2018年

【2018アニメ】「つくもがみ貸します」アニメレビュー





(61点)全12話

江戸は深川、仲町にて損料屋・出雲屋を営む、お紅と清次という姉弟がいた。損料屋というのは、日用品から骨董品、そして美術品とありとあらゆる品をいくらかで客に貸し出す商いのこと。ただこの出雲屋が取り扱う道具たちが、他の店のものと一味も二味も違うのは、作られてから百年以上が過ぎ、魂を宿した「つくもがみ」という一種の妖のようなものになってしまっているところ。お客の元に貸し出されては、色々な話を聞いて来て、噂話を繰り広げる「つくもがみ」たち。人が良く情け深いお紅と清次は、そんな「つくもがみ」たちの力を借りながらこの町で起こる大小さまざまな騒動を解決していく。江戸の町に花開く「つくもがみ」と人間たちとが織り成す悲喜こもごもの人情噺、骨の髄までとくとご堪能あれ―――。TVアニメ「つくもがみ貸します」公式サイト




つくもがみの力を借りて街のトラブルを解決していくファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (61点)
完走難易度 普通

原作は畠中恵先生。

監督はむらた雅彦さん。

制作はテレコム・アニメーションフィルム。

つくもがみ

©2018 畠中恵・KADOKAWA/つくもがみ製作委員会

長年大切にされたアイテムに魂が宿る「つくもがみ」。

そんなつくもがみが宿るアイテムと、そのアイテムの貸し借りを生業とするお店の店主と、その姉による日常ファンタジーアニメ。

ストーリーとしては、トラブルの種を抱えた客が相談に来て、つくもがみの力を借りながらそれを解決していく流れになっている。

まず1話の印象だが、餅は餅屋ではダメなのだろうか、ということだ。主人公のお店はあくまでアイテムの貸し借りを専門とする業者に過ぎない。

なのに、1話から無くなったアイテムの捜索を依頼されている。もはや貸し借りの範囲を超えて、探偵みたいになっている。そこら辺の設定が曖昧だ。

しかも最終的に無くしたはずのアイテムは、実は相談者が譲ったものだということが分かる。つまりは初めから嘘の依頼をしていたということだ。

捜索を依頼しておいて、本当は自分が他人にあげました、なんて到底理解ができない。依頼される方としてはたまったものではない。

この手のもののけアニメではよくある「依頼と解決」パターンだが、このアニメに限っては解決が仕事ではないのに解決まで請け負っている。

主人公がつくもがみの話を盗み聞きして情報をゲットし、その情報を基に推理して、トラブルを解決するための道筋を作っていく。

損料屋が探偵みたいなことをする必要はない、というツッコミはさておき、つくもがみの力を借りながら、そして、主人公と姉でああだこうだ言いながら結論を導いていく過程は深みがあり、推理アニメならでの論理の構築が少しばかり楽しめる作品だ。

探偵

©2018 畠中恵・KADOKAWA/つくもがみ製作委員会

損料屋の定義がよく分からないことになっている。冒頭のナレーションでは確かに「今でいうところのレンタル屋」みたいなナレーションが入る。

物を置く習慣のなかった江戸の人にとってなくてはならないお店。注釈がナレーションで逐一入っていて理解をしっかりと助けている。

だがレンタル屋が果たして、お客さんが持ち込む相談事に関与する必要性はあるのだろうか。江戸には今で言うところの探偵みたいな職業はなかったのだろうか。

その場で済む相談事ならまだ分かるが、「~がなくなった」だの「想い人に渡すかんざしを一緒に探して~」だの、明らかに仕事外のことを進んでしている。

親子のすれ違いに介入することもあり、明らかに越権行為だろう。(笑) それこそ正義の味方気取りなのかと思いたくなるような行為を度々している。

7話ではついに殺人未遂にまで関与し、殺人を犯そうとした輩を未然に説得して思い留まらせている。もはや「名探偵」にジョブチェンジした方が良い。(笑)

だったら損料屋ではなくて、探偵とか、銀魂で言うところのよろず屋とかでも良かったのではないだろうか。最後までそこがしっくり来なかった。

関係性

©2018 畠中恵・KADOKAWA/つくもがみ製作委員会

損料屋に置いてあるかんざしや巻物などのアイテム。そのアイテムに宿るつくもがみという魂。

彼らはひとりでに動き、人間の言葉を話し出す。自分の過去のこと、貸し出された客のことなど、いろいろと騒ぎ立てる。

そしてその話声は、主人公たちに筒抜けになっている。主人公たちはつくもがみが憑いていることを知っており、探偵行為をしている時も、そこから幾度となく手がかりを得ている。

逆につくもがみたちも、主人公たちが巻き込まれたトラブルを話のネタにして、間接的に解決のアシストをしたりする。

お互いに持ちつ持たれつの関係性なのになぜか会話をしない。その関係性が謎だ。

この作品は意志を持つつくもがみの存在が軸になっている。小回りが利いて主人公以外からは見えなくて探偵作業にも向いている。

トラブル解決にはこれ以上役立つものはない。だがお互いに助け合っているのに、お互いの意志を交わさないのは違和感しかない。

どうやらつくもがみは人間と言葉を交わさないという鉄の掟があるらしいのだが、その理由についても特に触れられていない。

主人公たちはつくもがみがいることを知っている。つくもがみも、主人公たちの話す言葉を理解している。

さらに、主人公はつくもがみがいることを知っている上に、つくもがみたちがあえて自分たちと関わろうとしないことまで知っている。

微妙な関係性を描きたいのだろうが、いくら考えても、それが作品にどんな良い影響をもたらしているのかが想像できない。

いっそタッグを組んで、分かりやすく協力関係になってしまった方が、いろいろと膨らみそうなものだが、そこが最後まで腑に落ちない部分だ。

総評:終わりよければ

©2018 畠中恵・KADOKAWA/つくもがみ製作委員会

最終話まで特に見どころはない。探偵か何かと間違えて、損料屋にトラブルを持ち込むお門違いな客たち。

その客たちにわざわざ付き合ってトラブルを解決する主人公と、主人公にヒントを与えアシスト役に徹するつくもがみたち。

その構図で終盤まで進み、基本的には1話完結で、最後はめでたしめでたしで終わる。

スッキリとする構成にはなっている。トラブルもそこまで重いものではなく、親子のちょっとしたすれ違いとか、告白にまで至らない男の気持ちを後押ししたりとか。

例外はあるが、基本的には軽い気持ちで観られる日常風の作品になっており、全体的に演出も作画も明るいタッチで描かれており、晴れやかな気持ちで向き合える作品だ。

だが変化はない。そもそも損料屋に相談するという設定自体微妙なところではあるし、いくら客の頼みとはいえ、プライベートに立ち行っていくのは違和感しかない。

TSUTAYAの店員が客に頼まれたからと言って、客の家族問題の解決に乗り出すだろうか。そこらへんはもしかしたら、江戸のご近所的な価値観が反映されているのかもしれないが、現代の価値観に即して考えたらやはりおかしい。

毎度のように損料屋の領分を越えたトラブルが持ち込まれ、それに対応する主人公。店の死角ではこそこそとつくもがみたちが会話をして、それに耳をそばだてている主人公がひらめきを得て、一気に解決する。

この流れでしかない。トラブルの中身も特筆するものはなく、全体的にライトなので、安心できる反面、アクセントという部分では明らかに物足りない。

その点で言えば最後の1,2話くらいはようやく盛り上がりを見せている。主人公には隠された20両(今だと80万円くらい)の借金があることが明らかになり、そこでいろいろと葛藤を見せるシーンがある。お金の問題というのは、やはりアニメだろうと江戸だろうとシビアだ。

さらには終盤、主人公とヒロインのお紅が一気に距離を縮めるようなイベントがあり、ようやく一番気になる関係性が進展を見せて終わっている。流れとしては非常に綺麗だ。

最後まで引っ込み思案な主人公のせいで全く進まなかった関係が、主人公が襲われたことをきっかけに、つくもがみと人間が初めてまともな会話をし、さらには主人公の無事に安堵したヒロインがハグまでしている。

これをもう1,2話くらい前にやっていたら…とは思う。そうすれば2人が微妙に気まずい関係になったり、もっと関係が進展したり、違うキャラクターの顔を見ることができたかもしれない。そこだけが心残りだ。

全体的に見れば終わり良ければ…という感じだ。決して最高に面白いアニメというわけではないが、最後にツボをしっかりと押さえて来たので、個人的には及第点という作品だ。

雑感:これからが見たい

©2018 畠中恵・KADOKAWA/つくもがみ製作委員会

最後が良かっただけに、続きが気になる作品だ。

今まで微妙な関係だった血の繋がっていない「姉」。その姉が他の男を慕っているのではないか。

それが常に主人公の心配事だったが、最終的にそれは主人公の思い込みで、本当は両想いだった。という綺麗な終わり方になっている。

男というのは勝手に勘違いして、勝手に諦める生き物でもある。そこは妙に共感することができる。(笑)

初めてヒロインを姉ではなく、一人の女性として認識するようになった主人公。関係は一気に加速していく展開だが、残念ながら最終回のラストシーン。

「ラブコメはここからが面白いんじゃ!」という丁度いいところで終わっている。作品の知名度から言っても、2期はなんとなくなさそうだから余計に残念だ。

興味がある人は観て欲しい。「無機物がお喋りする」的な作風が好きな人はハマるかもしれない。




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