アニメ

【2014アニメ】「ウィッチクラフトワークス」アニメレビュー

(55点)全12話

ごく普通の高校生・多華宮仄は、掃除中にゴミ箱へ捨てられていたぬいぐるみを見つける。そのぬいぐるみに書かれていた「晴れ 時々 校舎が降るでしょう」の文字通り頭上に校舎が降り注がんとしていた時、仄はクラスメイトにして強力な炎の魔女でもある火々里綾火に助けられる。この綾火との出会いをきっかけとして、仄は己に眠る力を巡る魔女たちの戦いへ巻き込まれていく。TVアニメ「ウィッチクワフトワークス」公式サイト

魔女同士の戦いを描いたファンタジーアニメ

クラスのマドンナに守られる主人公を描いたバトル×ファンタジーアニメ。

原作は水薙竜先生。

監督は水島務さん。

制作はJ.C.STAFF。

特徴的

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

まず目につくのが独特な作画。

鼻と口が異様に離れたのっぺりとした特徴的な絵だ。

作品の第一印象を決める作画の時点で少し難あり。

原作に限りなく近い絵になっているが、キャラデザを担当した冷水さんならもう少しマシな絵が描けたはずだが…

魔女

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

主人公・多華宮は平凡に生きる高校生。

クラスの隣の席には、「姫様」と呼ばれて崇められている学校のマドンナ・火々里が座っている。

ある日、主人公の頭上から突然校舎が降ってくるというぶっ飛んだ現象が起こり、そこに火々里が助けに入る。

彼女は実は魔女で、主人公を守る存在としていつも傍にいたと告白をする。

そうして主人公を巡る魔女同士の戦いが始まっていく。

無個性な主人公。クラスのマドンナが実は自分にお熱。

良くある展開で特に目新しさはない。

さらに、無個性だと思っていた主人公に実は封印されし力が…という設定も見飽きたくらいだ。

ただ他の作品と少し違うのは、よくあるラノベ系アニメと立場が逆転していること。

ヒーローがヒロインを守るのではなく、ヒロインがヒーローを守る。

無個性で守られるだけの主人公…きっとここから、主人公は段階的に成長を遂げていくのだろうと期待感に胸が膨らむ。

無個性から強くなるというのはバトルアニメの定番だが、ゼロから強くなる過程には決まってカタルシスがある。

弱っちい主人公

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

主人公は弱い。

炎を操るヒロインにただ守られるだけの無個性キャラだ。

正確には無個性で全く役に立たないわけではない。ヒロインに膨大な魔力を供給しているのは主人公だ。

しかし戦場では何もできずに、敵と拳を交えることは一回もない。

このアニメはバトルも見どころの一つとなっており、水島監督のこだわりで彩られたバトルには興奮が詰まっている。

だが折角のバトルシーンで、イマイチ心が乗ってこない。

アニメは主人公の成長を描く物語であることは周知の通り。

成長する意思がない、成長しないキャラが主人公のアニメなど誰も観ない。

あなたが思い浮かべる有名なアニメキャラも、きっと成長するためにひたむきに頑張っているはず。

しかしこのアニメの主人公は守られるだけで何も変わらない。

変わろうとする意志はある。

ヒロインに戦いの指南役をお願いするなど、「守られるだけの存在」から脱却しようとする意志はある。

しかしその度に過保護なヒロインが、主人公に擦り傷一つ付くことも良しとせず、修行パートを早々に切り上げてしまう。

バトルをストーリーのメインに据えているのに、強くなろうとしている主人公がいるのに、主人公が全く強くならない。

成長ストーリーとしての流れができていなかった。

対立

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

このアニメのストーリーは、「工房の魔女」と「塔の魔女」という2つの対立軸で進む。

1対1。非常に分かりやすい構図だ。

個人的には第3勢力的な存在があっても面白かったとは思うが、シンプルな対立構造は飲み込みやすくて非常に良い。

問題はあまりに設定が混在しすぎていたこと。

制作陣もかなり苦心したようだが、原作の世界観で既に設定過多の印象があり、立場が分からないキャラが登場するやいなや退場したり、特に終盤はカオスと化していた。

敵キャラとして登場したキャラがどこの勢力で、どんな技を使い、どんな意思を持っているのか。

敵キャラを掘り下げるには尺の問題がついて回るが、あまりにお粗末な演出が多すぎた。

おかげで展開についていけず置いてけぼり。感情移入ができないまま終わってしまった。

対立の構図を盛り上げる演出にもっと力を入れて欲しかった。

最終回

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

主人公の身体には5つの封印が眠っている。

その封印を解くことで魔女と同等の力を行使することができる。

しかし結局その封印が解かれた場面は限定的で、能力を飼い慣らすまでには至らず。

内面的にも能力的にも、ほとんど成長の足跡が見えなかったのは残念だ。

加えて最終回のオチにもケチがつく。

最終回で主人公は自分の命を犠牲にして虐殺された街の人々を助ける決断をする。

「みんなを守る」

主人公が自分の命を犠牲にして街の人々を生き返らせるという最大の見せ場。

本来なら主人公の決断にシビれて、主人公を失う恐怖で動揺するヒロインがいて、感情が大きく揺れ動くシーンとなるはず。

「ソードアート・オンライン」でいうところの、キリトがヒースクリフに立ち向かう場面のような緊張感。

だが主人公が自分を犠牲にする決断をするまでの動機付けがあまりに弱すぎて、感情に訴えかけるものはなかった。

街の人々は主人公が守りたいと思う人たちだったのか、なぜ主人公は自分が死ぬことでヒロインが死ぬ(主人公の傷はヒロインが肩代わりする)ことを知りながら、それでも街の人々の命を優先したのか。

まとめ方にも問題があるが、キャラを深めるシーンが足りなかったことで淡泊なストーリーになってしまっていた。

一応形式上はまとまっていたが、クライマックスまでの作り込み、ラスボスの行方なども含めて残った謎も多く、すっきりした終わり方ではなかった。

総評:勇ましさだけはある主人公

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

主人公の印象で作品の印象は決まる。

「普通」の主人公視点で始まるアニメは腐るほどある。

何のために「普通」から、または「マイナス」から始まるのか。

それは伸びしろがあるからだ。

何事も平凡な主人公にスポットを当てるなら、「成長」をセットで考えるのは義務だ。

しかし12話を通して主人公から成長の跡を見ることはできなかった。

最初のなよなよした感じは回を追うごとに無くなったものの、結局ヒロインとの力関係は壊れずじまい。

主人公は多華宮で、守られるだけの存在で留まることは許されない。

原作との折り合いももちろんあり、2期に繋がる可能性を考えても、アニメで綺麗にまとめすぎるといろいろ難儀になる事情も分かる。

しかしほとんどのアニメが1期で終わることを考えたら、原作がバカ売れしているわけでもないし、1期で完結させることにもっとこだわって欲しかった。

対立の構図は分かりやすかったが、登場キャラや用語の多さ、キャラ掘りの弱さが原因で全く感情移入できなかった。

原作では街の人々が虐殺されるようなシーンも、アニメではそういった描写はカットされていて、街を一方的に侵略されている感も全く演出されていなかった。

一風変わっていて興味を引かれる世界観だが、作品の良さを脚本として、アニメとして表現し切れなかった印象だ。

個人的な感想:テンポ○

引用元:©水薙竜・講談社/ウィッチクラフトワークス製作委員会

テンポ感の演出が流石の水島監督だった。

バトルシーンは全て3G。どうしても手書きと比べたら迫力の面では劣る。

しかしそれを補って余りある日常シーンから魔女とのバトルシーンへの唐突な切り替え。

日常で安心しきった心を、一気にバトル&シリアスシーンへと無理矢理引き寄せる。

緩急のつけ方が絶妙で、終始心が引っ掻き回されるような作品だった。

それだけに疲労感も大きい。

多すぎる設定。せわしない展開。

ありあまる設定をアニメに落とし込む作業に苦労したことは間違いない。

1巻~6巻までの円盤売り上げは4000枚程度。

悪くない数字だが2期への展望は厳しい。

ファンタジー系のアニメが好きな人は試しに観てみて欲しい。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です