2016年

【2016アニメ】「ステラのまほう」アニメレビュー





(43点)全12話

高校の入学式の日、同人ゲームを作る部活「SNS部」と出会った本田珠輝。やりたいことを見つけたと思って入部したものの、絵もプログラムもシナリオも音楽も、一から自分たちで作るのって大変!先輩や幼なじみと一緒に、完成を目指して頑張ります!TVアニメ「ステラのまほう」公式サイト




ゲーム作りに励む高校生の青春を描いたアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (43点)
完走難易度 難しい

原作はくろば・U先生。

監督は川面真也さん。

制作はSILVER LINK。

ゲーム製作

©くろば・U・芳文社/ステラのまほう製作委員会

ゲーム製作をする部活に新入生の主人公が入り、ワイワイと日常を過ごす物語。

自分のやりたいことが見つからない主人公。ふとしたことがきっかけでゲーム製作部との縁が出来て、キャラデザとして頑張っていく。

自分の熱中できることを初めて見つけた主人公。入学という門出を描いた作品らしい青春の匂いを感じる作品だ。

しかし腑に落ちない点も多い。ゲーム製作部は「わけあって」ゲーム製作部というストレートな名前ではなく、「SNS部」という略称を用いた名称になっており、特に深い意味はないのにややこしいことをしているという印象しかない。

SOS団を起源とする「よくわからない部活名」という風習に、意味もなく倣っているようにしか見えない。

他にも、主人公のアドベンチャーゲームに相応しくないダンディな絵を見た部員の女の子が

「恥ずかしがることないと思うよ。普通にうまいじゃん。それに楽しそう。部活PRの日に落書きしてたときの凄い良い顔を思い出してさ。きっとあの顔で書いてもらって、私たちのキャラも幸せだろうなと。なのにこんな渋いナリで(笑)」

それに対して主人公の友達が「ごまかされませんよ。なんかカッコつけられても。」と言い、それに対して部員の1人が「すまん。こういう人だからさ。素なんだ。これ。」と言って場面が転換する。

会話が成り立っていない。部員の女の子はカッコつけたことなど一言も言っていない。「主人公の絵はあんまり上手くないけど、楽しそうに書けばそれでいいじゃん?」的なニュアンスが含まれているように受け取ることができる。

それなのにカッコつけているとは?さらにそれに対して謝る部員の女の子とは?「素」だと弁明するように言っているが、むしろ素で優しいという褒め言葉なのでは?

最初のセリフも支離滅裂だ。私たちのキャラも幸せだろうな。感情のない絵に対して唐突に「幸せだろうな」はサイコパスの気質さえ感じる。(笑)

似顔絵に対して「ナリ」と表現しているのも不自然だ。会話の中身があるようで、実際なくはないけど、一度聞いただけじゃ理解できない哲学のような先進的なやり取りになってしまっている。(笑)

せめて日本語はしっかりして欲しい。会話が成立しないと内容を飲み込むとか考察するとかレビューするとか以前の問題になる。

ほんわか

©くろば・U・芳文社/ステラのまほう製作委員会

ほんわかした雰囲気で仲良くゲーム作りをする。いかにもきらら系の作品という感じの作品だ。

納期に追われて必死こいて死に物狂いで完成させるような地獄絵図はなく、方向性の違いでぶつかることもなく、大したトラブルもなく完成していく。

中盤あたりにはコミケに出るためのゲーム作りのはずが、抽選に落ちてしまい、急遽6日後の同人ゲーム即売会に出ることになるというトラブルはあるも、あくまでコミカルに描かれているので胃は痛くならない。

ゲーム作りはあくまで舞台装置になっており、キャラクターの可愛さだったり、何の変哲もない日常的なやり取りで生まれるささやかな笑い、というところが主眼に置かれている。

主人公の内気な可愛さ。主人公の親友の腐り具合。SNS部の仲間の優しさ。それぞれが持つ個性。

それらがぶつかり、程よい笑いと癒しをもたらしている。全く気を張ることなく自然体で楽しめる作品になっている。

分かりやすくシリアスを排除した作品なので、いわゆる「普通のきらら系」が好きな人なら面白いと思うかもしれない。

ファザコン

©くろば・U・芳文社/ステラのまほう製作委員会

主人公は謎にファザコン気質を持っている。寂しい気持ちになったときに度々「パパ…」と普段は家にいないパパのことを思い出す。

それ自体は「パパが大好き」というキャラ付けの1つでしかないし、特に気にはしないのだが、その肝心のパパが一体何者なのか。一度たりとも説明されるシーンがない。

顔も見せなければ性格も分からない。なぜそこまでパパのことが好きなのかも分からない。

それなのにパパ…パパ…と言い続けるのは若干怖い。「なんでそこまでパパのことが好きなんですか?」という至極当然の疑問が最後まで拭えることがない。

結構な頻度でパパは名前だけ登場する。一度も登場しない。近くにもいない。娘との関わりも分からない。名前だけ毎話登場するのはどう考えてもおかしい。

主人公が好きになる理由だけでもせめて分かれば。過去に主人公が絵が好きになるきっかけをくれたとか、些細な思い出でもあればパパが好きなのも納得するが、このアニメではただのファザコンでしかない。

その場にいるキャラクターではなく、いないキャラクターのことを常に思っている。

しかもこれはきらら作品だ。女の子同士のキャッキャウフフの世界観で、主人公だけ別の方向を向いている感じの違和感がある。

パパに憧れ、パパが持っていた漫画のキャラのような「ダンディ」な絵を描きたいと主人公。

パパに対する愛情というより、パパが持っていた「ダンディな漫画」の方が出発点のような気もするが、なぜかことあるごとにパパを思い出す主人公。

いわゆるとってつけたような設定にしかなっていない。

総評:平和

©くろば・U・芳文社/ステラのまほう製作委員会

きらら系作品らしい平和で温かい作品だ。

ゲーム製作に青春をかけるわけでもなく、納期に追われて自分を追い込むこともなく、ゲーム製作を「荒野」と表現することもなく、ライバルや汚い大人など道を阻む存在もいない。

ただそこには「SNS部」という名前とは仮の、ゲームを作る部活があり、イベントに向けてみんなでワイワイゲームを作り、ときに喧嘩と言えないような些細な衝突があったり、葛藤と言えないような迷路に迷いこむこともある。

それでも大きなトラブルや壁にぶち当たることなく、順調にゲームは完成する。最後の夏コミパートでは、むしろゲーム製作の過程はすっ飛ばされている。

ゲーム製作はあくまで舞台装置にすぎず、中身は個性的な女の子同士の百合百合しいやり取りを微笑ましく見守る作品になっている。

実に基本に忠実なきららアニメだ。可愛いは正義。間違いない。

だが主観で感想を言わせてもらうと、別に可愛いと思う瞬間はなかったし、面白いと思う瞬間もなかった。

キャラデザを単体で見れば、丸みを帯びた独特のフォルムで可愛く描かれてはいるが、ビジュアルだけで、中身に可愛いと思える要素はない。

キャラ同士のやり取りや演出に関しても、日常的なやり取りを切り取っているにすぎず、ツッコミがいたりオチをつけるキャラがいるわけでもないから、感情が水平線のように真っ平らだ。

気持ちの持ちようでは刺さるときもあるかもしれない。もし嫌なことがあって究極に落ち込んでいる時だったら、この当たり前の風景を描いた世界観が染みる可能性もある。

女の子同士が付かず離れずで、過干渉することも悩むことも葛藤することもなく、それぞれが担当する仕事をこなして滞りなくゲームが完成し、後は普通の青春模様を描く。

基本に忠実だ。この作品はこれでいいのだろう。シリアスなんてやろうものなら、途端に世界観が崩れてしまう。

ただゲームを真剣に作らないなら作らないで、日常アニメという体裁を保てるくらいの刺激が欲しい作品ではあった。

雑感:普通

©くろば・U・芳文社/ステラのまほう製作委員会

シリアスはいらない。女の子の可愛さだけを抽出する。

ゲーム製作部に入ります。新しいこと始めます。ワクワク。でもゲームは作りません。あくまで日常アニメです。

ゲーム作りというより、それぞれが任された仕事をこなすだけの作業感が強い。「みんなでゴールを目指す!」という一体感はこの作品にはない。

主人公だったら、常に自分の画風について悩んでいる。ダンディな絵のタッチはアドベンチャーゲームには向かない。主人公は悩みを聞いてもらったり励まされてばっかりで、誰かの悩みを聞いてあげるとか、他の仕事を協力して…とかは全くない。

それぞれのベクトルが自分自身に向いている。だから相互関係の中で生まれる絆とか友情とかがない。全て見かけだけだ。

日常シーンも至って普通。状況や気持ちにまんま沿ったキャラクターの言葉が積み重なっていくだけで、テンポやリズムの変化もなければ、トンチが利いた言い回しや、いわゆるギャグ要素もない。

日常アニメのために作られた日常アニメ。この作品はそういう作品だ。

アニメに刺激求めていない人にはオススメなのでぜひ観て欲しい。




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