2015年

【2015アニメ】「ローリング☆ガールズ」アニメレビュー





(11点)全12話

守られてばかりだった少女が一念発起、平和を守る旅に出る。行く手に待つのは魔法使いか怪獣か、はたまた巨大ロボットか。ご当地色をきわめつくした各地をめぐり、仲間とかさねる奮闘努力、汗と涙は報われるのか――。どこまでいっても普通の子という宿命を背負い、それでもがんばる少女四人組が織りなす新感覚・青春ロードムービー。地方自治をめぐる「東京大決戦」の終結から10年がたち、都道府県がすべて独立国家となった列島。ご当地色をテーマパークのように肥大化させた各地域では「モサ」と呼ばれる能力者が自警団を率いて統治、あるいはその一翼を担っていた。そんな中、あちこちで巻き起こるご当地トラブル!戦禍うずまく国から国を、なぜか平和請負人代行(世直し)を務めることになった4人の女の子たちがゆく。世のため、人助けのため、そして「月明かりの石」を探すため、よそ者の「モブ」とそしられつつも、4人はがんばり、ふんばって、今日もバイクで旅をする・・・!TVアニメ「ローリング☆ガールズ」公式サイト




バイクで旅をする4人の女の子の奮闘を描いたバトルファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (11点)
完走難易度 超難しい

監督は出合小都美さん。

WIT STUDIOのオリジナルアニメ。

©2015 The Rollinggirls Girls 製作委員会

関さんのナレーションから物語は始まる。

軽く世界観の説明が入り、「モサ」という能力者がいて、「モブ」というその名の通り無能力者がいて、さらには都道府県がそれぞれ独立国家になったこと、モブが自警団を作り、自分たちの土地を警備していること…

1話の冒頭で必要な情報がドバっと解禁され、その後のストーリーで「もう冒頭で説明したから割愛します」と、板書のペースが尋常じゃなく早い教師よろしく、付いていけない人をどんどんと振り落としていく作品だ。

Aパートからいきなりドンパチが始まる。わけの分からないお姉さんと、こちらもわけの分からない覆面ヒーロー。

両者が何やらドンパチして決着がつかぬまま、ロボットの投入でフワッと解散する。2人はBパートでラーメン早食い対決をするシーンがあり、もはや何をもって勝敗を決するのかもよく分からない。

さらに冒頭の説明である通り、都道府県がそれぞれ独立国家を築いているという世界設定にも関わらず、いきなり都道府県単位ではなく、所沢市と東村山市が争っている。都道府県ではない。

何のためのバトルなのか。何を掛けているのか。ただバトルをしたいからバトルをしているだけ。1話から熱量も何もない。

さらには、1話の終盤で主人公たちの自警団が罠に嵌って、ジェットコースターのレールが一部破壊された状態で発進してしまうというピンチで終わっている。

レールが破壊されているので、当然そのまま進めば真っ逆さま。ギャグでは済まない。本当の殺意がなければそんな行動はとれない。市同士のたいしたことない争いなのに「殺人未遂」まで犯している。

理解が追い付かない。補足もないままにストーリーがどんどん進み、いきなり渾身のバトルが始まり、いきなり洒落にならない殺人行為を行う。

猪突猛進

©2015 The Rollinggirls Girls 製作委員会

丁寧すぎて全く進まないのも問題だが、何もかもすっ飛ばしていくのはもっと問題だ。

結果だけをポンと見せるような構成になっている。バトルシーンにしても旅の始まりにしてもそうだ。

起こっている現象で全てを察してくれ、またキャラクターの心情もなんとなく汲み取ってくれ、そう言わんばかりに説明もなく過程もなく、どんどんとストーリーが先に進んでいく。

根本は分かる。守られるだけの「モブ」の少女が一念発起して仲間と共に旅に出る。今度は自分が守れるように強くなろうとする。

それは主人公が持つべき信念だ。だがシチュエーションが意味不明なせいか、その決意もやわいものになっている。

あわや人殺しにもなる行為を敵側が平気で行い、それをけしかけた首領のお姉さんと抹茶グリーンの正体である主人公の親友の「過去の因縁みたいなもの」もフワッとしていて、とにかくバトルに大きな意味合いが込められていない。

だから、当然そこから生まれる親友との友情にもさして重みはない。守られるだけの存在じゃダメだと主人公が思うに至るシチュエーションがあまりに弱い。

連鎖的に、そこから始まる旅も、目的も意味合いもない味気ないものになる予感しかない。そもそも2話の終盤で、旅をする面々が突然集合したのには思わず笑ってしまった。(笑)

1人はまだ分かるが、もう2人は何の予兆もなく、いきなり登場していきなり仲間に加わり、さあ旅に出かけようとなっているが、そんな旅に興味など微塵も湧かない。

ルフィが海上でたまたま「よう」と挨拶したゾロやサンジと旅をするアニメなど誰が観ようか。(笑) 仲間になるまでのドラマがあるから、仲間になったときの喜びがあるのではないだろうか。

その観点からいえば、親友は間違いなく旅に同行するべきキャラクターだ。あれだけ散々バトっておいて、主人公とも親友であるのに、彼女を置いてけぼりにして旅は薄情だし、何のための尺だったのかよく分からない。

そんなに強くなりたいのなら、誰かに頼らずに、まずは自分1人で旅をしてみればいいだろう。その道中で有意義な出会いがあれば仲間になればいいし、そういったストーリーが無く最初から仲間ありきは違和感しかない。

そこが綺麗さっぱり端折られている。出来合いの4人衆に一体何が救えるというのか。序盤にして、方向性が良く分からない作品になっている。

2話完結

©2015 The Rollinggirls Girls 製作委員会

異なる土地を転々としてトラブルを解決していく。同じような旅アニメで「キノの旅」という作品があるが、あちらが1話ごとに異なる国へ行くように、この作品では2話ごとに完結する方式になっている。

その構成自体は観やすい。だが残念ながら中身がない。

全てのエピソードに言えることだが、ぬるっと事件が始まり、ぬるっと解決していく。「どこかで見せ場を作って一気に引き込む」みたいな作業をしていないので、感情がx軸のようにスーッと流れている。

中盤の三重・愛知抗争でも、親子の感動の再会から始まり、突然雰囲気をぶち壊すように、親子と4人衆のところに、天守閣のシャチホコの残骸が降ってきて、それがいわゆるトラブルの始まりになっている。

あまりに突然だ。何の前触れもなく、しかも場の空気を一切無視して突拍子もない事件が起きている。天守閣のシャチホコが空から降ってくる事件など、どうやったら起こるのかも謎だ。(笑)

土台となる起承転結の「起」がそんなんだから、その上に立つ家の柱も梁もグラグラ状態だ。

「起」で観ている側を引き込まなければいけないのに、そのインパクトが全くない。親子の再会でシャチホコが降ってくる。一見インパクトはあるように思えるが、それがただの空気ぶち壊し案件にしかなっていない。

そこから当然のように、関係ない親子のいざこざに主人公たちは巻き込まれていくわけだが、その親子との関係を持つにいたるシーンでも、娘との縁があって…と若干こじつけ気味だし、主人公たちが何をできるわけでもないのに、建築のトラブルに関して素人が首を突っ込んでいる。

思い出してもみて欲しい。主人公の旅の目的は「親友を守れるだけの強さを手に入れること」ではなかったか。中盤まではただの便利屋程度にしかなっていない。

強さを手に入れるという方向性から逸脱している。目的を見失い、ただの便利屋となり下がり、ストーリーも主人公たちに試練を与えるような、葛藤と代償を強いるようなスリリングなものになっていない。

基礎となる土台から怪しい建物よろしく「このアニメ大丈夫かな…」という序盤の心配通り、耐震構造も強風対策も何もない「やわな家」がやっつけ作業で作られている。

総評:ズッコケ

©2015 The Rollinggirls Girls 製作委員会

スタートのずっこけから体勢を立て直せず、フラフラのまま最後まで走り切っている作品だ。

冒頭の関さんのナレーションで「全てを察しろ」と言わんばかりに、どんどんと観ている人を置いていくような展開があり、まるで仲間と旅をすることが前提と言わんばかりに、突然4人が集合して旅が始まる。

土台となる序盤がいい加減のまま柱を組んでいるから、当然脆弱な家しか完成しない。序盤の心配がそのまま中盤から最終回まで続いている。

気になる点を挙げる前に序盤で全てが決着してしまっている作品だ。大元となる主人公の目的。それと合致する行動やトラブル、難局を乗り越えるためのパワー。熱を生み出すからくりがこの作品にはほぼない。

目的はあるが行動が合致していない。主人公の目的は「守られるだけではなく、今度は親友のことを自分が守れるようになりたい」だから強くなる。

仲間の1人は「月明かりの石」を集めてモサの能力を使えるようになることが目的になっている。

そんなところが主人公たちの旅の目的だとは思うのだが、ならまずは一人で修業するなり、誰かに弟子入りするなり、それぞれ他に方法はあるのではないだろうか。

いきなり「目的も異なる仲間を加えて旅に出ること」が、果たして己の目的を達成するために必要なのだろうか。怪しいところだ。

各地を転々としてお助けマンとして活動する。それは強くなるためというより便利屋、もしくは慈善活動程度にしかなっていない。

さらに不可解なのは、主人公たちが「抹茶グリーン(正体は主人公の親友)の代理人」として旅をして、各地でヒーロー活動をしているという点だ。誰かの代わりを名乗るなど、物語を動かしていく存在としてはあまりに弱気だ。

ならなおさら「親友を連れて来い」となる。序盤の戦いで怪我をするのが同行できない原因だが、序盤にあれだけ尺を食っておいて「怪我をしました。ここで出番は終わりです。主人公たちが代理人になります。」という展開はあまりに不自然だ。

助けを求めている人々は、あくまで抹茶グリーンに助けを求めているわけであって、モブである主人公たちはお呼びではない。その評判を跳ね返すだけの頑張りは見せるが、それは「逆境を跳ね返す」と言えるほどの力強さがあるわけでもない。

各地でローリングガールズの名を轟かせるくらいの八面六臂の活躍があれば話は別だが、そもそもの活躍が地味だし、そういう作風でもない。

何かを代償として差し出すわけでも、強くなりたいから諦めないとか、強くなりたいから努力する、といった主人公らしい姿勢というのは微塵も垣間見えない。

熱量がないから当然作品に入り込むことは出来ない。終始第三者の目線で冷静に作品を分析することができる。良い作品というのは考える暇も与えないほど、感情の波が押し寄せてくるものだ。

ウィットスタジオらしい作画の躍動感は随所にある。アクションでは手書きの線をあえて残すような珍しい演出をしているシーンがあり、かなりこだわって作られているのが分かる。

だが背景がところどころ手抜きだ。素人が鉛筆と絵の具を使って書いたような止め絵が何枚も挿し込まれており、これもまた「味」と言えるかもしれないが、繊細さに欠けるような絵が何枚もある。

ところどころ抜きつつアクションでは力を入れた。そんなところだろうが、観ている側の感触はあまり良くない。

雑感:取っ散らかり

©2015 The Rollinggirls Girls 製作委員会

「なんか盛大に凄いことをしよう」という感じでフワッと広げて収集が付かなくなってしまった印象だ。

最終的には仲間の1人が宇宙人であることが明らかになり、広島での戦いは巨大ロボットと宇宙船を巻き込んだド派手な戦争に発展している。(笑)

主人公が強くなるために旅をする物語がまさかここまで大きくなるとは…序盤のバトルの時点でそうだったが、あまりに脈絡のない展開に開いた口が塞がらないような作品だった。

ところどころの作画ではウィットの意地を感じたが、絵の具をぶちまけたような風情のカケラもないシーンが多々あり、そもそも作画が良くてもストーリーがそれに付いて来なければさして意味がない。

盛大にド派手にぶちかます。そんな勢いだけは感じる作品だが、それは勇猛果敢というよりは猪突猛進という感じで、考えなしに大将の首めがけて突っ込んでいくような荒々しさだけが残ってしまっている。

最近はどうもオリジナルアニメに好かれているようだが、「オリジナルアニメは指針がなく自由に振る舞いすぎるとこうなる」という格好の失敗例と言えるかもしれない。

興味がある人は観て欲しい。




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