2021年

【2021アニメ】「ゆるキャン△ SEASON2」アニメレビュー





(81点)全13話

これも、ある冬の日の物語。山梨の女子高校生である志摩リンは、愛車の原付に乗って一路浜名湖を目指していた。大晦日に始めた、久しぶりのソロキャンプ。山梨を出発して静岡県は磐田へ。年越しを磐田で迎えて、今日はその三日目。かなり距離の長い運転だが、なんだか楽しい。そんな折、立ち寄った海辺でふと思うリン。「やっぱり、一人のキャンプも好きだ私」一方、そんなリンの思いを知ったなでしこにも、新しい気持ちが芽生えていた。みんなとのキャンプは大好き。ご飯を作って、喜んでもらうのも、嬉しい。だけれど。「私もリンちゃんみたいに、ソロキャンプやってみたいな」なでしことリン、二人の出逢いから始まったアウトドア系ガールズストーリーの第二幕がいま、上がるTVアニメ「ゆるキャン△」公式サイト




大人気キャンプアニメの第2期

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (81点)
完走難易度 易しい

原作はあfろ先生。

監督は京極義昭さん。

制作はC-Station。

第2期

©あfろ・芳文社/野外活動委員会

いまやアニメファンにとっての共通言語となった「ゆるキャン△」。

「ゆるキャン」とタイピングすると勝手に「△」が付くくらい、パソコンが認識できてしまうくらいの知名度を誇る作品だ。(鬼滅の刃はようやく最近「きめつのやいば」で直接変換できるようになった)

内容は至ってシンプル。女の子がゆるくキャンプをする。まさに読んで字のごとく。

キャンプとは元来、男、それもお金にある程度余裕がある人の「特権」だと思われていた。

それがこの作品がきっかけで「キャンプブーム」に火が付き、男女問わず、「1人で」キャンプをするという文化が瞬く間に日本に浸透してしまった。

雄大な山梨の景色を楽しみながら、優雅なひと時を過ごす。コーヒーを啜って本を読んで、たまに友達と一緒に少し騒がしくなりながらも、それはそれで和やかに楽しく。

この作品に多くの人が魅せられる理由は雄大な景色&飯テロだ。

舞台となっているのは山梨県。実在するキャンプ場がいくつも登場し、生い茂った緑や美しい湖面、湖面に反射する富士山など、色とりどりの美しい景色を堪能することができる。

そして飯テロの破壊力がヤバイ。とにかく美味そう。思わず画面に手を伸ばしたくなるような、空腹をこれでもかと刺激してくる美食の数々。

雄大な自然と美味しいご飯。人間の欲を高いレベルで満たしてくれる作品だ。巷で流行っている「面白いアニメ」とは違う種の面白さであることも推したい理由だ。

正当な続編となる今作も1期と全く同じ。違うとすれば年月が経過し、キャラクターの関係性に変化が生じている点くらいだ。

基本的なキャンプという路線は不変。1話から懐かしさと面白さと可愛さで、どうにかなってしまうほどだ。(笑)

癒し

©あfろ・芳文社/野外活動委員会

2期でもゆるキャン△独特の癒しは健在だ。

キャラクターはもちろんのこと、雄大な自然に囲まれたキャンプ場、そしてゆっくりと流れる時間を演出する音楽やSE、さらにリンを演じる東山さんの声色が作品全体に癒しを演出している。

感情が揺さぶられるようなバトルシーンや、絆を描いたシーン、感動を誘うような人情はこの作品にはない。ないこともないが、それは自然に溶け込むような「ささやかな」ものだ。

このアニメを観ている時間だけは俗世から解放され、苦い思い出も苦しみも、最近味わった悲しみも全て洗い流してくれる。

繰り返すがこれは感動の物語ではない。言ってしまえば、単に自然と触れ合いながらキャンプをして、美味しいご飯を食べているだけだ。なのにどうしようもなく惹かれてしまう。

制作陣の愛もヒシヒシと感じることができる。1期でもそうだったが、作品の特徴をしっかりと捉えて、世界観に合った音楽や演出を作り、それを絶妙なタイミングと場所に入れ込んでいる。

このアニメの全てが、自然と調和するようなリズムで調律されており、ここまで自然と一体化したアニメは他にはないのではないだろうか。

「私はやっぱり1人のキャンプも好きなんだって。同じキャンプでも1人だと全く別のアウトドアで、見たものとか食べたものとか、1人でゆっくり物思いにふけったり、なんていうか、ソロキャンは寂しさも楽しむものなんだって。」

リンは大晦日のキャンプについての感想をなでしこに聞かれた時に、こう答えている。

寂しさを楽しむ。寂しさとは楽しむものではない。寂しいは悲しい。寂しいは切ない。

けど、どんな悲しさや切なさも、雄大な自然を「独り占めしている」という万能感が吹き飛ばしてしまうのかもしれない。そこにソロキャンの魅力、この作品の癒しが詰まっている。

©あfろ・芳文社/野外活動委員会

人との繋がりもまた、キャンプの醍醐味であるかもしれない。

1期でもキャンプ場で初めてあった人と友好を築くというシーンがあるが、2期にもそれがある。

野クルの面々が行った山中湖のキャンプ場は標高が高いため、あまりに極寒。夜になると-15°を計測するほどの寒さの中、それを見かねた老夫婦が彼女たちをテントに招き入れ、一緒に暖を取り、鍋を囲む。

中盤になでしこがソロキャンプに初挑戦したときは、たまたま近くにテントを張っていた兄妹が、なでしこと一緒に野菜のホイル焼きを食べるシーンがある。

自然に囲まれたキャンプ場ならではの開放感から生まれる出会いや縁。街中ですれ違っても、どこかで偶然出会ったり会話をしたりしたとしても、込み入った話になったり、食事をする運びになることは、まずない。

でもキャンプで出会った縁は一期一会。

「非日常」に飛び込むといつもと違う自分になれる。そんな人間の心理描写の表れと考えると、キャンプがより魅力的に味わい深くなる。

さらにキャンプは「気まずい2人」の繋がりまで作っている。その2人とは主人公のリンと、なでしこのお姉さんの桜。

2人は1期の1話で既に出会っている。なでしこが携帯を無くして帰れなくなり、リンと一緒に湖畔で過ごしていたところを、車で迎えに参上したのが桜だ。

2人の関係性は絶妙に気まずい。友達の友達ならまだ仲良くなる余地はある。リンとなでしこの友達の綾乃が仲良くなったように。

しかし友達の「姉」となると話は別だ。話す機会がそもそもないし、顔を合わせたとしても挨拶を交わす程度だろう。リンと桜もまさにそんな関係性だ。

さらに2人とも大人しい性格で、引っ込み思案とまではいかないが、自分から他人に積極的に話しかけるタイプではない。リンがソロキャンを好むように、桜も1人旅を好む。似た者同士だ。

同じ極同士の2人が、2期の中盤にあるなでしこのソロキャンイベントを通して仲を深める。その過程が丁寧にかつリアルに描かれている。

たまたま観光地で出会う2人。その後別れた後に、なでしこが心配になり、2人揃ってなでしこが1人でキャンプしているキャンプ場に向かう。

そこで鉢合わせした2人は一緒に夜景を観て、なでしこを茂みから見守り、帰り際になでしこの幸せそうな写真を観て、桜の誘いで夕食に行くことになる。

この一連のシーンを見ても、キャラクターの関係性はしっかり練られていることが分かる。

なんとなく付かず離れずではなく、適当に仲良くなってなあなあになるわけでもない。だからといって、シリアスに描くこともしない。

友達の姉との気まずさを的確に捉え、お互いに共通点を発見することで距離がぐっと縮まるという過程を、お袋の味噌汁のような優しい味付けで描いているから、そこにはやはり「癒し」しかない。

優しい世界を言い訳にただのんびりとするだけではない。気まずさというマシリアス要素も飼い慣らして「ゆるきゃん△」という作品の一部にしてしまっている。

総評:絶妙な緩さ

©あfろ・芳文社/野外活動委員会

1期と変わらない「ゆるすぎるキャンプ」が楽しめる作品だ。

とにかくゆるゆる。キャンプについて深く掘り下げることもなく、キャンプを巡っての対立もなく、逆に、ただだらーっとキャンプをして適当に楽しむだけの作品でもない。

キャンプの魅力を抽出して絶妙な緩さを演出している。まさにキャンプに出かけたくなる作品だ。

1期と違うのは、リンが完全な「ソロ」ではなくなったこと。1期のリンは自由気ままに1人でキャンプ地を巡ることが多く、野クルの面々と交わることは稀だった。

しかし、1期の終盤で野クルの面々と一緒にキャンプをしたことで距離が縮まり、コミュニケーションツールを使って近況報告をするほど仲が良くなっており、「みんなで楽しむ」というところに若干焦点が切り替わっている。

キャンプをするためにお金を貯めたり、貯めたお金で道具を買ったときの感動とか、キャンプ場での新しい出会いとか、縁とか、雄大な景色を見ながら一緒に料理を食べたりとか。

キャンプの喜びがこの作品には詰まっている。観ているだけで心が暖かくなるし、キャンプを通じて人の輪が広がっていくのも気持ちが良い。

緩さの中にも身を引き締めるような真面目なシーンもある。リンと桜の一連のシーンがそうであり、リンが祖父と一緒に少しだけツーリングを楽しむシーンがそうであり、なでしこと恵那が会話の中で、キャンプを通じた成長を振り返るシーンもそうだ。

1期から不変の自然の美しさに、家族の愛情や友達との絆、キャンプを通じて変化していくものを添えて、しっかりストーリーにしている。緩さと締めつけのバランスが絶妙だ。

のんびりと心を落ち着けるひと時でありながら、同時に退屈せずにずっと見ていられる安心感と面白さを兼ね備える。やはりゆるキャン△はゆるキャン△だった。

雑感:キャンプしてェ

©あfろ・芳文社/野外活動委員会

1期を初めて観たときからずっと思っている。ソロキャンプがしたい。

しかし周知の通り、キャンプ道具はベリーベリー高い。一式揃えようとしたら多分、家賃3ヶ月分はかかる。(笑)

だから恐らく貧乏社会人には一生縁のない貴族の遊びだ。悲しいけど現実なので受け入れるしかない。

最近ではゆるキャン△の影響かは分からないが、芸能人の中でもキャンプ好きを公言する人が増えている。ヒロシさんはその筆頭だろう。

自然と料理。そこに友情とささやかな絆。やはりゆるキャン△は最高のアウトドアアニメだ。

なんと2022年には劇場版が公開されるらしい。どれほどの公開規模なのかは分からないが、ゆるキャンであれば是非とも足を運びたいものだ。

まだ観ていない人は1期からぜひ観て欲しい。きっとアウトドアに目覚めてしまうことだろう。




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