2020年

【2020アニメ】「理系が恋に落ちたので証明してみた。」アニメレビュー





(81点)全12話

研究に情熱をそそぐ、理系女子と理系男子がもし恋に落ちたら?彩玉大学に通う理系大学院生の才女、氷室菖蒲は同じ研究室の雪村心夜に告白する。当然その「好き」に論理的根拠なんてない!しかし、理工学専攻として、「論理的に好きを証明できなければ、好きとは言えないし、理系としても失格!」その信念をもとに、2人は研究室のメンバーを巻き込んで「恋」の定義に関する証明実験を始める!?デート実験、好きの構成要素の解明、心拍数計測実験、ムード値の計測……。個性的過ぎる愛すべき理系たちが「恋」を論理的に証明する笑いありキュンキュンありの理系ラブコメディ!
TVアニメ「理系が恋に落ちたので証明してみた。」公式サイト




理系の男女が恋愛を「証明」するラブコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (81点)
完走難易度 超易しい

原作は山本アリフレッド先生。

監督は喜多幡徹さん。

制作はゼロジー。

証明

©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

理系の大学院に通う男女が恋愛を証明するというラブコメディ。

理系に染まった2人の男女が、本当にお互いのことが好きなのかどうかを数字を使って証明しようとする、というなんともバカらしい…いやロマンに溢れたアニメだ。(笑)

まず1話の冒頭でヒロインが主人公に告白をするところから始まる。最近観たアニメといい、過程を丸ごとすっ飛ばすのが流行っているのだろうか。(笑)

ヒロインは何気ない日常の一コマで主人公に告白をする。それに対して主人公は「理系なら証明してみろ」と訳の分からないことを言い出し、2人は一緒に仮説を立てて、なるべく恋愛における事象を数値化しようと試みながら実験を通して、お互いの気持ちを確かめ合っていく。

端から見ればただの惚気にしか見えない。(笑)

壁ドンをしたときの心拍数がどうだとか、顎クイをしたときに心拍数がどうだとか、一般的な好きという気持ちがどのようなものなのかを共通項を知ることで定義づけようとしたりだとか、とにかくまどろっこしいことばかりしている。(笑)

1話のほとんどがボケで構成されているという奇跡的な状態だ。

お互い好きなことは明らかなのに、主人公もヒロインのことが好きだと言えばそれでカップル成立なのに、なぜか理系としてのプライドが介入して、「恋愛の証明」という無謀な挑戦が始まる。(笑)

声を出して笑ってしまうほど面白い。「恋愛感情を証明する」などという途方もないことを至って大真面目に、そして「好きかもしれない」相手がいる前でお互いの羞恥を、さも当然のように晒している姿が面白可愛くてしょうがない。(笑)

ヒロインは「主人公の好きなところ」を円グラフにして表し、真面目な顔であくまで「データ」の一種だからと言わんばかりに、堂々と好きな相手に披露する。

ここまで「何やっとんw」という言葉がストレートに出てくるようなギャグ作品も珍しい。(笑)

さらにボケ倒す2人に対してツッコミを入れる後輩キャラもいることで、うまくバランスが保たれている。

ツッコミを入れつつ、呆れつつ、「リア充爆発しろ」とでも言わんばかりの冷めた目で2人を見守る後輩キャラがいることで、視聴者はよりこの作品に入り込むことができる。

斬新すぎる世界観にボケのオンパレード。もちろんそこにヒロインの可愛さや主人公のナチュラルなカッコよさも相まって、ラブコメ作品としてかなりのレベルの高さを1話から感じる。

単調

©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

序盤では恋愛を証明するという異次元の斬新さに興味を惹かれ、数字を持ち出して何事も証明しようとする2人のバカさ加減に、素直な笑いも出てくる。

だが中盤にもなると、少し単調さが生まれてしまっている。

基本的には2人がカップルにまつわる様々な事象について検証し、「なぜ?」という疑問を1つずつ紐解いていくという構成になっている。

それはそれで理系の男女だからこそ生まれるストーリーでもあり、この作品のオリジナリティでもある。

だがいかんせんテンポが同じなので、冗長さは否めない。

何か気になることがあると基本的に止まる。「デートの定義とは?」「遊園地を効率よく回るためには?」

当然のこととして「一般的に」受け入れられているものに対して疑問を呈するから、なかなかテンポやリズムが生まれていかない。

一般論としてフワッと定義されているものについて立ち止まり、なぜそう世間で言われているのか、本当にそうなのか、というところを数値化や仮説を使って立証していく。

面白いのは間違いない。そんなところに着眼点を持って、いちいち馬鹿らしい仮説や定義づけをしていくアニメなど、この世には存在しないのだから。(笑)

だがやっていることが変わらないと、それがいかに面白くても冗長を生むし、マンネリもしてしまうというもの。

それがこの作品の宿命であることは間違いないのだが、ギャグアニメにおいてテンポの良いやり取りはかなり大切だと思っている口なので、どうしても気になってしまう。

メイン以外にも膨らませて欲しいところがもっとあるのに、2人の「なぜ?」に付き合う尺が結構長い。

もちろん毎度違う事象を取り上げることで新鮮さはあるし、「確かに!」と理系の2人が言うことに納得してしまうシーンも多々ある。

それに、単調さがちゃんと見せ場を作っているとも言える。一連の仮説や検証の後に、必ず主人公とヒロインが良い感じの「ムード」で距離が近づくというシーンが入る。

回り回ってもちゃんと中心となる2人に帰ってくる。2人が小難しい理論を捨て、感情に従う胸キュンシーンはこの作品の大きな見せ場と言っていい。

シリアス

©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

終盤に少し作品の雰囲気から逸れるようなシリアスシーンがある。

研究の発表を大勢の前で行うシーンで、他の大学院生が質問攻めに合い失敗するなど、この作品の本筋とは異なる種の「緊張感」が生まれている。

他の人のプレゼンを見て圧倒されたり、人の多さに圧倒されたり、自分の番が回ってくる前にあれこれと考えてしまう緊張感は多くの人の身に覚えがあるはずだ。

確かにこっちまで緊張が伝わってくるし、馴染みがあるからこそ共感できる部分はあるが、論文を発表するシーンをしっかりやる必要があったのかどうかは、作品の本筋から逸れるという意味で疑問だ。

アニメとしては面白い。だがこの作品はラブコメで、主人公とヒロインのバカップルが証明にかこつけてイチャイチャするアニメだ。

余計な尺に思えなくもない。確かにその発表会も新たな火種を生んでいるし、ストーリーの一部にはなっているが、恋愛の証明に躍起になっていた中盤までのストーリーとは明らかに開きがある。

さらに、研究発表会を通して2人の間に初めて喧嘩の火種が生まれる。主人公が発表会に臨む後輩の緊張を解くためにハグをするのだが、その現場をヒロインは目撃してしまう。

それに対してヒロインが主人公に詰めたときに、主人公の言い分とヒロインの言い分が食い違い、初めて喧嘩が勃発する。

もちろん恋愛アニメの要素の1つとして、喧嘩や仲たがいはあってしかるべきだとは思う。

だがこの作品の成分の多くが「ボケ」「イチャイチャ」で構成されていることを思うと、いくら「こういう作品だから」と飲み込もうとしても異物感がある。

しかもその喧嘩は程度の軽い言い合いなどではなく、相手に自分の正論を正面からぶつけるような感情を多分に含んだものになっている。

全く理知的でも理性的でもない喧嘩。そこには途中までの和やかな雰囲気はない。

だが裏返して考えてみると意外と納得がいく部分もある。

というのも、感情的になってしまうということは、それだけ数字や定義などでは説明がつかない「気持ち」で、相手のことを思っているということ、とも捉えることができる。それは「変化」だ。

それまでの2人はいちいち立ち止まって仮説やら検証やらを、様々な学問から引っ張り出してやっていたが、終盤にして初めて感情に基づく飾り気のない言葉でぶつかり合う。

後輩にハグをしていた主人公への「嫉妬」から来るヒロインの憎しみを含んだ怒り。

恋愛感情など介さない形式上のハグだと訴え、なぜヒロインが分かってくれないのかが分からず、語気を強める主人公の戸惑いを含んだ怒り。

「付き合ってもいないのだからそこまで言われる筋合いはない」という主人公の言葉で、ヒロインはついに主人公にビンタを食らわしてもいる。

人間はどんなに理論で取り繕うとしても感情だけはごまかせない。そういったメッセージが含まれているのだとしたら、むしろ計算されたシリアスだ。

「世の中正論を言っちゃいけない時もある」という後輩のセリフがあるが、正論で全てを潜り抜けてきた2人が変化するきっかけが、終盤できちんと描かれている。

それまではいわば平行線。イチャイチャはするけでドキドキもするけど、それはあくまで正論を正論たらしめるためのデータでしかなく、2人の関係が目に見える形で進展することはない。

しかし終盤にして正論では太刀打ちできない「感情」という問題に直面して初めて、2人は「自分の気持ち」というものと向き合う。

綺麗なストーリーだ。結局は感情はどうしようもないよね、という至極当然の結論に天才2人はたどり着く。

総評:とことん理詰め

©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

これほど恋愛を理詰めした作品は、そうは見つからないだろう。

恋愛における一般的な説や事象を、仮説を立てて検証によって定義づけしていく。

恋愛とは本来衝動的で、「好きという気持ちに理由はない」などと言われるように、理屈では説明ができない人間の感情だ。

しかしこのアニメでは説明できないと分かっていながら、あえてそれを証明しようとしている。

常識を覆す世界観と、それっぽく成り立ってしまう定理や定義の数々にただただ驚きだ。

ただこのアニメを観た誰もが、そんなまどろっこしいことをしていないで「はよ結婚しろ」と間違いなく思う。純粋な知的好奇心から恋愛を研究しているように見えてその実、ただイチャイチャしたいだけの口実にしか見えない。(笑)

真面目な顔をして羞恥を振りまく2人。それに翻弄される後輩たち。そして視聴者と同じ目線でツッコミを入れる後輩の女の子。

ひとしきりボケ倒した後にはしっかりと真面目な恋愛シーンがあり、主人公とヒロインの距離がグッと縮まる胸キュンポイントもある。

恋愛アニメとしても面白い。ギャグアニメとしても面白い。まさに「ラブコメディ」だ。

終盤に分かりやすくシリアスを入れ込んだのも、明らかに意図したものだろう。恐らくは平和なストーリーにピリッと辛いアクセント加える気持ちで挿入したに違いない。

それが良いか悪いかという議論があるが、この作品ではちゃんと流れを汲んだうえで構成されているので、個人的には良いと思っている。

ただ終盤に登場する漫画家は少し行動が行き過ぎており、作品にそぐわない不純物になっているようにも見えた。

「自分の漫画に活かすため」という極めて利己的な目的で、ヒロインが準備した主人公と仲直りするためのプレゼントを破壊している。

それは極めて個人的な利益のための行動で、到底理解が及ぶものではない。作品のほんわかした世界観とも合っていない。

その行動の裏に「主人公とヒロインの恋を燃え上がらせるため」という意図があってもだ。その破壊したプレゼントが偽物であってもだ。

「恋の障害が大きければ大きいほど燃え上がる」という論文結果を持ちこんで彼女は主張しており、確かに論文という根拠を基に行動するのはいかにもこの作品らしいが、それを途中から登場したどこの馬の骨かも分からない「漫画家」がしているのだから解せない。

ただ結果的に、そのお膳立てのおかげで主人公とヒロインは「ムード値」の最高の状態でキスをすることに成功している。それは中盤で主人公が宣言していた伏線の回収でもある。

一連の流れとして見ると間違いなく綺麗だ。困難を乗り越えた2人が朝陽をバックにキスをする。それは主人公がヒロインにした約束で、クライマックスに相応しいシーンだ。

漫画家が用意した舞台であることを考えると、シチュエーションに持っていくまでは完璧とは言えないものの、12話で綺麗に着地している素晴らしい作品だ。

雑感:はよ結婚しろ

©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

はよ結婚しろ。この一言でこのアニメは片付く。(笑)

1話の冒頭でヒロインが主人公に告白をした。なのになぜ「証明しろ」という方向に持っていくのか。一体どこの世界の理系の思考だろうか。(笑)

証明するための実験とかこつけてイチャイチャを見せつける。これほど非リアの心を逆なでするアニメもそうはない。(笑)

終始ニヤニヤ度は高めで、思わず気持ち悪い笑みを浮かべていたが、それと同時に天才が一周回ってバカという最高のギャグを楽しむことができた。

どうやらアニメ2期も決定しているそうだが納得するしかない。綺麗に着地しているとはいえ、もっと2人のイチャイチャと暴走っぷりと、後輩ちゃんの冷静なツッコミを聞きたいと思ってしまっている。

ラブコメとしてのレベルはかなり高い作品だ。興味がある人はぜひ観てみて欲しい。




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