2021年

【2021アニメ】「ホリミヤ」アニメレビュー





(64点)全13話

つながって、絡み合って、世界は日々、変わってく。シリーズ累計600万部を突破した超人気漫画、「ホリミヤ」がついにアニメ化︕︕堀 京子は、美人で成績も良く学校ではクラスの中心的存在。だけど実は共働きの両親に代わり、寄り道もせず家事や年の離れた弟の面倒に勤しむ家庭的な高校生。ある日、ケガをした弟 創太を見知らぬ男が堀の家に送り届けに来た。「堀さん」そう呼ばれ話してみると、実は彼はクラスメイトで――クラス一のモテ女子とネクラ男子が出逢ったら︕︖恋愛、友情。青春が詰まった超微炭酸系スクールライフ︕TVアニメ「ホリミヤ」公式サイト




ネクラ男子と美少女のスクールライフを描いた青春ラブコメディ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (64点)
完走難易度 普通

原作はHERO先生。・萩原ダイスケ先生。

監督は石浜真史さん。

制作はCloverWorks。

ネクラ主人公

©HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ」製作委員会

ネクラ主人公がある日、ひょんなことからクラスのマドンナとの接点を持つようになり、徐々に距離を縮めていく恋愛コメディ。

直近に観たアニメもそんな感じのストーリーだった気がするが、うん、気のせいだろう。(笑)

ネクラ主人公が美少女との接点を持つ。ネクラヒロインの場合も大いにあるが、どちらにしても鉄板中の鉄板だ。

世のネクラ陣営に非常にウケがいい作品でもある。クラスの美少女やイケメンとお近づきになる。ネクラ陣営にとっては至上の喜びであり、一度は妄想する展開だ。(笑)

その直近で観たネクラ系ボッチ系ラブコメと比較すると、ヒロインとの接点が少し不自然に見えるのが第一印象。

主人公がヒロインの弟を家まで送り届けたことで接点を持つようになり、そこから毎日のように夕飯をご馳走になる仲になっている。過程をすっ飛ばしてかなり親密になっている。

もうワンクッションあってもいいところだが、弟を家に送り届けて「お礼に」と家に上がってから、「弟が遊びたいから」という理由で、以降も毎日のように家に招くヒロイン。

シチュエーション先行型のラブコメという感じだ。過程よりもイチャイチャを重点的に描く。恋に至るまでよりも、恋が始まってどう紆余曲折していくのかを描く作品だ。

さらに主人公の「癖」も見逃せない。ピアスの穴を9つも空け、左半身には刺青まで入っている。結構際どいラインを攻めている。

学校ではネクラなのに、一度学校の外に出れば、陽キャを通り越してチンピラみたいなナリをしている。(笑)

学校での主人公と外での主人公のギャップを演出したいにしても、少し過剰な設定にも見える。ただでさえ、日本では刺青は未だにマイノリティだ。

性格的には優しくて、自己評価が極端に低いという典型的な陰キャ属性だが、外面がその性格と一致していない。刺青を入れているというだけで威圧感を与える。

自己が崩壊しているようにも見える。根の性格は暗く、学校ではその性格通りに他人とは関わらずに、ひっそりと生活している。

なのに、学校を出た途端に自己を解放して、ピアスをして髪を上げて眼鏡も外して、思い立ったら刺青もする。でも性格は本来の暗いまま。

かと思えば、ヒロインが生徒会長から謂れのないそしりを受けているシーンで、主人公は生徒会長に対して突然頭突きを食らわせている。その理由を「なんとなくムカついたから」と証言しているが、思慮深い陰キャがムカついたからと、初対面の人間に頭突きを食らわせることなどあり得ない。

小学生のときに仲間外れにされて、高校生になって初めて友達が出来て、心の底から喜んだかと思いきや、その友達と早速殴り合いの喧嘩になって、馬乗りになって友達をタコ殴りにしたり。

主人公が普遍的な人間の自我を持っていない。普通の陰キャなのか暴力的なヤンキーなのか。控えめなのか大胆なのか。どれが本当の主人公なのか分からない。故に感情移入ができない。

恐らくは、ヒロインの前だけ紳士的なイケメンになる。「ヒロインにだけ優しい」ということだとは思うのだが、だったら刺青とかピアスをどう説明するのか。暴力を振るう癖はどこから来るのか。ますます分からない。

その癖を上手く緩和していくのか、それともこのまま乗りこなしていくのか。とても興味深い作品だ。

イチャイチャ

©HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ」製作委員会

カップルがイチャイチャをこれでもかと見せつけるアニメ。至ってシンプルだ。(笑)

主人公とヒロインは、中盤まで付かず離れずの関係で、なかなか進展を見せないじれったさもあるが、中盤以降は本格的に恋人になり、イチャコラを存分に見せつけてくる。

思わず顔が気持ち悪くなる系の典型的な少女漫画風のラブコメという感じだ。地味な主人公がイメチェンをして一気にイケメンになり、手のひら返しで女子受けが良くなる展開など、こすりすぎて火が起こせるくらい見てきた展開だ。(笑)

だがイマイチ気持ちが乗り切らない。理由は前述した通りで、主人公の気持ちに寄り添うことができないから、どうしても第三者の視点になってしまう。

ある時には暗く、ある時には男らしく、ある時には暴力的で、ある時には控えめで、ある時には大胆な行動を見せる。

主人公がつかみづらいから、ヒロインとのイチャイチャを見せられても、「よろしくやってんな」くらいの気持ちにしかならない。

尺的な都合なのか、もともとの原作がそうなのか、ところどころ過程をすっ飛ばしている。主人公がヒロインと距離を縮める過程。主人公が陰キャからイケメンっぽい行動をするようになる過程。

過程が抜けているから現実味がない。好きに理由はない。惚れたもんはどうしようもない。身も蓋もない言い方をすることもできるが、過程がないとやはりキャラクターの気持ちに寄り添えないし、ストーリーにも厚みが出ない。

とはいえクオリティはかなり高い。特にラブコメでは生命線となる作画は、流石大手の制作会社ということもあって、透明感があり、青春アニメ特有のキラキラがあり、変化に富んだ表情はキャラの内面をより引き立てる。

美男美女。ストーリーは脇に置いても、間違いなくラブコメとしてのクオリティは高い。

総評:ラブコメ

©HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ」製作委員会

ストーリーにこれといって特徴はないが、主人公のキャラが闇鍋状態だったり、同性愛が当たり前のように描かれていたりと、ところどころ癖のある作品だ。

スキンシップしたり、嫉妬したり、イチャイチャしたり、喧嘩したり。主人公とヒロインだけではなく、他の男子と女子のカップリングもあり、様々なカップルの様々な恋愛模様を覗くことができる。至って普通のラブコメだ。

キービジュを見るだけでもピンと来るが、「徒然チルドレン」と瓜二つだ。中心となる主人公とヒロインがいないという違いがあるだけで、あらゆる点で似通っている。

ここまでまっすぐ「恋愛」を描いたアニメは、実はあまり多くない気がしている。恋愛に至るまでの過程を描いて、結局のところ結ばれたのかどうか分からない「お預け」で終わる作品は結構あるが、この作品は恋愛に始まり恋愛に終わる。

恋愛を真摯に描き、恋愛で起こり得ることをほぼ網羅している。恋愛に飢えている人にはうってつけの作品ではないだろうか。(笑)

ギャグのレベルも総じて高い。当たり外れはあるし、そもそもギャグの割合もそれほど多くはない。

しかし9話で、主人公の昔の友達が主人公の彼女に出会うくだりでもあるように、思わず声を出して笑ってしまうようなシーンもある。

恋愛をとことんではなく、ギャグで一息つけるところが良い。まさにそれがラブコメの真骨頂だ。

ただ一方で「癖」が良い意味でも悪い意味でも目立つ。悪い意味の一つが、使い捨てのような扱いのキャラがいること。

中盤で登場するヒロインが好きな女の子は、兄貴が死んでいるという重たい過去が明らかになり、そこまで深く突っ込んでおいて、「また遊びに来い」と主人公が言っておいて、それ以降は出番がパタリと無くなる。

キャラクターの多さと尺の長さのつり合いが最初から取れていない印象も受ける。徒然チルドレンとは異なり、中心にいるのはあくまで主人公とヒロイン。だから自ずと、どこかのカップリングや特定のキャラクターがおろそかになるリスクはある。

まさしくその現象が起きている。原作では漏れがないのかもしれないが、25分13話という尺に収めるとなると話は別だ。

その証拠に、制作陣が苦慮した名残も見える。中盤あたりのシーンで、ヒロインの弟に主人公が「お姉ちゃんを取らないで」と言われるシーンがある。

そのシーン自体に問題はないのだが、前後がない。突然場面が切り替わって弟が登場し、彼氏である主人公に姉貴を取らないでと懇願する。

それに対して主人公が「姉は取らないけど京子(ヒロインの名前)はもらうよ」と言い、弟はうんと頷く。セリフの意味もシーンの意味合いも分かるが、前後がないせいで、単発に切り抜かれたシーンにしかなっていない。

原作では前後があるのだろうが、アニメの尺の都合上カットされてしまったのだろう。そのような尺を持てあますシーンが各所にあった。

そして前述の通り、主人公に寄り添うことができない作品でもある。

刺青やピアスをしている。友達をタコ殴りにする暴力性。ネクラな陰キャ。反対に彼女に手を出さない紳士的な態度。昔自分をいじめていたクラスメイトとも友達になろうとする懐の深さ。分け隔てない優しさ。整った顔立ち。

統一性のないプラスとマイナスの特徴が混在しており、人間離れしているせいで「主人公視点」になるのが難しい作品だ。

別にそんな義務はないのだが、より深く主人公に共感し、一挙手一投足に見入り、つい応援したくなるほどのめり込めるのはやはり、自分に近いキャラクター、つまり人間的な温もりのあるキャラクターだ。

偶然にもそれが、直近で観た某弱キャラ主人公だ。ゲームでしか居場所がない。でもゲームでは誰にも負けない。自分だけの世界を持っている。そんな等身大のキャラクターに心惹かれる。それは誰しも同じではないだろうか。

決して、主人公が最低のクズで共感の欠片も抱けないというわけではない。ただラブコメの主人公として、陰キャ設定の主人公として、いろいろと辻褄が合わないキャラ設定やストーリーが最後まで引っかかった。

ストーリーを最初から最後まで振り返ってみると、最初は主人公が陰キャから成長していく風なストーリーになっている。

ヒロインとの出会いをきっかけに友達の輪が広がっていき、ついには彼女もできる。性別は違うが「君に届け」の貞子のような。

しかし気が付くと、徒然のようなラブラブなカップリングを楽しむ恋愛群像劇にすり替わっている。主人公が陰キャだったことは遠い過去になっている。

最終話は「過去の陰キャな自分と対話し、過去と決別する」という締めくくりになってはいるが、ストーリーの流れ的に「帳尻合わせ」のような見え方が先行する。陰キャから少しずつ成長していきようやく…という流れではない。

これも後付けのようで申し訳ないが、最初にピンク髪のヒロインが登場したときに、ヒロインに対して「主人公と付き合ってないんだったら、私がもらっていいでしょ?」といかにも尻軽ビッチキャラのような位置づけで、ヒロインを嫉妬心の焚きつけるようなシーンがある。

しかし彼女は主人公に興味が一切なく、ただの冗談だったことが判明する。それにしては何度も「付き合っていないんだったらいいでしょ?」と食い下がっており、あまり質の良い冗談には見えない。

しかも、その女の子には主人公がどうこう以前に、昔から両想いな生徒会長の男の子がいる。にも関わらず、主人公を横取りするニュアンスのセリフを何度も吐いていることになる。

彼女はほぼ初登場に近いキャラクター。それなのにいきなり泥棒猫どころか、尻軽な状態で登場していたということが、後に発覚するような構成になっており、なんというか、いろいろ残念だ。

カオスとまではいかないが美しくはない。けど面白い。そんな作品だ。

雑感:とまっちゃん

©HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ」製作委員会

とまっちゃんヒロインの時代が続いていると思うと、感慨深い気持ちになる。(笑)

怪物くんとか、かんなぎとか、最近だと俺好きとか、もちろんSAOも。

彼女が正ヒロインを演じる時代がまだ続いていると思うと、嬉しい気持ちにもなるし、下からの突き上げが足りないのかな…と少し悲しい気持ちにもなる。

ただ、「ガサツ系ヒロイン」を演じられるのはやはりとまっちゃんの個性だ。このポジションでは、未だに業界内でもトップランナーなのだろう。

恋愛に特化したアニメで、少女漫画寄りのテイストにも感じたが、男子でも十分楽しめる作風だ。

ラブコメとしては間違いなく面白い。自分の気持ち悪いにやけ顔をパソコン越しに見たい人にはオススメだ。




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