して、それが原因で2人は崖下に落ちる。(兄は死んでいる。母親は死んだ兄の幻覚を見ている)

主人公が気絶してしまったことで、2人は失踪状態になってしまう。心配する両親と両親のもとに駆け付ける助手。

息子がついに貝を使わざるを得ないシーンが訪れるのだが、貝越しに葛藤をする母親に対して、父親は「自分が話す!」と買って出るも、そこで主人公の助手が「愛する人でないと無理です」と止めに入る。

愛する人でないと声を聞くことができない貝。本来なら父親でも十分問題ないはずだ。助手は直接的に、初対面の父親に対して「おめえと息子は愛し合ってねえ」と突き付けたことになる。(笑)

なーんかところどころでご都合が目立つようなストーリーになっている。横道に逸れて崖下に落ちて行方不明になるのも、貝を通して声を聞くのが母と息子なのも、最終的に親子愛に着地しようとするプランも。

ゴールだけちゃんと決められてるけど、途中のルートはテキトーなマラソンのような感じの気持ち悪さがある。

「まあ最後は現実を受け入れて、大切な息子と歩んでいく流れになるよね」と、既に序盤で見切った通りになる。

順番は前後するが、怪異とのかくれんぼにしてもそうだ。敵は透明になれる。勝ち目などない。

だが味方には「超感覚」の能力を持つキャラがおり、最終的に心拍数の大きさで居場所を突き止めるのだが、「逃げればよくね?」と当たり前のように疑問に思う。居場所を突き止められても逃げれば無敵だ。

そもそも一人ずつではなく、みんなで探せばいいところを、当てもないのに透明人間に対してしらみつぶしに探そうとしているし、「一体何を見せられているんだ?」という感じだ。

超感覚を持っているなら、最初にソイツの能力を使って居場所を突き止めたら、みんなで地の果てまで追い詰めればそれで勝ちなのに、余計に尺を使って、演技までして、結局近くにいましたで終わる。

せっかく1話完結で観やすいのに、流れが不自然なせいでそっちが気になってしまう作品だ。

総評:もう一声

©阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

普通の病気とは違う怪病を治す専門医が、毎度違う症状を訴える患者に対して、寄り添い、病気そのものを治すだけではなく、原因を断つことまでやる。

病気を治すためだけではなく、患者の幸せのために自分を犠牲にする。その自己犠牲はまさに主人公であり、ヒーローもののような頼もしさのある作品だ。

基本1話完結で進むから非常に観やすい。起承転結もしっかりしているから、サザエさん感覚で楽しむことができる。

しかし、ストーリーのこじつけが終始気になる。思い描くラストに向けてある程度の粗は気にせず進むスタンスを取っているシーンが結構あり、そこに様式美みたいなものを感じることは出来ない。

ストーリーのテンポも変わらない。患者が来る→アイテム渡す→代償を迫る→トラブル起きる→解決してハッピーエンド。この起承転結のパターンが最後まで続く。

それがこの作品の良さでもあり、悪さでもある。それがこのアニメにとって良かったかどうかは…私は悪かったと判定している。

なぜなら、サザエさんやちびまる子ちゃん、水戸黄門やこち亀級の作品でない限り、同じような起承転結は受け入れられないからだ。それが現実だ。

新鮮な驚きと躍動する主人公と、邪魔をしてくる悪党がいて、大きな事件に巻き込まれて奮闘する構図がないと、この手のファンタジーアニメだといかんせん迫力不足になる。

怪病を治すための医者。典型的な3枚目で普段はちゃらんぽらんだが、いざという時には頼りになる。でも治療はアイテムで済ます。患者に委ねる部分が非常に大きい。

医者というか「先生」という感じだ。確かに元を断つことができなければ、また怪病はぶり返すだろう。だからアイテムを渡して、最大限サポートはしつつも重要な決断は患者に委ねる。

そのスタンスは一貫している。最後にそのスタンスが正しいのかどうかを葛藤するシーンがあり、医者としてどうあるべきかという葛藤は非常に見ごたえがある。

だが地味だ。怪を扱ったファンタジーにしては地味だ。あまりに緊張感が足りない。もっとスケールの大きいことができるのにこじんまりしている。私にはそういう風に見える。

あと一歩足りない。ひとつまみの劇薬を投入すれば面白くなりそうなアニメではある。

雑感:無味

©阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

驚くほど無味で無害な作品だ。優しい医者がいて助手がいて、医者を信頼する患者がいて。毒にも薬にもならないといった感じだ。

何も心配することなく、感情を揺さぶられることもなく、順調にストーリーが進んで最後は解決する。こういうアニメがたまにはあっても良いが、もう少し刺激が欲しいところだ。

最後も綺麗にまとまっているし、12話の作品としては良く出来ているとは思う。だが本能が求めるタイプの作品でないのが惜しい。

2期があるかどうかは分からないが、もしあるなら、もっと刺激的な劇薬となるキャラクターやストーリーに期待したい。

興味がある人は是非とも観て欲しい。




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