2016年

【2016アニメ】「あまんちゅ!」アニメレビュー





(52点)全13話

春。物事が大きく移り変わる季節。伊豆の町で生まれ育った小日向光と、東京から引っ越してきたばかりの大木双葉は、ともに夢ヶ丘高校に入学し運命的な出会いを果たす。光に誘われるまま双葉が足を踏み入れたのは、スキューバダイビングという未知の世界。何事もプラス思考の光と、自分がいかに小さな存在かを実感させてくれるダイビングの魅力――新たな出会いが、双葉の臆病な心を徐々に溶かしていく。そして、日々の生活においても二人はさながらダイビングで命を預け合う「バディ」のように、ともに多くの幸せを共有する関係を築いていくことに……。TVアニメ「あまんちゅ!」公式サイト

スキューバダイビングに熱中する高校生を描いた青春アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (52点)
完走難易度 普通

原作は天野こずえ先生。

監督はカサヰケンイチさん。

制作はJ.C.STAFF。

転校

©2016 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

高校入学を機に静岡へ引っ越してきた主人公が、友達と離れ離れになって寂しい思いをしながらも、「スキューバダイビング」を通して、新しい自分を見つけていくという物語。

定番中の定番。「入学を機に転校」は特に日常系のアニメで良く見られるパターンだ。「心機一転遠い学校に入学したはいいものの、友達ができるかな~」という不安もセットになることが多い。

全く知らない世界で特にやりたいこともない。だがやりたいことを見つけてのめり込んでいくことで友情・努力・勝利を学ぶ。

それがこのアニメでは「スキューバダイビング」になっている。スキューバダイビングを扱う作品は珍しい。「ぐらんぶる」も一応ダイビングアニメだが、あれは数に入れていいのかは微妙なところだ。(笑)

ダイビングが好きな友達と出会い、自分が知らない「海」という広大な世界と出会う。その出会いが新生活の不安を吹き飛ばし、「やりたいこと」を見つけるための大きな足掛かりになる。

序盤の流れとしては単純明快で分かりやすい。だがかなり「可愛さ」のごり押しが1話から目立っており、観ている側が引いてしまうような演出が多い。

その1つが、メインキャラの光ちゃんの目が点になる演出だ。確かに見た目は可愛いが、乱用しすぎて率直に言うならウザい。

キャラクターの絵が雑になるという演出はギャグアニメではままある。だがそれは、全てそうすれば良いってもんでもない。キャラクターの感情や会話の流れも考慮することで、より面白みや可愛さが増すものだ。

だがその目が点を、1話からほぼ全てのカットで使っている。キャラクター本来の顔が登場する回数よりも圧倒的に多い。まともな顔とギャグ顔の序列を明らかに間違えている。

後はテンポの遅さ。日常系のアニメでテンポがそれ程必要ないとはいえ、1話ではほとんど何も進展していない。

スキューバダイビングしたお客さんが豚汁食って、入学して、2人が出会って、「国語の教科書の匂い良いよね~」などと中身のない会話をして終わり。絶望的に1話での引きがない。

正直人によっては切られるレベルだ。AパートとBパートで上手に区切って、後半戦でやりたいことを見つけて「スキューバダイビングって凄いね!」でも十分綺麗に繋がるのに、なぜか「やりたいことないなー」のまま終わっている。

個人的には、ただでさえ退屈な日常アニメなので二重苦を味わっている気分だ。少しでも尺を引き延ばそうとしているのか、これではせっかくの作画の素晴らしさも台無しといった感じだ。

不思議ちゃん

©2016 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

主人公をスキューバの道に誘うポジションにいるキャラクターが、俗にいう「不思議ちゃん」として描かれている。

顔が小学生のお絵かきみたいになるのは前述の通りで、常に笛を口に咥え、「ピーヒョロ~」と力のない音を出し続ける。さらに「うぴょ」とかいう謎の奇声を発する。

マイペースで気づいたら他人を巻き込んでいるタイプ。天然という括りに入るのかもしれないが、あまりに個性的すぎて鬱陶しいレベルだ。

灰汁の強さが必要なアニメでもない。これはやりたいことが見つからない主人公が、ダイビングと出会って変わっていく物語だ。

それをいつまでも不思議ちゃんの奇行の数々を見せられ、教師との競歩大会を見せられ、いつまで経っても肝心のダイビングへと移っていかない。

3話の終盤でようやく潜る流れになる。正直遅い。恐らくは3話区切りを意識しての構成だとは思うが、下手すれば1話で切られるレベルの遅さだ。

とはいえ、3話からはようやくダイビングを通しての繋がりが増えていくことが期待できるので、ダイビングのようにより深く潜るストーリーに期待したい。

重い

©2016 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

高校入学を機に新しい友達先輩が出来て、ダイビングに出会うことで、いろいろなことが前向きに進んでいく。

分かりやすい青春アニメだ。だがダイビングのフレッシュさとストーリー性が上手くマッチしていない感もある。

ダイビングは海の美しい景色がセットだ。確かに常に命の危険を伴うし、楽しいことばかりではない。バディとのコンビネーションや基礎知識が最低限必要となる。

そこを深堀りするのは良い。だがあくまでこれは、女の子がダイビングと出会って、新しい友達と美しい海の景色を堪能したり、一度しかない青春を満喫する作品ではないだろうか。

どうも改編っぽさを感じる。実際に原作を改編したかは分からないが、海や新生活がもたらすフレッシュさと、自分を変えたいと悶々と悩む主人公の絵が釣り合わない。

同じダイビングアニメのぐらんぶるを思い出してもらえば分かるが、思い切りふざけるギャグはもちろん、海の描写はとことん鮮明で、透明感あふれる海中の景色はため息が漏れるほど。

最初のダイビングで衝撃を受けて、ダイビングにどんどんのめり込んでいく主人公がいて、海の素晴らしさや、未知のことに挑戦することの大切さというメッセージ性も内包しており、たったのワンシーンが何倍も価値のあるものになっている。

だがこのアニメは素人が細々とした知識を覚えつつ、プールで細かい動作やルールを確認しつつ、という海に入るまでに一体どれくらい時間がかかるのかと、億劫になることを中盤あたりまでやっている。

あまつさえ海の景色すらなく、主人公がずっと抱えてきた悩みを、先生や友達の何気ない言葉で解消されていく一連のエピソードを、1話単位でずっとやっている。

電車から一瞬見えるあじさいと「幸せ」を掛け合わせたり、だるまさんが転んだと「答え探し」をかけ合わせたり。正直重いしだダイビングとの関連性がない。

もっとさっぱりとした青春アニメらしい爽快感が欲しい。いたずらに青春アニメのまねごとをしている感は否めない。

総評:積み重ね

©2016 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

日常系の青春アニメという視聴前の印象を覆し、視聴後はこれが「積み重ね」を前提とするアニメだったと納得している。

日常系の青春アニメだったら、それこそぐらんぶるというダイビングアニメを想像すれば分かりやすい。ギャグと真面目がだいたい9:1くらいで、たまに真面目になるから、そのギャップが響くという感覚は誰しも分かるはずだ。

だがこのアニメはそういったアニメとは違う。序盤から中盤にかけて種をまいて水をやり、終盤にようやく芽が出るという構成になっている。

ゴールを設定し、そこに向かって積み重ねていく。構成に迷いはなく、1つの目標を達成することで綺麗にまとまって後味も良い。

だが俯瞰して見たときに、やはり諸々釣り合わない違和感がある。

このアニメはダイビングから始まっている。引っ越す前に仲の良かった友達を思い出してセンチメンタルになっているところに現れるダイビング少女。

その少女と出会い、「ダイビング」とも出会い。その2つの出会いが主人公の青春を彩っていくきっかけとなっている。

その少女とは共に日々を過ごすことで、少しずつ仲を深め、最終的に思いを通わせ、正真正銘の「バディ」となっている。

だが一方のダイビングはどうだろうか。本格的にダイビングをしたのは、結局12話だけだ。そこに至るまでは本当に一歩ずつ一歩ずつ、地味な確認作業を繰り返している。

もちろん大切なのは重々承知だ。それでも冗長している感は否めない。素直にダイビングをすればいいところで、あじさいを見たり、買い物をしたり、だるまさんが転んだをしたり、小ネコの里親を探そうとしたり。

ダイビングとは一切関係ないことを「青春テイスト」でずっとやっている。1話ごとに違うテーマが設けられており、その計算づくの青春も青春本来の「爽快感」はなく、深いはずのセリフにもいちいち引っ掛かりがある。

やるならやる。やらないならやらない。ストーリーの流れは良いのに、ずっと宙ぶらりんを彷徨っている感じだ。

青春路線で行くならとことん悩んで挑戦するべきだし、日常路線でいくならギャグや萌えなどで彩りを添えなければいけない。

海の景色に感動しても、挑戦したことを誇らしく思っても、それがだるまさんが転んだの上に成り立っているのでは、価値は半減だ。

作画は終始綺麗。海の透明度はイマイチだが、背景やキャラクターの顔など、一番注目を集める部分は非常に丁寧に繊細に描かれており、美術さんや動画・原画さんの仕事ぶりがうかがえる。

1話ごとに異なるメッセージ性があるのも味わい深いが、やはりいろんなテーマに目移りするよりも、1つのテーマについてとことん掘り下げる方がより深みが出る。

ストーリーは物足りないが、1本のアニメとしての完成度はそれなりに高い作品だ。

雑感:ダイビング

©2016 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

皆さんはダイビングをした経験はあるだろうか。私はない。

他作品でも何度かダイビングをするシーンを目にしてきたが、その度に楽しさよりも恐怖が勝ってしまう。

もしサメに遭遇したらどうするのか。もし酸素ボンベの酸素が切れたらどうするのか。もしバディが気を失ったらどうするのか。

そういったトラブルの対処法はマニュアルにちゃんと載ってはいるだろうが、「もしも」を考えるとなかなか楽しそうとは思えない。

海中の景色はさぞかし美しいものだろう。水族館が好きな人なら、一生潜っていたくなるほどの光景に違いない。

ダイビングに興味がある人は是非とも観て欲しい。




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