アニメ

【2020夏アニメ】「放課後ていぼう日誌」アニメレビュー

(70点)全12話

都会から田舎に引っ越してきた鶴木陽渚は、生き物が苦手なインドア派。
手芸部に入って楽しい高校生活を過ごす予定が、散歩中に黒岩悠希と出会ったことがきっかけで
謎の「ていぼう部」に入部させられてしまい、釣りをはじめることに・・・。
個性的な部員たちに囲まれて、陽渚の高校生活どうなるの!?TVアニメ「放課後ていぼう日誌」公式サイト

釣りを題材にした日常アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (70点)
完走難易度 易しい

原作は小坂泰之先生。

監督は大隈孝晴さん。

制作は動画工房。

釣り

©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

とても珍しい「女子高生」と「釣り」を題材にした作品だ。

海沿いの街に引っ越してきた主人公が、「堤防」で同じ学校の先輩に出会い、無理矢理興味のない「ていぼう部」なる謎の部に入部させられる。

一番最初に目に付くのは風景美。

きらめく海、さざ波の音、周りを囲む緑。まるで自分がその場にいるかのような、穏やかな気持ちにさせてくれる。

そして日常アニメらしいドタバタ感。

生き物が苦手な主人公が虫やタコを見て卒倒し、生き物が苦手なのに無理矢理釣りをする部活に入れられ、始業式では校長先生の「皆さんの目も輝いていることでしょう」という言葉とは裏腹に、死んだ目をする主人公。(笑)

しかし、最初は入部を断るつもりだった主人公が釣りの楽しさを実感し、虜になる。

「釣り」というものを知らない私たちの大部分と主人公は目線を合わせられる。釣りと出会い、一緒に釣りに入り込むことが出来る。

1話の導入が丁寧で、一見地味な絵面でなかなか興味を持てないような先入観のある「釣り」だが、主人公と一緒に自然と釣りの世界に入り込めるような工夫が見える。

2話では主人公がまっさらな状態から、釣りのいろはを教わって実際にやってみるという回になっており、日常アニメらしくゆったりと流れる時間の中で、釣りに対して少しずつ知識を積み重ねていく。

これぞ動画工房の日常アニメ、という安心のクオリティだ。

学び

©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

釣りの知識が豊富に詰まっている作品だ。

特に興味深いと感じたのは「ルアーの動かし方」だ。

ルアーというのは糸の先に付ける小魚の模造品で、それを海の中に投げ込むことで、魚を引き寄せて食いつかせることが出来る。

私は「ただ海中に入れればいい」程度の認識でしかなかったが、部長の講義で「ルアーを不規則に動かすことで魚に本物と思わせる」という技があることを知った。

1話ごとに新鮮な驚きがあり、釣りというものが見た目以上に奥深いものだということを肌で感じる。

釣った魚は直後に捌いて食す。先輩の「釣った本人がトドメを差す。それが礼儀」という言葉の重みも、普段適当な先輩が真面目に言うことでさらに説得力が生まれ、食のありがたみまで教えてくれる作品だ。

正直このアニメを観る前は、釣りで12話も持つのか不安だったが、毎話学びがあり驚きがあり笑いがあり癒しがありで、クオリティの高さに驚いている。

日常アニメらしい日常回もあり、釣り以外にもキャラの魅力をしっかり描いたシーンもあり、キャラ一人一人に自然と愛着が湧いてしまう。

部員それぞれに個性があり、それによって生まれる会話があり、笑いがあり、顧問にいたっては勤務を勝手に終わらせて、昼から貝を肴にビールを飲んでしまうような自由人だ。(笑)

そんな常識破りなキャラもいつつ、作品の雰囲気はどこまでも明るく静かで平和で、心地よい安心感と程よい笑いに満ちた空間になっている。

総評:ずっと観ていたい

©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

日常アニメらしい癒しを満喫できる作品だった。

釣りを題材にしているだけあり、釣りの知識が豊富に詰まっていて、かつ日常アニメ特有のゆったりと流れる時間がたまらなく愛おしい。

それぞれのキャラの個性もあり、それによって生まれる「笑い」も随所にあり、途中で飽きることなく最後まで観ることができた。

主人公は最初こそ生き物が全くダメで、そもそもていぼう部との相性は最悪だったが、釣りの楽しさに触れてどんどんのめり込んでいき、ついには簡単な魚捌きならできるようになる、という成長もしっかり描かれている。

終盤のキス釣りでは、それまで困ったらすぐにアドバイスを貰っていた主人公が、自分一人の力で考えて問題を解決している。

釣りに興味がない人でも、主人公と同じ目線で釣りに入ることができ、一緒に釣りを知り楽しんでいるような、そんな感覚を味わえる。

ていぼう部の他のメンバーも仲が良すぎず、付かず離れずの絶妙な距離感が癖になる。

女の子オンリーの日常アニメでむしろ百合が描かれる方がベターだと思うが、このアニメでは必要以上のスキンシップはなく、純粋に釣りについての楽しさを追求しているから、誰でも安心して観ることが出来る。

さらに、一生懸命釣りをして魚を取るだけではなく、部長のように「待つ時間を楽しむ」というスタンスをもあり、そんな4人の釣りに対するベクトルの違いも、この作品特有の世界を作り出しており、こちらもまた癖になる。

釣りの一般的なイメージから、ただ「待つ」という地味な絵面になってしまうのではと思っていたが、全くそんなことは無く、魚との駆け引きがあることで釣りの奥深さを知ることができた。

そして、魚を釣った後の達成感を一緒に味わうことが出来る作品でもある。

自分で餌を付けて、自分で釣って、自分で捌いて食べる。釣りでしか堪能できない喜びだ。

釣る魚も毎話異なり、いろんな魚をいろんな調理方法で調理し、みんなで食す。そこには食の喜びがあり、最高の飯テロがある。(笑)

1話通してのストーリーがコンパクトかつ中身の濃ゆいものになっており、しっかりと導入からオチまであるので、作品の中の時間はゆったりだが観終えるのはあっという間だ。

作画は安心の動画工房クオリティで、キャラデザは最高に可愛く、作画は1秒たりとも崩れることはない。

魚のつややかな鱗や色合い、活きの良さもしっかり描かれている。

背景も素晴らしい。

海が太陽の光を反射してきらめき、さざ波のかすかな音が聞こえ、周りには緑があふれる。

釣りだけではなく自然を楽しむだけでも、この作品は一見の価値がある。それほどまでのクオリティだった。

雑感:釣りは面白い

©小坂泰之(秋田書店)/海野高校ていぼう部

今すぐにでも海へ繰り出し、釣りをしたくなるアニメだ。

スーパーに並んでいる魚を買って調理するのも良いが、海で直に釣った魚を自分で調理するというのは喜びもひとしおで、また違った味わいがあるのだろう。

用具を揃えるのが大変なので実際にはやらないのだが、誰もが釣りに興味を持ってしまうような楽しさがたくさん詰まったアニメだ。

もちろんキャラの可愛さも存分に詰まっている。

特に生き物が苦手な主人公が魚の内臓を見たり、虫を触ってしまったりしたときに、真っ白になって気絶をするくだりは面白可愛い。(笑)

他にも自由奔放な先生が昼間から魚を肴にビールを飲んだり、部員メンバーから絶妙になめられていたり。(笑)

自然と笑ってしまうような優しい世界が広がったアニメで、釣りに興味がない人にもぜひ観て欲しい作品だ。

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