2015年

【2015アニメ】「放課後のプレアデス」アニメレビュー





(38点)全12話

星が大好きな中学生、すばるはある日の放課後、宇宙からやって来たプレアデス星人と遭遇した。地球の惑星軌道上で遭難した宇宙移民船を直すため、プレアデス星人は地球人の中からエンジンのカケラをあつめる協力者を召還したという。ところが集まったのは1人のはずが何故か5人!「魔法使い」に任命された5人の少女たちはそれぞれ何かが足りていなくて、力を合わせようにもいつもちぐはぐで失敗ばかり。おまけに謎の少年まで現れて、こんなことでエンジンのカケラを回収して宇宙船を直すことはできるのか??かわいそうな宇宙人を助けようと、未熟さゆえの無限の可能性の力を武器に、友情を培いつつ、カケラあつめに飛びまわるすばるたち5人。宇宙と時を翔る、希望の物語。TVアニメ「放課後のプレアデス」公式サイト




魔法使いの少女たちのカケラ集めを描いたファンタジーアニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (38点)
完走難易度 難しい

GAINAXのオリジナルアニメ。

監督は佐伯昭志さん。

SUBARU×ガイナックス

©GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会

まずこのアニメのスポンサーに「SUBARU」が付いていることを強調する必要がある。1話の冒頭で、でかでかとアピールしているように、このアニメのメイン出資者は間違いなくSUBARUだ。

スバルはご存じの通り、有名な日本の自動車メーカー。星のマークでお馴染みの会社だ。

一体どんな経緯でアニメ製作に出資する運びになったのかは分からないが、このアニメには多分にスバル要素を含んでいる。

主人公の名前がすばるで、「プレアデス星団」の和名がスバルだ。宇宙移民船の「エンジン」を治すことが目的だったり、キャラクターが使う空飛ぶ箒のようなアイテムには自動車と同じ「ドライブシャフト」という名前が付いている。

ちなみにドライブシャフトとは動力をタイヤに伝えるための回転軸のことらしい。勉強になる。(笑)

お金を出しているので当然だが、かなり「車っぽい」要素と自社の売り込みが垣間見える作品だ。

だがそれほど露骨な感じはしない。それこそタイバニのようなスポンサーの入ったスーツを着てヒーロー活動をする、みたいなことはしない。

あくまでスポンサーという立場から控えめに作品に関わっている印象だ。それはそれで、どうしてアニメ製作に多額のお金を出したのかという別の疑問が出てくるが。

そして、タッグを組んでいるのが天下のガイナックス。1話からガイナックスらしいキャラクターの躍動感が随所に出ている。

しかし、あんまりガイナックス感がない。特にキャラデザはガイナックスというより、きらら系のほんわかしたタッチになっており、一目見ただけでは誰も気づけないほど、ザ・萌えなデザインだ。

ともかく宇宙船のエンジンを直すための「魔法使い」に任命された5人の少女が、ドジを踏みながらも共に成長していく物語。SF・ファンタジー要素濃いめのおジャ魔女という感じだ。

妨害

©GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会

しっかりと対立も描かれている。仲間同士の対立もそうだが、お馴染みの敵が登場して、彼女たちのカケラ集めを妨害してくる。

ただカケラを集めるだけでは、ファンタジーアニメらしいスリリングな展開はなく、ただの作業ゲーになってしまう。

だがそれを邪魔する存在がいて、邪魔するだけの理由があれば、そこには対立が生まれ緊張感が生まれる。

しかし最低限という感じだ。そこに隠された大きな真実があるわけでも、生死をかけた戦いがあるわけでもない。

あくまで平和な世界観の中で「楽しく」空を飛び、カケラを集め、喜びを分かちあって絆を深めていく。

そこが一番強調されているので緊張感はない。日常寄りのファンタジーアニメ。まさにおジャ魔女やポケモンのような作品だ。

ポケモンでも毎度ロケット団がいいところで邪魔をしてくるように、決まってカケラを集めて一件落着のところで、赤髪ロングのお兄さんが妨害をしてくる。

妨害と言っても平和だ。せいぜい「ピカチュウゲッチュウだぜ!」と性懲りもなくピカチュウを奪いに来るくらいで、サトシたちに危害を加えることをしない。まあ今のポケモンがどうなっているのかは知らないが。(笑)

この作品でも、謎の少年が毎度カケラを強奪しに来るくらいで、特に派手にバトったりはしない。それがぬるい。どうしても欲しいなら奪い取って怪我の1つでも負わせればいいし、どうしてもカケラを守りたいなら命がけで守ればいい。

お遊び程度にしかなっていない。その日常感がこの作品のバランスだし、スバルという大手企業のイメージもついて回るので、制限があるのかもしれないが、まるで宝の持ち腐れだ。

メッセージ性

©GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会

スポンサーとリンクしたメッセージ性を随所に織り交ぜている。

例えば「空に浮かぶ星々はお互いに近いようで遠い」とか「不良品がいくら集まって何にもならない」とか、スバルや車などのワードに関連するようなフレーズが度々登場する。

だがそれが若干こじつけ気味になっている。そのどれもが「5人の少女の未熟さ」というところに終結しているのだが、いちいちわざとらしい。

4話の冒頭では主人公が車の不良品を見て、自分と重ねて見ることで涙を流すというシーンがある。

涙を流すほどのことだろうか。もちろん感情は主観の最たるものだが、車の不良品が集まっているのを見て、自分の無能さと重ねて涙を流せるなど、どれだけ共感性が高いのだろうか。(笑)

それは優しさや無力さの表れと言うよりも、ギャグに近い。さすがに部品と人間をダブらせて泣くことなんてないだろ…と冷静にならざるを得ない。

車の部品とキャラクター。脚本会議で決まった落としどころなのだろう。車の要素を入れつつ、キャラクターとできるだけリンクさせることで、無力感から徐々に自信や仲間との絆へとなるべく「自然に」繋げていくことを目論んでいたのかもしれないが、4話にして不自然さが出ており、わざわざ自動車の部品を登場させるあたりでも、部分的に露骨になってきている。

ドライブシャフトの音がまんま車のエンジンの音なのもそろそろツッコミたい。(笑) どう考えても空飛ぶ箒が出せる音ではない。(笑)

車となるべく勘付かれないような要素を「ひっそりと」しのばせるくらいがちょうどいいとは思うのだが、少し見ている側が引いてしまうようなストーリーになってしまっている印象だ。

アニメはアニメだ。いくらスポンサーとはいえ、我欲を少しでも見せようものなら、視聴者から一気に叩かれてしまうような時代だ。それがいくら「お金を出している」という正当な理由があるとしても、だ。

「スポンサーが主張しすぎると失敗します」というお手本のようなアニメになってしまっている。

総評:事業の一環?

©GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会

軽く調べて判明したことだが、スバルは自動車だけではなく、航空宇宙事業なる取り組みを行っている。

JAXAとも組んで新しい自律飛行システムの開発に着手したりしているらしい。難しいことは分からない。(笑)

けれど、そうした事業の一環でこのアニメが生まれたなら合点がいく。自社の取り組みを世間にアピールする手段の1つとして、アニメに出資したとしても不思議ではない。

だが内容は一口で言えば残念。スポンサー色が強すぎるあまりに、アニメとしてまとまりと失っているシーンが多くあるように見える。

アニメのコンセプトは「宇宙人の宇宙船を直すためのカケラを探す」というもの。そもそもわけの分からない、何をしようとしているのかも分からない宇宙人のために、地球の女の子が巻き込まれる理由がない。

何か見返りがあるわけでもない。女の子たちは楽しんでカケラ集めをしているようだが、太陽系の惑星に行かされたり、太陽そのものに行かされたりと、命がけと呼ぶのも生易しい程の地獄を味わわされている。(笑)

もはや「日当いくら」という次元の話ではない。命をかけることに対しての見返りを要求してもいいくらいだ。それなのに彼女たちは無償の愛で、いかにも日本人が好みそうなボランティア精神で、宇宙人のために身体を張っている。

だがそうは言っても、カケラ集めがそれほど大変そうに見えないことにも問題がある。ご都合主義が大活躍し、太陽の表面で戦っても、灼熱地獄で身体がプラズマまで分解されることはないし、放射線で死ぬこともないし、光の速度に限界まで近づいても何てこともない。(笑)

さらにバトルとは言っても敵は生ぬるく、カケラをどうして欲しがるのかも終盤まで分からないまま、主人公たちを毎度のこと襲い、襲うとは名ばかりに、中途半端に邪魔をして去っていく。

サカキに献上するという目的がある分、まだ幾分かロケット団の方がマシだ。(笑)

何を伝えるアニメなのか最後まで分からなかった。そした多分そんなものはない。「アニメを通して何を伝えるのか」ではなく、「どうやったらスポンサーに忖度をしながらアニメっぽくするか」が出発点になっている。

だから、結局12話を観終えても「宇宙すげー」とかそんな程度のことしか残っていない。宇宙が好きな私はいろいろな発見があって楽しめたが、そうではない人にとっては、安っぽい友情アニメ程度にしか映っていないかもしれない。

何の代償もなく、楽しんでカケラ集めをしているだけだから、当然緊張感は生まれない。何か悩みがあったとしても、宇宙に行けばケロッと元気になる。

主人公はことあるごとに泣く。涙もろいと言えば聞こえはいいが、涙のトリガーが分からず、泣き虫、あるいは不幸なヒロイン気取りにしか見えない。

だが同時に難しいところでもある。メインスポンサーがいて、そのスポンサーの要望でアニメが制作されているのだとしたら、忖度などではなく、スポンサーの意図が大いにアニメの内容に影響を及ぼすのは当然の話だ。

ようは好き嫌いだ。100日後に死ぬワニで「どうなるんだろう~」と読み進めていたが、最終回が終わって突然電通が「やあ」と顔を出した途端、冷めて批判を始める人は恐らくこの作品は向いていない。(笑)

だがワニよりもタイバニよりも問題なのは、このアニメがスポンサーの露骨な露出こそないものの、それとなくしつこい露出が嫌らしさを演出し、アニメそのものを侵食してしまっている点だ。

車の部品を見て主人公が泣き出したシーンなんかは、無理やりスバルらしさを出そうとした結果、キャラクターの感情が迷子になっている瞬間に見える。

さらに太陽系の惑星を巡ったり、太陽の上で戦ったり、光の速度に限界まで近づいたり、ブラックホールに自ら近づいていったり、ついには世界の理を外れた謎の力で、プレアデス星団にワープしたり。(笑)

回を追うごとに非現実がインフレを起こしている。(笑) それはそれで面白いのだが、スケールが大きい割に、中身は仲良しこよしのカケラ集めなのでギャップがあまりに大きい。

スポンサーが前に出すぎた結果失敗したアニメ。世間からそういう評価をされても仕方のない程、スケールが大きい割に、作画が素晴らしい割に、中身が薄っぺらい作品になってしまっている。

雑感:難しい

©GAINAX/放課後のプレアデス製作委員会

本当に難しい頭を悩ませる問題だ。出資元はSUBARUだけではなく、例のごとく電通やワーナーなども絡んでいる。

メインはもちろんSUBARUだし、そもそもこの作品は、スバルの自動車販売のプロモーションの一環として、10年前にYouTubeに公開された動画が発端になっているらしい。

スバルとガイナックスの縁から始まった作品で、4年後に改めて1クールのアニメを作るとなったら、中身は当然スバルの宣伝が入っていても文句は言えない。

ようはバランスの問題だ。どれくらい露出させるか。どれくらい自社をアピールできる匂わせ程度の情報を入れるか。そして、スポンサーが多少邪魔しても観る側が好くことができるかどうか。

この作品も決してスバルを露骨に宣伝しているわけではない。それでもアニメとしての魅力に欠けるのは、恐らく根本的な問題で、自動車で戦うヒーローとかならともかく、箒に乗って太陽系の端まで飛んで行ってしまうそのスケールの巨大さに、「スバルらしさ」を乗せづらいことから生まれた不均衡だろう。

いくら頭を捻ったところで、宇宙でカケラを求めて戦う女の子たちの絵と、「スバルらしさ」をアピールできる要素を絡ませるアイディアは思いつきそうにない。(笑)

莫大なお金が絡んでいるだけに難しい問題だ。つくづくアニメ製作というのは綱渡りだと感じさせる。

興味がある人は是非とも観て欲しい。雄大な宇宙の景色を楽しむだけでも、きっと観る価値のある作品だ。




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