2021年

【2021アニメ映画】「シン・エヴァンゲリオン劇場版」アニメレビュー





(90点)

エヴァがついに完結する。
2007年から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとして再起動し、『:序』『:破』『:Q』の3作を公開してきた。その最新作、第4部『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇場公開が決定。
人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? エヴァのテーマは、いつの時代にも通じる普遍的な核を持っている。
シンジ、レイ、アスカ、マリ、個性にあふれたキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する。
人と世界の再生を視野に入れた壮大な世界観と細部まで作り込まれた緻密な設定、デジタル技術を駆使した最新映像が次々と登場し、美しいデザインと色彩、情感あふれる表現が心に刺さる。
スピーディーで濃密、一度観たら病みつきになるその語り口は、興行収入80億円超えの大作『シン・ゴジラ』も記憶に新しい庵野秀明総監督による独特の境地。
その庵野総監督がアニメーションのフィールドで創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境によって2012年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』以後、封印されてきた物語の続きを語る。

1995年にTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメファンのみならず、アーティストや学者までを巻き込んで社会現象を起こした初出から、実に25年――その間、常にエポックメイキングであり続けたエヴァの、新たな姿を見届けよう。エヴァンゲリオン公式サイト

「新世紀エヴァンゲリオン」の集大成

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (90点)
完走難易度

総監督は庵野秀明さん。

制作はスタジオカラー。

総評:感無量

©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA製作委員会 ©カラー

感無量。この一言に尽きる。

エヴァンゲリオンという作品は常に筆舌に尽くしがたい。アンタッチャブルな存在だ。

意味不明だけど、心にどうしようもなく訴えかけてくるストーリー。等身大のキャラクター。もちろんアニメーションならではの「萌え」も完備する。隙の無いエンターテインメント。

自分にとってのエヴァは『芸術』。

ピカソの絵が常人には理解できないように、エヴァも「理解」を簡単には許してくれない。

最初にエヴァに出会ったのは高校生の頃。今から10年ほど前。その時ですでに、「新世紀エヴァンゲリオン」が放送されてから15年程が経っている。

高校生の頃はちんぷんかんぷん。いろんな経験をして、大人になって、言葉を処理する力も格段に向上した。それでもちんぷんかんぷん。それがエヴァという作品だ。

心では伝わる。感覚で分かる。難しい横文字も、唐突な展開にも、キャラクターの言葉1つ1つにも、必ず意味がある。

しかし、それがストンと下まで落ちていかない。次から次へと言葉と情報と感情の雨が降ってきて、あっという間に許容量をオーバーして溢れてしまう。

だからこそ魅了される。完璧に理解できないからこそ、理解しようと耳を澄ませ、精神を研ぎ澄ませる。

そうしている合間に、あっという間に作品の世界に入り込んでいる。そんな作品はエヴァしかない。

ここのレビューではネタバレは控える。詳しくはwikiを参照して欲しい。ご丁寧に1から10までのあらすじが載っている。(笑)

作品の出来について、本来勝手にあれこれ書くべきなのだろうが、前述の通り、あれが良かったこれが悪かったと、一口に言える作品ではないので如何ともしがたい。

良いか悪いかで言ったら間違いなく良い。しかし、そもそもエヴァに「素晴らしさを求めていたか?」と自分に問えば、不思議とそんなことはない。

完璧。素晴らしい。そんなものをこの映画には端から求めていない。自分が求めていたのは納得できる決着。

それがこの集大成の映画でしっかり表現されていた。「Q」でわけもわからずシンジは除け者にされ、居場所を失い、唯一味方をしてくれたカヲルも死んでしまう。

悲しいままに終わった「Q」からどのように決着に向かうのか。その決着が幸せなものかどうか。焦点はそこしかない。

もちろんバッドエンドで終わるわけはない。だから映画を観る前から高評価は決まっていたようなものかもしれない。(笑)

シンジはカヲルとのことがあったから当然凹んでいる。目の前で友達を失ったのだから当然だ。

それでも前を向く。大人になる。泣いて、逃げて、勇気を出して、また失敗して、泣いて、凹んで、ふさぎ込んで。

その繰り返しだった少年はついに「大人」になった。自分の存在を肯定し、自分のやるべきことを責任を持って貫き通す。失敗を恐れずに挑戦する。立派な大人だ。

特大のスケールでドッカンバトルをしていたかと思いきや、キャラクターに寄り添うような優しいメロディーを奏でてくる。ロックとバラードの両立。柔と剛の使い分けも相変わらず見事だ。

ファンタジーでありながら、焦点となるのは人間の変化や成長。エヴァをエヴァたらしめるのは、まさにこの部分ではないだろうか。

ロンギヌスの槍とか何とかの槍とか、何とかインパクトとか。それらはあくまで味付けに過ぎない。主な食材となっているのはキャラクター、引いては現実の人間と変わらない感情や思考、関係性がそこにはある。

だから心に響く。どうしようもなく胸を打たれる。キャラクターに入れ込む。

一緒に悩んで、立ち止まって、葛藤して、応援して、勇気を出して、勝ち取って、笑顔になって、涙を流して、成長を噛みしめることができる。

シンジの等身大の姿も、アスカの頑張り屋で世話焼きなところも、レイの寡黙だけど人間味があるところも、マリの友達想いなところも、カヲルの「今」を認める優しさも。全てが愛おしい。

これが全てだ。これ以上私ごときの薄っぺらい人間が何かを言ったところで、それは蛇足にしかならない。エヴァに細かい論評など不要だ。(点数はつけるが)

観たいものが観れて、感情が大きく揺さぶられて、エヴァの最後をこの目で、劇場のスクリーンで堪能し尽くした。時間にして2時間30分。夢のような時間だった。それ以上何も必要ない。

雑感:シンプル

©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA製作委員会 ©カラー

大人になったからこそ分かることもある。高校生のころは全てを理解しようとしていた。旧劇を観て漫画も読んで新劇も観た。

でも結局ぐちゃぐちゃのままだった。何時になっても、「一体こいつらは何を言っているんだ?」と。何が「おめでとう」だと。(笑)

結局エヴァを理解することは出来なかった。

でも作品が本来伝えたいことは至ってシンプルだ。家族愛。友情。恋愛。平和。失敗。挫折。葛藤。挑戦。

イントロにも書いてあるが「人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? 」大切なテーマは常に簡潔だ。

結局はキャラクターも人間だ。人間の思考に沿って物語は進む。だからそこだけに注目すれば、自ずといろんなことに合点がいくようになる。キャラクターが一気に近く感じるようになる。

ハチャメチャな世界観だが動かしているのは人間。そう割り切ると、見える景色は格段に違う。エヴァはまさにその典型のような作品だ。

最後に「エヴァンゲリオン」というレジェンド作品が終劇を迎えたことを祝福したい。いろいろとゴタゴタがあったが、庵野監督をはじめ、スタッフの方々の文字通り血反吐を吐くような思いの結晶で生まれた作品だと思うと、有難いことこの上ないし、ちゃんと完結させてくれたことに感謝しかない。

私は「熱狂的な」エヴァ信者ではない。アニメを好きになるきっかけでもなければ、超絶面白く、記憶にこびりついて離れないような強烈な作品というわけでもない。

それでもやっぱりエヴァには「特別」な感情を抱かずにはいられない。歴史がそうさせるのか。認知度がそうさせるのか。世界観やストーリーの異様さがそうさせるのか。

いずれにしろ、エヴァは完結しても永久に不滅だ。何歳になっても忘れることはない。

シンジという弱虫だけどものすごく近く感じる主人公がいたこと、アスカという最高にキュートなツンデレヒロインがいたこと、ミサトさんという頼れるお姉さんがいたこと、使徒と血みどろの戦いを繰り広げたこと。全て。

記憶にも心にも残る作品だった。アニメファンならぜひとも劇場で観るべき作品だ。




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