(60点)全16話
アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」でお馴染みの長門有希が主人公のラブコメディ
ストーリー | |
作画 | |
面白い | |
総合評価 | (60点) |
完走難易度 | 普通 |
原作はぷよ先生。
監督は和田純一さん。
制作はサテライト。
ラブコメ
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のスピンオフであり、「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」「涼宮ハルヒの消失」のスピンオフアニメでもある。
少しややこしいのだが、キャラは「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」に登場するキャラをベースに、世界観やストーリーは「涼宮ハルヒの消失」がベースになっている。
さらなる特徴として、原作で柱となった宇宙人・未来人・超能力者は全く登場しない。
登場キャラ全員が普通の高校生。
憂鬱ではキョンの命を狙った朝倉も普通の高校生で、敵対関係にある長門ととても仲良し。
そんな至って普通の学園生活を描きながら、主人公・長門有希の淡い恋心を描いた作品でもある。
憂鬱の方でもラブコメというのはなかったわけではないが、それっぽい感情を見せる程度だった。
しかしこの作品ではガッツリラブコメが描かれており、その主役が感情のないはずの長門で、初見で観る人にとっては違和感しかないだろう。
スピンオフとはなっているが独立した作品で、元ネタを全く知らなくても楽しむことができる。
長門有希
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
長門有希といえば寡黙ヒロインの代名詞ともいえる存在だ。
しかしこの作品では全くの別人格で描かれている。
寡黙ではあるが積極的にコミュニケーションを取ることもあるし、何より感情をかなり表に出すし、自分の考えをしっかり言葉にする。
お供だった本もゲームに変わっている。
長門といえば…で馴染んでいる人にとっては違和感しかないだろう。
そんな長門は、1話からキョンに好意を抱いていることが丸わかり。
キョンの何気ない行動や言動に赤面したり慌てふためいたり。
あざとさも感じるほどの慌てっぷりで、元の長門とは正反対のキャラすぎ笑ってしまった。(笑)
正直長門のキャラが受け入れられるかで、この作品の印象はガラッと変わるだろう。
元の長門が好きな人にはこの作品の長門は受け入れられないだろうし、あざとさすらも感じる彼女の態度に顔をしかめてしまう人もいるはずだ。
お馴染みの日常
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
根本からジャンルが違う作品ではあるものの、憂鬱と展開はさして変わらない。
ハルヒが発起人となってキョンが巻き込まれる。やれやれ、と言いながらなんだかんだで付き合う。
そんな賑やかな日常がこのアニメのメインとなっている。
ハルヒの提案で旅行に行ったり夏を謳歌したり。
元のアニメと違うとすれば、ハルヒと小泉が他の高校の学生で、部活もSOS団ではなく文芸部で、朝倉と鶴見さんがグループの輪にいるくらいだろう。
だからどうしても憂鬱を見返している気持ちになってしまう。
設定や世界観においての新鮮味はあるが、ストーリーやキャラの内面が同じで退屈だった。
マンネリ
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
最初の方こそ懐かしいやり取りに昔を思い出して楽しむことができたが、中盤以降で流石に飽きてくる。
憂鬱と変わらない日常が続き、長門の恋心も進展する気配はなく、つかず離れずの光景が続く。
最初からあからさまな好意を見せているので、徐々に好意を抱くような作りにはなっていない。
物語が始まってすぐに、「これで張り合いが出るのか」と心配になったが、残念ながらその心配が的中してしまった。
2人を襲う困難もなければ、恋敵もいなければ、移り気もない。
つまりシリアス要素が足りない。
日常テイストで描かれているのでシリアスを入れることは勇気がいるが、長門のくだりでシリアスはあったので、もっと恋愛で張り合いを持たせると良かったかもしれない。
その線で期待を持たせるシーンがなかったわけじゃない。
ハルヒはキョンと長門の関係に張り合いを持たせることができる唯一の存在だった。
しかし結論、そこまでのポジションになっていたとは言い難い。
結果的にキョンと長門に障害が訪れないまま、平和な日常を過ごしつつ、長門の乙女純情な恥じらいを楽しむだけのアニメになってしまっていた。
キョンと長門の関係値は一向に深まることなく、途中からもはやラブコメディとも呼べない、ただの「涼宮ハルヒの憂鬱」と大差ない内容になっていく。
長門の印象でガラッと変わると書いたが、ストーリーは正直微妙でも、長門の可愛さを堪能することはできるので、長門ファンは最後まで楽しむことができるはずだ。
総評:長門萌えアニメ
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
観る人にとってはそもそも蛇足感が否めない作品だ。
憂鬱と消失でキレイにまとまった作品が、京アニ以外の制作会社の手によって、全く違う世界観・ストーリー・作画で描かれる。
原作者も別人で生粋のファンからしたら、特に需要のない作品という印象だ。
憂鬱との違いもそれほどなく、ハルヒが周りを巻き込んでいく構図は何ら変わりない。
ラブコメと言いながら日常やコメディ色が強すぎて、長門が裏方気味になってしまう場面もあった。
キョンと長門の恋愛はあまりに平坦な道のりすぎて張り合いがなく、うぶな関係性にニヤニヤできたのも最初だけで、徐々に飽きが来てしまった。
そもそも16話構成が正しかったのか怪しいところでもある。
何度も見た日常の光景を繰り返し、途中でシリアスシーンを挟んで少し変化を加えたものの、必要のない日常シーンがあまりにも多くテンポがかなり悪い。
「主人公が朴念仁」「大事なセリフが騒音でかき消される」などのラブコメお馴染みのギャグも古臭く、がっかり感が強い。
10話でも十分な内容を無理矢理16話に引き延ばしたようなストーリーで、冗長さが凄まじかった。
終わり方もスッキリしない終わり方になっていて、キョンと長門の終着点もありきたりすぎてつまらない。
やはり長門萌えが全てだった感は否めない。
長門が好きで長門の新しい一面を覗きたい人にはもってこいな作品だが、反対にそれほど作品への思い入れがない人には苦痛にすら感じる作品だ。
元々番外編としてアニメ化する程の作品ではなかったかもしれない。
作画や世界観が全く違うとはいえ、基本的なストーリーの展開は憂鬱と同じで目新しさは特にない。
柱となるキョンと長門の恋も、障害が全くないせいで張り合いが全くないし、30分16話という尺をたっぷり使った割には…という終わり方になっている。
とはいえハルヒの新しい一面が見えたし、朝倉さんの優しさに心が温まったしで、原作ファンからしたら及第点といったところ。
作画が崩れるシーンも何度もあったが、終始安定していたし、ふっくらしていて柔らかみのあるキャラデザインは憂鬱に負けず劣らず可愛い。
全体的に見れば物足りなさもあるが、憂鬱ファンとして楽しむことはできたので概ね満足だ。
個人的な感想:物足りない
引用元:ⓒ2015谷川流・いとうのいぢ・ぷよ/KADOKAWA角川書店/北高文芸部
外伝アニメならではの新鮮さや面白みは確かにあったが、作品としては正直微妙すぎる。
コメディ色がだいぶ強めで、既視感しかないハルヒの独断専行ばかり。
シリアスは一切ない雰囲気かと思いきや、途中でいきなり作品の世界観がガラッと変わり、それまでの明るさが消える。
そこからの展開は蛇足感が凄まじく、キョンと長門の関係の変化において必要とは思えなかった。
16話という中途半端な尺でアニメを作るくらいだったら、もっとコンパクトにまとめて欲しかった印象だ。
キョンと長門の恋の行方も最初から決定済みで、成就するかどうかの緊張感が全くない。
何度も書くように、性格や容姿が変わっても長門を愛せる人にはぜひオススメしたい。
後は日常アニメ好きな人でも楽しむことができるはずだ。