アニメ

【2020アニメ】「社長、バトルの時間です!」アニメレビュー

(14点)全12話

世界の中心、ゲートピア…。かつて世界は果てしない荒廃が続くばかりの魔境だった。
そこへ天から女神が舞い降り、天空に巨大な「門」が出現。人々は「門」の中に
世界を維持する奇跡のエネルギー、キラクリが存在することに気づく。
月日は流れ、ゲートピアは都市として発展。
「門」のダンジョンの中で専門的にキラクリを採取するトレジャーハンターが登場。
世界を維持する奇跡のエネルギーは、キラクリハンターの手にゆだねられている。
主人公・ミナトはある日突然、幼馴染のユトリアに呼び出される。
淡い期待を持って向かったその場所で、ミナトはユトリアに告げられるーー
「わたし、あなたのこと…社長に向いていると思ってたの!」
こうして先代の跡を継ぎ、ミナトの冒険社長ライフが始まったのだった。TVアニメ「社長、バトルの時間です!」公式サイト

主人公の冒険社長ライフを描いたファンタジー×お仕事アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (14点)
完走難易度 超難しい

原作はKADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS。

監督は池下博紀さん。

制作はC2C。

ファンタジー×お仕事

©KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

この作品はよくあるファンタジー要素に「お仕事要素」を組み合わせた作品になっている。

1話の冒頭で新しい街にやって来た主人公が、幼馴染と久しぶりに再会し、彼女から、彼女が務める会社の「社長」になってくれるように頼まれる、というシーンから始まる。

主人公はなし崩し的に社長に就任して、ダンジョン的なところを冒険してお金を稼いで経営を安定させつつ、「カラクリ」と呼ばれるいわば「お宝」を集めるというストーリーになっている。

お仕事を扱った作品は数あれど、冒険ファンタジーと仕事を組み合わせた作品はほぼなく、あらすじ自体は惹かれるものがある。

しかし結論から言うと、中身は残念そのものだ。

意外な組み合わせでアイディア自体は面白いが、12話通してこのアニメを観た誰しもが「仕事要素邪魔じゃね?」と思うに違いない。

結局は冒険アニメの「ギルド」がこのアニメでは「会社」という呼び名になっているだけで、ダンジョンに潜ってモンスターを倒し、お金やお宝をゲットする。冒険アニメとやっていることは何も変わらず、そこに独自性はない。

ストーリーの中で「契約書」「相続権」「書類整理」「コンペ」など、現実の会社っぽいワードやエピソードも出てくるには出てくるが、別にそれらは契約書である必要はないし、相続権である必要はない。

つまるところ量産型の異世界ファンタジーの世界観に、『思いつきで「お仕事要素」を入れ込んでみた』という風にしか見えなくなってしまっている。

テーマが混在して訳が訳が分からなくなる典型的な迷走アニメという感じだ。きっと制作陣も何がしたいアニメだか理解できないまま、言われるがままに作っていたに違いない。

ツッコミどころが満載

©KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

「それツッコミ待ち?」と毎話思ってしまうほど、ツッコみを入れたくなってしまう矛盾シーンがとにかく多い。

例えば、ダンジョンのモンスターは会社あるあるにちなんだ特徴を持っているのだが、とってつけた感が凄い。

それぞれの首に役職の付いた三つ首魔獣が、中間管理職を挟んで仲間割れを始めたり、ブラック企業のごとく上司にサービス残業で酷使されるモンスターが出てきたり。

「あれ?これは笑うところか?」と笑うに笑えないような面白シーンの連続で、キャラたちは至って真面目なもんだから余計に面白い。

社長が相手の弱点を見抜いて的確な指示を出して、その通りにバトルが片付くという流れも何の面白みもない。そもそも社長が後方にいて指示を出すだけなんて、全くもってつまらない。

頼りになって人望のある社長ほど先頭に立って軍を指揮するはず。主人公だからなおさらそうあって欲しい。

しかも敵の弱点を攻略する展開もワンパターンなもんだから、特に驚きもないままあっけなく倒して報酬を得てしまう。バトルも絶望的に盛り上がらない。

加えて「お金がなくて経営が回っていない」という設定にも関わらず、それなりの建物を構え、それなりの数と質を伴った従業員がいるのは違和感しかない。

全体的に真面目なバトルアニメとして描かれていたが、いっそギャグアニメとしてやってくれた方が分かりやすくて気持ちが良かった。

お金がない会社という設定なら、机は段ボールのみかん箱で、服も貧相。おまけに会社も藁で編んだ縄文時代の竪穴式住居で…くらいの方が断然面白いだろう。

そんな貧乏会社を敏腕主人公が社長になることで劇的に変えていく、なんていうストーリーはあらすじの時点で既に面白い。

取り合えず誰も思いつかないような組み合わせでアニメ作ってみました、というアニメほど寒いものはない。残念ながらこの「シャチバト」はそういうアニメになってしまっていた。

真剣に作るなら真剣に、ふざけるなら思いっきりふざけてくれないと作品としての価値は生まれない、と個人的には思う。

何がしたいの?

©KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

全体的に何がしたいのか見えない作品だった。

冒頭で昔よく遊んだ幼馴染の女の子に呼び出される主人公。大きな木の下で告白…かと思いきや、社長になってくれないかというお願いを受ける。

この時点で少なからず僕達萌え豚は「ラブコメ」的なストーリーを期待する。可愛いヒロイン。幼馴染。木の下で2人きりというシチュエーションであれば当然だ。

しかし12話通して恋愛は「匂わせ」程度で終わっている。主人公を除いてほとんど女の子しかいないハーレムなのに、だ。

そこは10000歩譲って良いとしても、じゃあ柱となるバトルが面白いか、と聞かれると全くそんなことは無い。

カット数は控えめだし、そもそも絵のタッチ的に迫力が出せるようなタイプの絵ではない。

作画のみならずバトルの中身も高度な駆け引きや騙し合い、裏切りや予想外な展開も何もない。社長のひらめきでモンスターを倒す。単純な流れ作業とそん色ない。

仲間だなんだとお涙頂戴のストーリーに持っていこうとするシーンは序盤にあったが、序盤でやるようなことではないし、「仲間のために」という言葉のあまりの薄っぺらさに苦笑してしまった。

恋愛もバトルも仕事も仲間との絆も全部中途半端。

本当に何がしたいのか分からないアニメだった。世界観の時点でグラグラなのでドミノ倒しで全てダメになるのは序盤の1、2話で目に見えていたが、案の定12話までしっかりつまらなかった。

総評:社長、バトルしなさい

©KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

タイトルを考え直すのが先ではないだろうか。そもそも社長がバトルで何の役にも立たない。

このアニメでは主人公の社長がバトルでは参謀的な立ち位置になるのだが、それでバトルに参加してると言えるだろうか。

最前線で大車輪の活躍をしてこそ主人公だし、命を張ってこそ主人公だ。

それなのに大した指示も出せないくせに後方の安全な場所から部下を働かせる。まさにブラック企業の縮図ではないだろうか。(笑)

それを暗に示していたのなら一杯食わされたが、僕達があっと驚くような切れ者でもない限り参謀が主人公では示しがつかない。

ましてや「社長」ともなると、部下を束ねる人格者でそれなりの戦闘力もあってしかるべきだが、何の強みもない。社員は本当にポッと出の社長に付いていきたいと本気で思っているのか。何度も疑問に思ってしまった。

最終話に、実は社長は見た目のランク以上に優秀だということが判明するのだが、戦闘力が低いことに変わりはない。主人公が後方から指示を出すバトルアニメなど絵面が地味すぎやしないだろうか。

終盤で謎だった主人公の正体が明らかになり、実はニート上がりなどではなく、優秀な企業の社員だったこと、見た目のランクが仮のものだったこと、そして暴力事件を起こして前の会社をクビになったこと。

さらにそこに畳みかけるように、凶暴な敵に主人公が吹き飛ばされたりとシリアスな展開のの連続になっている。

11話12話はそこそこ面白かった。それまで謎に包まれていた主人公の過去。「能ある鷹は爪を隠す」はお馴染みの設定だが、やはり主人公というのはそのような秘密があってしかるべき。

それらの秘密が明らかになった最終話は、新たな敵との戦いもあり一番の盛り上がりだった。

しかしやはりというべきか、主人公は指示を出すばかりで、最終的には「交渉」という何とも地味な絵で解決するという締まらない終わり方になってしまっていた。

最後まで目が離せないような展開はなかったし、思わず感情移入してしまうようなキャラもいなければ、成長もない。

途中で尺稼ぎのような日常パートもあり、それをやる暇があるならもう少し早く終盤のシリアスパートを持ってきて欲しかったものだ。

作画はC2Cの見慣れた作画なのでそこそこ安定していたが、そもそもバトル向きの作画ではないし、最後までバトルの迫力は微塵もなかった。

バトルアニメなのに止め絵を多用しており、バトルアニメとして作っているとは到底思えない出来だ。

全てにおいて中途半端でつまらない。今後思い出すことのないような残念アニメになってしまった。

雑感:恋愛で押す方向性は良かった

©KADOKAWA・でらゲー・PREAPP PARTNERS/「シャチバト!」製作委員会

このアニメを観た人の殆どは「つまらなかった」という評価で一致すると思うが、終盤のシリアス展開、そして主人公と正ヒロインのユトリアがイイ感じになる恋愛パートは正直良かった。

ユトリアのビジュアルもさることながら、ユトリアを演じた市ノ瀬さんのヒロインボイスがたまらなく可愛い。むしろバトルアニメなど止めて、主人公とユトリアのラブコメをやって欲しかったくらいだ。(笑)

もし仮に2期があったら恋愛パートも増えるかもしれないが、恐らく円盤の絶望的な売り上げと知名度の低さから考えて99%不可能だろう。

だから余計に思ってしまう。なぜこの作品をアニメ化しようと思ったのか。

調べて判明したのだが、どうやらこの作品はアプリゲームが原作となっていて、つい最近の10月31日にひっそりとサービスを終了していたらしいのだ。

なるほど、ゲームが原作ならストーリーが迷走してしまう理由も、まあ分かる。(笑)ゲーム原作のアニメは9割が地雷だ。(笑)

だとしても、もう少しやりようはあっただろうに、とも思う。テーマからして何がしたい作品か最後まで分からなかったし、ストーリーもめちゃくちゃでキャラの個性も死んでいる。

KADOKAWAが製作に関わっているということはそこそこお金もかかっているとは思うが、それでこの手抜きクオリティでは、作品の市場を拡大させるどころか悪評ばかりが目立ってしまうことになる。

案の定サービスは1年足らずで終了しており、まるでアニメのせいでゲームが終了してしまったようなタイミングで、ゲームを最後まで遊んだプレーヤーが不憫でならない。

いい加減何でもかんでも思いつきでアニメ化するのは止めた方が良い。これは想像でしかないが、何人かいるプロデューサーの殆どがアニメを知らないか、アニメをドル箱とでも思ってナメているのか、それとも無知なスポンサーの言いなりで制作が進行していたのか…

いずれにしろアニメ界の闇をみた気分で、日本のアニメ市場の縮小が叫ばれている昨今の現状を映し出すような作品だった。少し大げさかもしれないが。(笑)

この手の作画のタッチが好きな人はいるだろうし、可愛いヒロインが見たい人にはもしかしたら刺さる作品かもしれない。

ただ繰り返すがつまらない作品なので、時間が大切な人にはオススメできない作品だ。(笑)

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