2009年

【2009アニメ】「まりあ♰ほりっく」アニメレビュー





(33点)全12話

宮前かなこは男性が苦手で、美少女大好きな女子高生。夢の女学院に編入したものの、とあるきっかけで見た目は可憐な美少女だが実は女装したドS少年と一緒に寮で暮らす羽目に!?清楚なミッション系女学院の学院生活の中で、個性豊かな美少女キャラを、百合趣味のかなこさんを通して楽しむひと味違ったハーレム系アニメ。TVアニメ「まりあ♰ほりっく」公式サイト




女学院でウハウハする主人公を描いたハーレム百合アニメ

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (33点)
完走難易度 難しい

原作は遠藤海成先生。

監督は新房昭之さん。

制作はシャフト。

(C)2009 遠藤海成・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/まりあ†ほりっく製作委員会

ミッション系の学園に編入してきた主人公がトラブルに巻き込まれる百合ハーレムコメディ。

男嫌いな主人公が念願の「女」しかいない学園に編入したものの、そこで女装趣味の生徒に弱みを握られて、奴隷にされてしまうところからストーリーは始まっている。

まず1話で丸わかりなように、これはシャフトの大御所・新房監督の作品だ。他に新房監督のギャグアニメで思い出されるのは荒川アンダーザブリッジやそれでも町は廻っている、化物語、幸腹グラフティ、さよなら絶望先生などの作品だが、化物語以外はどれもあんまりしっくり来ていない。

というのも、演出の主張が強すぎて作品が本来持っている良さを消してしまっている印象を受けるからだ。

この作品も同じく、余計な演出やセリフ回しのくどさでテンポが悪くなっているシーンが1話からある。

主人公が「このメス豚が」と罵られるシーンが良い例だ。そのセリフを聞いて、主人公が脳内でセリフを反芻するシーンで、エッフェル塔がなんだ、メソポタミア文明がなんだ、と回りくどく考えるシーンがあり、正直鬱陶しい。

ギャグアニメで求めたいのはやはりテンポ感だ。基本は早く、たまに変化を加えるためにゆっくり、あるいは静止を使う。といった感じの、テンポの調整が必要なのが持論だが、この作品はいちいちストップがかかるから、なかなかリズムに乗れない感じがある。

そこがまさに新房監督を苦手とする所以だ。もちろん人によって好みが分かれるところなので何とも言えない。

とはいえ最低限ツッコミ役がいて、強烈なパーソナリティーを持ったキャラクターがいて、面白いギャグアニメの要素は一通り揃っているので期待はできる。

百合

(C)2009 遠藤海成・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/まりあ†ほりっく製作委員会

このアニメは百合だ。ギャグアニメであると同時に百合アニメでもある。

だが結構エグイ類の百合なので、ガッツリ人を選ぶ感じだ。ゆるゆりとかきらら系のほんわかした感じの百合アニメとはわけが違う。

主人公は女の子が大好きだ。可愛い女の子や美しい女の子、そして男であるはずのまりあにも、興奮して鼻血を出す始末。

もちろん血を見て良い気分はあまりしない。思い切りギャグに振り切っているバカテスのような作品ならまだしも、女の子が女の子に興奮して血を出す描写は尖り方が凄い。

その尖りを打ち消すだけの「何か」があれば、まだ気にならないかもしれないが、中盤になってもテンポは変わらず、ぐっと引き込むだけのイベントや、笑いの要素があるわけでもない。

憧れの先輩と親しくしていることに妬みを持つ同級生からいじめを受けたり、その先輩がガードマンになって、先輩の過去が明らかになったり、先生から主人公を守るように言い預かっている女の子が、主人公と付き合っていると嘘を付いて難局を回避したり。

大きく動き出しそうなポイントは随所にあるが、相変わらずスローペースで進んでいる印象だ。

ギャグアニメは合うか合わないかで極端に評価が分かれる作品であり、主観ではあるが、やはり新房監督のギャグアニメは肌に合わないようだ。

しず

(C)2009 遠藤海成・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/まりあ†ほりっく製作委員会

中盤あたりのエピソードで「しず」というキャラクターが登場する。

彼女はまりあとは正反対。まりあが本来男なのに女装しているのに対して、しずは本来女の子なのに別の学園で男装をしている。まりあと瓜二つの双子だ。

彼女の登場により、まりあとしずの置かれた状況が明らかになる。それは祖母にあたる前理事長の道楽で、それぞれ性別を入れ替えて学園生活を送っているという事実。

ようやく突っかかりが取れた気分だ。なぜまりあは女装をしているのか。それは双子との理事長争奪戦に勝利するため、本音は妹の成長の手助けをするためであること。

理事長の座を巡る争い。可愛い妹。性別を入れ替える目的。ようやく単調な流れから脱しつつある感じだ。

特に妹の可愛さは特筆すべきものがある。彼女は男子校で女装をして過ごしているわけだが、むしろそっちのお話の方が気になるくらいだ。(笑)

見た目は男、でも中身は乙女の美少女が、男臭い空間に1人ボッチで奮闘する絵柄は想像するだけで興奮…いや間違いなく面白い。(笑)

古きは「花ざかりの君たちへ」というドラマで、堀北真希さんが男装する女役で出演されていたように、男の中の空間に女の子が混じって、少しずつ本当の性別が知られて恋愛バトルが始まる、みたいなシチュエーションは実に私好みだ。(笑)

むしろ鼻血ブーの変態女が主人公のアニメよりも、ピュアな美少女が嫌々男装して、男どものジャングルに放り込まれた方が何倍も面白いのではないだろうか。(笑)

変態主人公は救いようがない。美少女を見て鼻血を出す。彼女のポジションは分からない。何かを変えるわけでもない。ただツッコミを入れるだけだ。

ついにはガソリンをかけられるなど、冗談じゃ済まないようないじめも受けている。笑いが笑いとして素直に受け取れないシーンも出てきてしまっている。

琴線に触れる気配はない。やはりしずを主人公に据えて、一からストーリーを組み直した方が良いと真剣に考えてしまっている。

総評:単調

(C)2009 遠藤海成・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/まりあ†ほりっく製作委員会

中盤あたりで盛り上がる気配はあったものの、全体を通してみれば、ほとんど波のない単調な作品だ。

作品の肝となる設定は主人公が百合趣味であること。そしてまりあが女装をしている男で、主人公が本来嫌うべき相手で、性の狭間にいるということ。

そこを起点に広げていくかと思いきや、存外そんなことにはならず、ずっと学園内で変わらない風景を繰り返している。

ときにメイン以外のキャラクターの友情にヒビが入りかけたり、ときにまりあの双子の妹が登場したり、ときに聖母祭が開催されたり、ときに身体測定があったり。

イベントをそつなくこなしている印象だ。ギャグアニメとも言えない日常感。荒川とかそれでも町は廻っているでもそうだったように、この微妙なバランス感が自分にはとことん合わない。

主人公は毎度のように鼻血を出すし、まりあに欲情して、その度に自分のアレルギーとせめぎ合いをして、その度に、説明されなくても既に知っている設定がテロップで説明される。

特に発展性のないやり取りを毎度のように繰り返し、毎度のように主人公の回りくどいツッコミが入り、その度にテンポが乱され、さらに作品に入り込めなくなる。

一体どこを切り口に作品を楽しんだらいいのか分からない。中盤で妹が登場した時は期待感があったが、結局彼女はその場きりで、こすれば面白くなりそうなキャラクターをほぼ使い切りにしている。非常にもったいない。

日常の風景を演出で肉付けする新房監督の手法は自分には合わない。日常は演出でどれだけ肉付けしようと日常だ。もともとの原作や脚本の中身が面白くないと途端に蛇足になる。

いくら味付けに工夫を凝らしたところで、元の素材が美味しくなければ大して意味はない。制作サイドの努力はところどころで垣間見えたし、そうした演出も作品を面白くしようという心意気の表れでもある。

だがその演出が、作品をより濃くクドい味付けにしてしまっている。テンポ感が失われ、作品が本来持つ味が損なわれてしまっているようにも見える。

百合という設定自体人を選ぶものだ。そこをなるべく緩和するようなバランサーが必要だったはずだが、まりあとメイドは罵倒して助長することしかせず、友達は百合を知らないのか知ったうえでスルーしているのか、立場があやふやだ。

感知するキャラがそもそも少ないことで歯止めが利かず、ブレーキが壊れた車のごとく一方通行の道路を突っ走っている。ツッコミ役がボケに回ってもさして価値はない。

足りないのはキャラクターがより深いところで繋がる関係性だと思う。表面上で百合だとか友情だとかやっていても、それは肉にも魚にもならない。

そこからもう一歩踏み込んだ葛藤とか試練とかが在れば、もっとキャラクターを愛せたに違いない。ただの一方的な同性愛の開放ではなく、刺激的なシリアスがあれば…単なる日常では、25分12話を乗り切ることはやはり難しい。

もちろんこれは主観なので好きな人は好きなのだろう。実際に高校時代にアニメ友達だった伊東くんはこの作品を激推ししていた。(笑)

眺めて満足する百合など何の面白みもない。それこそ中盤の下着事件で、実際に下着を盗んだ犯人が主人公なら…一歩踏み込んだ行動を起こしてしまうようなヤバイド変態であった方が、よほど刺激的だっただろう。(笑)

雑感:設定負け

(C)2009 遠藤海成・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/まりあ†ほりっく製作委員会

全体的に見ても設定負けしている作品だ。

女装して女子高に紛れ込んでいる変態がいるのに、その変態にイニシアチブを握られるさらなる変態が主人公で、彼女はツッコミはするけど、それはあくまで自己完結的で、さらにはボケに回ることもあり、場がカオスになることもある。

変態が変態を奴隷にするシチュエーションは微妙だ。そもそもまりあの秘密も主人公は握っているわけだし、それをちらつかせれば十分マウントを取り返すチャンスはあるはずだが、主人公は終始罵倒されるがままだ。(笑)

そこの関係性がなかなか変わらず、結果的に退屈な作品となってしまっている。キャラクターがぬるぬる動いたり、視聴者が注目しないようなところにも手抜きは一切ない。だが設定や演出には工夫があるのに肝心のストーリーが微妙だ。

中盤と最後に登場した双子の妹は、明らかに擦るべきキャラクターだった。まりあの固いガードを崩して、主人公との関係を進展させるにはうってつけのキャラクターだったが、そこは2期に持ち越しということだろうか。

1期の最後は、水着の授業の騎馬戦で主人公がまりあに一矢報いようと食ってかかるも、「双子の妹のしずだった」というオチで終わっている。

まさに一歩踏み込んだ関係になれそうな展開ではあるが、いかんせん最終話の最後。アクセルを踏み込むのがあまりに遅すぎた。

もしかしたら1期制作の時点で、2期を見越した構成になっていたのかもしれない。だが1期の引きが微妙で、2期にはさして興味が湧かない。

百合の耐性があって、新房監督の作品が好きな人にはぜひとも観て欲しい作品だ。




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