2021年

【2021アニメ】「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」アニメレビュー





(29点)全12話

都会から遠く遠く離れた村で暮らす少年・ロイド。軍人になる夢を抱く彼は何を隠そう「村で一番弱い男」。そんな彼が軍人を目指すことに周囲の村人は大反対。けれどもロイドの決意は固く、王都へと旅立っていきました。しかし、彼を含む村の人々はある重大な事実を知らなかったのです。自分たちがかつて世界を救った英雄の末裔で、全員が人間離れした力を持っていること。そして「村で一番弱い」ロイドも一般的には常識外れに強いことを……。身体能力バツグン!古代魔法も完璧!挙句の果てには家事もおまかせ!己の強さを勘違いした村人による無自覚最強ファンタジー、ここに開幕です!TVアニメ「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」公式サイト




めちゃ強い主人公が「初めての街」で軍人になる異世界ファンタジー

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (29点)
完走難易度 超難しい

原作はサトウとシオ先生。

監督はmigmiさん。

制作はライデンフィルム。

軍人

©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会

主人公の少年が、ラストダンジョン近くの村から王都に、「軍人」になるために行くところからストーリーが始まる。

チャンピオンロードからいきなり1番道路に行く感じだろうか。(笑)

主人公はラストダンジョン前の村では「最弱」だったが、それでもあくまでラストダンジョンの前の村内での最弱であって、最初の村のレベルからしたら十分の強さになる。

いくらチャンピオンロードに出現するゴルバットが弱くても、最初の村のキャタピーにとっては「圧倒的格上」であることに変わりはない。(笑)

あるようでなかった面白い世界観だ。最強の村の最弱の少年が最弱の村に行く。そこで軍人を目指す。

余裕で合格するかと思いきやまさかの落選。序盤から予想外に予想外を畳みかけてくる。

趣向は元来の異世界&主人公最強アニメとそん色ない。1人だけ最強。そこは普遍的だ。

だが主人公にとっては、自分が最弱だった環境から最強の村に来ているという変化がある。当然前の村では最弱だったので自己評価がかなり低く、腰が引けている。

だが相対評価で考えると、最弱の村では圧倒的に最強。それに主人公は気づかない。

当たり前のように強力なモンスターを遥か彼方に投げ捨てても、一国の王女を華麗に助けても、最強だという自覚がないから、常に低姿勢でかしこまる。

そこがこの作品ならではで面白い。そこを切り口にどんなストーリーが展開されていくのか。ワクワクが止まらない。

???

©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会

猛スピードの車が直角にターンをするような猛烈な変化が序盤に起こる。

冒頭の雰囲気は平和そのもの。主人公が文字通り最弱の村にやってきて、居候をする一癖ある村の魔女の元で厄介になる。

軍人にはなれなかったため、バイトを始めてお金を貯めて、また1年後の試験に向けて頑張る。

健気で可愛いロイドに周りが心を許していく。そんな平和な日常が送られると思いきや、途中からきな臭い展開になっていき、ついには魔王が「世界を我が物にする」とか言い出している。

正直ついていけない。さっきまで散々だらしない姿を見せて、ギャグ要員になっていた魔女の王女様が、いきなり魔王に操られた王様、つまり父親とやり合っている光景を見せられる。

腕をへし折られて悲鳴を上げる王女。さっきまでそんなシリアスの片鱗さえなかった作品で、唐突に物騒なバトルが始まる。

それはどんでん返しの類よりかは、道を踏み外したという表現の方がしっくりくる。

何の予告もなしに魔王が登場し、さっきまでおふざけ要員の1人だった魔女や、士官学校の先生までもが豹変し、予兆なしに黒幕としての正体を現し、王を傀儡にして「戦争を引き起こす」だのと物騒なことを言っている。

「これが予兆か?」というシーンは直前にある。それは回想で、先生が昔、故郷を他国の軍に侵略されたという事実を明らかにするシーンだ。

しかしそれと暴走とは、もう1つ大きな隔たりがあるように思える。そこからもうワンクッション挟んで初めて、軍人が戦争を扇動するなどという暴挙に出ないと辻褄が合わない。

あくまで先生は一介の軍人であり、生徒の模範となる先生だ。その先生がいくら故郷を滅ぼした国に恨みがあるとしても、王様を操ってまで無理やり戦争を引き起こすなどという大胆な行動に出るだろうか。

その一足飛びが違和感の原因となっている。ギャグとシリアスの両立が言うほど簡単ではないと、この作品を観て改めて実感している。

この作品に期待していた面白さではない。魔王だの戦争だのと、結局はよくある異世界モノのストーリーになっている。

微妙

©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会

正直期待外れだ。中盤までの展開は退屈そのもの。

どこに焦点を当てて何がしたくて何を伝えたいのか。この作品からは何も感じ取ることができない。

のらりくらりと中途半端なギャグをやって、ところどころに中途半端なシリアスを散りばめつつ、ゴールの分からない道をただひたすらに進む。

主人公を中心にストーリーが進んでいるように見えない。主人公は自分が弱いと思い込んでいるが「実は強い」という設定がある。それでも腰が引けていて常に卑屈だ。

肝心のバトルでは介入してきて的外れなことを敵に言ったりして、シリアスを平気でぶち壊していく。シリアスを貫くべきところで余計に場を混乱させる主人公。

立ち位置が分かりづらい。この作品にとっての主人公は何なのか。

存外、他のキャラクターに割かれる尺が多い。特に思い入れのないキャラクターの過去が回想で明らかになったり、他校との交流戦的なイベントで別キャラが主役になったり。

一本の線になっていない。散らばった線が一本に収束していくような流麗さをこの作品からは感じない。ストーリーに「意図」を感じない。

なぜ主人公以外のキャラクターの過去を掘り下げたり、困難な壁に挑ませるのか。主人公を差し置く意味はあるのか。

これは主人公が強烈な個性を発揮する類の作品だ。タイトルがそれを示しているし、「最弱であり最強」という選ばれたポジションにいる。

その主人公を差し置いて、他のキャラクターにスポットを当てるならそれなりの理由と、その後の変化がないと説明がつかない。

それらがない。「これ何のアニメ?」状態に途中からなっている。リゾートバイトみたいなことをして、そのバイト先で事件に巻き込まれたりと、方向性が全く見えない。

総評:退屈

©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会

ラストダンジョン前の村の少年が最初の街で暮らす「だけ」の物語だ。

一本の筋が通ったストーリーはなく、何となくそれっぽくストーリーが進み、よくわからないイベントが始まって、よくわからないトラブルが起きて、よくわからないままに解決する。

これではこれで面白いのかもしれない。ロイドの純朴な可愛さと、ところどころで見せる最強の力。主人公ならではの面白さはあるにはある。

だがそれが一貫していない。可愛い&最弱だけど最強。それをどうアニメ的な面白さに変換するのか。

ある場面では、シリアスをひっくり返して、主人公があっけなく敵をひねるシーンがギャグ調に描かれており、ある場面では主人公が突然の蹴りを食らってあばら骨を骨折したり、ある場面では真面目に空中腕相撲をしたり、真面目に「自分は仲間と一緒に立派な軍人になるんだ!」と声高らかに宣言しながら、強敵と相まみえている。

設定が半分死んでいる状態だ。主人公が最強なのかそうでないのか。主人公の内なる気持ちがどうなっているのか。主人公の強さはギャグなのか単純なスカッとする最強なのか。どう変化し成長していくのか。

なぜ見るからに最強の主人公が、最弱の村で士官学校に入るのかも結局分からずじまいだ。

1人だけ明らかに浮いているし、最強を誇示してもなお謙虚なままだし、そんな状態で仲間だの立派な軍人だのと言われても説得力がない。

主人公に仲間など必要ないし、純粋な戦闘力でいえば、既にそこら辺の立派な軍人など凌駕しているからだ。

仲間と一緒にどうこうを描きたいのなら、まずはその仲間と対等に、そして仲間と共に困難を乗り越えないことには始まらない。王道バトルものによくあるような「英雄になりたい」という主人公のセリフは空虚でしかない。

どこを支点にするのかが定まっていないから、ストーリーがよく分からないことになっている。観た後に何も残らないタイプの作品だ。

1話で抱いたワクワクを返して欲しい。可愛くて強い主人公の活躍を期待していた純粋な気持ちを。肩透かしもいいところだ。

作画も気の抜けているようなシーンが散見され、作る側にもイマイチ身が入っていないことが手に取るように分かる。楽しんで書いている作品には作画にもその気持ちが籠るものだ。

雑感:没個性

©サトウとシオ・SBクリエイティブ/ラスダン製作委員会

タイトルは個性的で主人公も個性的。しかしストーリーに個性はみじんもない。

なんだかよく分からない交流戦とか、なんだかよく分からないリゾートバイト、なんだかよく分からない悪役が登場する。

設定や世界観の面白さを、脚本が十全に生かすことがこれっぽっちも出来ていない。非常に残念な作品だ。

興味がある人は観て欲しい。中性的な男の子が好みの人にはオススメだ。(笑)




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